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2016年1月

2016年1月 2日 (土)

杉浦/一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・隠れた優良企業・空港ビルにも多くの子会社・天下り先の空港環境整備協会・権益だけで生きる空港施設。

引用


2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

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15:04 2015/12/31


血税空港における・2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
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16:45 2016/01/04



生まれ変わる首都圏の空港 単行本– 2009・3 杉浦 一機(著)

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

 杉浦/一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ。参議院運輸委員会調査室客員調査員、経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。現在、東京都の航空関連委員会、福岡空港調査委員会委員などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報 単行本: 254ページ出版社: 交通新聞社 (2009/03)

発売日: 2009/03


目次

第1章 羽田の再拡張・15・


第4滑走路の新設・16頁・


井桁状に4本の滑走路・発着枠が3割増える・当初は別空港の建設案・10年浪費して羽田の再拡張に。 

国際線ターミナルを整備・23頁・


実現した本格的ターミナル・PFIで建設・商業施設が充実・24時間化への対応・余力の大きな取り扱い能力・重要になる省エネ貨物の容量は年間50万㌧・ 

充実するアクセス鉄道・33頁・


1・シェアを伸ばす京急・地下新駅は昇降機を多用・京急蒲田駅を大改造して直通を拡大・2・競争力回復に期待の東京モノレール・正面玄関に横付け・独占を謳歌出来た初期・激しい京急との競争・期待される新橋延伸・3・両空港間の鉄道を抜本的に改善・

いよいよ始まる国際化・48頁・


紆余曲折した「国際化」・再拡張の費用を都が負担・「余る」枠で国際化・リレー・ハブ空港・対米競争力が改善・大きい国際化の経済効果・

変わる国内線の運航・58頁・


「多頻度運行」が実現・運賃水準が下がる・直行便が増える・コミューター機の乗り入れ・国内線ターミナルも充実・後回しにされた国内線・

世界で最も恵まれた空港―羽田空港再評価・66頁・



臨海部の選定が成功(歴史)・近くて、充実した施設・広い敷地・海に面している・アクセスが便利・日本・太平洋圏の中央に位置・向背に大きな需要。

インタビュー 日本空港ビルディング鷹城勲社長・77頁・


第2章 成田の整備拡張・81頁・


完全空港化を実現82頁・


滑走路の延伸と誘導路の複線化・敷地からはみ出すB滑走路・発着枠を1・5倍に引き上げ・羽田と空域を一元化。

期待のかかる成田新高速鉄道・89頁・


復活した「Bルート」・羽田と遜色がなくなる?・日暮里から36分。

軽視できない過去の歴史・95・


共生時代の空港に・大きく成長した成田・好調な商業施設の売り上げ・地域社会に不可欠なった。

成田が恐れる羽田の本格国際化・102頁・


空港選択の完全自由化論・成田はマイナーな国際空港?・羽田70万回が分かれ目か・無視できない成田の施設。

独自の課題が山積み・106頁・


1年遅れる株式上場・地域関係が経営面でも負荷に・騒音の軽減・エコ・エアポート・伸びない乗り入れ都市数・低いハブ機能・「コネクティビティ」・

インタビュー 成田国際空港森中小三郎社長・118頁・


第3章 首都圏空港政策の変更・123頁・


アジア・ゲートウェイ構想・124頁・開放政策に大転換・魅力ある日本を創る・「ようこそ日本」の成功・旅行業界の新たな行動計画・

国際航空の自由化に変針・132頁・


日本版「オープンスカイ」・チャーターの規制を緩和・国際線の一体運用・強まる世界からの外圧。

横田空域の一部削減で新ルート・140頁・


出発時間の短縮が可能・羽田と成田の改正を統合。

首都圏近郊に新空港・143頁・いよいよ開港する静岡・茨城は格安航空の拠点になれるか。 

見送られた外資規制・150頁・


開放派と規制はで大激論・安保優先からの転換の歴史・外資アレルギーで過剰反応・大口規制を導入。 


低過ぎるアクセスの目標タイム・155頁・


「乗り換えなし」で30分に・シンガポールは自宅から搭乗まで30分・車より遅い鉄道・始点が日暮里では不十分。

第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・



利益が利用者に還元されない羽田・164頁・


隠れた優良企業・空港ビルにも多くの子会社・天下り先の空港環境整備協会・権益だけで生きる空港施設。


 子会社が多過ぎる成田空港会社・171頁・


宅配にも港内営業所・権益になっている営業権。

空港経営など考えてこなかった日本・175頁・


しわ寄せは利用者に・降って湧いた民活・世界は採算重視の時代に。

経営コスト引き下げが必要・181頁・


上下一体経営が不可欠・経営手法を見つけた英国・世界の流れは民営化・「楽しい空港」が経営にプラス・格安航空時代への対応・羽田・成田を競合関係に。

第5章 現実味を帯びてきた次の拡張計画・193頁・


それでも足りない容量・194頁・


補完できない中部・関空・ポスト「再拡張」・すぐに満杯になる見通し。

飛び出した首都圏100万回構想・200頁・倍増を目標にすべし・羽田は滑走路をさらに増設。

東京湾内に巨大空港・滑走路4本の「湾奥空港」・飛行ルートの調整が課題。

眠りから覚める「首都圏第3空港」・207頁・


動き出すのか候補地の選定・誰も旗手役を務めず・出揃った候補地・曖昧な運用策。

理想は横田を含めた3国際空港・218頁・


まずは横田の共用化・貴重な資源が使えない・地元にも恩恵が及ぶ。

羽田周辺地域の再開発・226頁・


西側の空港跡地に多様な施設・「神奈川口構想」に期待。

ルール変更で変えられる日本の空・230頁・


飛行時間の短縮・東京上空の飛行を解禁・遅延承知で効率アップ。着陸ポイントを2ヵ所に設定・誘導路を緊急滑走路に使用。

期待が高まる羽田アクセス鉄道新線・238頁・


1・鎌田で投球と京急の線路を接続・2・都営浅草線の東京駅乗り入れ・3・東京臨海高速鉄道に羽田アクセス新線・4・東海道貨物支線の貨客併用化・5・羽田・成田リニア新線構想。

仁川にいかに勝つか・245頁・


ハブを奪われる日・連携でアジアのハブを維持する。

あとがき

  商品の概要に戻る

8:40 2016/01/02 


引用2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02



第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

引用


2016年1月 2日 (土)杉浦/一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・隠れた優良企業・空港ビルにも多くの子会社・天下り先の空港環境整備協会・権益だけで生きる空港施設。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/1947-a188.html

15:42 2016/01/02

2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04


第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・


利益が利用者に還元されない羽田・164頁・


隠れた優良企業・

羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

上物を運営する最大企業は日本空港ビルデングで、1953年に民間資本で設立されたわが国初のターミナルビル会社だ。同社の売り上げは、エアラインやテナントなどにスペースを提供する家賃収入、駐車場収入、自らが営む土産物などの物販、レストラン収入、保険代理業などで構成される。一般的にはあまり知られていない企業だが、経営は順調で90年には東証2部に、91年には同1部に上場された。

同社が設立されたのは、国に上物を整備する予算がなかったので、エアライン、鉄道会社などから1億5千万円の資本を募り、55年に10億円の予算で旅客ターミナルビルを完成さえた。羽田は日本の玄関口で旅客が多いうえ、都心に近いために送迎客や修学旅行客も多く、売店やレストランは繁盛を極めた。63年にはジェット機の登場と東京オリンピックへの対応に35億円を注ぎ込んで大規模な増築工事を行ったほか、70年にはジャンボ機に対応するために32億円を投じるなど投資が嵩んだが、旺盛な売り上げに支えられて事業は順調に推移した。165頁・


165頁・同社にとって社運を賭ける大規模投資となったのは、空港の沖合展開に伴うターミナルビルの全面移転だった。93年に完成沙汰第18にしターミナル=ビッグバード)に130,000,000,000円、04年に完成した第2(東ターミナル)670億円と地方空港の建設費を上回る巨費を投じたが、日ごろの収益性が評価され、資金はスムーズに調達することができた。ちなみに、投資がピークを迎えた2000年代前半でも収益利益は65億~75億円(経常利益率は10%近い)にのぼり、1株当たりの純資産が約1千円を超える優良経営を維持している。

ビッグバードの整備では、テナントには集客力のある店を積極的に勧誘し、人気商業施設並みの集客を目指した。165頁・


166頁・その結果、航空旅客以外のショッピング客などが大勢訪れるようになったほか、旅客も早めに空港に到着してショッピングや話題店で食事を楽しむ風潮が生まれ、駅弁ならぬ空便などのヒット商品も誕生した。

これらの収益は高い配当で株主に還元されるから株価も高い数順で維持されているが、97年には欧州の投資会社マッコーリー・エアポートが収益性に目を付け、大量の株式を取得したことから、注目を浴びている。

平成28年1月2日・


表4・1・日本空港ビルデング

の小会社と孫会社

業種

社名

主な業務

施設の管理保守

日本空港テクノ(子)

ターミナル施設などの保守管理

桜商会(孫)

清掃・廃棄物処理

物販

国際協(子)

全国空港店などへの一般品・免税品の卸売及び小売

日本航空ロジテム(子)

商品の運送・検品

アイテイエス(孫)

ゲーム機・遊具機などの娯楽機械の設置

飲食業

東京エアポートレストラン(子)

羽田・成田空港における飲食店業及び軽食の製造販売

コスモ企業(子)

エアラインへの機内食のケータリング、冷凍食品の製造

会館開発(孫)

飲食施設の運営

小売業

羽田エアポートエンタープライズ(子)

羽田空港での店舗運営

成田エアポートエンタープライズ(子)

成田空港での店舗運営

サービス

ビッグウイング(子)

公告・イベントの企画運営

羽田旅客サービス(子)

旅客サービス・案内業

ヒロインターナショナル(孫)

羽田空港内における優良待合室・会議室の運営

警備

羽田エアポートセキュリティー(子)

羽田空港における警備

(子)=子会社、(孫)=孫会社

1/3/2016 5:10:11 AM


 ・空港ビルにも多くの子会社・166頁・

だが、利用者からすると納得がいかないのは、ターミナルビルとして高収益を挙げているにもかかわらず、ビッグバードのオープン以降は旅客のサービス施設利用料(PSFC)が新たに設けられ、国内旅客から1人100円、国際旅客から2,040円(成田と同額)を徴収されるようになったことだ。

空港ビルとしては、乗降施設の規模が拡大して投資額がけた違いに大きくなったこと、商業施設の盛況は企業努力によるものと考えているが、多額の利益が利用者に還元されずに関連の子会社や孫会社(表4・1)に流れており、釈然としない。しかも、グループ会社は国土交通省や大株主であるエヤラインOBの天下りの主要な受け皿となっている。

また、国際線の旅客ターミナルビルと貨物ターミナルビルは異なる企業が運営しているため、国際線のPSFCは別会計となる。従って、空港ビルの商業施設がいくら繁盛しようとも、PSFCが減額されたり、滑走路建設費の償還が早まることはなく、空港ビルの内部留保と株主への配当だけが増える構図だ。

平成28年1月2日


天下り先の空港環境整備協会・167頁・16/1/2 14時27分34秒・

羽田空港など第1種空港は国有地で、企業が土地を購入することができないため、施設を建てる場合には国からスペースを借りることになる。本来であれば、希望する企業が入札で権利を取得し、施設を建てるべきなのだが、羽田には国交省直轄の天下り会社や教会等がいくつも存在し、指名で事業を展開する構図になっている。

その一つが財団法人空港環境整備協会だ。68年に設立され、北海道から宮崎まで、国が管理する21空港で26の駐車場を運営している。羽田ではP2とP3を運営し、売り上げは年間約90億円(07年度。同協会のホームページより)、利益は30億円近く(03年度。05年4月13日付読売新聞「公費の行方」に達する。167頁・


168頁・公益法人である所似は、駐車場の運営だけでなく、空港周辺の環境

対策の一部を担っているからだ。だが、騒音対策となる民家の防音工事や移転保証などは国や成田空港会社が行っており同協会は周辺自治体の要望を受けて、公民館などにカラオケセットやスポーツ用品を寄付したりテニスコートやパークゴルフ場の整備など、細々とした対応を行っている(前掲の読売新聞)。


問題は同協会が天下りの人事の温床になっていることで、350名の職員のうち、国家公務員の再就職者が180名に達し(08年4日の第169通常国会の国土交通委員会における鈴木航空局長の答弁)、常勤役員7人のうち5人が天下りで占められている。ちなみに、会長は元東京航空局長、理事長は元大臣官房審議官、専務理事は航空大学理事長、常務理事は元東京航空局次長だ。


06年度に同協会が国から交付された金額は2億2600万円にすぎず、本来の設立目的である環境対策の業務だけでは大勢の国家公務員の再就職の受け入れや、役員に過大な給与を支払うことができないが、副業の駐車場経営で多大な利益を上げている。もっとも協会としては、駐車場を整備することによって空港の環境整備を行っていると説明するが、協会には正味財産が年間売上高を上回る95億4600万円もプールされている。


駐車場の建物は国の空港整備特別会計で建設され、同協会が運営を委託する。02年度末時点で全国26ヵ所に建設されたが、23ヵ所は同協会が無競争で運営を任された。空港内は独占なので競争にさらされるリスクもなく、駐車場の運営は場所と需給関係で決まるので、大したノウハウも不要だ。 

会計検査院は03年度に国交省に対して「駐車場料金の適正化の検証と運営者を複数の業者から選ぶ仕組みの導入」を求めたが、国交省は東京と大阪の航空局長に通達を出して「料金の見直しと、新たに整備する駐車場の業者の選定に公募制を導入する」指示を出したものの、既存の駐車場の業者選定に関しては改善しなかった。168頁・


169頁・国交省の意識では、管轄している土地は「自らのもの」なのかも知れないが、国有財産は国家のものであり、国民のものである。個人の利益のために使うことは許されない。 


権益だけで生きる空港施設・169頁・

2つ目は、空港施設株式会社である。成田、伊丹、関空、鹿児島などの空港で、格納庫など空港関連施設60ヵ所も運営している。事業としては、エアラインなどからの要請を受けて、国から土地を借り受け、施設を建てて貸す利権ビジネスだ。

年間の売上高は220億円前後で、その68%が不動産賃貸事業、20%が熱供給事業(羽田での売上比率は86%)によるものだが、毎年50億円弱の経常利益を確保している超優良企業だ。東証1部に上場され、1株当たりの配当は航空業界では破格の16円を維持しているが、それでも利益余剰金は年間売上高を上回る267億円(08年3月期)に達する(表4・2)。 


主要株主は日本航空インターナショナルとANAが各19・16%、政府系事業ファンドのDBJ事業価値創造投資事業組合が12・60%で構成されている。空港施設なる利権企業が存在しなければ、エアラインは国(国交省と財務省)から直接土地を借り受け、賃貸料を支払えば済むので、同社の売り上げのほとんどは不要になる。169頁・


170頁・

表4・2・日本の航空と空港会社の収益性(2008年3月期、連結)

売上高

営業利益

利益率

1株当たり資産

JAL

2兆2,304億円

900億円

4%

110円

同(07年)

2兆3,015億円

229億円

1%

113円

ANA

1兆4,878億円

844億円

5,7%

234円

成田空港会社

1,999億円

329億円

16,4%

10万4,953円

日本空港ビル

1,394億円

77億円

5,5%

1,181円

空港施設

251億円

52億円

20,9%

775円

(出所・各社ホームページなどの資料を基に著者作成)

平成28年1月3日


空港世説は、ユーザーの要請に応じて開発を行うのでリスクはほとんどない。建設は大手ゼネコンが請け負うのでノウハウも必要ない。事業の要は国から借用権をスムーズに借り受けることだが、国交省が他には許可しないので、仕事は他に流れない。

この企業の異様さは役員構成に端的に表れている。従業員わずか127名しか在籍していないにもかかわらず、取締役12名(うち第取締役4名)、監査役5名(うち常勤3名)、執行役員9名という立派すぎる構成だ。執行役員はまったく重複していないことからしても、取締役は名目職になっていることが分かる。

会長は元運輸省海上保安庁長官、社長は元運輸省自動車交通局長、副社長はJAL、ANAのOBのほか、取締役のほとんどが運輸省のOB、またはエアラインのObで占められている。

彼らが気持ちの上でも腰掛である証拠には、自身の所有株式が極端に少なく、代表取締役では社長が4千株(4口)、1千株が2名(副社長を含む)でゼロが1名だ。経営自体に愛着などないのだ。

さらに、空港施設は東京空港冷暖房、アクアテクノサービス、AFC商事なる連結子会社(非上場)を持っており、10名前後の役員を抱えている。170頁


171頁・16/1/3 5時45分24秒・ここまで

空港施設は羽田空港内で水道を独占的に供給しているが、その価格は尋常ではない。空港施設は東京都水道局から1M3当たり800円で購入し、ユーザに1,400円で転売する。国交省が空港内に給水管などの設備を整備した費用の使用料として400円を国に払うが、同社には200円が落ちる(「週刊ポスト」03年4月11日号)。それでも「新千歳の3倍」よりはましと言うから驚く。水質検査はアクアテクノサービスに委託するので、要は口銭という訳だ。

国交省などの国は優良な天下りポストを大量に確保でき、エアラインには利益の一部を還元することで成り立っているが、膨大な利益は空港の下物整備に還元されることなく、わずかの特定株主と天下り役員の給料に消えていく。171頁・


子会社が多過ぎる成田空港会社・171頁・




2016年1月 3日 (日)

     子会社が多過ぎる成田空港会社・171頁・平成28年1月3日・2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

引用


引用2016年1月 3日 (日)生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/

15:07 2016/01/03


第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・

2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02


2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31


2016年1月 2日 (土)杉浦/一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・隠れた優良企業・空港ビルにも多くの子会社・天下り先の空港環境整備協会・権益だけで生きる空港施設。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/1947-a188.html

15:42 2016/01/02 


子会社が多過ぎる成田空港会社・171頁・平成28年1月3日・

宅配にも港内営業所・05年に着陸料を値下げするまで、「世界一高い」使用料だった成田空港。旅客からは1人当たり2,040円の旅客サービス施設料(PSFC)の徴収も続いている(現在は航空運賃に含めているので旅客は気づかない)が、様々なところで「空港価格」がまかり通っている。典型的なのは宅配手荷物で、空港を出入りする宅配貨物からも構内営業料を徴収するために、空港からスーツケースを発送すると、空港外のコンビニエンスストアから発送するに比べて620円も高いのだ。171頁・


172頁・確かに過激派対策を対象とした空港警備は、開港以来緩めることができず、ターミナルビルの拡張にも投資が必要なので、空港会社の経営は厳しいのではないかとの印象があるのだが、実は相当に儲かっている。

08年3月期の連結決算は減益になったものの、売り上げでは1999億円、営業利益は329億円(売上高営業利益率16・4%)、経常利益236億円、当期純利益109億円と言う優良企業なのだ。もちろん、日本のエアラインなど足元にも及ばない利益率である。営業利益は空港運営(航空収入)が32・1億円(9・8%)、小売り事業が168・9億円(51・3%)、テナント賃貸134億円(40・7%)、鉄道事業だけは5・5億円赤字だ。

つまり、営業利益の9割は非航空収入で稼ぎ出し、航空収入では1割しか利益が出ていないように見えるのだが、実は航空収入から生まれる多くの利益は、本体から消えていく構造になっている。

1つは地元対策費だ。「成田空港にはこれまで2兆円超(06エンドまでの累計2兆1787億円)の巨費が投じられてきたが、2300億円弱は環境対策という地元へのバラマキだった。大部分は学校や民家の防音工事など必要なものに使われているが、個人宅の古くなったエアコンの交換費用まで負担する必要はあるのだろうか。また、このうち1400億円は家屋の移転費用として使われている。1戸当たりの平均は1億7千万円だが、直近の56戸に限れば平均3億4千万円だ。周辺には「空港御殿」と呼ばれる邸宅が少なくない」(「日経ビジネス」04年5月号)。

また、芝山鉄道はもともと採算に乗るだけの需要はないが、空港によって分断される地域の交通の便を確保するための地元対策事業だ。172頁・


173頁・ここまで

生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

引用


生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著)

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 

杉浦一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ。参議院運輸委員会調査室客員調査員、経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。現在、東京都の航空関連委員会、福岡空港調査委員会委員などを務める発売日: 2009/03

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31


引用2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02


2016年1月 2日 (土)杉浦/一機 航空アナリスト。首都大学東京客員教授。世界の空港、エアラインのサービスや経営について造詣が深く、利用者サイドに立った航空の評論がモットー。1947年生まれ・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・隠れた優良企業・空港ビルにも多くの子会社・天下り先の空港環境整備協会・権益だけで生きる空港施設。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/1947-a188.html

