« 生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」 | メイン | ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。 »

2016年1月 4日 (月)

血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功・第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・

引用


引用2016年1月 3日 (日)生まれ変わる首都圏の空港 単行本–2009・3 杉浦一機(著) 「飛行機を降りてから自宅まで30分、自宅から搭乗機のゲートまで30分が、この国の政府の政策目標だからね」

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/

15:07 2016/01/03


第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・利益が利用者に還元されない羽田・164頁・

2016年1月 2日 (土)第4章 求められる空港会社の効率化・163頁・羽田空港の上物(ターミナルビルなど建物施設)と下物(滑走路など基本施設)はまったくの別個の組織で運営されている。下物は国が整備・運営しているが、上物は民間企業等が国からスペースを借りて整備・運営している。従って、上物は典型的な権益事業なのだが、権益はいくつにも分割されており、上物の利益は下物の整備に寄与しない構図になっている。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/4-f151.html

16:47 2016/01/02


2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。 http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html 16:45 2016/01/04

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31

2015年12月31日 (木)航空2強対決11選・航空アナリスト・杉浦一機・、「搭乗率保障制度」で成功をおさめたのが石川県だ。「乱造地方空港の最終グループ」として03年7月に開校した能登空港は、下馬評を見事に跳ね返し、通年で国内最高の搭乗率(81,7%)の成績を上げて、就航初年度はエアラインから95,000,000円の還元を受けた。

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/12/post-60c6.html

15:04 2015/12/31


 

2016年1月 4日 (月)ところが、そんな経営の一大転機を迎えている国内空港において、唯一の優等生と評価されている地方空港がある。石川県の能登空港だ。
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/01/post-8c5f.html
16:45 2016/01/04


血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)新書–2009・5・27 森 功(著) 5つ星のうち 4     12件のカスタマーレビュー

容(「BOOK」データベースより)


「オープンスカイ」(=空の自由化)の世界的潮流でアジア各国が空港を整備し飛躍するなか、日本は致命的な後れを取った。羽田空港は頭打ちの国内線中心。米航空会社に占められ新規参入枠がない成田空港は、「アジアの玄関口」の座を周辺諸国に奪われて久しい。鳴り物入りでオープンした関西国際空港をはじめ、全国津々浦々99の空港のほとんどが火の車だ。その補填のため毎年5000億円もの税金が垂れ流し。そんな航空行政の呆れた実態を緊急告発。

 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

 森/功


1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て、フリーランスのノンフィクションライターとなる。「月刊現代」に連載した「ヤメ検―司法に巣喰う生態系の研究」と「同和と銀行」が二年連続して雑誌ジャーナリズム賞作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 登録情報