15:42 2016/01/02

2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04



まえがき・3頁・16/1/3 14時12分31秒・

シンガポールに転勤した友人宅を訪れた時のことである。空港まで迎えに来てもらったとは言うものの、意外に早く市内の高層マンションに着いた。

「ずいぶん早いね。飛行機を降りてからまだ35分しかたっていないよ」

「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

と友人はこともなげに言った。

成田で搭乗機に乗るのに、5時間前に我が家を出発した筆者の頭は混乱した。東京が遅すぎるのか、シンガポールが早すぎるのか。いや、シンガポールは小さい国だから…とは思うものの、ゲートから入国管理、税関を通って、空港から自宅まで30分は相当早い。確かに入国管理も税関も、輔トド列に並ぶことはなかった。

「だけど、自宅まで30分は早いよね」

「詳しくは分からないけれど、国際都市はそれくらいの環境を備えていなければ、駄目だって言うことみたいだよ。確かにここにいると、海外出張も国内みたいに気軽な気分で行けるよ」

「東京だって昔から国際都市を標榜しているけど、30分どころか2時間だって無理だ」

「主人が海外出張に行くからって言いうから、1週間はのんびりできるかと思っていると、2~3日で帰ってきてしまうんですよ」3・

4頁・奥さんが横から口をはさんだ。「隣のマレーシアから橋を渡って毎日6万人もの人が通勤してくるし、人とモノの出入りは本当に簡単なんだ。シンガポールはもともと自由貿易港で発展してきたけど、手続きを簡単にしたり、自由度を高めることによって人やモノがどんどん集まり、シンガポールはますます繁栄するという訳よ」

「人の出入れが簡単だから、国際会議も多いってわけだな。東京では最近、ホテルは増えたけど、空港でも、アクセスにも時間がかかるから、国際イベントがなかなか増えないんだ。きっと」

シンガポールの玄関口であるチャンギ国際空港は、日本人にも、世界の人々にも「心地よく、快適な空港」として知られているが、管理運用する空港公団を取材すると、その理由がはっきり分かった。

空港内は広人としているうえ、そこかしこに花や植物がふんだんに置かれている。しかも、気持ちが安らぐのは、羽田などで頻繁に繰り返される「高知へ五週発の○○様。18番ゲートへお急ぎください」など、利用者をせかせるようなアナウンスが一切流れないからだろう。

館内を案内してくれた公団の広報マネージャーに「ランや植物は日に当てないと枯れませんか」と聞くと、「植物は一定のサイクルで交換し、取り替えた植物は空港内の植物園で休養させます」との答えが返ってきた。

「空港内標識が見やすいのはどんな工夫があるのですか?」「試行錯誤を繰り返しましたが、重要なカラーを公団が管理するようになって、うまくいきました。4頁・


5頁・官内の通路に面したところでは黄色と赤は公団のきゃかがないと使えません。従って、旅客の目に入る色が整理され、すっきりしてサインが見やすいのです」

確かに、ブルーのサインボートだけ見て進めば目的の場所にたどり着け、注意点は黄色、禁止行為は赤で示してある。マクドナルドの赤も、通路面には使用できないそうだ。

見学はショッピングゾーンに差し掛かった。ちょっぴり、意地悪な質問をしてみた。

「チャンギでは利用者重視と言われますが、ものの価格はやはり市内より高いのではありませんか?」

マネージャーは眉一つ動かさずに答えた。

「それはありません。我々はテナントの契約条文でも、利用者重視を守るように明記しています」「日本でも、近年は利用者重視とか、消費者第一とかいう耳障りの良い言葉が独り歩きしていますが、空港公団にとっては、テナントが一番大事なのではありませんか?」


返答に力が入った。

「もしも販売価格が市中よりも高いことが判明した場合には、差額の2倍を消費者に返金する罰則条項まで盛り込んでいます。チャンギで利用者が不利益を被ることが無いよう、我々がチャックしていますので安心してください。利用者から信頼が得られなければ、空港は繁栄できませんから」

テナントが埋まれば、あとはエアポート価格になっても見て見ぬふりをしているどこかの国の空港とは大違いだ。

利用者のために「テナントを競わせている」との説明の通り、両替所も必ず2社が隣り合わせに配置され、消費者は比較検討できるようになっている。5・


6頁・16/1/3 14時52分44秒ここまで



2016年1月 4日 (月)

血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功・第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・

引用


引用2016年1月 3日 (日)生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/

15:07 2016/01/03


第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・

2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02


2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。 http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html 16:45 2016/01/04

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31


 

2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04


血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功(著) 5つ星のうち 4     12件のカスタマーレビュー

容(「BOOK」データベースより)


「オープンスカイ」(=空の自由化)の世界的潮流でアジア各国が空港を整備し飛躍するなか、日本は致命的な後れを取った。羽田空港は頭打ちの国内線中心。米航空会社に占められ新規参入枠がない成田空港は、「アジアの玄関口」の座を周辺諸国に奪われて久しい。鳴り物入りでオープンした関西国際空港をはじめ、全国津々浦々99の空港のほとんどが火の車だ。その補填のため毎年5000億円もの税金が垂れ流し。そんな航空行政の呆れた実態を緊急告発。

 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

 森/功


1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て、フリーランスのノンフィクションライターとなる。「月刊現代」に連載した「ヤメ検―司法に巣喰う生態系の研究」と「同和と銀行」が二年連続して雑誌ジャーナリズム賞作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 登録情報

新書: 250ページ出版社: 幻冬舎; 初版 (2009/5/27)発売日: 2009/5/27

 目次


プロローグ・13頁・

開港延期が決まった首都圏第三の空港、富士山静岡空港・13頁・

無だらけの道路問題とうり二つの空港建設問題・15頁・

世界トップクラスの空港数を誇る・16頁・

「わが県も、おらが村に空港を」の実態は赤字経営・17頁・

JALもANAも路線廃止あるいは減便を発表・19頁・

ピーク時より半減、全くの人気のない関西空港・20頁・

アジアの玄関口の座を奪われた日本・21頁・

第1章 静岡空港「開港延期」の裏事情・24頁・

寝耳に水の立ち木問題発覚・24・

総事業費1900億円の鳴り物入り・25・

測量間違いが原因か・・お粗末な県の対応・27・

滑走路の短縮で対応。フライトスケジュールも全面見直し・29頁・

2000㍍の滑走路問題・31・

どんどん下方修正されるずさんな重要予測・33・

東京と名古屋のど真ん中に空港が必要か・35・

70%と言う無謀な搭乗率をJALに保証・37・

年間に何億円もの血税をJALに垂れ流すのか・38・

成田・羽田問題が地方に影を落とす・40・

夜間に離着陸できない成田、国内路線限定の羽田・41・

利用客がいない地方空港を開放・43・

近い将来、仁川や上海が成田を追い抜く・46・

「まずは国内優先」政策と需給のアンバランス・48・

アジア・ゲートウェイ構想の自由化はどこまで実現するのか・50・

プール制でどんぶり勘定の空港経営・52・

韓国の仁川空港が日本のハブとなる日・54・ 


第2章 オープンスカイという逆風・56頁・

自由競争と世界不況で航空業界の再編ブーム到来・56・

自由化でEUのどこでも路線開設が可能に・58・

骨抜きの「羽田国際化」・60頁・

なぜ羽田は国際化されないのか・63・

ペリメータ規制と「定期チャーター便」という妙な呼び名・64・

「利用者の利便性を考えろ」自治体の反乱・66・

国際線のJAL、国内線のANA、そして閉じられた東京の空・69・

規制の多い閉鎖的な航空業界における自由のランク付け・72・

米蘭協定が自由化への幕開けとなり、オランダを活性化・73・

第六の自由化「コードシェア」が三国間の輸送を可能に・74・

スキポール空港の発展がオランダに経済効果をもたらした・76・

オープンスカイ政策で東南アジアのハブ空港に・77・

航空業界再編と競争の激化・78・

成田の空は米国に独り占めされている・79・

米国権益の障害と誤魔化しだらけの日本のオープンスカイ政策・81・


第3章 成田空港の呪縛・83・

日本の頭越しに盛んな米国・・アジア路線・83・

成田の発着処理能力は仁川の半分・87・

どれだけ長い滑走路を多く持てるか・88・

中国、シンガポールを追いかけるマレーシア、タイ、台湾・90・

天下り時間の時代錯誤の発言・91頁・

政界を巻き込んだ成田空港社長交代劇・93・

「国際・成田、国内・羽田」の大原則・94・

利用者が利便性を実感できる自由化を進めるべきではないか・96・

空の自由化は日本経済全体の活性化につながる・99頁・

路線を開放しても発着枠を持て余してしまう地方空港の現実・101・

「成田の失敗を認識せよ」・103・

形だけの民営化に勝算があるか・105・

初の民間商社出身の成田空港社長・107・

何かと制約の多い成田空港はアジアの空港に対応できるか・109・

はなから勝負になってない成田・111・

公共性を口実に画一的な経営に任せたままでいいのか・112・

米国権益が大きすぎる成田空港の裏事情・116・

成田は米国航空会社に席巻されている・119・

創意やスキーム次第で成田の使い勝手は向上する・121・

滑走路の使い方に潜む大きな無駄・123・


第4章 泥沼の関空経営・126頁・

巨額建設費で借金漬けの関空・126・

発着能力の半分も使っていない128・

世界一高額な着陸料・130頁・

200億円を超える巨大な利子負担が経営の足かせに・133・

巨額負債の圧縮に公的資金を投入するしかない・136・

関空への航空会社の乗り入れが鈍い理由・138・

地元自治体の支援も及ばず・140頁・

「税金の投入しかない」・142・

悪しき平等主義のバラマキ政策・144・

伊丹空港の廃港を提唱する声まで・146・


第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・

一日1~2便の赤字路線で細々と経営する地方空港・149・

時代錯誤の遺物、評判の悪い特別会計・150・

使命を終えても温存されている・152・

空港整備を謳い利用者負担を強いながら、使い道は不透明・154・

乗客の運賃が特別会計に化けて地方の赤字を補てん・156・

空港維持のために空港特会・158・

ブラックボックスを国交省はどこまで明らかにするか・160・

全国の空港の赤字・黒字ボーダーラインを試算・162・

効果の上がらないマルチ空港化構想・165・

発着回数が日本三位の福岡空港も100億円近い赤字・166・

福岡空港のこんな近くに新空港が必要なのか・170・

杜撰な空港建設で膨れ上がる赤字・172頁・

・・・唯一の優等生「能登空港」・176・

搭乗率70%の秘訣とは・178・

乗り合いタクシーの導入で利便性と高める工夫・181・

企業セミナーを誘致して、生涯学習センターを設置・183・

住民さん方のコミュニティを・185頁・


第6章 激変する世界の空・187・

日本より一歩先へ・・タイの航空戦略・187・

規模でも成田を凌ぐ。更なる拡張計画も・189・

政情不安と言うスワンナプームの弱点・192・

ハブ空港の肝はどれだけスムーズに乗り継ぎできるか・195・

低いコスト体質の空港という絶対的な強み・197・

飛躍的に業績を伸ばしてきた韓国の仁川空港・199・

アジアの空港の玄関口として三年連続満足度世界一・200・

都心部からアクセス問題という死角・202

中国の価格ダイビングと以遠権に頭を悩ます・203・

日本の地方空港との路線開設は依然様子見・205・

韓国政府が描く壮大な空港都市プロジェクト・207・

欧州の小国に学ぶ強い空港の作り方・209・

日本の再生モデルになりうるルクセンブルク空港のケース・211・

小松空港経由を強制する国交省の保護政策・214・

ケチな保護政策が競争力を弱めている・216・

政府と航空会社が一丸となって取り組むべき課題・218・

ちぐはぐな政策が地方空港の生き残り策を潰している・219・


第7章 生き残り策・222頁・

JALやANAは果たして勝ち残れるか・222・

ローコストキャリア参入への対抗策・224・

まずは国内基盤を確立しなければ・227頁・

外国機が素通りする危険性・229・

国際線のネットワーク構築が必要ではないか・231・

「伊丹廃港」提言の波紋・233頁・

静岡空港への冷めた見方・237頁・

日本の苦しい財政事業では赤字垂れ流しの空港を維持する余力はない・239頁・


エピローグ・242・

日米一体となった土建業性のなれの果てか・242・

日本の空港建設の裏に見え隠れする米国の思惑・244・

米国流の規制緩和政策に翻弄されてきた日本の航空政策・246頁・

羽田五本目の滑走路の可能性・247・

主な参考文献・資料・252頁・

16/1/4 14時34分28秒・

 

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空港も問題だ

道路の建設や郵便貯金、それに伴う財政投融資については、正しいかどうかを別にして、様々な外部の眼が注がれてきました。それに比べて、一種聖域化して、拡大され、とうとう99にまでたどり着いたのが日本の空港の数です。著者はこの問題に様々な角度からアプローチしていますが、読後感としては戦略の失敗を戦術の工夫と改善で補うのはなかなか難しいというのが正直なところです。ここで戦略の失敗として挙げられのは成田空港の選択です。成田の問題はそれなりにいろいろな角度から取り上げられますが、やはり45年以上の前の論点を当時の政治情勢を含めて解説するのは至難の業のようです。なぜ夜間使用ができない、そして東京から60キロも離れた場所に国際空港が選定されたのかは永遠の謎のようです。もう一つの問題として取り上げられるのは、プール制をとる空港特別会計の存在です。この部分はかなり詳しく解決されますが、その将来をどうするのかは不明確なままです。オープンスカイとの関連で地方空港の現状が取り上げられますが、この将来性も悲観的なものです。それにしても空港の問題にしても、いつも明らかになれるのは、東京と首都圏の存在の圧倒的な大きさです。東京が他の地方を全ての面で圧倒している中で、当初は期待された関空の現在の問題は、その格差を象徴しているようです。この99のうちいくつが廃墟と化すのか、著者は明確な答えを避けますが、地方並びに国家財政が緊迫する中で、経済性という観点よりも国家のインフラという角度からの再スクリーニングがカギとなるのかもしれません。

この本のオリジナリティはどこにあるのか?

投稿者takanami2009年8月17日

非常に的を射た論点で、なおかつ、データ、文書、ヒアリングなどによる裏付けもされている。新書には、筆者が思ったことを気ままに書いただけの論も根拠も何もない駄文がよくあるが、そういった本とは全く違った、しっかりとまとめられた本だと思う。

マイナス点は2つ(1つにつき星マイナス1つで)

1つは、航空政策批判が中心的な話題になっているが、それらに新しさを感じられないこと。

日本の航空政策に関する批判、特に空の自由化や成田空港に対する批判はもう20年以上前からいろんな人がしている。

この本では、静岡空港など最新の事例を紹介しているものの、そこから筆者が主張している内容は、これまでの本となんらかわっていないように感じる。もう一つは、筆者の主張に「逃げ・暈し」が多いところ。この本の最後には「この先、日本の航空業界はどのように進むべきか。最初にすべきは過去の航空行政との決別。それだけは間違いない。」

とある。確かにその通りなのだろうが、まとめの文章としてはあまりに無難すぎないか?

国際基幹空港という言葉を筆者はよく使っているが、政府がよく使用する国際ハブ空港や国際拠点空港という言葉と何が違うのか?今後望まれる日本の空港のあり方、現状に対する提案、といった点とにかくが曖昧なまま終わっている感じがする。

空港も問題だ

道路の建設や郵便貯金、それに伴う財政投融資については、正しいかどうかを別にして、様々な外部の眼が注がれてきました。それに比べて、一種聖域化して、拡大され、とうとう99にまでたどり着いたのが日本の空港の数です。著者はこの問題に様々な角度からアプローチしていますが、読後感としては戦略の失敗を戦術の工夫と改善で補うのはなかなか難しいというのが正直なところです。ここで戦略の失敗として挙げられのは成田空港の選択です。成田の問題はそれなりにいろいろな角度から取り上げられますが、やはり45年以上の前の論点を当時の政治情勢を含めて解説するのは至難の業のようです。なぜ夜間使用ができない、そして東京から60キロも離れた場所に国際空港が選定されたのかは永遠の謎のようです。もう一つの問題として取り上げられるのは、プール制をとる空港特別会計の存在です。この部分はかなり詳しく解決されますが、その将来をどうするのかは不明確なままです。オープンスカイとの関連で地方空港の現状が取り上げられますが、この将来性も悲観的なものです。それにしても空港の問題にしても、いつも明らかになれるのは、東京と首都圏の存在の圧倒的な大きさです。東京が他の地方を全ての面で圧倒している中で、当初は期待された関空の現在の問題は、その格差を象徴しているようです。この99のうちいくつが廃墟と化すのか、著者は明確な答えを避けますが、地方並びに国家財政が緊迫する中で、経済性という観点よりも国家のインフラという角度からの再スクリーニングがカギとなるのかもしれません。

赤字空港に流し込まれる飛行機運賃

 

日経ビジネスオンラインで連載されていたときから面白く読んでいたが、新書化されて改めて読むと、日本の空港の問題点が網羅されていることを実感する。本書の一番の肝は、空港整備特別会計、通称空整特会の存在だ。空整特会の補填がなければ、羽田、新千歳、伊丹以外すべての空港は単体赤字であるという。羽田の着陸料が最大の原資と言われるが、全国各地の過剰な空港建設に充てられてきたという。この、金は全国で一つの財布、運営は各空港で連携がないというちぐはぐな空港政策に問題があると見る。

 

もう一つの軸が空港間の国際競争。羽田、成田の発着数の少なさや両空港の役割分担などでもめてる間に、国際化、ハブ空港化競争に、日本は仁川、上海、スワンナプームに完全に乗り遅れた。米以外の外国航空会社に発着回数を与え、地方空港も使わせようという保護主義的な航空政策を改めるべきだと著者は言う。

 

空港政策について、豊富なインタビュー、データも交えていて面白い。「ヤメ検」など事件系に強い人だと思っていたが、事件記事で人間ドラマを描くように、今の日本の空港を取り巻く問題についてこってりと書き込み、興味を持たせる、読ませる仕上がりになっている。

この本のオリジナリティはどこにあるのか?

 

非常に的を射た論点で、なおかつ、データ、文書、ヒアリングなどによる裏付けもされている。新書には、筆者が思ったことを気ままに書いただけの論も根拠も何もない駄文がよくあるが、そういった本とは全く違った、しっかりとまとめられた本だと思う。

マイナス点は2つ(1つにつき星マイナス1つで)1つは、航空政策批判が中心的な話題になっているが、それらに新しさを感じられないこと。

日本の航空政策に関する批判、特に空の自由化や成田空港に対する批判はもう20年以上前からいろんな人がしている。

この本では、静岡空港など最新の事例を紹介しているものの、そこから筆者が主張している内容は、これまでの本となんらかわっていないように感じる。もう一つは、筆者の主張に「逃げ・暈し」が多いところ。この本の最後には「この先、日本の航空業界はどのように進むべきか。最初にすべきは過去の航空行政との決別。それだけは間違いない。」とある。確かにその通りなのだろうが、まとめの文章としてはあまりに無難すぎないか?

国際基幹空港という言葉を筆者はよく使っているが、政府がよく使用する国際ハブ空港や国際拠点空港という言葉と何が違うのか?

今後望まれる日本の空港のあり方、現状に対する提案、といった点とにかくが曖昧なまま終わっている感じがする。

無駄と迷走のオンパレード

 

国土交通相が羽田空港の国際ハブ(拠点)空港化構想を表明し、一方でJALの経営再建が世間をにぎわせている。急展開を見せている日本の空をめぐる動きからすると、既に一部古い情報になりつつあるが、このようなニュースの背景を知る上で、本書はちょうど手ごろな一冊になっている。

それにしても、読んでいて、ちょっとやりきれない気持ちになる。我が国の航空行政は、無駄と迷走のオンパレードである。しかも、特別勘定という仕組みに守られ、ほとんどが赤字とみられている全国で99もある空港の個別の財務状況はほとんど明らかになっていない。そして、あきらかに世界の潮流に遅れをとっている。また、国際会議の開催数と国際空港との関係は、この問題が日本国の国益や幅広い分野にも影を落としている可能性を感じさせる。

航空行政に重要な役割を果たしている官僚達にインタビューするなど、こつこつ取材して真摯にまとめている。さらに、韓国やタイの空港関係者にも取材をしている。後者では、仁川空港もソウルから遠いなど磐石ではなく、実態としてもハブとまでは至っていない状況も語られている。また、空の自由化は、中国などの激安航空会社の脅威にさらされる可能性を示唆している。

 

官僚主導の無能ぶりで印象的だったのは、地方空港の乱立だけではない。ルクセンブルク空港からの貨物便の関空への乗り入れを許さず、代替となった小松が大賑わいとなったというのも皮肉で印象的だった。

路線減便・廃止、空港開港、経営難は続く。

JAL危機、ANA赤字、静岡、茨城、関西国際、伊丹等々の情報に、日本の航空行政、業界、国内空港の現実、具体的問題点の把握と整理に役立つ書だ。少なくとも我々のような航空行政門外漢には問題の本質についてよく理解させてくれる。09年6月4日に富士山静岡空港が開港し、来年の10年3月11日には98番目の茨城空港が開港予定だ。大変な時期に難儀なことである。島嶼部を除き、本州や九州にこれだけ多くの空港、搭乗率保証までして乗客不足不採算の補填、アジア諸国carriersの就航頼み、空港建設に後付け説明内容の不可思議、殆どの空港の赤字実態、本当に驚きと情けなくなる。地方自治体の悲願がそうさせたのか、政治家の強い要請介入か、空港作りが目的化、まず建設ありき。活用策は後付けで考え、計画性は欠如していることには呆れ返る。空港建設に後押ししてきた社会資本整備事業特別会計空港整備勘定というプール制特別会計の存在。これまで安定的であった二国間航空交渉のreciprocal路線開設から、OpenSky政策で採算だけの就航や撤退が簡単自由な現在で、地方空港には特に国際路線が就航されない。因みに空港は、国交省管理の一種空港(羽田、伊丹、成田、関空、中部)、二種A(新千歳、福岡、那覇等主要19空港)、地方自治体の二種Bと三種、防衛省(小松、茨城)に分類される。この中で基本施設段階で黒字は、新千歳、中部、長崎、宮崎、鹿児島。地方自治体管理の58空港中、53空港が07年度赤字の由。一例で関空の07年度、航空関連収入が461億円、しかし支払利息が何と227億円、空整特会から90億円が補填されている。関西3空港(関空、伊丹、神戸)と共に、北部九州3空港(福岡、北九州、佐賀)も非常に厳しい。一方で唯一の優等生は「能登空港」であり、懸命の努力と経営の創意工夫、発想の転換がキーと。

もう日本に「空港」はいらない―「空港行政」の大胆な転換を

明年(2010年)3月、国内で何と98番目(!)となる「茨城空港」が開港する予定である。そして、ご多分に漏れず、赤字が不可避の状況らしい。今年6月、すったもんだの末、開港した「静岡空港」といい、日本の「空港行政」は一体どうなっているのか? この疑問に答えてくれているのが本書である。道路、空港、ダム…日本における公共事業の問題点が新政権のもとでも改めて議論されている訳だが、たとえば当書でも事例として挙げている「関西国際空港株式会社」に対する160億円の政府支援についてはどうだろうか?

本件に関しては、先の行政刷新会議の「事業仕分け」で「伊丹を含めた抜本的解決策が得られるまでは政府補給金を凍結」(第1WG)という評価結果が出されている(同会議HP)。この評価は、関空、伊丹、神戸の「関西3空港問題」を否が応でもクローズアップさせ、橋下徹・大阪府知事は、こうした情勢に合わせ、将来的に伊丹空港の「廃港」を公言、併せて「普天間基地移設問題」でも微妙な発言を行っている(12/1産経ニュース)。特に、一見唐突な「普天間」への言及は、神戸空港の転用を念頭に置いたものであろう。

いずれにしても、日本の航空行政は転機を迎えており、「オープンスカイ」や「アジア・ゲートウェイ構想」への対応はもとより、道路と同じような“プール制”による「特別会計」を“打ち出の小槌”とした、無計画な「空港づくり」から脱却すべきときに来ている。既に本年9月27日には、前原誠司・国交相が社会資本整備事業特別会計空港整備勘定(旧空港整備特別会計)を抜本的に見直す意向を示しているが、命を繋ぐ離島空港はともかく、赤字を垂れ流す地方空港については、廃港も含めた大胆な政策転換が求められる。

オビの「無茶!無駄!無策!」の実例のオンパレードの本

ノンフィクションライターが書く 航空行政の呆れた実態が暴かれた本

 

読んでいて、これでもか!といわんばかりの内容なのですが構成は、最初に大まかな概要を述べ、1章に静岡空港の問題を扱っています。2章では国際的なオープンスカイという流れに逆らっていること、そして成田、関空の不幸を扱っています。なぜこんな状況が続いているのかという点で、「空整特会」の存在についてふれ、世界の成功している空港を説明した上で、日本の空港への処方箋を述べようとしています。

元々インターネットの記事を新書化したものらしいのですが、それなりにしっかり調べて書いてあるのが好感を持てます。が、静岡空港は開港時が梅雨の時期だったのですが、計器着陸施設が間に合わなかったのであり得ないほどの就航率になったとかの情報の更新が無いのが少し残念です。

また、処方箋があまり有効性を感じられない内容なので、税金の垂れ流しをどのように止めるのかなどの糸口にはたどり着いていないように思えます。静岡空港には申し訳ないのですが、やはり、行政は破綻し続けていることがよくわかる本でした。あまり明るい気分にはなれないですが、現状をしっかり理解できる良い本だと思います。空港も道路も港湾も、構造はみんな同じ

形式: 新書

日本の国土は狭い。アメリカで言えばカリフォルニア州と同じ程度の広さだ。そこになんと97もの空港がある。まあ、日本には離島も多く、それぞれの島に空港があるから多いのは当然だという話もあるが、じゃあ、なぜ、閉鎖されたはずの旧広島空港が広島西空港として存続していたり、伊丹空港の騒音がうるさいからと地元の人が繰り返し抗議するので、わざわざ関西新空港を海の上に無理して作った途端、伊丹空港閉鎖反対運動がその地元から沸き起こったり、返す刀で関空と目と鼻の先にある神戸に新空港が出来たりする不思議が起きてしまうのか。成田空港の目と鼻の先にある自衛隊百里基地を拡張して茨城空港を作る必要があるのか。それに、おお、あの、お馬鹿な、静岡空港があるではないか。わざわざ霧深い山奥に建設し、静岡県のどこからもアクセスが良い県のど真ん中に立地する静岡空港。どこからもアクセスが良いというのは、「どこからも遠い」と同義であることを地元の利用者はみんな知っている。亀井静香議員の実家に15分で行けるということから、別名「亀井空港」と呼ばれる新広島空港もそうだ。旧空港は広島港にあり、マツダまでタクシーで20分でいけたが、新空港になった途端、タクシーで最低1時間1万円もかかることになってしまった。どうしてこういうことが起きるのか。それは「1県1空港」という田舎者のおねだりを正当化する「空港特別会計」というものがあって、一言で言えば、羽田や成田が稼いだ離着陸料、日本の航空会社が消費した航空燃料に上乗せされている税金が「全国プール」され、それが掴みカネよろしく盛大にばら撒かれたからだ。空港特別会計は、いまでこそ全部羽田の拡張用に使われているが、なんで今頃羽田の拡張を行うんだ。日本全国に使われない赤字空港を建設し終わって、「もう、お腹いっぱいです」となって、はじめて「羽田をハブ空港に」なんて言い出しても、タイミングが遅すぎるのではないか。

 

しかも、日本の空港はほとんど全部赤字である。今や羽田空港でさえ赤字だ。ただ赤字なのは国が運営する空港本体だけで、空港ビルを運営する別会社(ここには大量の運輸官僚の天下りがいる)や、空港隣接の駐車場を利用する駐車場管理会社は莫大な黒字を計上し、法外な天下り官僚への給与賞与を支払い、なお使い切れなかったカネが剰余金として2300億円もプールされているというのだからお笑いだ。これじゃあ、あの天才政治家小泉純一郎さまが民営化する前の道路公団と構図は全く一緒じゃないか。道路公団本体は赤字で、国から補助金をもらってその赤字を穴埋めする一方、公団にぶら下がるファミリー企業は大儲け大黒字。しかも羽田の場合、駐車場ビルがP1からP5まで5棟あるんだが、1、4、5は空港とは別会社の日本空港ビルディングが経営管理し、2、3は財団法人空港環境整備協会が運営している。何のことはない。いながらにして駐車場収入を確保できる利権を2つの法人で分け合い、天下りポストを増やしているわけだ。当然、それぞれに社長がいて理事長がいる。 

便利と評判の福岡空港が実は旧米軍基地で、沖縄同様米軍基地時代から底地を空港に賃貸している「地主さま」がいらっしゃって、この地主様に支払う法外な地代が原因で福岡空港は「赤字」なんだというから驚きだ。 


しかしなんといっても諸悪の根源は成田空港に居座る空港反対派住民と、それを「支援」なさっている全共闘崩れの過激派どもだろう。こいつらが日本の空港行政を如何にゆがめ、日本国民に莫大な負担を強いていることか。「成田空港は遠い」と皆が言う。しかしこれはオオウソで、実は東京駅と成田は新幹線で直結され、東京駅から15分でいける便利な空港になるはずだった。それが最終的に中止になったのは成田の反対派ノーミンが過剰な権利を主張し、これに中核派らが加勢してテロを繰り返していたからだ。私は今でも「人間の鎖」を編成して、成田に居座る空港反対派の住居を包囲し、「お前ら、成田か出て行け」「空港反対運動をやめろー」とシュプレヒコールをあげたいと思っている。成田空港反対派を一掃し、成田空港を24時間稼動にし、滑走路を5本建設すれば、日本の空は一変するのではないか。 


成田羽田という日本の玄関の整備をないがしろにし、関西に要りもしない空港を三つもつくって、返す刀で需要の無い田舎に小さくて不便な空港を矢鱈滅多ら建設して、しかもそこへ日本航空の便を無理やり誘致するから日本航空は誰も客の乗っていないガラガラの飛行機を飛ばし続けて大赤字に転落し、ついに進退窮まるところまで来てしまった。これすべて日本航空が田舎代議士のおもちゃにされ、田舎モノのおねだりを実現する手段としてもてあそんだ結果である。私は日本航空は日本の政治家の手の届かない外資に売り飛ばして、健全な経営に復帰させるのも一法だと思っている。もちろんこれも日本航空が外資にもてあそばれたあげく捨てられるリスクもあるわけなんだが。 


それでも「ちょっといい話」も、無いではない。伊丹空港閉鎖反対を叫ぶ住民の声は聞かせる。なぜ彼らが伊丹空港に反対したかといえば、大騒音を撒き散らすコンコルドみたいな迷惑な飛行機がじゃんじゃか飛ぶことを想定していたからであって、今や技術が大幅に進歩し、最近のジェット旅客機はボーイングにしろエアバスにしろ昔のYS11程度の騒音しか出ないので受容可能なんだそうだ。今、羽田のD滑走路の完成がまじかだが、早くも千葉県浦安市の住民たちが「騒音被害」を訴えはじめている。伊丹の連中がうるさいと感じないはずの騒音をどうして浦安の住民がうるさいと感じるのか。ここはひとつ大阪の伊丹市から千葉県の浦安市にご出張願い、羽田がうるさいとバカを言い出している浦安の住民たちに伊丹市民の皆様に説教していただきたいものだ(笑。 


それにしても、どうして日本中にこんなに空港を作るのか。私は、これらの裏には中国の侵略に備えての「高度国防国家建設」に向けたグランドデザインがあるのではないかと疑っている。百里基地を拡張するというと近隣諸国の警戒を招くが、茨城空港を併設するといえば警戒されなくて済む。そして気がついたらB52もB2も自由に離発着出来る空軍基地が、横田基地とは別に首都圏にもあるというわけだ。そうでも思わないと、ここまで空港を建設した理由は説明できないであろう(大笑。

なんの提言もなしかい?


ルポルタージュであれば良くまとめられているとおもう。

こういうのが本当のドキュメンタリーなのかもしれないが作為がないとはいっても、他国(アジア地域)との比較ばかりを引くだけで、日本の空港がいかに見劣りするかといったような記事ばかりが目立つ。国内に90の空港があるというが、日本をアジアに置き換えてみればわかるがアジア地域内で「オラが国こそがハブ空港だ」とそれぞれの国が名乗りを挙げ、ハブ空港の覇権争いをしているということは国内の空港建設ラッシュと意味を同じくしていないかという疑問が絶えずつきまとった。

アジア地域内でスポークの役割を担うという国がないことが不思議で仕方がなかった。これこそが空港という事業が国の威信をかけてのお祭り騒ぎであることを如実に表してはいないか?


第一回目の事業仕分けで「科学インフラ」に使われる予算が仕分けの対象となり大騒ぎであったが、これこそが今の日本が陥っている「過去の栄光」にしがみついている姿であろう。科学技術にしても国内の空港の数や日本がハブ空港としての役割を果たす事にしてもそうだがアジアで覇権を取る事に今だ拘り過ぎていないか?ということである。

科学技術の開発にしてもオープンスカイであってもアジアの中で日本の役割をもっと身の丈にあったものとして捉える事ができないのがいまの不況風を吹かせているような気もする。

9段階の航空自由化の態様のなかで日本の役割とすれば7、8、9段階を担えばいいのではないか?「日本にハブ空港はいらない」と元運輸事務次官の黒川氏が言ったように筆者もそうおもう。

国内の空港がアジア地域のハブの役割を果たすことや、海外から荷物や人が流入することが経済効果を与えるというのは今だ発展途上にある国の考える政策だとおもうのだが、過去の空港行政で冒した間違いの同じ轍を、国際・アジア地域内でまたも踏むのかという懸念が残った。

エアラインを題材としているライターには書き得なかった、日本の航空行政のおかしさ エアライン系の本を何冊も読んでいるが、航空会社の統合・グループ化やLCCなど格安航空社紹介といった消費者目線の本は沢山ある者の、払税者としての視点から空港を書いたものは初見であり、興味深く読んだ。

空港整備特別会計など国交省関連の5つは既に社会資本整備事業特別会計として統合済みだが、他にも特会は2011年度末までに17になるとはいえ、現在21ある。

国道はB/Cを計算しなおした後、一旦凍結し、車線縮小などを行い凍結解除したり、一見キチンと検証しているようだが、そもそもB/Cの計算式自体ブラックボックスで、空港整備特別会計でも全ての空港の財務をまとめ、07年まで空港ごとの財務諸表が作成されていなかった。

 この後、独立行政法人化等の検討を行う方針も示されているが、着陸料やテナント料だけでは、仮に建設費など今までの赤字をチャラにしても羽田・新千歳など数空港以外は毎年赤字決算であろうし、日・米軍民共用である事から航空管制業務についてもたやすく解決するまい。

つまり本書で指摘されているような、「空港さえつくれば、航空会社が路線を開設してくれ、赤字は国や地方自治体が面倒を見てくれる」とばかりに、鎖国政策で赤字垂れ流しが続くということだ。

仁川と比べても分かるように、既に日本はアジアのハブ空港としては利便が悪すぎ、今後素通りされる可能性が大だ。

能登や小松の成功例もあるが、関空のように中心部から不便で、高価な橋を使って空港に自治体事務所などを設置するとは、いかな橋下知事でも南港WTC移転も議会では否決されている状況では言いだせまい。

1987年に発表された『すばるプラン』では、関西に琵琶湖など新たな8空港建設が謳われていたところ、神戸だけで頓挫した事から見れば、修正されたというべきか。

いずれにしても赤字垂れ流し空港を使い続けるのか、清算して他の用途に使うのか、JALを倒産させてでもアジアのハブとして門戸を開くのか、類書が希少な中、新書で出版された意義をかい、甘めだが満点とした。

13:06 2016/01/04 


ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。

引用


引用2016年1月 3日 (日)生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/

15:07 2016/01/03


第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・

2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02


2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。 http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html 16:45 2016/01/04

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31


2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31

引用

国家公務員の給与とボーナスが2年連続で引き上げられた。安倍晋三内閣は12月4日に、2015年度の国家公務員の月給を0.36%、年間の期末・勤勉手当(ボーナス)を0.1カ月分それぞれ引き上げることを閣議決定したのだ。年収にすると0.9%の増になる。4月に遡って支給されるため、1月に調整額として支払われることになる。まさに安倍首相からの“お年玉”だ。

・・ 会社経営の99.9%はトップで決まる PRESIDENT 2015年3月16日号 山田清機=構成 的野弘路=撮影 会社というものは機械の部品を交換するように「悪い仕組み」を「いい仕組み」に取り換えればその瞬間からうまく動きだすような、単純なものではない。

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-943.html

8:11 2016/01/27



血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功(著) 5つ星のうち 4     12件のカスタマーレビュー  

第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・


一日1~2便の赤字路線で細々と経営する地方空港・149・

時代錯誤の遺物、評判の悪い特別会計・150・

使命を終えても温存されている・152・

空港整備を謳い利用者負担を強いながら、使い道は不透明・154・

乗客の運賃が特別会計に化けて地方の赤字を補てん・156・

空港維持のために空港特会・158・

ブラックボックスを国交省はどこまで明らかにするか・160・

全国の空港の赤字・黒字ボーダーラインを試算・162・

効果の上がらないマルチ空港化構想・165・

発着回数が日本三位の福岡空港も100億円近い赤字・166・

福岡空港のこんな近くに新空港が必要なのか・170・

杜撰な空港建設で膨れ上がる赤字・172頁・


・・・唯一の優等生「能登空港」・176・16/1/4 15時55分31秒・

空港特会と言うプール制会計により、これまで経営実態が明らかにならなかった日本の空港。多くの赤字空港は、航空会社への便数割り当てなど、国交省から発せられる様々な指導に頼り、辛うじて国内路線を確保してきた。

しかし、百歩譲って九州北部の二空港のように、供給の間に合わない空港を補完するとしても、それを利用する航空会社にとっては、機体の格納庫や整備部門など、新たな設備投資が発生する。そうして間であえて新しい路線を開設するほど、昨今の航空事業は甘くない。

2002年度から07年度までの六年間にさかのぼって国内路線の就航と廃止の状況を検討してみると、実は厳しい経営環境はずっと続いているのである。例えば2002年度は、那覇・・富山と言う新規の一路線が就航した。これに対し、廃止になったのは新千歳・・山口宇部、福岡・・秋田、関空・・山形、広島・・宮崎など13路線に上る。

六年間トータルで見ても、新規の就航は30路線。対して49路線が廃止されている。その間、05年の中部や06年の神戸空港の開港、07年の関空の第2滑走路の供用開始などが相次いだ。が、国内路線は逆に減少しているのである。


176頁・

177頁・昨今の航空事情を鑑みるにつけ、国内路線の廃止傾向がますます強まっていくのは、間違いない。

しかもJAL,ANAという日本の二大キャリアは、国内路線の見直しだけでなく、国際線にまで路線のリストラを迫られている。

とりわけ経営再建中のJALでは、関空・・ロンドン・ヒースロー線や中部・・福岡線などについても、廃止する方針を固めた。一方のANAも、関西・・札幌の減便を含め、国内だけで六路線前後を見直し、関空・・グアムと中部・・台北の国際線二路線を廃止する。

これらの路線見直しは、さらに国内赤字空港の経営を直撃するに違いない。空港経営がますますピンチに陥るのは自明だが、一年で二倍以上に跳ね上がった燃料高騰に変わり、世界同時不況の嵐が、この先さらに途方空港の経営の足を引っ張る。

地方空港は、場合によって廃港という選択肢を迫られる。そのくらい航空事情は逼迫しているのである。


ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。

石川県が管理・運営している2000㍍の滑走路一本の第三種空区である。県内には、防衛庁が設置者になっている共用飛行場の小松空港があり、ここも一県二空港となっている。177・


178頁・だが、他の地方空港に比べ、利用者は格段に多いという。その理由は何か。

「能登鉄道が廃止され、陸の孤島と化していた地元輪島にとって、能登空港に対する地元の期待は、それは大きかった。知事の思い入れもあり、地元を挙げて空港を応援してきたと言えます。その甲斐あって、いまのところ羽田便の搭乗率もよく、何とかうまく回っています」漆塗りで有名な輪島商工会議所の里谷会頭(里谷組社長)が功自慢する。人口3万3千人という過疎の輪島市は、街そのものが閑散としている。今でも、年に五〇〇人ずつ人口が減っているという。能登空港は、地元の期待を背負って開港した。

「能登に続け」今では、全国の地方空港がそんなスローガンを掲げるようになった名物空港である。


搭乗率70%の秘訣とは・178・


空港のオープンは2003年7月。定期便はANAのグループ会社、エアーニッポン(ANK)の羽田線が一日二往復しかない。が、全国の地方空港でも、類を見ない成功例だと言われる。その成功の理由は、搭乗率保障という奇策だった。目下、富士山静岡空港で物議を醸している制度だが、その性格はまったく異なる。