新書: 250ページ出版社: 幻冬舎; 初版 (2009/5/27)発売日: 2009/5/27

 目次


プロローグ・13頁・

開港延期が決まった首都圏第三の空港、富士山静岡空港・13頁・

無だらけの道路問題とうり二つの空港建設問題・15頁・

世界トップクラスの空港数を誇る・16頁・

「わが県も、おらが村に空港を」の実態は赤字経営・17頁・

JALもANAも路線廃止あるいは減便を発表・19頁・

ピーク時より半減、全くの人気のない関西空港・20頁・

アジアの玄関口の座を奪われた日本・21頁・

第1章 静岡空港「開港延期」の裏事情・24頁・

寝耳に水の立ち木問題発覚・24・

総事業費1900億円の鳴り物入り・25・

測量間違いが原因か・・お粗末な県の対応・27・

滑走路の短縮で対応。フライトスケジュールも全面見直し・29頁・

2000㍍の滑走路問題・31・

どんどん下方修正されるずさんな重要予測・33・

東京と名古屋のど真ん中に空港が必要か・35・

70%と言う無謀な搭乗率をJALに保証・37・

年間に何億円もの血税をJALに垂れ流すのか・38・

成田・羽田問題が地方に影を落とす・40・

夜間に離着陸できない成田、国内路線限定の羽田・41・

利用客がいない地方空港を開放・43・

近い将来、仁川や上海が成田を追い抜く・46・

「まずは国内優先」政策と需給のアンバランス・48・

アジア・ゲートウェイ構想の自由化はどこまで実現するのか・50・

プール制でどんぶり勘定の空港経営・52・

韓国の仁川空港が日本のハブとなる日・54・ 


第2章 オープンスカイという逆風・56頁・

自由競争と世界不況で航空業界の再編ブーム到来・56・

自由化でEUのどこでも路線開設が可能に・58・

骨抜きの「羽田国際化」・60頁・

なぜ羽田は国際化されないのか・63・

ペリメータ規制と「定期チャーター便」という妙な呼び名・64・

「利用者の利便性を考えろ」自治体の反乱・66・

国際線のJAL、国内線のANA、そして閉じられた東京の空・69・

規制の多い閉鎖的な航空業界における自由のランク付け・72・

米蘭協定が自由化への幕開けとなり、オランダを活性化・73・

第六の自由化「コードシェア」が三国間の輸送を可能に・74・

スキポール空港の発展がオランダに経済効果をもたらした・76・

オープンスカイ政策で東南アジアのハブ空港に・77・

航空業界再編と競争の激化・78・

成田の空は米国に独り占めされている・79・

米国権益の障害と誤魔化しだらけの日本のオープンスカイ政策・81・


第3章 成田空港の呪縛・83・

日本の頭越しに盛んな米国・・アジア路線・83・

成田の発着処理能力は仁川の半分・87・

どれだけ長い滑走路を多く持てるか・88・

中国、シンガポールを追いかけるマレーシア、タイ、台湾・90・

天下り時間の時代錯誤の発言・91頁・

政界を巻き込んだ成田空港社長交代劇・93・

「国際・成田、国内・羽田」の大原則・94・

利用者が利便性を実感できる自由化を進めるべきではないか・96・

空の自由化は日本経済全体の活性化につながる・99頁・

路線を開放しても発着枠を持て余してしまう地方空港の現実・101・

「成田の失敗を認識せよ」・103・

形だけの民営化に勝算があるか・105・

初の民間商社出身の成田空港社長・107・

何かと制約の多い成田空港はアジアの空港に対応できるか・109・

はなから勝負になってない成田・111・

公共性を口実に画一的な経営に任せたままでいいのか・112・

米国権益が大きすぎる成田空港の裏事情・116・

成田は米国航空会社に席巻されている・119・

創意やスキーム次第で成田の使い勝手は向上する・121・

滑走路の使い方に潜む大きな無駄・123・


第4章 泥沼の関空経営・126頁・

巨額建設費で借金漬けの関空・126・

発着能力の半分も使っていない128・

世界一高額な着陸料・130頁・

200億円を超える巨大な利子負担が経営の足かせに・133・

巨額負債の圧縮に公的資金を投入するしかない・136・

関空への航空会社の乗り入れが鈍い理由・138・

地元自治体の支援も及ばず・140頁・

「税金の投入しかない」・142・

悪しき平等主義のバラマキ政策・144・

伊丹空港の廃港を提唱する声まで・146・


第5章 赤字「空港」の支え「空整特会」・149・

一日1~2便の赤字路線で細々と経営する地方空港・149・

時代錯誤の遺物、評判の悪い特別会計・150・

使命を終えても温存されている・152・

空港整備を謳い利用者負担を強いながら、使い道は不透明・154・

乗客の運賃が特別会計に化けて地方の赤字を補てん・156・

空港維持のために空港特会・158・

ブラックボックスを国交省はどこまで明らかにするか・160・

全国の空港の赤字・黒字ボーダーラインを試算・162・

効果の上がらないマルチ空港化構想・165・

発着回数が日本三位の福岡空港も100億円近い赤字・166・

福岡空港のこんな近くに新空港が必要なのか・170・