当たり前のことだが、航空会社は路線の就航をするにあたり、乗客がいるかどうか、がその決め手になる。178・


179頁・搭乗率、つまり飛行機の全座席数に占める搭乗者数の割合をどのくらい確保できるか、という話だ。ここまで平成28年1月5日・ 


そこで石川県は、ANAの就航に際し、搭乗率の七割達成を条件として提示した。いわばニンジンをぶら下げて路線を誘致したのである前代未聞の誘致策といえる。

そうして約束どうり、初年度の搭乗率は七十%を超えた。以来、ずっと順調に利用客を確保し続けているという。


そんな能登半島成功の秘訣について、石川県の谷本知事に聞いた。

「能登半島には年間七百万人の観光客が訪れます。観光は地元にとって貴重な産業です。しかし反面、半島なのでなかなか行きにくい。特に従来小松空港を使って東京からの途へ行くには、六時間もかかります。帰りも六時間かかるとなると、なかなか来てもらえません。首都県から観光客を呼ぶためにはどうすればいいか。それには空港を建設するしかなかったのです」


東京の人間が金沢に近い県内の小松空港に降り立ち、そこからの途をめざすには、バスで向かうか、鉄道しかなかった。それだとあまりに不便である。

そのため、能登半島を訪れるのは、関西の観光客だと相場が決まっていた。その関西は長らく景気の低迷にあえいで観光どころではない。そうして能登はさびれ、年々人口が減っていったという。179・


180頁・・平成28年1月5日


181頁・「全日空からは、初め80%の搭乗率を要求されました。そんな数字は日本中の空港を探しても見当たらない。目標が高すぎ、努力しても無駄だと言っているのと同じです。それではやる気をなくしてしまう、と反論したところ70%に下げてくれました。それでも高いけれども、全国で,六の空港が七割を超えていたので、ハードルは高いけど、受けいれようとなったのです」

谷本知事はさらに条件を加えた。

「その時、七〇%を下回れば五五%までは税金で負担する、代わりに七〇%を超えたら、販売促進協力金をください、と提示をしたのです。すると、全日空はすんなり受け入れてくれたのです」

ANAにとっては悪い話ではないが、実現は難しいと考えてたフシもある。

だがはたせるかな、一年目の搭乗率は七九・五%を達成する。結果としては石川県はANAから販売促進協力金として、1億円を受け取ったという。181・


乗り合いタクシーの導入で利便性と高める工夫・181・16/1/8 5時46分47秒・

 搭乗率保障制度については、二年目が六三%、三年目が六四%と、毎年更新されてきた。それも、ずっとクリアしてきた。181・


一八二頁・「予測と実績がこれほどかけ離れた経験は初めてだと、全日空の山元(社長)(当時)からお褒めいただきました。搭乗率保証は今年(〇八年)で五年連続達成します」


谷本知事はそう胸を張る。

国内路線における航空会社の採算分岐点は、およそ六〇%とされる。それをクリアしてくれれば、航空会社にとっても御の字なのだが、なかなかそうはいかない。実際、昨今のように、採算割れし、惨憺たる有様の中で廃止や減便を検討している路線は少なくない。

例えば関空発では、〇八年五月の関空・・松山、関空・・高知のANA便などが四〇%を切り、同年四月のJAL関空・・秋田、関空・・仙台便に至っては三〇%を割っている。

持論、こうした赤字路線は全国の空港で珍しくない話だ。にもかかわらず、能登空港だけが、なぜこれだけの高い搭乗率を保てたのか。その理由について、再度、知事の谷本が説明する。


「まずは空港の利便性を高めるための工夫をしました。例えば空港のアクセス手段として、乗り合いタクシーを導入しました。一〇乗りのワゴン車を五台、タクシー会社に頼んで用意し、飛行機の乗客を空港から輪島や、加賀屋で有名な和倉温泉に運んでいきます。運賃も格安です。空港から和倉に行くには、タクシーなら1万4000円くらいかかるはずだけど、1300円で済む。182・


183頁・これを・・ふるさとタクシー・・と命名しました。ふるさとタクシーの路線では、時に赤字も出ますけど、その分は先ほどのANAの販促協力金で埋める。そうして空港の二次交通を確保しました」・

企業セミナーを誘致して、生涯学習センターを設置・183・


知事は、輪島商工会議所をはじめとした地元企業に首都圏との交流を働きかけ言う。輪島塗の展覧会を開き、東京の企業セミナーを能登半島に誘致してきた。地道な努力の結果、東京から能登半島に訪れる人が増えてきた面もある。


「といっても、一日二往復だけだと空港ターミナルそのものは閑散としてしまう。それでは寂しいし、空港にレストランを誘致しよとしても、なかなか来てくれない。そこで、ビルに人が常にいるようにするため、県の出先機関をターミナルビルに常駐させることにしました。

ビルを四階建てにし、半島に散らばっている300人の県職員を集約させたのです。つまり、空港ビルを能登全体の県の拠点にしようとしたのです。と同時に、レストランや喫茶店も繁盛し、ターミナルビルとしての体裁も整う」


谷本の話は続く。

「ターミナルビルについて、最初の計画案は二階建てだった。だが、それではスペースを保てない。183・


184頁・そこでビルには250億円もの投資をして大きくしました。で、せっかくそれだけの税金を使って設備を作るのだから、有効に機能させなければならない、という発想からスタートしたのです。今、北陸エアターミナルビルの専務をしている岡田靖弘君などが中心になり、熱心な計画を進めていきました」

北陸ターミナルビルは、小松空港のターミナルを運営している。岡田専務は1991年以降、石川県の交通対策課課長として能登空港の整備に携わり、空港の候補地選定から用地の買収交渉、国交省や財務省との予算交渉、ANAとの搭乗率保証問題などで奔走した空港計画の実務における中心人物だ。


「ターミナルビルへの出先機関の入居は、県庁の合理化と関係しています。ちょうどそのとき、地元の土建事務所が古くなって建て替えようかなという時期で、タイミングが非常に良かったのです。そこで県土木事務所の統合案が持ち上がった。地方空港は寂しいのは、飛行機を降りるときはお客様がいるけど、そうでないときはガランとしていること」


岡田が言う。


「能登はチャーター便を含め、最大で三往復しかないので、離着陸時以外はほとんど人がいなくなる。それではだめだということでね。生涯学習センターが四階にあるのですが、そこでお花の教室とかをやっている。能登空港の利用者数は年間15,6万人ですから、空港職員は70人くらいで用が足りる。それでは寂しいですね」185頁・


住民さん方のコミュニティを・185頁・16/1/8 14時24分46秒・

つまるところ、空港を有効活用する、という発想転換が大切なのだという。出来るかがり空港を利用することによって活気が生まれ、空港の利便性が高まり、利用客も増える。その他、能登空港では広大な敷地を利用し、山梨県の学校法人「日本航空学園」を誘致している。

同校は中学校から高校、大学まである航空関係の学校法人であり、全国から生徒が集まって寮生活を送っている。輪島市に日本航空第二高等学校と日本航空大学校が開港した。知事を喜ばせているのは、学園の開校で、過疎の町に多くの若者が移り住んできたことだ。

「実は、航空学園に関してはほかの空港も誘致をしていて、私どもはむしろ最後発だったのですが、新しい空港だという点が幸いしました。敷地内に実習用の格納庫を置き、そこから滑走路に出て実習できるよう、施設を整備したのです。結果、教師と生徒さん合わせて1,000人の若者がこの地域に住み着いた。おかげで、輪島市は三十年ぶりに人口が増加し、過疎化対策にもなっています。先のターミナルビルを含め、空港経営といっても画一化した発想ではなく、多面的に使われなければならないのではないでしょうか」

空港だけはなく、人が集まるコミュニティづくりが重要だ、と知事の谷本は力説する。185頁・


186頁・「空港経営は、やはり航空カ社としっかり話し合わなければならない。航空会社は民間の企業なので、お互いが納得しなければ路線を維持できません。航空会社は採算をとるために全力を尽くすのだから、単に、路線を撤退しないようお願いするだけでは無理。一番大切なのは、空港が航空会社と問題意識を共有することです」


そして、こうも話した。

「能登空港の計画で私はそれを学びました。JALが小松・・ソウル線を撤退するというなら、それは仕方がない。代わりに大韓航空に就航してもらう努力をすればいいのです。

航空の世界の国際化は必然的な流れであり、それは止められません。その中で、航空会社と問題意識を共有し、路線を維持する。それが出来なければ、空港そのものが成り立っていかないのです」


石川県の谷本知事は、空港が路線を維持できなければ廃港にする以外にないとも言う。単体の収支で考えた場合、一日二往復便の能登空港といえども、厳密には赤字だろう。だが、文字道路空港の役割は営利追求だけではない。

空港は、まさしく地域の活性化を含めた空の輸送という社会インフラや交通手段としての役割を担っている。その点を考えれば、間違いなく能登空港は成功例と言える。ただし、それは懸命の努力と経営の創意工夫が下敷きになっている。186頁・  

2016.1.8.



2016年1月17日 (日)

若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? 新書– 2009・7・7 森川 友義 (著) 第5章「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?第5章「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?

引用


引用下條村 自治体はこうやって運営する 河村市長も同意? 1/2 

effectmangt   effectmangt

https://www.youtube.com/watch?v=z8PwWydCDMQ

11:15 2016/01/29


・・官僚・・国会議員の関係は?法律作成も官僚任せ?・160頁・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/160-5837.html

14:31 2016/01/18


Img_0334 IMG_0334.JPGをダウンロード


http://www5.synapse.ne.jp/takita/#rinkuhe


2015年12月23日 (水)誰のための教育か・内橋克人氏・人間は社会性がないとならない?162頁・自分たちの食糧やエネルギーがどこから来ているのか、現実世界の中で位置づけることによって、はじめて国際協調という言葉の意味が分かってくるのです。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/12/post-beda.html

17:01 2015/12/23


新たな「日本のかたち」 脱中央依存と道州制 角川SSC新書 新書 –佐々木 信夫 (著)

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-925.html

16:14 2015/12/20

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 単行本 – 2008・2 ケンジステファンスズキ (著) 5つ星のうち 4.4 12件のカスタマーレビュー

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/20082-5-44-12-3881.html

9:36 2016/01/26

 

2016年1月23日 (土)第2次世界大戦の敗北により、人心・国土とも荒廃したドイツ。その復興を担ったのが、73歳で首相に就任、14年間その座にあったアデナウアーである。戦前、ケルン市長として活躍した彼だが、ナチに迫害され引退。戦後、保守政党を率い、「復古」「反動」のレッテルを貼られながらも、常 著書に『ドイツの憂鬱』、『新生ドイツの挑戦』(丸善ライブラリー)、『あっぱれ技術大国ドイツ』、『ドイツ病に学べ』『住まなきゃわからないドイツ』『びっくり先進国ドイツ』『顔のない男・東ドイツ最強スパイの栄光と挫折』(以上、新潮社)など。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2016/01/27314-5f56.html

14:54 2016/01/23


ふるさと納税サミット2015

https://www.youtube.com/watch?v=DRkwZ0y052M

10:49 2015/12/19


若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書) 新書  – 2009/7/7 森川 友義   (著)

「1.リテラシー1読み書き能力。また、与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力。応用力。2コンピューターについての知識および利用能力。→コンピューターリテラシー3情報機器を利用して、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力。→情報リデジタル大辞泉」

 容(「BOOK」データベースより)

この本一冊あれば、日本の「政治の仕組み」を語ることができます。政治がカバーしなければならない分野は膨大なのですが、ここに書かれた「仕組み」を知っていれば、政治がどのように動いているのか、何が変化を妨げ、何が変化を促進するか、がわかるはずです。そのなかで、自分たちにできることが何なのか、ということも。

森川友義(もりかわ・とものり)

早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士(Ph.D)。1955年12月21日、群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学部修士号、オレゴン大学政治学部博士号取得。国連開発計画(UNDP)、国際農業開発基金(IFAD)等の国連専門機関に勤務。アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教授、オレゴン大学客員准教授を経て、現職に至る。2001年から2005年東京医科歯科大学非常勤講師。海外生活は米国、イタリア、ウガンダ等約20年。専門分野は進化政治学、国際関係論、日本政治。

 新書: 208ページ出版社:  (2009/7/7)

言語: 日本語発売日: 2009/7/7

 目次

はじめに・・3頁・


第1章 若者は政治によって損をしている!?・

世代会計からみた受益格差・18頁・

世代間受益格差は、世代間投票率の違い!?20頁・

だから、若い人は損している・24頁・

世代別政治リテラシーの格差は?・27頁・


第2章 主役は、「有権者」のはずだけど……

「有権者」を政治学的に解釈すると……34頁・

国会議員と有権者の関係は、八百屋さんとお客さんの関係と同じ!・36頁・

市場経済と違って競争が働いていない・39頁・

賢い人ほど選挙に行かない? 「合理的棄権仮説」・42・

賢い人ほど、政治に無関心? 「合理的無知仮説」・47・

政治リテラシーゼロの人は誰に投票すべきか?・52・

解決策その1 「鉛筆を転がして決める」・54・

解決策その2 候補者の「顔」で選ぶ・56・

解決策その3 政党で選ぶ・58・

解決策その4 小選挙区と比例代表を別々の政党の名前を書く・61・

政治リテラシーが高い有権者はどうやって候補者を選ぶべきか?62・

章末特別講座

最近の政治学の研究から1遺伝子レベルで投票行動は決まっている?・66頁・

最近の政治学の研究から2「五感と選挙」・72頁・


第3章

実は「国会議員」の力は弱い!?

国会議員とは何をする人か?・76頁・

国会議員の権力は実は弱い・83・

「メジアン有権者の定理」・84・

日本共産党が弱くなると、自民党も弱くなる?!・89頁・

マニフェストは読む価値があるのか?・91・

国会議員の「派閥」・94・

民主党の派閥・99頁・

いったい何人、総理大臣が交代するのか?・101頁・

章末特別講座

国会議員のバックグランド・

その1 2世、3世、4世議員問題・105頁・

その2 国会議員の学歴・108・

その3 国会議員の性差・110頁・

その4 国会議員の前職・111頁・


第4章

「特別利益団体」を知らずして政治は見えない

政治に絶大な影響力の特別利益団体・116頁・

特別利益団体と有権者、国家意義委員の三角関係・119頁・

特別利益団体と国会議員との関係は?・127頁・

パワーの源泉その1 「政治献金」・128頁・

パワーの源泉その2 「組織票」・131・

パワーの源泉その3 「自民党員の影響力」・133・

「特別利益団体」のことを知らないままでいていいのか?・136・

章末特別講座

国会議員とお金・

その1 政治献金額・140頁・

その2 議員別高収入ランキング・142・

その3 「政党助成金」とは何か?・144・



第5章「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?

官僚は何のために働いているのか?・148頁・16/1/17 15時4分31秒・

4つの重要なグループのうち、有権者、国会議員、特別利益団体の3つが終了しました。この章では最後の「官僚組織」について説明します(「官僚」はここでは国家官僚を意味しています)。

その前に、「公務員」全体についてざっとお話しすると、まず、公務員には3種あります。「地方公務員」、「国家公務員」、「国際公務員」の3つです。


はずかしながら(!)私は3つとも経験しました。地方公務員を2年、国家公務員2年、国際公務員を7年。まず、米国の州立大学で助教授として政治学を2年ほど教えていたため、分類上は地方公務員となります。国家公務員としては外務省の出先機関で2年間研究員として勤務したことがありますし、国際公務員というのは国連職員のことで、ウガンダ(カンパラ)、ニューヨーク、ローマでの勤務を合計すると、7年あまりになります。そんなわけで公務員の経験はそれなりにあります。

旧ソ連、東欧諸国等の社会主義国や、現在の北朝鮮やキューバなどは、おおざっぱに言えば、それぞれの国民が全員、公務員問う風に考えられます。148・


149頁・すべての労働によって生産されたものと労働者への対価は国家によって管理され再配分されますので、税金として国民から吸い上げられたお金が、公務員の給料として配分されるのと類似しています。

旧ソ連や東欧諸国の社会主義国が崩壊し、北朝鮮が危機的な状況にあることを考えれば、公務員が過度に増えると、国家は滅びる、というのが私の考えです。

で、最初に、この章の結論を申し上げてしまうと、

公務員は理論的には「必要悪」である、


国民1万人当たりのわが国の公務員数は、先進国の中では少ない方だが、


官僚の影響力は比類がないほど強大である。

強大すぎるがゆえに改革は難しい。

と、こんなところに落ち着いてしまいそうです。もちろん、公務員がいなければこの国の制度が成り立ちませんので、「必要」ではあります。議論すべきは、どのくらいの人数が適正なのか、強大な官僚組織の権力をいかにして弱められるのか、という点です。149・


150頁・まず、日本には何人くらい公務員がいるか、ご存知ですか?


答えは2008年時点で、約360万人です。公務員とは国や地方の公共団体に属して人々を言いますが、地方公務員が295万人、国家公務員が66万人。地方公務員には、都道府県の学校の先生(115万人)や警察・消防職員(43万人)、地方の役所職員(64万人)などがいます。


国家公務員は、特別職(国務大臣、大使、裁判官、自衛官などの30万人)と一般職(36万人に分かれます。一般職36万人のうち、国有林野を守っている林野関係の職員(5千人)等がいますが、最も人数の多いのはなんといっても30万人いる「非現業国家公務員」です。これがいわゆる「国家官僚」で、この章のトピックになります。


「非現業」という名称は、聞いたことがないと思います。「現業」というのは、働く現場があって単純労働に従事する人たちのことを意味し(例えば公営バスの運転手のように)、市民生活に法的に影響を持っていない人たちがする仕事です。


その反対に「非現業」というのは、私たちの生活に制約を与える権限をもっている国家公務員がする仕事です。150

・平成28年1月18日


151頁・さて、ここまでに3つのグループを学びましたので、これらのグループと官僚との関係を見ていきましょう。


官僚…有権者・

官僚…代議士(国会議員)

官僚…特別利益団体・


まずは、官僚の本質的行動形態について見ていきます。そもそも官僚は何のために働いているのでしょうか?