杜撰な空港建設で膨れ上がる赤字・172頁・

・・・唯一の優等生「能登空港」・176・

搭乗率70%の秘訣とは・178・

乗り合いタクシーの導入で利便性と高める工夫・181・

企業セミナーを誘致して、生涯学習センターを設置・183・

住民さん方のコミュニティを・185頁・


第6章 激変する世界の空・187・

日本より一歩先へ・・タイの航空戦略・187・

規模でも成田を凌ぐ。更なる拡張計画も・189・

政情不安と言うスワンナプームの弱点・192・

ハブ空港の肝はどれだけスムーズに乗り継ぎできるか・195・

低いコスト体質の空港という絶対的な強み・197・

飛躍的に業績を伸ばしてきた韓国の仁川空港・199・

アジアの空港の玄関口として三年連続満足度世界一・200・

都心部からアクセス問題という死角・202

中国の価格ダイビングと以遠権に頭を悩ます・203・

日本の地方空港との路線開設は依然様子見・205・

韓国政府が描く壮大な空港都市プロジェクト・207・

欧州の小国に学ぶ強い空港の作り方・209・

日本の再生モデルになりうるルクセンブルク空港のケース・211・

小松空港経由を強制する国交省の保護政策・214・

ケチな保護政策が競争力を弱めている・216・

政府と航空会社が一丸となって取り組むべき課題・218・

ちぐはぐな政策が地方空港の生き残り策を潰している・219・


第7章 生き残り策・222頁・

JALやANAは果たして勝ち残れるか・222・

ローコストキャリア参入への対抗策・224・

まずは国内基盤を確立しなければ・227頁・

外国機が素通りする危険性・229・

国際線のネットワーク構築が必要ではないか・231・

「伊丹廃港」提言の波紋・233頁・

静岡空港への冷めた見方・237頁・

日本の苦しい財政事業では赤字垂れ流しの空港を維持する余力はない・239頁・


エピローグ・242・

日米一体となった土建業性のなれの果てか・242・

日本の空港建設の裏に見え隠れする米国の思惑・244・

米国流の規制緩和政策に翻弄されてきた日本の航空政策・246頁・

羽田五本目の滑走路の可能性・247・

主な参考文献・資料・252頁・

16/1/4 14時34分28秒・

 

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空港も問題だ

道路の建設や郵便貯金、それに伴う財政投融資については、正しいかどうかを別にして、様々な外部の眼が注がれてきました。それに比べて、一種聖域化して、拡大され、とうとう99にまでたどり着いたのが日本の空港の数です。著者はこの問題に様々な角度からアプローチしていますが、読後感としては戦略の失敗を戦術の工夫と改善で補うのはなかなか難しいというのが正直なところです。ここで戦略の失敗として挙げられのは成田空港の選択です。成田の問題はそれなりにいろいろな角度から取り上げられますが、やはり45年以上の前の論点を当時の政治情勢を含めて解説するのは至難の業のようです。なぜ夜間使用ができない、そして東京から60キロも離れた場所に国際空港が選定されたのかは永遠の謎のようです。もう一つの問題として取り上げられるのは、プール制をとる空港特別会計の存在です。この部分はかなり詳しく解決されますが、その将来をどうするのかは不明確なままです。オープンスカイとの関連で地方空港の現状が取り上げられますが、この将来性も悲観的なものです。それにしても空港の問題にしても、いつも明らかになれるのは、東京と首都圏の存在の圧倒的な大きさです。東京が他の地方を全ての面で圧倒している中で、当初は期待された関空の現在の問題は、その格差を象徴しているようです。この99のうちいくつが廃墟と化すのか、著者は明確な答えを避けますが、地方並びに国家財政が緊迫する中で、経済性という観点よりも国家のインフラという角度からの再スクリーニングがカギとなるのかもしれません。

この本のオリジナリティはどこにあるのか?

投稿者takanami2009年8月17日

非常に的を射た論点で、なおかつ、データ、文書、ヒアリングなどによる裏付けもされている。新書には、筆者が思ったことを気ままに書いただけの論も根拠も何もない駄文がよくあるが、そういった本とは全く違った、しっかりとまとめられた本だと思う。

マイナス点は2つ(1つにつき星マイナス1つで)

1つは、航空政策批判が中心的な話題になっているが、それらに新しさを感じられないこと。

日本の航空政策に関する批判、特に空の自由化や成田空港に対する批判はもう20年以上前からいろんな人がしている。

この本では、静岡空港など最新の事例を紹介しているものの、そこから筆者が主張している内容は、これまでの本となんらかわっていないように感じる。もう一つは、筆者の主張に「逃げ・暈し」が多いところ。この本の最後には「この先、日本の航空業界はどのように進むべきか。最初にすべきは過去の航空行政との決別。それだけは間違いない。」

とある。確かにその通りなのだろうが、まとめの文章としてはあまりに無難すぎないか?

国際基幹空港という言葉を筆者はよく使っているが、政府がよく使用する国際ハブ空港や国際拠点空港という言葉と何が違うのか?今後望まれる日本の空港のあり方、現状に対する提案、といった点とにかくが曖昧なまま終わっている感じがする。

空港も問題だ

道路の建設や郵便貯金、それに伴う財政投融資については、正しいかどうかを別にして、様々な外部の眼が注がれてきました。それに比べて、一種聖域化して、拡大され、とうとう99にまでたどり着いたのが日本の空港の数です。著者はこの問題に様々な角度からアプローチしていますが、読後感としては戦略の失敗を戦術の工夫と改善で補うのはなかなか難しいというのが正直なところです。ここで戦略の失敗として挙げられのは成田空港の選択です。成田の問題はそれなりにいろいろな角度から取り上げられますが、やはり45年以上の前の論点を当時の政治情勢を含めて解説するのは至難の業のようです。なぜ夜間使用ができない、そして東京から60キロも離れた場所に国際空港が選定されたのかは永遠の謎のようです。もう一つの問題として取り上げられるのは、プール制をとる空港特別会計の存在です。この部分はかなり詳しく解決されますが、その将来をどうするのかは不明確なままです。オープンスカイとの関連で地方空港の現状が取り上げられますが、この将来性も悲観的なものです。それにしても空港の問題にしても、いつも明らかになれるのは、東京と首都圏の存在の圧倒的な大きさです。東京が他の地方を全ての面で圧倒している中で、当初は期待された関空の現在の問題は、その格差を象徴しているようです。この99のうちいくつが廃墟と化すのか、著者は明確な答えを避けますが、地方並びに国家財政が緊迫する中で、経済性という観点よりも国家のインフラという角度からの再スクリーニングがカギとなるのかもしれません。

赤字空港に流し込まれる飛行機運賃

 

日経ビジネスオンラインで連載されていたときから面白く読んでいたが、新書化されて改めて読むと、日本の空港の問題点が網羅されていることを実感する。本書の一番の肝は、空港整備特別会計、通称空整特会の存在だ。空整特会の補填がなければ、羽田、新千歳、伊丹以外すべての空港は単体赤字であるという。羽田の着陸料が最大の原資と言われるが、全国各地の過剰な空港建設に充てられてきたという。この、金は全国で一つの財布、運営は各空港で連携がないというちぐはぐな空港政策に問題があると見る。

 

もう一つの軸が空港間の国際競争。羽田、成田の発着数の少なさや両空港の役割分担などでもめてる間に、国際化、ハブ空港化競争に、日本は仁川、上海、スワンナプームに完全に乗り遅れた。米以外の外国航空会社に発着回数を与え、地方空港も使わせようという保護主義的な航空政策を改めるべきだと著者は言う。

 

空港政策について、豊富なインタビュー、データも交えていて面白い。「ヤメ検」など事件系に強い人だと思っていたが、事件記事で人間ドラマを描くように、今の日本の空港を取り巻く問題についてこってりと書き込み、興味を持たせる、読ませる仕上がりになっている。

この本のオリジナリティはどこにあるのか?

 

非常に的を射た論点で、なおかつ、データ、文書、ヒアリングなどによる裏付けもされている。新書には、筆者が思ったことを気ままに書いただけの論も根拠も何もない駄文がよくあるが、そういった本とは全く違った、しっかりとまとめられた本だと思う。

マイナス点は2つ(1つにつき星マイナス1つで)1つは、航空政策批判が中心的な話題になっているが、それらに新しさを感じられないこと。

日本の航空政策に関する批判、特に空の自由化や成田空港に対する批判はもう20年以上前からいろんな人がしている。

この本では、静岡空港など最新の事例を紹介しているものの、そこから筆者が主張している内容は、これまでの本となんらかわっていないように感じる。もう一つは、筆者の主張に「逃げ・暈し」が多いところ。この本の最後には「この先、日本の航空業界はどのように進むべきか。最初にすべきは過去の航空行政との決別。それだけは間違いない。」とある。確かにその通りなのだろうが、まとめの文章としてはあまりに無難すぎないか?

国際基幹空港という言葉を筆者はよく使っているが、政府がよく使用する国際ハブ空港や国際拠点空港という言葉と何が違うのか?