これまでのグループ(有権者、国会議員、特別利益団体)について復習すると、例えば国会議員が「日本のため、国民のために働いている」という答えは、間違っているとは言いませんが、最初に申し上げた「人間は利己的な動物である」という見地からは正しくありませんでした。国会議員は有権者のために働くのが原則ではあっても、実際にはそうではない。つまり、151・

有権者は自分の利益のため、

国会議員は自分が当選する確率を最大にするため、

特別利益団体も自分たちの組織の利益のため、

に行動するのでした。従って、官僚も、理想は「お国のため」(正しくは「国民のため」)ですが、実際には「自分のため」に行動します。

例えば、もし自分の出世とのお国の利益に齟齬が生じた場合は、自分の利益を優先させますし、自分の出世と自分の所属する省庁との間の利益に齟齬が生じた場合でさえも、自分の出世を優先しています。有権者も代議士も特別利益団体も、自分たちの利益のために働いているのと同じように、官僚も「自分の利益」のために働いているのです。 


そんなのおかしいとか、間違っている、というなかれ。民主主義制度では行政府で働く人は不可欠で、立法府で作られた法律を執行する必要がありますが、制度的に要請されている行動規範と、私たちがホモサピエンスが根源的に持つ要求の間にミスマッチ(適応齟齬)が生じるのは仕方のないことです。152・


153頁・ホモサピエンスが生まれたのは20数万年前。民主主義が生まれたのが古代ギリシャだとしても2,500年余り前。モンテスキューの「法の精神」に求めるならば、まだ300年もたっていません。民主主義制度に対処できる遺伝子など、私たちの身体には組み込まれていないのです。

ですから、官僚はお国のために働く「べき」だと声高に言っても、あるいは、実際に官僚の中でお国のために実直に働いている人がいるのではないかといっても、それは根源的な、理論的仮設とは相容れないもので、非現実的だったり、例外的なことだったりするのです。 

さて、官僚の「自分の利益」にもいろいろあるでしょうが、重要なのは、

・1・自分の所属する省庁の予算が増えること・

・2・自分が出世することによって、収入を増やすこと・

の二つです。順に行きましょう。153・


154頁・第一に、官僚は、所属する省庁の「予算を最大化」する人々です。

これはニスカネンという学者の仮説で、政治学者はこの前提で官僚を分析しています。例えば官僚の特質として、「予算は多く、権限も広くただし責任は少なく」というものがあります。

そのために予算の分捕り合戦を毎年やります。単年度予算なので、3月までにすべての予算を使い切らなくてはなりません。余らせでもしたら、上司から大目玉。財務省との折衝で、次年度の予算を減らされます。だから、無駄と知りつつも、全部使い切ってしまいます。


・官僚にとって予算は多ければ多いほど良い。自由になるお金があるほど、省庁の権限も大きくなるわけですから。 

ここが官僚組織の根源的に内在する問題点だと思います。ニスカネンの言葉を使って「予算を最大化」する人々を書きましたが、民間企業だったら、自分の会社を大きくしたいと願うのは悪いことではありません。154・


155頁・一生懸命働いて、お金を儲けて、会社を大きくするのは、ほめられることであっても貶められることではありません。

しかし、官僚組織の場合は、180度違います。一生懸命働いて仕事をつくって、予算を増やしたら、国民の血税を使うことになるので、決して国民から歓迎されません。むしろ、批判されてしまいます。このあたりが、官僚の行動形態の特殊なところです。


・官僚の、もう一つの「自分利の利益」は「出世する」ことです。


民間企業では、もうけたかどうかが一つの大きな指標で、会社に利益をもたらすと、その功績によって高い地位についたりすることができます。当然、収入が増えますが、官僚組織はそういう訳にはいきません。官僚組織は、儲けたり損をしたりするところではない。儲けによる明確な勝ち負けはありません。


・通常は、年功序列賃金制になっていて、年齢とともに給料が上がる仕組みになっています。逆に言えば、都市さえ取れば、自動的に給料が上がる仕組みです。どんなに一生懸命に働こうと働くまいと給料は同じ、一円も変わりません。155・


156頁・ちなみに大学の教員にも年功序列賃金制が採用されています。どんなに優秀な教授でも、そうでなくても、いったん専任教員になってしまえば、定年まで給料が保証され、年収が毎年上昇していきます。ですから、ほぼ全学生にAを出す神様や仏さまがいたり、Aを絶対に出さない鬼がいたり、眠らせるのが得意な先生がいたりと、千差万別なのですが、特異な行動が地位や給料に影響を与えるわけではありません。


・余談になってしまいましたが、官僚組織は、成果主義というより減点主義、また年功序列賃金制を採用しているために、高い給料がほしかったら、ミスを犯すことなく、じっと我慢して、何十年も仕事をしてゆくこと以外、方法がありません。

その中で、唯一給料を上げる方法は、「出世すること」です。高い地位につけばそれなりの報酬(及び天下り先)が約束されます。


・ただし、出世をすると言っても、民間企業のように、大型プロジェクトを成功させる会社に多大なれ益をもたらすというような、明確な勝ち負けの基準はありません。

・前述のように、儲けとか損益とか言った基準がありませんので、出世するためにはむしろ、手柄を立てるよりも失敗をなくす、出る杭は打たれるので、出ないで横並びの位置にいる、ということが重要になります。156・


157頁・

それでいながら、自分の所属する省庁の利益のために尽くす。同期には負けない。これが鉄則です。高級ポストは限られていますから、もし負けてしまうと、民間や法人等に「天下る」しかなくなってしまうのです。


官僚・・有権者の関係は?下僕ではなく、お上!・157頁・平成28年1月18日 月曜日・


有権者と言いますか、この場合は納税者になりますが、私たち納税者は、税金を提供し人件費という形で官僚の給料を払っています。その対価として、官僚は有権者に対して行政サービスを提供します。ですから、公僕なのです。公に雇われた僕(しもべ)です。


・ですので、官僚は、本来なら納税者に出会ったら、低姿勢でなければならないのですが、官僚の中には納税者を見下す人が多いのが現実です。

・私たち国民の歴史的意識の中に、例えば政府を「お上」と呼んだり、「エリート」という言葉が官僚を指す場合があるためなのか、あるいは、キャリア官僚の出身大学が一流大学で(2008年の国家公務員一種試験統計では、上位順に、東京大学417人、157・


158頁・京都大学161人、早稲田大学101人、東北大学61人、慶應義塾大学59人)、民間に言って出世している大学の同級生が高級取なのに、自分たちは薄給に甘んじなければならないためなのか(40歳で本省の課長クラスでも、年収では850万円程度、同級生は1千万円以上は貰っているはず)、あるいは日本という国家のために働いている意識が過剰なためなのか、本当のところは分かりませんが、庶民感覚からすると、かなりかけ離れた選民意識を持った官僚が多いようです。

・いずれにしても、理論的に考えられる「国民のため」という前提が現実の行動とは異なるのと同時に、官僚が国民からの納税によって給与を得ているという感覚が希薄になっているには、決して驚くべき点ではないようです。

・要するに、大学を卒業し入省した当時は高い志を持って希望に燃えていても、官僚には官僚のルールというのがありますから、いずれは各省庁のカラーに染まらざるを得ません。事実上、自分の理想像や正義感をずっと持ち続けることはかなり困難です。という訳で、正義感や利他性を持っている前提で官僚組織を解説しても、実態からかけ離れてしまうのです。158・

159頁・16/1/18 10時58分4秒ここまで


 



 

官僚・・国会議員の関係は?法律作成も官僚任せ?・160頁・

問題園・1・官僚が法律をつくっている・162頁・

問題・その2・「過去官僚」の弊害・164頁・

官僚・・特別利益団体の関係は?これぞまさしく「天下りシステム」!165頁・

提言!・官僚組織のあるべき姿とは?・170頁・

提言・1・人事権を国務大臣に・171頁・

提言・2・各種法人の統廃合の促進と天下り禁止・172頁・

提言・3・財務省主計局の役割を内閣府に・172頁・

提言・4・中央官僚30万のうち10万人は削減可能・173頁・

提言・5・民営化と地方分権の推進・175頁・

第6章・政治を変えるのは、あなた!

・私たち有権者と「政治」と「政治学」・178頁・

・実際の政治・政策への応用・186頁・

・マクロ的見地から日本政治を考える・192頁・

・あとがき・201頁・

参考文献・204頁・

平成28年1月17日 日曜日


2016年1月18日 (月)

官僚・・国会議員の関係は?法律作成も官僚任せ?・160頁・

引用


引用下條村 自治体はこうやって運営する 河村市長も同意? 1/2 

effectmangt   effectmangt

https://www.youtube.com/watch?v=z8PwWydCDMQ

11:15 2016/01/29


官僚・・国会議員の関係は?法律作成も官僚任せ?・160頁・


官僚と国会議員の関係は、本来たいへん明確です。官僚は行政府の役人、したがって総理大臣以下の各国務大臣のために働いています。他方、国会議員は、立法府に属して法律をつくる人たち、ということになっています。

・多くの場合、国会議員の中から国務大臣が任命されます。官僚は国務大臣に対して情報をすべて提供し、大臣の意思決定を仰ぐというのが基本的な関係です。会社に例えるならば、大臣は会社の社長さんですから、社員である官僚は、社長に正しい意思決定をしてもらうためにすべての情報を提供します。当然です。


・しかし、これは理想の関係。現実は違います。

・現実としては、大臣はころころ変わってしまう。総理大臣が変わればほかの大臣も替わるし、内閣改造が行われればまた替わるしで、1年に1回ぐらいは大臣(社長)が交代してしまうのです。

しかも多くの場合、派閥順送りだったので、各省庁の仕事内容をよく知る大臣というのは(族議員を除いて)稀。160・


161頁・ちょっとくらい嘘の報告をしても分からない。予算申請の時に、膨張した数字を出しても分からない。で、自分の省庁に都合の悪い情報は隠します。

・他方、大臣には人事権はありません。大臣として孤立するのは嫌だし、情報は官僚から受け取るものだけなので信じるしかない。こうして、結局は、大臣が省庁の操り人形になってしまうのです。それが嫌なら干されてしまいます。 


一つの例を挙げると、農林水産大臣です。2,006年9月の農水大臣は、不正を追及されて自殺した松岡利勝氏、続いて若林正俊氏(2,007年5月)、赤城宗徳氏(同年6月)、再び若林正俊氏(同年8月)、遠藤武彦氏(同年8月)、甘利明氏(同年9月)、石破茂氏(同年9月~)の延べ10人です。2年間に10人の社長が交代する会社がどこにありますか?

・あったとしても、そんな会社、当然ながら倒産しているはずです。

・しかし、これが大臣と官僚の関係の現実です。これでは官僚の統制などできるわけがありません。農林水産官僚は、大臣になりかわって、かなり自由勝手に政策決定をしているだろうことが想像できますので、今後さまざまな形で問題が噴出するかもしれません。161・


162頁・

その他にも、「官僚組織」対「国会議員」の構図で大きな問題が2つあります。日本の民主主義の根幹にかかわる由々しき問題です。

問題その・1・官僚が法律をつくっている・162頁・16/1/18 14時43分17秒・たぶん、今からお話しする点が、ホラー映画並みの、最も恐ろしい現実です。

・わが国には、立法府という法律をつくり機関があります。衆参合わせて722人がいて、この人達が法律をつくる人として、国民に雇われているのです。私たちも、そのために血税を払っています。ところが、国会議員は法律をほとんど作っていません。

・・・それでは、誰がわが国の法律をつくっているのか?・・・

図5・2をご覧ください。2003年から2007年までの議員立法の数と割合です。議員立法の比率は、議員立法(閣法+衆法)で算出していますが、2,003年の11・4%から徐々に上昇しつつあるとはいえ、13・7%、16・1%、23・5%と、やはり圧倒的に少数です。162・

163頁・残りの75%以上は、官僚が作成した法律です。

・・・省庁の役人が国会議員になりかわって、法案を作成し、国会を通過すれば実行しているのです。・・・

これが現在の日本の法律作りの現状です。毎年100くらいの法律が官僚によってつくられているのです。

そんな中で、官僚が自分たちの手足を縛り、不利益になるような法律をつくると思いますか?

・・・ありえません。したがって、・・・163・

164頁・

・・・官僚による官僚のための法律・・・

これが実情です。でも、私たちは気づきません。なにしろ、私たち有権者は、自らの合理的意思決定に基づいて、政治リテラシーが低いままなのですから。

問題・その2・「過去官僚」の弊害・164頁・


 

 

 

 

問題その・1・官僚が法律をつくっている・162頁・

問題・その2・「過去官僚」の弊害・164頁・

官僚・・特別利益団体の関係は?これぞまさしく「天下りシステム」!165頁・

提言!・官僚組織のあるべき姿とは?・170頁・

提言・1・人事権を国務大臣に・171頁・

提言・2・各種法人の統廃合の促進と天下り禁止・172頁・

提言・3・財務省主計局の役割を内閣府に・172頁・

提言・4・中央官僚30万のうち10万人は削減可能・173頁・

提言・5・民営化と地方分権の推進・175頁・


第6章・政治を変えるのは、あなた!

・私たち有権者と「政治」と「政治学」・178頁・

・実際の政治・政策への応用・186頁・

・マクロ的見地から日本政治を考える・192頁・

・あとがき・201頁・

参考文献・204頁・

平成28年1月17日 日曜日 


2016年1月20日 (水)「生活道路はあなたたちで造ってください」2009年10月15日・日本の未来が見える村長野県下条村、出生率「2・04」の必然、霞が関を頂点とした中央集権的な行政システムが日本の国力を奪っている。霞が関は省益確保に奔走、特殊法人は天下りの巣窟となっている。効果に乏しい政策を検証もなく続けたことで行政は肥大化、国と地方の二重行政と相まって膨大な行政コストを生み出している。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2016/01/20091015204-eaee.html

8:09 2016/01/20


2016年1月17日 (日)若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?新書 – 2009・7・7 森川 友義 (著) 第5章「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?第5章「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治?

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/200977-55-e50c.html

15:30 2016/01/17 


週刊プレイボーイ・2015・1・4・11号・第一次安倍政権崩壊後の激震地だった男・池田和隆の政界斬鉄剣!!!タブー全開!権力と既得権域のブ厚い岩盤をブッタ切る!!№017・100兆円近い国家予算は役人が勝手に作っている!!来年度予算は事実上今週決まるのだ!!

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-941.html

11:31 2016/01/14


平成28年1月11日ここまで入力・・スウェーデンやデンマークと日本の政治システムの違い  スエーデンやデンマークでは「政治家」とは別にそれぞれの「職業」をもっている。兼業議員が多く、国会議員は半分を「職業」フルタイムで働く。いわゆる政治で甘い汁を吸おうとする金儲けのための政治家などはいない。

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-939.html

17:15 2016/01/11 


ためになる本を読んでください? 引用日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016) 単行本  – 2016・1・7植草 一秀 (著)  5つ星のうち 5     1 件のカスタマーレビュー

国民を滅ぼす偽りの「成長戦略」にダマされるな!!迫りくる円高ドル安、加速する通貨切り下げ競争、アメリカ利上げ、チャイナ・ショック再燃、消費税再増税…大きく地殻変動する世界経済を読む。

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-938.html

17:24 2016/01/10


2016年1月 9日 (土)むろん、主に間接業務をやっている公務員も半減できる。今では役所の窓口業務の多くは喜界がやっているのに、カウンターの向こうでのんびりしている職員の人数が激減したという話は聞かない。マイナンバーも、本来なら公務員を大幅に削減するためのものだったはずだが、全くそうはなっていない。

引用「ビジネス新大陸の歩き方」第511回安倍流賃上げ・時給1000円は経理の「け」の字も知らない素人論議・

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2016/01/post-9a54.html

14:05 2016/01/09


吉良州司よりメッセージ【年金生活者等給付金のばら撒きと民主党政権の子ども手当】皆さん、こんにちは。吉良州司です。補正予算の中で1100万人に一人3万円を給付する年金生活者等給付金は「選挙目当てのばら撒き予算」だとして糾弾しましたが、この指摘に対して、民主党政権時代の「子ども手当」もばら撒きだったではないか、との意見をもらいました。実は、岡田代表が本会議で演説している際にも同趣旨の野次が自民党議員から発せられていました。

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-937.html

10:36 2016/01/09


2016年1月 9日 (土) 鶏を確立すべく、情報交換や交流会を行っています。 | メイン 昭和からの遺言 新書 – 2015129 倉本 聰 (著) 数多くの演劇やドラマ作品を通じて、自然環境の破壊や社会秩序の乱れについて警鐘を鳴らし続けている著者の最新エッセイ。貧しくはあったが光と幸せに満ちていた昭和の時代を、80歳になったのを機に自らの体験と独特の切り口でふりかえる。日本人は今後どのように生きていくべきかを考える上での指針となる一冊。全国自然養鶏会は中島正氏の著書「自然卵養鶏法」に共感し、循環農業の一環としての自然養鶏を確立すべく、情報交換や交流会を行っています。引用・全国自然養鶏会は中島正氏の著書「自然卵養鶏法」に共感し、循環農業の一環としての自然養鶏を確立すべく、情報交換や交流会を行っています。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2016/01/2015129-80-c9dc.html

9:14 2016/01/09 


引用20161 4 ()ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04


2016年1月 4日(月)血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功・第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/2009527-5-28f3.html

14:41 2016/01/04


 

2016年1月26日 (火)

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 単行本 – 2008・2 ケンジステファンスズキ (著) 5つ星のうち 4.4 12件のカスタマーレビュー

引用


引用下條村 自治体はこうやって運営する 河村市長も同意? 1/2 

effectmangt   effectmangt

https://www.youtube.com/watch?v=z8PwWydCDMQ

11:15 2016/01/29


なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 単行本  – 2008・2 ケンジステファンスズキ (著) 5つ星のうち 4.4   12件のカスタマーレビュー

 世界最高レベルの社会保障制度を整え、食料もエネルギーも自活、世界でもっとも民主主義が進んでいる国、デンマーク。「共生」の政策理念の基盤となる国の歴史と国民の姿を通して、年金・雇用・貧困・格差・「愛国心」・環境・エネルギー・食料など問題の山積する日本社会を見つめ直す。  

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 

ケンジ・ステファン・スズキ

旧姓、鈴木健司。S.R.A.デンマーク、「風のがっこう」代表。1944年、岩手県生まれ。1967年、青山学院大学中退後デンマークに渡り、翌年コペンハーゲン大学政治経済学部に入学。1971年から在デンマーク日本大使館に勤務し、その後農場経営をはじめる。1979年、デンマーク国籍を取得。1990年、中部ユトランド商科大学会計学部税法学科を卒業。同年、S.R.A.デンマークを設立。デンマークの風力発電機、バイオマスプラントを日本に普及させる事業を手掛ける。1997年、デンマーク・ウアンホイに「風のがっこう」を設立。環境政策などの視察でデンマークに訪れる日本人のための研修施設として運営を開始。2002年、京都府弥栄町に「風のがっこう京都」を町営の環境教育施設として開校。2004年、「風のがっこう栃木」と業務提携し、研修業務を支援。現在は、日本とデンマークを往復しながら、さまざまな事業を手掛けるほか、講演活動などを精力的におこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)  

登録情報 単行本: 189ページ出版社: 合同出版 (2008/02)

発売日: 2008/02

目次

まえがきにかえて・9頁・


私がデンマークに移り住んで、今年で41年目の春になります。本文にも書きましたが、デンマーク留学の目的はこの国の社会福祉政策を勉強することでした。大学4年、23歳の時でしたが、ユトランド半島の片田舎の農場にホームステイしてデンマーク語を聞きかじりながら、翌年1968年の9月、コペンハーゲン大学政治経済学部に入学しました。

本格的に北欧風の国家経済学を学び始めましたが、実は、短期留学の計画でした。デンマークで生活しているうちにこの国のあり方にすっかり魅了されて、12年後にはデンマーク国籍を取得することになってしまいました。今日、たくさんの学生や研究者、実務家の皆さんがこの国の社会福祉のありようを学びに訪れます。日本の国としてのあり方に欠けている何かが、この北の果ての小国にはあります。

デンマークの環境政策、とりわけ自然エネルギーに関しては前著「デンマークと言う国自然エネルギー先進国」(2003)に詳しく書きましたが、日本とデンマークを往復しながら、両国の実情を管見していると、国のあり方をもっと深く理解するために、歴史を振り返ってみたいと思う気持ちが募ってきました。9・


10頁・デンマークと言う国の成り立ちとその歴史のダイナミズム全体を叙辻することは、もちろん私の手に余るテーマですが、デンマークと言う国がなぜ、福祉国家・・・人間を大切にシステムをつくることに成功したのか、そんな国を実現した国民性はどのような形成過程をたどったのか、をまとめてみたいと思っていました。そのことが、第2の故郷である日本のあり方を考える手掛かりになうと考えたからです。

国家は結局、人々の集まりです。社会を形成した人々が、過去から継承した生活環境を基盤にして、それを改善しながら生活を営んでいます。今日の延長が明日であり、将来の社会は今日の生活から来た教訓を基に築かれていきます。

社会も国家も、繁栄と衰退、発生と滅亡を繰り返します。そのリズムや変動の要因は何なのか、その解明は歴史学の中心的な課題でしょうが、歴史家でない私は、デンマークでの生活を通じて体験したデンマークと言う国の理念・システムを手掛かりに歴史を掘り返す作業を繰り返しました。その過程で生まれたのがこの本です。

読者のみながんがデンマークと言う国のシステム、デンマーク人の国民性を理解する一助になれば幸いです。そして、そのことが同時に、日本と言う国のあり方を考え、現状を改善していくヒントのようなものが見つかれば望外の喜びです。

平成28年1月26日 火曜日・

 

第1章 デンマーク・私が「理想とする国家」に近い国

・1・億単位の医療費も税金から給付される・11頁・

・2・教育費はすべて国が負担する16・

・3・18歳からは国は扶養義務を持つ・22頁・

・4・食料自給率は300%を超えている・25頁・

・5・エネルギー自給率は156%を達成した・26頁・

第2章 なぜ、デンマーク人は国に愛情を持つようになったか

・1・民主主義と幸福度は比例する・31頁・

・2・デンマーク人の事業化は国境を越えて活躍する・34頁・

・3・バス・タクシーの運転手が女性なのは当たり前・39頁・

・4・国政選挙の投票率が80%を割り込んだことが無い・40頁・

・5・高額の税金に対してさしたる不満が無い・46頁・

・6・デンマークの田舎生活は快適・50頁・

第3章 氷河とバイキングがつくった北欧の小国

・1・狩猟民が南の方から移動してきた・53頁・

・2・バルト海がデンマークの農業を育てた・58頁・

・3・バイキングはヨーロッパの文化を攪拌した・60頁・

・4・バイキングの遺伝子がデンマーク人を鼓舞する・63頁・

・5・国民の85%がキリスト教徒・70頁・

・6・国際性は国土が狭く天然資源が無いからこそ育った・75頁・

第4章 デンマーク人が国を愛する心の原風景

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか・第4章 デンマーク人が国を愛する心の原風景・平成28年1月26日・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-28126-6e43.html


・1・何百年もドイツと国境をめぐって争ってきた・77頁・

・2・地方自治無くして民主主義国家はあり得ない・84頁・

・3・何百年も国土の争奪戦が繰り返された・94頁・

・4・北欧三国の王家は親戚関係にある・99頁・

第5章 農奴が下支えした中世のデンマーク社会

・1・デンマークを支えた穀物とニシン・103頁・

・2・北欧三国の連携が始まった・105頁・

・3・職人層が力を持ち始めた・109頁・

・4・中世社会の基本構造・118頁・

・5・宗教改革を潜り抜けたヨーロッパ社会・122頁・

第6章 神聖なる王権から国民の主権へ

・1・絶対王政から立憲君主国に・127頁・

・2・「生地帰属農民制度」の過酷・130頁・

・3・フレデリック6世の善性・133頁・

・4・近代憲法が誕生した・136頁・

・5・自分たちを守る仕組みとしての協同組合・140頁・

・1・デンマークの手工芸と産業の発展・142頁・

第7章 福祉制度をつくり出したデンマーク・福祉を考えなかった日本

・1・200年前の「貧困救済計画」の先進性・147頁・

・2・国家の倒産と社会福祉システムの崩壊・149頁・

・3・自治体が受け持つ3つのセイフティーネット・150頁・

・4・国民生活への最低限のセイフティーネット・152頁・

・5・日本では国民のための福祉政策が実施されたことが無い・153頁・

第8章 デンマークは「戦争」とどう闘ったか

・1・ドイツに占領されたデンマーク・157頁・

・2・ドイツ軍に抵抗した国王と若者・158頁・

・3・ユダヤ人を救ったデンマーク市民・161頁・

・4・戦争をしない決め手は食料とエネルギーの完全自給・163頁・

第9章 教育の目標は「国家運営」に参加する国民をつくること

・1・エネルギー自給政策に国民が参加している・165頁・

・2・環境教育の目標は行動する市民を育成すること・166頁・

・3・日本の学校教育は解決策を考えさせない・169頁・

・4・まだ、「国定教科書」が生きている国・170頁・

・5・新しいものを生むには現状の否定が必要・171頁・

第10章 借金を残さないデンマーク・つけを残す日本

・1・高福祉でも国家財政は黒字・173頁・

・2・引き継がれた悪癖・権力者の汚職文化・174頁・

・3・毎年借金が増えていく日本・176頁・

・4・納税額が少ない日本・177頁・

・5・米国の下請け国家になっていないか・178頁・

・6・故郷の里山を「産業廃棄物」の捨て場にする行政マン・179頁・

・7・「国民の福祉」はごく基本的な願い・182頁・

・8・この現状を変えていくいくつかの提案・184頁・

あとがきにかえて

資料・参考文献・

平成28年1月24日  商品の概要に戻る


間違いなく考えさせられます 

北欧の福祉モデルについて何冊か読んでみましたが,デンマーク入門ではこの本が一番かと思います。決して,専門的な本ではないのですが,今住んでいる人の目線だけでなく,日本人としての目線でも意見が述べられており,いろいろ考えさせられました。圧巻は,デンマークの歴史を説明しながら,現在の福祉政策や国民性のベースとなっている事柄を指摘しているところです。事実や実態の解説だけでなく,それらのバックグランウンドまで言及していることで,理解がぶれなくなります。


 それにしても,デンマークの現憲法が福音ルーテル教会の支持を明言していることや,バイキング船に甲板がなかったことがドイツの繁栄につながったことや,長きに渡りデンマーク国王がノルウェー国王/スウェーデン国王を兼務していたことなど,北欧については知らないことばかりだと思い知らされますね。

共生社会を考えたい

 

教育の成果は個人に恩恵をもたらすばかりでなく、デンマーク社会を豊かにする国政選挙の投票率の高さ 国を愛するがために行動することその国に住む国民が「競争社会」を選ぶのか「共生社会」選ぶのかなど医療・福祉・教育制度の充実ぶり、食料・エネルギー自給率の高さ、それらを支える国民の意識について考えさせられました。

ただ、それらを賞賛する文章が続き、その現状や課題についてはまったく記述がないので、すべて信じていいものかという疑念も生じました。デンマークに住んでいる方のブログなどを見ると「幸福な国」に否定的な文章も散見します。この本を書かれた方は風力発電機の事業をされているそうなので、デンマークで成功された方として、またはそのセールストーク的な面もあるのかと感じました。

共生社会を考えたい

 教育の成果は個人に恩恵をもたらすばかりでなく、デンマーク社会を豊かにする国政選挙の投票率の高さ 国を愛するがために行動することその国に住む国民が「競争社会」を選ぶのか「共生社会」選ぶのかなど医療・福祉・教育制度の充実ぶり、食料・エネルギー自給率の高さ、それらを支える国民の意識について考えさせられました。

ただ、それらを賞賛する文章が続き、その現状や課題についてはまったく記述がないので、すべて信じていいものかという疑念も生じました。デンマークに住んでいる方のブログなどを見ると「幸福な国」に否定的な文章も散見します。この本を書かれた方は風力発電機の事業をされているそうなので、デンマークで成功された方として、またはそのセールストーク的な面もあるのかと感じました。


間違いなく考えさせられます 

北欧の福祉モデルについて何冊か読んでみましたが,デンマーク入門ではこの本が一番かと思います。決して,専門的な本ではないのですが,今住んでいる人の目線だけでなく,日本人としての目線でも意見が述べられており,いろいろ考えさせられました。圧巻は,デンマークの歴史を説明しながら,現在の福祉政策や国民性のベースとなっている事柄を指摘しているところです。事実や実態の解説だけでなく,それらのバックグランウンドまで言及していることで,理解がぶれなくなります。

 それにしても,デンマークの現憲法が福音ルーテル教会の支持を明言していることや,バイキング船に甲板がなかったことがドイツの繁栄につながったことや,長きに渡りデンマーク国王がノルウェー国王/スウェーデン国王を兼務していたことなど,北欧については知らないことばかりだと思い知らされますね。


みんなが読めば日本人の考え方も変わるかも 

感心したこととしては、エネルギー自給率が100%以上であること。自立した国民性であること。医療や教育費の心配がないこと。国の借金がないこと。税率が高いためみんなが政治に関心を持ち、参政していること。

それに比べ、日本人はすべて正反対だ。この本を読んでから、「私も国を変えるのは政治家でなく、国民ひとりひとりなんだ」と感じ、なるべく意見を発信したいと思うようになった。皆さんも、国を建て直すために、建設的な意見を出そう。なんなら、自ら立候補して、利権にしがみつく政治家を引きずり下ろそう。これからの日本がお手本にしたい国の本 日本人の幸福観を根本から変えてくれる1冊

投稿者21世紀のケインジアン2008年11月13日


世界一幸福な国ランキングNO.1の国、デンマーク。環境先進国として知られているるほか、日本がとても遅れているワークライフバランスの先進国としても知られている。

人口540万人の人口は、北海道とほぼ同じでしかない。しかし、デンマークの歳入額は、北海道の 20倍にもなる。一人当たりのGDPは700万円といわれ、健全な黒字国家である。赤字で苦しむ日本国とはまったく違う。国も潤い、国民も経済的に豊かで幸せ感が高い国が、デンマークだ。「持続可能」というテーマで世界を見ていると、デンマークで行われてきたことが大変興味深い。日本人の幸福観を見直す観点からも是非、読んで欲しい一冊です。

日本も国民全体の国政への関心を高めることから始めよう

 

歴史をなぞりながら、今のデンマークを解説している。デンマークが福祉国家へ歩み始めたのは、1683年の「クリスチャン5世のデンマーク法」あたりから原型が形づくられている。

キリスト教を基礎とした人道主義と、民主主義を基本とした自立精神がある。

1、デンマーク人は建国以来ヨーロッパ全体を市場として生きて来た国民である。

2、その歴史的過程が今日の世界を相手に事業をする企業や個人事業家にまで継承されていること。

3、権限を持つものが弱者を庇護し、弱者同士が互いを守り合う「共生の国民性」は「デンマーク王国」を建国する過程で費やされた大きな犠牲が生み出したものであること。

国民各層が大きな犠牲を払って国を守ってきたことが「国を愛する国民性」となり、国家を守ることとは何か、を認識する国民を育成してきた。

それが「ゆりかごから墓場まで」国民同士で守りあう、社会福祉制度の導入につながり、今日の自然エネルギーの導入にも繋がっている。

 

食糧とエネルギーが自給率100%を越えている。教育と医療費は無料。確かに税金は高いが、政治を信頼しており国民の合意はできている。すべてが良い循環になっている。

投票率も高い。国防の意識も高い。国民背番号制があり脱税が難しい。行政と産業が癒着しておらず官僚の天下りがない。労働組合は企業別ではなく職種別になっている。新規採用制度や定年がない。デンマーク王室は国民から敬愛され、垣根も警備もいらないぐらいの環境を作り出している。

デンマーク人は自国を愛するが故に高額な納税をし、国を守るために徴兵制度を導入し、中学生から政治活動に参加する。家族の誕生日にも国旗を揚げる。国歌は賛美歌と一緒に歌われる。

つまり具体的な行動になって「愛国心」が現れているのだ。 

子供は大学進学を目標とせず「教育の目的は個人が持つ能力や才能を社会のために育成すること」という教育理念がはっきりしている。

正誤でなく問題解決能力を伸ばす。デンマークでは歴史教育に力を入れている。

国家運営に参加する国民を作ることを目標としている。

12歳で「高速道路の建設に関する賛否」というテーマを取り上げ、自然破壊というマイナス面と、物流効率活性化というプラス面を考える。デンマークの選挙権は18歳からだが、12歳頃からこのような国家運営の根本となる施策への自己の意見を確立するための準備が始まっている。そして18歳になった時、選挙を通し国政に参加する市民としての条件を育成している。

日本では自分の意見を持ち行動していく人格を育てることが教育の目標になっていない。知識は身につけるけど行動力は持たない、政治に口を出させない。

良い大学に入ることが目標になってしまっている。

デンマークでは入学試験がなく、高校での成績がそのまま入学資格になる。

サバドーというモラトリアム期間があり、多くの若者がアルバイトをしながら様々な社会活動に参加し、のちに職に就いた時に役立てる。 

こうして日本と比較してみると両者の違いがはっきりしてくる。デンマーク人は国との一体感や信頼感がある。親子の団らんでも政治の話をする。問題を放置することなく積極的に話し合い改善策を考える。日本では愛国心や国旗や国歌に対して複雑な思いを抱えたまま今日まで放置されている。

日本人は国の運営に対して参加意識が薄い。官に服従する精神が強く、「誰かが何とかしてくれる」と人任せになりがちで、政治に無関心で投票率も低い。民主主義を行使していないのだ。

著者は「このような社会を作った原因は国家を管理運営する人たちに「あるべき国家の理念」が欠けているため。」と語る。その通りだと思う!

国全体のことを考えない官僚。カネと権力しか興味のない政治家。

国民から権力者まで日本国民ひとり一人が、「臭い物に蓋、見て見ぬフリ、知らんぷり、自分さえ良ければいいという歪んだ個人主義」が蔓延している。こういったことが国家運営の障害になっていることは間違いないだろう。

確かにデンマーク人の意識の高さには見習うべきところがある!

日本はデンマークの制度を取り入れるにしても、まずは意識改革が先だろう。

日本もデンマークを参考(モデル)にして、国の設計図から構想できるはず

 

北欧がかなり高いレベルで福祉と政治への満足度を実現していることはよく知られている。この本で示されたデンマークの福祉や諸制度は人間のことを考えられて構想されて実行もされていることがよくわかる。日本で想像する以上のレベルに達しているとみな驚くに違いない。

 

著者のお孫さんの医療に関する記事を読むと痛感する。心臓の病気で手術と入院を何度も繰り返しているが医療費は無料で親が看護のための休暇をとれば収入もそれなりに補ってくれるというものだ。

 

こういう事実を挙げていくと、日本の政治かや企業をはじめとするリーダ達は人口が少ないからできたなどと逃げ腰になることが殆どだし、官僚も似たような態度だろうな。

 

日本の政治、経済力と国民福祉の関係、税金の使途など改善する際の方向性を示してくれている本です。多くの人が手にとって欲しい。


日本でも高福祉と強い国際競争力が実現できる?!

 

高額な税金(所得の70%、消費税率25%)で、無料の教育、無料の医療費、失業時の高保障を実現しているにもかかわらず、国家財政は黒字、世界競争力ランキングで3位(日本8位)、1人当たりのGDPは日本の1.35倍、1人当たり貿易額は日本の3倍、エネルギー自給率156%、食料自給率300%超。

デンマークが「なぜ、どうして」これらを実現できたかを、デンマークに生活している生活者の視点とバイキングの時代から遡って視ることによって答えを見出そうとしたのがこの本です。体系的で整理された学者の本ではないが、競争社会、格差社会と福祉・高齢者切り捨てで混迷する日本の根源とあるべき姿を考えさせてくれる本である。

皆に読んでほしい。

北欧の高福祉は何十年も前から羨望の対象として語られてきたが、そのために長い時間をかけて国づくりを行ってきたことにまず注目すべきであろう。高福祉には高負担が伴うが、それを厭わない国民に日本人はなれるのか?それともやはり日本人には「中福祉・中負担」なのか?このような語り尽くされた論議のほかに私が注目したのは、本文中にあった、自分たちの将来の生活のために、安易に隣町の安い店に走らず、少々高くても近所の店で買うというデンマーク国民の姿勢だ。これなら、中国野菜や餃子問題は起こらないであろう。自分中心の生活により自らの首を絞めている私達日本人にまねができるだろうか。

幸福王国と不幸王国、同じ王国でありながらなぜこんなに正反対なのか、

 

だれもが尊重される社会と誰もが尊重されない社会。のびのび社会とジミジミ(チジミとジメジメの合成)社会。よしよし社会とダメダメ社会。日本の王様はなぜ国民を幸福にしないのか。

日本の教育はなぜ国民を奴隷化しようとするのか。日本は一部の特権者のためにすべてが奴隷化され、幸福が犠牲にされるという状況である。民主政治ではなく脅迫政治が実態である。

 

解決策:

公務員の終身雇用、年功序列制を禁止すること。公募制にすること。年齢身分差別に関わる制度をすべて見直すこと。小中学校でも同じクラスにいろいろな年齢の人がいるような状態にすること。小中学校も単位制にすること。落第、飛び級は個性の尊重として認められるべきこと。

エネルギーと食料自給率が100%を超えるデンマーク

 

デンマークという国を日本との比較で紹介した本です。教育や福祉に対する意識の高さ、愛国心、どれも今の日本にとって見習うべきところと思いますが、デンマークという国の歴史的な背景から来るものだと言うことが、詳細に述べられています。

中でもうらやましいのが、エネルギーと食料自給率が100%を超えるという点です。両方とも、これから世界的な不足が問題になることは目に見えていますが、これらの問題を克服している点に、デンマークと言う国のすばらしさを感じました。

公務員の必読本に指定して欲しい良書です。

 

タイトルが長く、一見くどい感じを受けましたが読んでみて、まず、日本の全公務員が読むべきだと感じました。驚いたことにデンマークは世界最高レベルの社会保障制度が整っていて、食料もエネルギーも自国でまかない、かつ民主主義がもっとも進んでいる国だそうです。 


例えば●病院の入院、治療費は無料

●小学校から大学までの教育費も無料

●大学入試もなし

●高等学校三年間の全ての科目の平均点数で大学と学部が決まる

●職業学校や大学に通学する18歳以上の国民には国庫から「奨学支援金」が支給そして、国民は福祉制度を支えるため

〇高額な税金を納付当たり前といえば当たり前ですがこの素晴らしい社会保障制度は制度を乱用しないという国民同士、国民と国家の信頼関係、税金が国民全体のために使われているという合意が大前提となっています。

(血税を湯水のように垂れ流し続ける日本とは大違いです。)

同じ地球上にここまで対照的な国が存在しているとは!食料自給率も300%以上、エネルギー自給率は156%超、財政は黒字。かたや、日本は900兆円の赤字を抱える借金大国です。

加えて年間の自殺者が毎年3万人以上、無縁死、孤独死される方々も3万人以上で美しい国どころか恐ろしい国になりつつあります。家族の責任は家長にあるように国家の責任は国のトップにあります。ぜひ、公務員、特に国会議員は何度も精読し、自らの税金の垂れ流しと事なかれ主義を猛省し、少しでも幸せな国を築いてほしいと思いました。また別の意味で、危機感と希望の両方を持つことができる素晴らしい本だと思います。

健全な日本社会をつくっていくための手引書楽しく読ませていただきました。

特に「フレデリック6世の善政」や「200年前の貧困救済計画」の先進性に驚かされました。なんて人民のことを大切に平等に考えているのでしょう。また、第2次世界大戦中、ドイツがデンマークに侵攻した時、わずか4時間で降伏し、占領を受け入れた指導者の判断もすばらしいと思います。それに比べて日本のとった行動は被害、加害を含め情けないの極みです。

デンマークの良さをたくさんの日本人に知ってもらって、日本をもっと改善していって欲しいと思います。その上で、本書は手引書として大いに役立つと確信しております。

15:10 2016/01/24

  



誰のための改革か 単行本– 2002・5・20 内橋 克人 (編集) 5つ星のうち 5     1 件のカスタマーレビュー容(「BOOK」データベースより) 

市場原理を至上のものとして推進されるいわゆる「規制緩和」こそが矛盾を拡大させ、大きな社会的ダメージを与えるものとして批判し続ける編者の警告は不幸にして的中した。本書は、その後「経済戦略会議」から「小泉構造改革」へと展開してきた経済政策が、いっそう事態を悪化させるものであったことを明らかにする七人の論客による現代日本への警鐘。小泉改革の本質とされる「構造改革」が政策的に完全に破綻し、取り返しのつかないまでに事態を悪化させているとして徹底的に批判。危機の真因が小泉改革にあることを明らかにするとともに、これに替わって選択すべき政策を提示する。

 内容(「MARC」データベースより)

『世界』における対談と論考をまとめた1冊。日本経済を危機的状況に陥れている真因は何か。小泉首相主導の構造改革を徹底批判し、小泉改革が完全に破綻しているだけでなく、危機を増幅していることを明らかにする。

単行本: 212ページ出版社: 岩波書店 (2002/5/20)発売日: 2002/5/20

 目次

「小泉構造改革」は私たちをどこへ導くか(内橋克人)

「経済戦略会議」徹底批判(金子勝)

米同時テロ以後の世界経済―マネー資本主義こそが問題の核心(金子勝)

小泉「構造改革」はすでに破綻している(山家悠紀夫)

人間を中心とした経済社会へ(神野直彦)

ワークシェアリングとは何か(長坂寿久)

「生活大国」デンマークから何を学ぶか(ケンジ・ステファン・スズキ)149頁・平成27年12月23日・

158頁・4・生活大国と市民の意識・

内橋・日本では政治家も含めて、未だ北欧の諸国について陳腐で誤った常識が根強くはびこっています。北欧諸国は経済小国だ、人口も少ない、一体そんな小国が、経済大国日本の参考になるのか、というものです。いろいろ理想を追い求めているとしても、それは少ない人口だからこそ可能なんだ、と。

159頁・実際、一人当たりのGDPではまさに世界トップクラスです。日本の比ではない。仮に、絶対額から見て生産大国でないとしても、社会の付加価値とかインフラの充実度、それに農業、ITなど先端産業は抜群に強い。

「経済大国」でない、というのなら、むしろ誇るべき「生活大国」と言うべきです。不勉強故に日本の知識人はこの実態を知らないわけですね。

 

また、人口が少ないと言いますが、エネルギー自給圏の形成一つ、日本でやってやれないはずがない。北海道、四国、九州、そして本州の東西南北、それらを一つのエリアと見れば、全く条件は同じ。むしろ今問われている地域主権とはこれをめざすことです。再生可能エネルギーの可能性一つ、北欧が参考にならないはずがないのです。

 

スズキさんの言う「80%の民主主義」、つまりは実質民主主義と日本の形式民主主義との違いを、深く理解することが、日本の未来にとって欠かせないと思います。

スズキ・高いですね。例えば、私の主宰する「風のがっこう」の周辺に住んでいる農家の人たちにコーヒーを呼ばれて二時間ぐらいおしゃべりをすると、必ず政治の話題が出ます。自分の町の政治、国の政治の話が必ず出る国なのです。

いまデンマークでは、世帯数で約20万世帯、ざっと見て40万人の人たちが風車に投資しています。

160頁・選挙民400万における40万と言うと、10%です。デンマークで世論調査をしますと、風車をもっと増やしたいと思っている人が今でも約70%いる。それに対して政治、あるいは行政側がストップをかけようとしますと、政治家を選び変えるよう行動するわけです。

 

立法するのは政治家ですから、政治が変わらないとどうしょうもない事を彼は知っているのです。

デンマークの教育は法律を読むことを教えます。みんな非常に法律にうるさいです。会話の中でも、憲法や、言論の自由がすぐ出てきます。法律そのものが日常生活の中に活かされた生活。それで初めて法治国家と言えるし、民主主義が生かされてくるわけです。

 