今後望まれる日本の空港のあり方、現状に対する提案、といった点とにかくが曖昧なまま終わっている感じがする。

無駄と迷走のオンパレード

 

国土交通相が羽田空港の国際ハブ(拠点)空港化構想を表明し、一方でJALの経営再建が世間をにぎわせている。急展開を見せている日本の空をめぐる動きからすると、既に一部古い情報になりつつあるが、このようなニュースの背景を知る上で、本書はちょうど手ごろな一冊になっている。

それにしても、読んでいて、ちょっとやりきれない気持ちになる。我が国の航空行政は、無駄と迷走のオンパレードである。しかも、特別勘定という仕組みに守られ、ほとんどが赤字とみられている全国で99もある空港の個別の財務状況はほとんど明らかになっていない。そして、あきらかに世界の潮流に遅れをとっている。また、国際会議の開催数と国際空港との関係は、この問題が日本国の国益や幅広い分野にも影を落としている可能性を感じさせる。

航空行政に重要な役割を果たしている官僚達にインタビューするなど、こつこつ取材して真摯にまとめている。さらに、韓国やタイの空港関係者にも取材をしている。後者では、仁川空港もソウルから遠いなど磐石ではなく、実態としてもハブとまでは至っていない状況も語られている。また、空の自由化は、中国などの激安航空会社の脅威にさらされる可能性を示唆している。

 

官僚主導の無能ぶりで印象的だったのは、地方空港の乱立だけではない。ルクセンブルク空港からの貨物便の関空への乗り入れを許さず、代替となった小松が大賑わいとなったというのも皮肉で印象的だった。

路線減便・廃止、空港開港、経営難は続く。

JAL危機、ANA赤字、静岡、茨城、関西国際、伊丹等々の情報に、日本の航空行政、業界、国内空港の現実、具体的問題点の把握と整理に役立つ書だ。少なくとも我々のような航空行政門外漢には問題の本質についてよく理解させてくれる。09年6月4日に富士山静岡空港が開港し、来年の10年3月11日には98番目の茨城空港が開港予定だ。大変な時期に難儀なことである。島嶼部を除き、本州や九州にこれだけ多くの空港、搭乗率保証までして乗客不足不採算の補填、アジア諸国carriersの就航頼み、空港建設に後付け説明内容の不可思議、殆どの空港の赤字実態、本当に驚きと情けなくなる。地方自治体の悲願がそうさせたのか、政治家の強い要請介入か、空港作りが目的化、まず建設ありき。活用策は後付けで考え、計画性は欠如していることには呆れ返る。空港建設に後押ししてきた社会資本整備事業特別会計空港整備勘定というプール制特別会計の存在。これまで安定的であった二国間航空交渉のreciprocal路線開設から、OpenSky政策で採算だけの就航や撤退が簡単自由な現在で、地方空港には特に国際路線が就航されない。因みに空港は、国交省管理の一種空港(羽田、伊丹、成田、関空、中部)、二種A(新千歳、福岡、那覇等主要19空港)、地方自治体の二種Bと三種、防衛省(小松、茨城)に分類される。この中で基本施設段階で黒字は、新千歳、中部、長崎、宮崎、鹿児島。地方自治体管理の58空港中、53空港が07年度赤字の由。一例で関空の07年度、航空関連収入が461億円、しかし支払利息が何と227億円、空整特会から90億円が補填されている。関西3空港(関空、伊丹、神戸)と共に、北部九州3空港(福岡、北九州、佐賀)も非常に厳しい。一方で唯一の優等生は「能登空港」であり、懸命の努力と経営の創意工夫、発想の転換がキーと。

もう日本に「空港」はいらない―「空港行政」の大胆な転換を

明年(2010年)3月、国内で何と98番目(!)となる「茨城空港」が開港する予定である。そして、ご多分に漏れず、赤字が不可避の状況らしい。今年6月、すったもんだの末、開港した「静岡空港」といい、日本の「空港行政」は一体どうなっているのか? この疑問に答えてくれているのが本書である。道路、空港、ダム…日本における公共事業の問題点が新政権のもとでも改めて議論されている訳だが、たとえば当書でも事例として挙げている「関西国際空港株式会社」に対する160億円の政府支援についてはどうだろうか?