内橋・日本の現実に比べて、声がないですね。

・スズキ・デンマークの法律も日本の法律も内容的にはほとんど変わりないです、すべてのことに関して。

・内橋・法律は同じなのに、やることは逆だ、と・・・。

・スズキ・つまり法律どうりやっていないのですよ。守られているのは道路交通法と刑法だけではないかと思います。日本の会計の中で「使途不明金」が出てきますが、これを認めている国は、おそらく先進国にはないです。それが問われてこなければいけない。それを問うような教育がなされていないことだと私には思えます。 

 161頁・5・社会とリンクする教育・


 

・スズキ・いまデンマークの人口は530万人ほどです。日本の北海道と比較してみるとよくわかると思うのです。北海道の面積はデンマークの約二倍の8万㎡で、その中に570万人が住んでいます。ところが北海道の国民総生産はどうかと言うと、デンマーク並みなのです、ということは、半分の生産力しかないことになります。

 

北海道に世界的に名の知れたメーカーがあるかと言うと、そういう企業も育っていません。ですからこれは人口の問題と言うよりも国民性の問題、つまりは教育の問題です。 

資源のない国が頼るのは国民しかいない。それがデンマークの教育のベースにあると考え方です。小学校から大学まで授業料は無料で、しかも親としての扶養義務は18歳まで、それを過ぎた子供たちについては国が生活費の面倒をみます。親と子の経済的関係を切り離したわけです。

 

ただ、教育の基本理念から見ると、日本の教育基本法はデンマークのものとほとんど差がないと思います。

 

・内橋・教育基本法通りにやれば日本もデンマークのようにできるのだというご意見ですね。

 

・スズキ・そうです。例えば、日本の初等教育の目標の中に、「国際協調」があります。自分の郷土を知り、国を知った上で、国際協調をする子供に育てることが重要だとみなされているならば、少なくとも国際協調の中身として、食料とエネルギーの自給率について認識させなければならないはずです。 

162頁・自分たちの食糧やエネルギーがどこから来ているのか、現実世界の中で位置づけることによって、はじめて国際協調という言葉の意味が分かってくるのです。

 

「なぜデンマークにできて、日本にできないのか」とよく訊かれます。デンマークでは、日本と違って実社会と学校がリンクしています。学校では「あなたの言う・これが正当だ・という意見は、社会全体にとってどういう意味を成すのか?」という問いかけが常になされ、その時に「社会全体にとってこのようなプラスがある」と言う形で意見を表明しなければいけない。そのような訓練を受けているのです。

 

 

 ・6・答えが一つしかない教育と、たくさんある教育・  

・内橋・高等教育についてはどうですか。最初は様々な時計数次の解析の勉強からとおっしゃっていましたね。

 

 

・スズキ・私はコペンハーゲンの大学生経済学部に二年ほど在籍したのですが、経済理論の最初の時間に、まず「国際経済とは改定経済を大きくしたものである」と叩き込まれます。拡大解釈すると、お父さん・お母さんが子供を育て、守るために働くのだとすれば、国家の中枢にいる政治家・中央官庁の役人たちは、国を守るため、国民を守るためにいるのだ、と。そういう考えのもとに、国全体の統計、例えば国民総生産や消費者物価指数の算出の方法を教えられます。162頁・15/12/24 5時52分33秒


 

163頁・昨年(2001年)5月にデンマーク経済が一時的に加熱したのですが、その時取られた対策は、住宅ローン…デンマークは住宅を国民に持たせる政策を採っています・・・その利子に対して所得から控除していた額の割合を45%から38%に引き下げることでした。  

そういう形で国民の可処分所得を減らせば、経済を冷やすことができる。国の中枢にいる人たちが統計を基に国全体を見通せるから、そのような対策が可能になるのです。

 

 

・内橋・北欧諸国においても、日本とほぼ同じ時期にバブルが発生し、90年代に入ってすぐ崩壊しました。金融におけるビックバンが引き金で、商業地を中心に地価が上がったのが主な原因だったようです。しかし、住宅地は投機の対象にはなっていません。住宅地も巻き込んだ悪性バブルの日本との違いは厳然としています。だからこそ、不良債権の処理も素早く、手際よく済ませることができたのです。

 

 

もっと注目されたのは、そのバブルがデンマークにおいては発生しなかったことですね。その秘密が住宅政策にあったこと。なかでもローンの利子について所得控除の割合を動かす、という背景に、すべての国民に住宅を持たせることが、人々の安定と安心につながる、という政策があった…。163頁・  


164頁・スズキ・日本にも経済のプロだという人たちはたくさんいたはずなのに、当時何をやっていたのか。「東京の地価を合計すればアメリカ全土が買える」なんて、あり得ないですよ。そのツケが10年かかっても払いきれないわけでしょう。

 

 

・内橋・10年をもってしても清算できていません。

 

 

・スズキ・日本の学校教育がいかに実社会と離れた勉強をさせているか、ということです。 

日本では一年間に起業する人の平均が7,000人だと言われています。一方のデンマークでは、平均して年16,000人、去年でも13,500人が起業しています。日本の人口規模に置き換えると、毎年30万人が起業している計算になります。日本ではわずか7,000人と言うことは、つまり企業化になるようなきょう一句、使える勉強をしていないことの反映だと思います。

 

 

私がデンマークの大学で大変勉強になったことは、例えば筆記試験で4時間以下の試験はないのです。教科書から参考書、全部持ち込みOK。ただ回答は15枚くらいになる。

・内橋・その人の本当の考えを問う訳ですね。 

・スズキ・どんな問題が出るかと言うと、会社の会計報告を示して「この会社は景気が悪いが、どうしたら改善できるか論ぜよ」。もちろん教科書には答えは出ていません。解答は決して一つではなく、あらゆる解決策を探ることが可能です。

 ・内橋・回答が一つと言うような問題は出さないということですね。一方、いまの「小泉ブーム」を考えてみますと、答えが一つしかない教育を国民が受けているから、80%の内閣支持率がこの危機的状況の中で続いているのだと思いますね。164頁・


 165頁・結局答えは一つしかない。そして、「何とかしてくれるだろう」と幻想。ほとんどその根拠を問わない。まさに人気タレントと同じです。

 

・7・農業を大事にする国、しない国・

 

・7・農業を大事にする国、しない国・ここまで15/12/24 8時57分31秒

・内橋・デンマークは農業を国の産業として重視しており、食糧の自給率も100%をはるかに超えています。

19世紀末、スカンジナビア三国は、新大陸から安い農産物がどんどん入ってきたため、農業恐慌に襲われました。しかしデンマークは、恐慌の埒外で、非常に立派に切り抜けた。デンマークが農業を大事にするというのは、国土を一皮むけばそこはツンドラで、人間のエネルギーを農に注がなければ生命さえも維持できない、そういう限界状況では、国や社会にとって何が大事かわかっていたからだと・・・。

・スズキ・19世紀中頃、特に東欧、アメリカから安い小麦がどんどん入ってきたときに、イギリスやフランスは自国の農業を保護するために関税で対抗したわけですが、デンマークはもともと輸出の割合が多かったものだから、その方策では対抗できなかった。ではどうしたかと言うと、農家の人たちはその穀物を家畜に食わせることで付加価値を高めた。165頁・


166頁・餌の確保のために作付を大麦に変えていき、それを家畜に与えることで、穀物を肉やミルクに変えたのです。

 

 

・内橋・本当の意味の「米百票」の思想ですね。そのような歴史的な背景もあって、デンマークは農業国で、農業を非常に大事にしていますが、日本の場合は逆に農業軽視で、農産物も安いところから買えばいいという国際分業論です。経団連はずっと「日本農業不要論」を主張してきました。 

いま地方を歩いてみると、減反のために田畑が荒れ果てている。実際に米を作りたくても、作ればまさに村八分です。法律的な報復もあります。やむなく放置して、そして日本は自分で作れる穀物を他の国から買っている。エネルギーも食糧も自国内でカバーすべきだという「人道主義」から見れば、こういう状況は当然、世界に貢献していないというご意見ですね。 

・スズキ・その通りです。一年間に日本が輸入する穀物の量は約3000万㌧と言われています。数字だけではピンとこないのですが、いま焦点になっているのは水の問題です。

 ・内橋・「ブルーゴールド」(黄金に水)とさえ言われますね。

・スズキ・地球上には、実際たくさんの水がありますが、人間や動物が生きるために使える水は、わずか1%しかありません。世界には水の汚染に困っている人も、飲み水に事欠く人もたくさんいる。例えば、小麦一キログラムを生産するのに約600リットルの水を使います。166頁・ 


167頁・日本が輸入する小麦の量が年間約600万㌧ですから、約35億立方メートルの水が必要です。この数字は、大阪市が消費する水の量の七年分に相当します。それだけの水が日本に輸出されていることになります。

・内橋・結局、世界から水を奪っているということですね。そういう考え方を日本の国民が持てるようにするに、どうしたらいいでしょうか。

・スズキ・日本には立派な教育基本法があるのですから、そこへ戻ればいいのです。歴史のことも教えなければいけなと思います。大事なのは、過去少なくとも150年から最近の歴史。祖父・祖母の世代が、そうやってこの国を守ってきたのかがわかると、いかに資源が大事かもわかってきます。日本経済はアメリカをまねたとよく言いますが、アメリカの農業こそ学ばなければいけないのです。アメリカ経済が強いのは、まず穀物を抑えているからです。そういう根本をよく教えたうえで、農業について判断を下していただきたい。

・8・理想と人道主義は可能か・ここまで・15/12/24 10時30分23秒

・内橋・大変不幸なことに、いま日本では「聖域なき構造改革」なるキャッチフレーズが大はやりで、教育さえもすべて御破算に、という状況です。教育に見直し、大学制度の見直しと、まさに教育基本法破壊過程にあります。167頁・

168頁・もう一つ不幸は、日本の中で「歴史が大事だ。どのようにして日本の国が守られてきたかを教えるべきだ」と言う意見は、主として短絡的に民族主義・国家主義につながる側から、しかもグローバリゼーションへのアンチテーゼとして出てくる。その逆に、「すべてアメリカのまねをすればいい。今時代はグローバリゼーションである。グローバル・スタンダードでやるべきだ「と。このどちらかしかないのが現代日本の言説です。今おっしゃっている意味はそうではないわけですね。

・スズキ・そうではないです。日本の皆さんとディスカッションをすると、よく極端になってしまうのですね。これは教育の中でディベートがなされていない証拠です。応えはたくさんなければならないにもかかわらず、一つしかないから、話が全部極端になってしまうのです。

・内橋・なるほど。

・スズキ・それから形式も大事だけれども、もう少し理想と人道主義に基づいた教育が必要ですね。共生の社会ですから。

・内橋・理想、そしてそれを裏付ける人道主義、この二つが大事ですが、日本の場合、まさに「形式主義」であって、理想を解きますと「嘴が黄色い」と言われる。日本の場合、私たちが一番懸念しているのは、強いものには弱く、弱い者には強い、という日本人社会的性癖です。168頁・

169頁・デンマークでは、啓蒙主義が、全部そういうものを破壊してくれたのです。つまり、権力を全部地表に落とした。日本では今でも「天下り」問う言葉が使われていますが、そういう言葉を使っていいかどうかが本来問われなければいけない。そんな古い言葉は捨てなければいけない。あの人たちは天にいるのではなく、幸いにして不幸にしてか、役人になっているのに過ぎないのですから。  

・内橋・行政絶対優越、官僚支配という、日本特有の社会のあり方はまったく変わっていないし、いま叫ばれる「聖域なき構造改革」のお題目にしても、見せかけの官僚征伐を売り物にしているだけです。小泉政権にすり寄る特定の学者グループ、特定の学派の一族支配といっていい。

官僚たちの特権を憎むからこそ、その打破をうたう小泉流に多くの日本人が拍手を送っている。しかし、その実態は旧大蔵省、現財務省の掲げてきた財政原理の、まさに忠実な実行者こそ、ほかならぬ小泉首相であり、残念ながらそのことに国民はまだ気づいていない。「痛み」と言う名の大衆課税、「改革」と言う名の格差拡大、そして依然として官尊民卑の思想ははびこり続けています。

 ・9・ワークフェアの考え方・ 

・内橋・ところで、デンマークの福祉政策と環境政策はリンクしているという、この考え方は貴重ですね。169頁・


170頁・・スズキ・人間が生まれてから死ぬまでの過程で、福祉というのはどこに関わってくるかを考えると、健康である限り病院にかかる必要はないですから、健康の人は全然福祉のお世話にならないのです。死を迎える時になって、もしかしたら病院に入る、つまり福祉のお世話になるかもしれない。一方環境と言うのは、その人の生きる過程の中にあり、過程の中で環境を汚染してその人たちの健康を害する結果を招いたら、福祉の負担が増えてくるというのが見えてくるわけです。

 

人が生きる過程における最低条件として、きれいな水と空気を確保しておかなければいけない。食べるものを含めて。これがデンマークのおける環境政策なのです。有機食品が大変はやっているような国民性ですから、デンマークの福祉に実際にお世話になっている人は何%かと言うと、おそらく大変少ないのではないかと思います。 

「それだけ福祉をよくしたら、誰も働きにいかないのではないですか」とよく訊かれるのですが、「人間と動物の違いだ」と私は答えます。人間とは、自分の可能性を追求する存在だというのがデンマーク人の考え方です。餌だけで生きているのではなく、自分が生きたいという何かを残しておきたい。給料は要らないけれどもこういう仕事をしてみたい、とか…。ですから3,4回は平気で職を変える人が多いのです。

 ・内橋・「ウェルフェア」と「ワーク」の合成語で「アークフェア」と言うのがありますね。働くことが福祉だ、と。これが自然に、すんなり入ってきます。

  

171頁・ 


・スズキ・この職を失えば食えなくなるというのなら、会社にしがみつくのも分かりますが、好きでもない仕事に行く必要がないのは、ちゃんと食べられる保証が後ろにあるからです。それによって初めてその人の能力が発揮でいるのですね。 

・内橋・なぜ日本のような「経済大国」が10年をもってしても不良債権一つ処理できないか、理由がよくわかります。日本では会社が潰れると人間も潰れてしまうからです。デンマークにしても、他の北欧の国々にしても、会社は潰れても人間は潰れない。食べて行けるわけですから、多額の不良債権を飼明けた会社は早く潰した方が社会的コストも少なく済む。そういう方向に自然に向かっていくわけですね。 

・10・福祉に裏打ちされた納税感覚・ここまで・15/12/24

・10・福祉に裏打ちされた納税感覚・ここまで・15/12/24 14時20分52秒

・内橋・デンマーク、あるいは北欧の国々於いて、日本でいう「福祉」とは、福祉の本質が相当に違っているように思うのです。デンマークの人々が海外で事故にあうと、治療費の請求書のあて名がすでに書いてあって、それはデンマーク政府なのだと。

そのシステムにまだ入っていない日本で医者にかかった場合、たて替えておけば後で政府が補償してくれる。世界中どこを旅行していてもどこで活動していても、ひとたび怪我をしたり病気になれば、国が面倒を見てくれる。これは単なる福祉ではありませんね。171頁・


172頁・・スズキ・自分の国の国民をいかに大事にするかということの現れです。国民も、これだけ大事にされたら、税金を払っても惜しくないと思います。デンマークは世界で一番の重税国です。

100円のうち51円か52円の税金を取られているけれども、やむを得ない。なぜなら払っている先が見えるからです。しかも、人頭税ではなく所得税ですから、所得のない人は払う必要がない。税金が高いと言って逃げ出す人もいますが、たいてい戻ってきます。やっぱりデンマークが一番安心して住んでいられる、と。

・内橋・日本で今、再び消費税引き上げ論が出ています。課税最低限度額の引き下げも言われています。低所得層も所得税を払いなさい、国を支える気概を持ちなさい、と政府・自民党は叫んでいるわけです。

・スズキ・日本の国民が反対するのも分かります。払った税金がどこに使われているのかも見えないのですから。

大企業が倒産するからと言って、巨額の資金を投入するのも不思議ですね。それに対して説明は一切なく、国民の側も説明を求めない。金融機関等にあれだけの融資をする余裕があるのなら、メーカーなどモノづくりの担い手たちを育てなければいけない。もう既に使い込んで、足りないからまたくださいなんて、お金をドブに捨てるようなものです。172頁・


173頁・そういう会社は無くていいのですよ。新しい産業を起こすことに資金を投入しないと、いつまでたっても豊かにはなれません。

デンマークの場合なら必ず、資金投入の目的を厳しく問われます。一五歳から確定申告をする国で、皆に個人番号がついていますから。

・内橋・国民総背番号制ですね。日本で導入すると、大変なことになります。まさに管理国家になってしまう。 

・スズキ・導入したら、おそらく正当でない方法でお金を得ている人が一番困ると思います。もちろんデンマークでも、何とか税金を逃れをしようとする人もいますが、重罪に問われます。ヨーロッパで世論調査をした中で、「政党でないお金をもらうことはいけないことだ」と言うモラルに賛成する割合はデンマークが七三%でトップなのです。


・内橋・これも「八〇%の民主主義」に相応していますね。

・11・国のあり方を変えるための長い道のり

・内橋・確かに公平・公正という観点からすれば、国民総背番号制は極めて望ましいシステムかもしれません。しかし、それを導入するためには、前提として、国のあり方の問題があります。人権や人道主義、人間と言うものを価値の一番最上位に置く考え方がある中での公平・公正であり、したがって手段としての国民総背番号制が必要だという論理になってくればいいのですが、日本の場合、「個人情報保護法」と言われているものの中味が実際は「個人情報管理法」であるというような国のあり方を変えませんと、「国民総背番号制」も、言葉は同じでも内容は似て非なる「国民総管理番号制」になってしまう恐れがある。 


174頁・民主主義も同じで、日本の「形式民主主義」は、本当の意味の民主主義とはまさに180度違う。

日本とデンマークで同じ言葉を使っても中身が違うという印象が非常に強いのですが、両者を近づけるにはどうすべきか、ということが問われているわけですね。  

・スズキ・日本では、わかっているけれども行動に移せないことがたくさんあるのですね。デンマークのやり方をよくわかっていても、それを実行するとなると戸惑ってしまう。勇気を持って行動する人が少ない。日本の場合、国方からは動かないので、そういうことを感じる人たちが行動に移し、小さくともネットワークを作って、政治を変えていくしかありません。わたしたちの「風のがっこう」の研修生の中で、環境教育をしたいから小学校の教師になった人や、風力発電に係りたいと風車関係の商社に入った人がいます。そういう形で、相当時間がかかるけれども、意識のある人たちが行動に移していく。それ以外に方法はないのです。

・内橋・そうですね。何とか今の国のあり方、社会のあり方そのものを変えていくという方向にいかないと・・・。

・スズキ・現実として、日本が抱えている国債666兆円と言う額は、とにかく桁が大きすぎて想像もつかないのですが、174頁・


175頁・消費税を35%にしても返済に70年かかるという計算があるのですね。と言うことは、すでに今の人たちは、孫の世代までの財産を食ってしまったことになります。

今の世代の皆さんは確かに頑張ったかもしれないけれども、結果として、自分の子供に対して、食べ物も、エネルギーも確保しなかったし、借金をたくさん抱えて、しかも年を取ったから面倒を見てくれと言う。次の世代にも生きる権利があるはずです。何とか踏み台の一つぐらい作ってあげて次の世代に渡すのが、親の世代の愛情ではないでしょうか。今の日本を見ていると、次の世代に対する愛情がない。それを直すためには、心ある人たちがまとまって、行動を通じて新しい国のあり方をつくっていかなければいけない。

・内橋・気が遠くなるような時間がかかるでしょうが・・・。

・スズキ・20ねん、30年はどうしてもかかるのです。急げば急ぐほど、ものにならない。しかも絶対に東京からスタートしないですね。田舎から立ち上がってくるでしょう。

・内橋・スズキさんの「風のがっこう」の日本での第1号も、丹後半島に開校の予定ですね。今年の六月でしたか・・・。

・スズキ・そうで。人に言うばかりでなく、自分でももっと行動を起こさなければ、と思っています。175頁・


176頁・・内橋・今日は刺激的なお話をどうもありがとうございました。

發出、世界・2002年3月号・

平成27年12月24日 

・スズキ・地球上には、実際たくさんの水がありますが、人間や動物が生きるために使える水は、わずか1%しかありません。世界には水の汚染に困っている人も、飲み水に事欠く人もたくさんいる。例えば、小麦一キログラムを生産するのに約600リットルの水を使います。166頁・


167頁・日本が輸入する小麦の量が年間約600万㌧ですから、約35億立方メートルの水が必要です。この数字は、大阪市が消費する水の量の七年分に相当します。それだけの水が日本に輸出されていることになります。