本件に関しては、先の行政刷新会議の「事業仕分け」で「伊丹を含めた抜本的解決策が得られるまでは政府補給金を凍結」(第1WG)という評価結果が出されている(同会議HP)。この評価は、関空、伊丹、神戸の「関西3空港問題」を否が応でもクローズアップさせ、橋下徹・大阪府知事は、こうした情勢に合わせ、将来的に伊丹空港の「廃港」を公言、併せて「普天間基地移設問題」でも微妙な発言を行っている(12/1産経ニュース)。特に、一見唐突な「普天間」への言及は、神戸空港の転用を念頭に置いたものであろう。

いずれにしても、日本の航空行政は転機を迎えており、「オープンスカイ」や「アジア・ゲートウェイ構想」への対応はもとより、道路と同じような“プール制”による「特別会計」を“打ち出の小槌”とした、無計画な「空港づくり」から脱却すべきときに来ている。既に本年9月27日には、前原誠司・国交相が社会資本整備事業特別会計空港整備勘定(旧空港整備特別会計)を抜本的に見直す意向を示しているが、命を繋ぐ離島空港はともかく、赤字を垂れ流す地方空港については、廃港も含めた大胆な政策転換が求められる。

オビの「無茶!無駄!無策!」の実例のオンパレードの本

ノンフィクションライターが書く 航空行政の呆れた実態が暴かれた本

 

読んでいて、これでもか!といわんばかりの内容なのですが構成は、最初に大まかな概要を述べ、1章に静岡空港の問題を扱っています。2章では国際的なオープンスカイという流れに逆らっていること、そして成田、関空の不幸を扱っています。なぜこんな状況が続いているのかという点で、「空整特会」の存在についてふれ、世界の成功している空港を説明した上で、日本の空港への処方箋を述べようとしています。

元々インターネットの記事を新書化したものらしいのですが、それなりにしっかり調べて書いてあるのが好感を持てます。が、静岡空港は開港時が梅雨の時期だったのですが、計器着陸施設が間に合わなかったのであり得ないほどの就航率になったとかの情報の更新が無いのが少し残念です。

また、処方箋があまり有効性を感じられない内容なので、税金の垂れ流しをどのように止めるのかなどの糸口にはたどり着いていないように思えます。静岡空港には申し訳ないのですが、やはり、行政は破綻し続けていることがよくわかる本でした。あまり明るい気分にはなれないですが、現状をしっかり理解できる良い本だと思います。空港も道路も港湾も、構造はみんな同じ

形式: 新書

日本の国土は狭い。アメリカで言えばカリフォルニア州と同じ程度の広さだ。そこになんと97もの空港がある。まあ、日本には離島も多く、それぞれの島に空港があるから多いのは当然だという話もあるが、じゃあ、なぜ、閉鎖されたはずの旧広島空港が広島西空港として存続していたり、伊丹空港の騒音がうるさいからと地元の人が繰り返し抗議するので、わざわざ関西新空港を海の上に無理して作った途端、伊丹空港閉鎖反対運動がその地元から沸き起こったり、返す刀で関空と目と鼻の先にある神戸に新空港が出来たりする不思議が起きてしまうのか。成田空港の目と鼻の先にある自衛隊百里基地を拡張して茨城空港を作る必要があるのか。それに、おお、あの、お馬鹿な、静岡空港があるではないか。わざわざ霧深い山奥に建設し、静岡県のどこからもアクセスが良い県のど真ん中に立地する静岡空港。どこからもアクセスが良いというのは、「どこからも遠い」と同義であることを地元の利用者はみんな知っている。亀井静香議員の実家に15分で行けるということから、別名「亀井空港」と呼ばれる新広島空港もそうだ。旧空港は広島港にあり、マツダまでタクシーで20分でいけたが、新空港になった途端、タクシーで最低1時間1万円もかかることになってしまった。どうしてこういうことが起きるのか。それは「1県1空港」という田舎者のおねだりを正当化する「空港特別会計」というものがあって、一言で言えば、羽田や成田が稼いだ離着陸料、日本の航空会社が消費した航空燃料に上乗せされている税金が「全国プール」され、それが掴みカネよろしく盛大にばら撒かれたからだ。空港特別会計は、いまでこそ全部羽田の拡張用に使われているが、なんで今頃羽田の拡張を行うんだ。日本全国に使われない赤字空港を建設し終わって、「もう、お腹いっぱいです」となって、はじめて「羽田をハブ空港に」なんて言い出しても、タイミングが遅すぎるのではないか。

 

しかも、日本の空港はほとんど全部赤字である。今や羽田空港でさえ赤字だ。ただ赤字なのは国が運営する空港本体だけで、空港ビルを運営する別会社(ここには大量の運輸官僚の天下りがいる)や、空港隣接の駐車場を利用する駐車場管理会社は莫大な黒字を計上し、法外な天下り官僚への給与賞与を支払い、なお使い切れなかったカネが剰余金として2300億円もプールされているというのだからお笑いだ。これじゃあ、あの天才政治家小泉純一郎さまが民営化する前の道路公団と構図は全く一緒じゃないか。道路公団本体は赤字で、国から補助金をもらってその赤字を穴埋めする一方、公団にぶら下がるファミリー企業は大儲け大黒字。しかも羽田の場合、駐車場ビルがP1からP5まで5棟あるんだが、1、4、5は空港とは別会社の日本空港ビルディングが経営管理し、2、3は財団法人空港環境整備協会が運営している。何のことはない。いながらにして駐車場収入を確保できる利権を2つの法人で分け合い、天下りポストを増やしているわけだ。当然、それぞれに社長がいて理事長がいる。 

便利と評判の福岡空港が実は旧米軍基地で、沖縄同様米軍基地時代から底地を空港に賃貸している「地主さま」がいらっしゃって、この地主様に支払う法外な地代が原因で福岡空港は「赤字」なんだというから驚きだ。 


しかしなんといっても諸悪の根源は成田空港に居座る空港反対派住民と、それを「支援」なさっている全共闘崩れの過激派どもだろう。こいつらが日本の空港行政を如何にゆがめ、日本国民に莫大な負担を強いていることか。「成田空港は遠い」と皆が言う。しかしこれはオオウソで、実は東京駅と成田は新幹線で直結され、東京駅から15分でいける便利な空港になるはずだった。それが最終的に中止になったのは成田の反対派ノーミンが過剰な権利を主張し、これに中核派らが加勢してテロを繰り返していたからだ。私は今でも「人間の鎖」を編成して、成田に居座る空港反対派の住居を包囲し、「お前ら、成田か出て行け」「空港反対運動をやめろー」とシュプレヒコールをあげたいと思っている。成田空港反対派を一掃し、成田空港を24時間稼動にし、滑走路を5本建設すれば、日本の空は一変するのではないか。 


成田羽田という日本の玄関の整備をないがしろにし、関西に要りもしない空港を三つもつくって、返す刀で需要の無い田舎に小さくて不便な空港を矢鱈滅多ら建設して、しかもそこへ日本航空の便を無理やり誘致するから日本航空は誰も客の乗っていないガラガラの飛行機を飛ばし続けて大赤字に転落し、ついに進退窮まるところまで来てしまった。これすべて日本航空が田舎代議士のおもちゃにされ、田舎モノのおねだりを実現する手段としてもてあそんだ結果である。私は日本航空は日本の政治家の手の届かない外資に売り飛ばして、健全な経営に復帰させるのも一法だと思っている。もちろんこれも日本航空が外資にもてあそばれたあげく捨てられるリスクもあるわけなんだが。 


それでも「ちょっといい話」も、無いではない。伊丹空港閉鎖反対を叫ぶ住民の声は聞かせる。なぜ彼らが伊丹空港に反対したかといえば、大騒音を撒き散らすコンコルドみたいな迷惑な飛行機がじゃんじゃか飛ぶことを想定していたからであって、今や技術が大幅に進歩し、最近のジェット旅客機はボーイングにしろエアバスにしろ昔のYS11程度の騒音しか出ないので受容可能なんだそうだ。今、羽田のD滑走路の完成がまじかだが、早くも千葉県浦安市の住民たちが「騒音被害」を訴えはじめている。伊丹の連中がうるさいと感じないはずの騒音をどうして浦安の住民がうるさいと感じるのか。ここはひとつ大阪の伊丹市から千葉県の浦安市にご出張願い、羽田がうるさいとバカを言い出している浦安の住民たちに伊丹市民の皆様に説教していただきたいものだ(笑。 


それにしても、どうして日本中にこんなに空港を作るのか。私は、これらの裏には中国の侵略に備えての「高度国防国家建設」に向けたグランドデザインがあるのではないかと疑っている。百里基地を拡張するというと近隣諸国の警戒を招くが、茨城空港を併設するといえば警戒されなくて済む。そして気がついたらB52もB2も自由に離発着出来る空軍基地が、横田基地とは別に首都圏にもあるというわけだ。そうでも思わないと、ここまで空港を建設した理由は説明できないであろう(大笑。

なんの提言もなしかい?