・内橋・結局、世界から水を奪っているということですね。そういう考え方を日本の国民が持てるようにするに、どうしたらいいでしょうか。  

・スズキ・日本には立派な教育基本法があるのですから、そこへ戻ればいいのです。歴史のことも教えなければいけなと思います。大事なのは、過去少なくとも150年から最近の歴史。祖父・祖母の世代が、そうやってこの国を守ってきたのかがわかると、いかに資源が大事かもわかってきます。日本経済はアメリカをまねたとよく言いますが、アメリカの農業こそ学ばなければいけないのです。アメリカ経済が強いのは、まず穀物を抑えているからです。そういう根本をよく教えたうえで、農業について判断を下していただきたい。

17:01 2016/01/23 


なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか (単行本)

ケンジステファンスズキ (著)

この本とフィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453)) (集英社新書)  堀内 都喜子をあわせて買う

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか+ フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453)) (集英社新書)

デンマークという国 自然エネルギー先進国―「風のがっこう」からのレポート ケンジステファンスズキ

少子化をのりこえたデンマーク (朝日選書) 湯沢 雍彦

デンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会 澤渡 夏代ブラント

内容(「BOOK」データベースより)

世界最高レベルの社会保障制度を整え、食料もエネルギーも自活、世界でもっとも民主主義が進んでいる国、デンマーク。「共生」の政策理念の基盤となる国の歴史と国民の姿を通して、年金・雇用・貧困・格差・「愛国心」・環境・エネルギー・食料など問題の山積する日本社会を見つめ直す。 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)ケンジ・ステファン・スズキ

旧姓、鈴木健司。S.R.A.デンマーク、「風のがっこう」代表。1944年、岩手県生まれ。1967年、青山学院大学中退後デンマークに渡り、翌年コペンハーゲン大学政治経済学部に入学。1971年から在デンマーク日本大使館に勤務し、その後農場経営をはじめる。1979年、デンマーク国籍を取得。 1990年、中部ユトランド商科大学会計学部税法学科を卒業。同年、S.R.A.デンマークを設立。デンマークの風力発電機、バイオマスプラントを日本に普及させる事業を手掛ける。1997年、デンマーク・ウアンホイに「風のがっこう」を設立。環境政策などの視察でデンマークに訪れる日本人のための研修施設として運営を開始。2002年、京都府弥栄町に「風のがっこう京都」を町営の環境教育施設として開校。2004年、「風のがっこう栃木」と業務提携し、研修業務を支援。現在は、日本とデンマークを往復しながら、さまざまな事業を手掛けるほか、講演活動などを精力的におこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

* 単行本: 189ページ    * 出版社: 合同出版 (2008/02)    * 発売日: 2008/02

目次を見る 目次

第1章 デンマーク・私が「理想とする国家」に近い国

第2章 なぜ、デンマーク人は国に愛情を持つようになったか

第3章 氷河とバイキングがつくった北欧の小国

第4章 デンマーク人が国を愛する心の原風景

第5章 農奴が下支えした中世のデンマーク社会

第6章 神聖なる王権から国民の主権へ

第7章 福祉制度をつくり出したデンマーク・福祉を考えなかった日本

第8章 デンマークは「戦争」とどう闘ったか

第9章 教育の目標は「国家運営」に参加する国民をつくること

第10章 借金を残さないデンマーク・つけを残す日本


これからの日本がお手本にしたい国の本 日本人の幸福観を根本から変えてくれる1冊, 2008/11/13

By     21世紀のケインジアン (兵庫県) - レビューをすべて見る世界一幸福な国ランキングNO.1の国、デンマーク。環境先進国として知られているるほか、日本がとても遅れているワークライフバランスの先進国としても知られている。人口540万人の人口は、北海道とほぼ同じでしかない。しかし、デンマークの歳入額は、北海道の 20倍にもなる。一人当たりのGDPは700万円といわれ、健全な黒字国家である。

赤字で苦しむ日本国とはまったく違う。国も潤い、国民も経済的に豊かで幸せ感が高い国が、デンマークだ。「持続可能」というテーマで世界を見ていると、

デンマークで行われてきたことが大変興味深い。日本人の幸福観を見直す観点からも是非、読んで欲しい一冊です。 日本でも高福祉と強い国際競争力が実現できる?! 2008/6/7

高額な税金(所得の70%、消費税率25%)で、無料の教育、無料の医療費、失業時の高保障を実現しているにもかかわらず、

国家財政は黒字、世界競争力ランキングで3位(日本8位)、1人当たりのGDPは日本の1.35倍、1人当たり貿易額は日本の3倍、エネルギー自給率156%、食料自給率300%超。デンマークが「なぜ、どうして」これらを実現できたかを、デンマークに生活している生活者の視点とバイキングの時代から遡って視ることによって答えを見出そうとしたのがこの本です。体系的で整理された学者の本ではないが、競争社会、格差社会と福祉・高齢者切り捨てで混迷する日本の根源とあるべき姿を考えさせてくれる本である。


楽しく読ませていただきました。

特に「フレデリック6世の善政」や「200年前の貧困救済計画」の先進性に驚かされました。なんて人民のことを大切に平等に考えているのでしょう。また、第2次世界大戦中、ドイツがデンマークに侵攻した時、わずか4時間で降伏し、占領を受け入れた指導者の判断もすばらしいと思います。それに比べて日本のとった行動は被害、加害を含め情けないの極みです。

デンマークの良さをたくさんの日本人に知ってもらって、日本をもっと改善していって欲しいと思います。その上で、本書は手引書として大いに役立つと確信しております。

北欧の高福祉は何十年も前から羨望の対象として語られてきたが、そのために長い時間をかけて国づくりを行ってきたことにまず注目すべきであろう。高福祉には高負担が伴うが、それを厭わない国民に日本人はなれるのか?それともやはり日本人には「中福祉・中負担」なのか?このような語り尽くされた論議のほかに私が注目したのは、本文中にあった、自分たちの将来の生活のために、安易に隣町の安い店に走らず、少々高くても近所の店で買うというデンマーク国民の姿勢だ。これなら、中国野菜や餃子問題は起こらないであろう。自分中心の生活により自らの首を絞めている私達日本人にまねができるだろうか。

5つ星のうち 5.0 エネルギーと食料自給率が100%を超えるデンマーク, 2008/11/21

デンマークという国を日本との比較で紹介した本です。教育や福祉に対する意識の高さ、愛国心、どれも今の日本にとって見習うべきところと思いますが、デンマークという国の歴史的な背景から来るものだと言うことが、詳細に述べられています。中でもうらやましいのが、エネルギーと食料自給率が100%を超えるという点です。両方とも、これから世界的な不足が問題になることは目に見えていますが、これらの問題を克服している点に、デンマークと言う国のすばらしさを感じました。

一読の価値がある本と思います。 14:24 2009/01/31


なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか 

「無言劇」平らな国デンマーク

『平らな国デンマーク/子育ての現場から』 第73回 「無言劇」

高田ケラー有子 :造形作家 デンマーク北シェーランド在住 『平らな国デンマーク/子育ての現場から』  第73回「無言劇」

1月も早くも終わりに近づき、2月のグループ展の準備に追われております。このグループ展は、いつもと趣向が違い、鑑賞者を巻き込む工夫がさまざまにあって、作品を見るだけではなく体験することのできるグループ展で、かなり大掛かりな仕掛けもあり、私自身も7人の作家によるグループ展の仕上がりを楽しみにしているものです。

会場はかつては大砲の玉や銃弾を作っていた工場が改装された建物で、重厚で、高さのあるその歴史ある建物のなかで、新しい感性が響き合う事も期待されています。

私は、この建物の、普段は作品など一切展示されない高さ6mと10mのところにある梁と梁の間に作品を設置し、高さ6mの梁の上まで上れる形のタワーが仮設され、鑑賞者はそこ(高さ6mの地点)から作品を見る、という前提で作品を制作。床レベルから見た時には見えない全貌が、タワーに上って初めて見える、というものです。 普段は見る事のできない、上からの視線で、会場全体を見る事ができる、というのもひとつの体験で、またその階段には、床と天井に鏡が設置されるので、階段を上る時点でも異空間体験ができる、というもの。中には怖くて上れない方もあるかもしれませんが、他の作家さんも、それぞれに工夫を凝らした作品が展開される予定で、全員の作品を展示するための部材や、仮設の構造物を制作するのに要する合板の枚数は200枚。こうした部材や私が展示のために使う貸し電動リフトなども、すべて周辺企業の寄付で賄われます。

世界的な不況の中、こうした展覧会をサポートしてくれる企業がある事は、作家にとってはほんとうに喜ばしい限りです。デンマークのTOYOTA財団もそのひとつで、このご時世では一番先に削られそうな予算とも言える中、アートなど無駄、とはいわず、サポートしてくれるのですからありがたいことです。この展覧会に企画側が選んだもうひとりの日本人作家が招待されているのですが、ビデオインスタレーションの

若手作家(向井智香 / http://www.mu-kai.com/chika/ )で、体験型の作品を展示してもらう事になっています。実はこの作家は私の姪でもあり、叔母との初コラボということにもなり、その意味でも個人的には思い入れの強い展覧会になります。

会場は、ごく一般的な人々が日常的に気軽に訪れることのできる空間で、入場料は無料。常に赤ちゃんからお年寄りまで、多くの市民に親しまれています。日常的に市民が利用する文化会館での展覧会で、こうした新しい企画が大規模に展開され、またそれを周辺企業がサポートする、という地域ぐるみでアートを楽しむ(支援する)姿勢があることには、文化意識の違いとアートが日常的なものになっていることを感じます。

私は、より多くのビジターに積極的に参加してもらうため、文字探しゲームも梁の上の大作とは別に企画しており(子供のお誕生会のようですが)、高さ30cmほどのアルファベットキュービックを制作し、会場のあちこちにちりばめて展示し、そのうちのいくつかはタワーの上に上らないと見ることができなかったり、下からは見えていても何の文字がわからないように展示する予定。そして、訪れた人々が文字を探して単語にして紙に書き込むと、正解者の中から最終日に抽選でアルファベットキュービックの内の一文字がもらえる、というおまけ付き。文字を探して完成する単語はこの歴史的な建物だからこそ込めたかった平和へのメッセージになっており、子供からお年寄りまで誰にでも分かりやすいものにしています。

平成28年1月26日

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか・第4章 デンマーク人が国を愛する心の原風景・平成28年1月26日・

引用


引用下條村 自治体はこうやって運営する 河村市長も同意? 1/2 

effectmangt   effectmangt

https://www.youtube.com/watch?v=z8PwWydCDMQ

11:15 2016/01/29


・2・地方自治無くして民主主義国家はあり得ない・84頁・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-46fe.html

10:11 2016/01/27


なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 単行本  – 2008・2 ケンジステファンスズキ (著) 5つ星のうち 4.4   12件のカスタマーレビュー  

世界最高レベルの社会保障制度を整え、食料もエネルギーも自活、世界でもっとも民主主義が進んでいる国、デンマーク。「共生」の政策理念の基盤となる国の歴史と国民の姿を通して、年金・雇用・貧困・格差・「愛国心」・環境・エネルギー・食料など問題の山積する日本社会を見つめ直す。

 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) ケンジ・ステファン・スズキ

旧姓、鈴木健司。S.R.A.デンマーク、「風のがっこう」代表。1944年、岩手県生まれ。1967年、青山学院大学中退後デンマークに渡り、翌年コペンハーゲン大学政治経済学部に入学。1971年から在デンマーク日本大使館に勤務し、その後農場経営をはじめる。1979年、デンマーク国籍を取得。1990年、中部ユトランド商科大学会計学部税法学科を卒業。同年、S.R.A.デンマークを設立。デンマークの風力発電機、バイオマスプラントを日本に普及させる事業を手掛ける。1997年、デンマーク・ウアンホイに「風のがっこう」を設立。環境政策などの視察でデンマークに訪れる日本人のための研修施設として運営を開始。2002年、京都府弥栄町に「風のがっこう京都」を町営の環境教育施設として開校。2004年、「風のがっこう栃木」と業務提携し、研修業務を支援。現在は、日本とデンマークを往復しながら、さまざまな事業を手掛けるほか、講演活動などを精力的におこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 登録情報 単行本: 189ページ出版社: 合同出版 (2008/02)発売日: 2008/02

目次

まえがきにかえて

第1章 デンマーク・私が「理想とする国家」に近い国

・1・億単位の医療費も税金から給付される・11頁・

・2・教育費はすべて国が負担する16・

・3・18歳からは国は扶養義務を持つ・22頁・

・4・食料自給率は300%を超えている・25頁・

・5・エネルギー自給率は156%を達成した・26頁・

第2章 なぜ、デンマーク人は国に愛情を持つようになったか

・1・民主主義と幸福度は比例する・31頁・

・2・デンマーク人の事業化は国境を越えて活躍する・34頁・

・3・バス・タクシーの運転手が女性なのは当たり前・39頁・

・4・国政選挙の投票率が80%を割り込んだことが無い・40頁・

・5・高額の税金に対してさしたる不満が無い・46頁・

・6・デンマークの田舎生活は快適・50頁・

第3章 氷河とバイキングがつくった北欧の小国

・1・狩猟民が南の方から移動してきた・53頁・

・2・バルト海がデンマークの農業を育てた・58頁・

・3・バイキングはヨーロッパの文化を攪拌した・60頁・

・4・バイキングの遺伝子がデンマーク人を鼓舞する・63頁・

・5・国民の85%がキリスト教徒・70頁・

・6・国際性は国土が狭く天然資源が無いからこそ育った・75頁・



第4章 デンマーク人が国を愛する心の原風景・平成28年1月26日・

・1・何百年もドイツと国境をめぐって争ってきた・77頁・

家族の誕生日にも国旗を掲げるデンマーク人・

・私がデンマークに入国して驚いたことの1つがデンマーク人の国旗を掲揚する習慣でした。デンマークの住宅や農家には大抵、国旗を掲げる旗竿があって、祝祭日はもとより、家族の誕生日、結婚記念日など、機会があるごとに国旗を掲げていました。

・デンマークの国旗は「ダンネプロ」デンマークの力、赤い布)と呼ばれています。その名の通り、赤い布地に「スカンジナビアクロス」と言われる白い十字架の紋章が描かれています。

世界最古の国旗と言われ13世紀の初め、ローマ教皇が十字軍に授けた旗をもとに作られたものとされています。北法5か国デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの国旗はすべてこの「スカンジナビアクロス」を採用しています。これはデンマークが当時、スカンジナビア半島の覇者であった歴史を反映しています。77・


78頁・国旗に対するデンマーク人の思いは強く、公共の場所では集会のたびに国旗が掲揚され、国家は讃美歌と一緒に集会の初めと終わりに必ず斉唱されます。

・100年の混乱を収めたバルダマー大王・

デンマーク人が国旗を掲げる行為は「国を愛する」国民性から出ているものと思えますが、この国民性はいつ頃どのような過程で生まれたのでしょうか。

そもそもデンマークが1つの国家として成立したのは西暦900年ごろと言われています。ノルウェーの国王ハラウド・ホーダー(在位1015年~66年)がイギリスの制覇戦で戦死します。このイギリス制覇の失敗でバイキング時代の幕が下ります。国王の死後、デンマークでは王位継承問題などで約100年間の混乱時代が続き、王位が目まぐるしく変わりました。78・


79頁・この混乱に終止符を打ったのはバルダマーでした。バルダマーはスベン、クヌーと言う同時期の有力者たちを討ち果たして、大王を名乗りました(在位1157年~82年)。バルダマー大王就任によって、デンマークは統一国家として形を整え始め、その後84年間バルダマー大王、その息子のクヌー6世、バルダマー・サイヤーと継承され「バルダマー王朝」が続きます(1157年~1241年)。

バルダマー大王はコペンハーゲンに城壁を築いて外敵に備える一方で、スウェーデン南部のルンド地域を攻撃してデンマークの統治下に入れ、支配地域を拡大していきます。バルダマー・サイヤー王(在位1202年~41年)は北ドイツ地方のホルスティン州を占領し、さらにデンマークの支配地域を拡大しています。79・


80頁・79ぺーじ、の地図で見るようにエストニアは1219年、バルダマー大王が占領して以来、約100年間にわたってデンマークの属国でした。2004年の夏、エストニアの風車の整備工場を見学する機会がありましたが、タリン空港からタトー市まで車窓から見える風景は平たんな農村地帯広学デンマークの農村によく似ていました。「スカンジナビアクロス」がデザインされたタトー市の旗は、デンマークの国旗に酷似していました。それは11世紀のエストニアがデンマークの属国であった歴史的経緯を今に残していました。

南ユトランド地方(現在のドイツ領となっているホルスティン州とスレスビー州)はバイキング時代からデンマークと南の大国ドイツ、フランスとの間で何度となく争奪戦を繰り広げた地域です。


・この地域は平坦な土地で、現在も大規模な量苦悩地帯であるように、当時からひたヨーロッパ有数の「食料生産地」であったため、その帰属をめぐって争奪戦が続きました。その帰属がドイツと確定し、現在の国境が決まったのは1920年で、つい最近のことなのです。

・ボーの付く地名が多いのは外敵の侵入が多かったから・

デンマークでは森林地帯が無いから木材が採れません。協会の外壁、城壁、要塞などの材料は花崗岩、砂石、タフとよばれる火山灰石(凝灰石)が使われていました。

11世紀後半になって、デンマークにレンガが登場します。レンガは中近東地域が発祥地とされ、紀元前4000年前ごろから使われたと言われています。デンマークでは、バルダマー大王が北イタリアからレンガ職人を連れて来て、レンガ作りをデンマーク人に習得させ、国産レンガで大聖堂、城壁などが盛んに建設されていきます。80・


81頁・


・不動産の所有者がネットで公開される・

少し脇道にそれバスが、レンガの話題のついでに現在のデンマークの住宅事業を紹介してみましょう。

建材となる木材が無いデンマークでは建物の外壁、内部の仕切りを含めほとんどがレンガで作られています。冬場はマイナス10度C前後、夏場でも最高気温が25度C前後までしか上がらない寒冷な自然条件の中で快適に生活するために、外気を遮断した上で、家全体を温める方式が採用されています。

自身のない国ですから、築100年住宅がそのまま住宅市場で流通しています。デンマークの平均的な一般的の土地面積は240坪から300坪で、建坪は40坪から55坪あります。デンマーク人の生活様式の1つが、家を買い替えることです。その時々の家族構成と経済的状況に合わせて、一生うち何度も住み替えていきます。81・


82頁・


私も昨年住宅を購入しました。この自宅は1,948年に建設された、既に築50年になる家屋でしたが、事前に渡された「家屋の診断書」の結果は、内装工事は別として大掛かりな修理を必要としませんでした。

デンマーク在住40年の私にとって、5回目の家の住み替えでした。結婚して子供が増えるに従って必要な部屋数の家を買って、子供たちが巣立った後はまた小さな家にサイズダウンするといった具合です。

大きな家に住めばそれだけ暖房費がかかり不動産税負担が重いという事情もあります。デンマークでは、不動産評価額は毎年見直されますが、不動産評価額の1%を「住み代」として払わなければなりません。例えば2000万円の評価額の家に住むと、その1%に当たる20万円の不動産税を払います。大きな住居になれば那須ほど、税金が増えます。また、デンマークでは建物への火災保険は「強制加入」で、火災保険の入っていない住宅や事務所の所有はもとより売買は禁止されています。

デンマークでは全国の不動産の評価額はインターネットで公開されているので、購入しようとする不動産を誰が所有していて、評価額はいくらかを、即座に知ることができます。


・「200年住宅」を実現するために必要なこと・

住宅を売買するときは、省エネの関係から「家屋の診断書」の作成が義務付けられており、それを作成するための専門の審査員がいます。82・


83頁・

その診断書には外壁の厚さや断熱状態、屋根瓦の状態(取り換えが必要か否かの評価も含む)、屋根裏の断熱材の厚さと状態、水道管や給湯管の接続部分の状態、タイルや壁の状態など部屋ごとに細かい項目で記載されています。

一般住宅でも外壁の厚さは、建築基準で10センチ幅の断熱材を10センチ幅の2枚のレンガで挟んだ構造と決められています。この基準は、冬季の平均気温7度C前後に合わせて、室内温度を20度C前後に断熱・保温するための工法ですが、さらなる省エネ型の住宅をめざして、今後建てる建築物では従来より断熱材を多く入れ、外壁の厚さは40~45センチと決められています。

日本でも「200年住宅」と言う住宅政策が言われ始めているようですが、まさかと思えるほど短い、20年程度で次々と建て替えられていくと聞く日本の建売住宅を50年、100年の使用に耐えるものにしていくには、土地セサクの見直し、木材の自給政策の整備、建築工法の見直し、省エネ住宅の導入などに根本的な見直しが必要でしょう。83・


84頁・続く・

・2・地方自治無くして民主主義国家はあり得ない・84頁・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-46fe.html

10:11 2016/01/27

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