ルポルタージュであれば良くまとめられているとおもう。

こういうのが本当のドキュメンタリーなのかもしれないが作為がないとはいっても、他国(アジア地域)との比較ばかりを引くだけで、日本の空港がいかに見劣りするかといったような記事ばかりが目立つ。国内に90の空港があるというが、日本をアジアに置き換えてみればわかるがアジア地域内で「オラが国こそがハブ空港だ」とそれぞれの国が名乗りを挙げ、ハブ空港の覇権争いをしているということは国内の空港建設ラッシュと意味を同じくしていないかという疑問が絶えずつきまとった。

アジア地域内でスポークの役割を担うという国がないことが不思議で仕方がなかった。これこそが空港という事業が国の威信をかけてのお祭り騒ぎであることを如実に表してはいないか?


第一回目の事業仕分けで「科学インフラ」に使われる予算が仕分けの対象となり大騒ぎであったが、これこそが今の日本が陥っている「過去の栄光」にしがみついている姿であろう。科学技術にしても国内の空港の数や日本がハブ空港としての役割を果たす事にしてもそうだがアジアで覇権を取る事に今だ拘り過ぎていないか?ということである。

科学技術の開発にしてもオープンスカイであってもアジアの中で日本の役割をもっと身の丈にあったものとして捉える事ができないのがいまの不況風を吹かせているような気もする。

9段階の航空自由化の態様のなかで日本の役割とすれば7、8、9段階を担えばいいのではないか?「日本にハブ空港はいらない」と元運輸事務次官の黒川氏が言ったように筆者もそうおもう。

国内の空港がアジア地域のハブの役割を果たすことや、海外から荷物や人が流入することが経済効果を与えるというのは今だ発展途上にある国の考える政策だとおもうのだが、過去の空港行政で冒した間違いの同じ轍を、国際・アジア地域内でまたも踏むのかという懸念が残った。

エアラインを題材としているライターには書き得なかった、日本の航空行政のおかしさ エアライン系の本を何冊も読んでいるが、航空会社の統合・グループ化やLCCなど格安航空社紹介といった消費者目線の本は沢山ある者の、払税者としての視点から空港を書いたものは初見であり、興味深く読んだ。

空港整備特別会計など国交省関連の5つは既に社会資本整備事業特別会計として統合済みだが、他にも特会は2011年度末までに17になるとはいえ、現在21ある。

国道はB/Cを計算しなおした後、一旦凍結し、車線縮小などを行い凍結解除したり、一見キチンと検証しているようだが、そもそもB/Cの計算式自体ブラックボックスで、空港整備特別会計でも全ての空港の財務をまとめ、07年まで空港ごとの財務諸表が作成されていなかった。

 この後、独立行政法人化等の検討を行う方針も示されているが、着陸料やテナント料だけでは、仮に建設費など今までの赤字をチャラにしても羽田・新千歳など数空港以外は毎年赤字決算であろうし、日・米軍民共用である事から航空管制業務についてもたやすく解決するまい。

つまり本書で指摘されているような、「空港さえつくれば、航空会社が路線を開設してくれ、赤字は国や地方自治体が面倒を見てくれる」とばかりに、鎖国政策で赤字垂れ流しが続くということだ。

仁川と比べても分かるように、既に日本はアジアのハブ空港としては利便が悪すぎ、今後素通りされる可能性が大だ。

能登や小松の成功例もあるが、関空のように中心部から不便で、高価な橋を使って空港に自治体事務所などを設置するとは、いかな橋下知事でも南港WTC移転も議会では否決されている状況では言いだせまい。

1987年に発表された『すばるプラン』では、関西に琵琶湖など新たな8空港建設が謳われていたところ、神戸だけで頓挫した事から見れば、修正されたというべきか。

いずれにしても赤字垂れ流し空港を使い続けるのか、清算して他の用途に使うのか、JALを倒産させてでもアジアのハブとして門戸を開くのか、類書が希少な中、新書で出版された意義をかい、甘めだが満点とした。

13:06 2016/01/04 


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