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2020年11月

2020年11月 9日 (月)

メガ・リスク時代の「日本再生」という希望・生駒市公務員の終身雇用制度は10~15年で崩壊する小紫雅史

第1章 市民を単なる「お客様」にする自治体は崩壊する

・1,まちづくりに汗をかいてもらう方が市民満足度と定住意向が高い!


・12頁・2022/03/15 9:23・

私の手元に一つの統計があります。

・生駒市において市民の定住意向や満足度と、「まちづくりや地域の活動に参加意向があること」との間に正の相関があることを明らかにした統計です。

・まちづくりの活動に参加したいと考える市民や、実際に自治会やボランティア活動に参加している人の定住意向や市民満足度は、どうでない人よりも有意に高くなっています。市民を単なる「お客様」にするのではなく、市民にもまちづくりに汗をかいてもらえる町の方が、市民満足度も定住意向も高まるのです。

・私のまちづくりにかける思いは、このデータによって確信に変わりました。


・13頁・2022/03/15 9:34

・生駒市民満足度調査が示すもの

・平成29年度の生駒市市民満足度調査を基に、「あなたは、まちや地域をより良くしていくために活動したいと、どの程度思いますか。」という設問と、定住意向や満足度との相関を分析すると、まちづくり活動をしたいと強よく思う人の定住意向は72,9%、満足度は5,48%(7点満点)でした。一方で、まちづくり活動を全くしたくない人の定住意向は26,8%満足度は3,73%でした。

・つまり、まちづくりや地域作りに関心がある人、実際に活動している人は、その町に対する満足度も高く、住み続けたいという意向も強い傾向にあると言えます。

・定住意向が強い人が地域活動に取り組む傾向が強いのは当たり前だと思うお方もいるかもしれません。しかし、生駒市のような住宅都市に住む人は、その利便性や自然の豊かさなどを定住の理由と考える人も多いので、定住意向や満足度が高くても地域活動に関心のない方がむしろ多いとも考えられるのです。

・14頁・2022/03/15 14:16

・その中で、地域活動と定住意向や満足度にかなり明確な正の相関が出たことは嬉しいことでもあり、市民と共に汗をかいて進める「自治体3,0」のまちづくり、と言う生駒市の方針が間違いないという一つの根拠となっています。

(平成29年度生駒市民満足度調査)

zentai1_8.pdf (ikoma.lg.jp)

生駒市市民満足度調査 | 生駒市公式ホームページ


2022/03/10 · 令和3年度 市民満足度調査(簡易版)について. まちづくりの基本指針となる第6生駒市総合計画の基本構想では、将来都市像として「自分らしく輝けるステージ・生駒」を掲げ

・市民に動いてもらった方が満足度が高くなる

・生駒市は、今、全国の自治体関係者から大きな注目をいただいています。

・各種の先進的な施策はもちろんですが、その根幹にあるまちづくりの大原則「市民と行政がともに汗をかきながら進める楽しいまちづくり」と言う方針と、それに基づく取り組みが、これからの地方創生時代の自治体に大切な示唆を与えられているからだと考えています。「各種の補助金が充実しているから」と言うだけの理由で、すむ自治体を選んだ市民は、それよりも多くの補助金を支給する自治体があればそちらに移ってしまう可能性があります。


・15頁・2022/03/15 14:28

・移るまではしなくても、その後、行政に対し、「他の町と比べてうちの町の取り組みは遅れている」「こんな町に住むんじゃなかった」などという気持ちを抱えたまま住み続ける市民となります。

・もちろん、自治体の責務として、市民ニーズに応え、他の自治体に負けないような取り組みを進めることも必要でしょう。それでも、細かな施策の一つひとつを見て時に、すべての項目で他市よりも進んだ取り組みをすることは不可能ですし、そんなまちづくりを目指す必要もありません。市民のニーズを踏まえて行政経営にメリハリをつけ、行政だけで出来な分野は市民や事業者の力を借り、結果としては他の地自体に負けないまちづくり、市民が納得できるまちづくりを進めればよいのです。

・市民が参加する形で子育て支援の取り組みが進められている地域は、行政による子育て支援に加え、行政だけでは応えきれなかった市民の子育てニーズに、市民が自ら応えるための取り組みを行って下さいます。

・自分たちの活動で他の市民を幸せに出来た、笑顔に出来たと感じた市民たちは、まちづくりに自分の足跡を残すことが出来た喜びを感じ、よほどのことがない限りその地域を離れることはありません。地域に対する愛着がわき、活躍している自分の誇りに感じ、何より日々の生活が楽しく充実しているからです。


・16頁・2022/03/15 14:59

・生駒市でこのような人が増えていることが、冒頭お示ししたような統計の結果にも表れていると確信しています。そして、これからの自治体が目指すべきは、次の四つの基本的な方針だと考えるようになりました。

・「まちづくり活動を通じて、市民が町に愛着と誇りを持って住み続ける町」

・「市民が、自分たちの課題を自分たちで解決しようとする町」

・「まちづくりに奮闘する市民を行政や他の市民が応援し、共に汗をかける町」

・「行政でしか出来ないことは、他の町に負けないよう、行政も奮闘する町」

・すなわち、市民を単なる「お客様」にするのではなく、市民と行政が「ともに汗をかいて進めるまちづくり」。私はこのようなまちづくりを「自治体3,0」と呼び、今後の地方創生時代を生き抜く自治体が最も大切にしなければならない、まちづくりの大原則であると確信しています。


・17頁・2022/03/15 15:06・

地域活動への参加状況と定住意向、

満足度の関係性

 

 

 
 

活動種別

定住意向

 

総合的な住みやすさの満足度

   

「現在のところずっと

住みつづけたい」

と回答した割合

 

「1、非常に不満」~「7,非常に満足」の7段階評価の平均価値

自治会活動

よく参加している

64,6%

 

4,94点

 

現在も今後も

参加するつもりはない

37,%

 

4,69点

地域の清掃・美化・活動、

よく参加している

63,4%

 

4,99点

リサイクル活動

現在も今後も

参加するつもりはない

36,7%

 

4,99点

福祉、子育て、観光など

よく参加している

57,9%

 

4,84点

各種ボランティア活動

現在も今後も

参加するつもりはない

46,2%

 

4,74点

全ての活動

いずれかによく

参加している

61,1%

 

5,02点

参考、全体

 

51,6%

 

4,90点

令和4年3月29日


金子×飯田の言いたい放題】既得権益「電力」を粉砕せよ!地方から始まる「日本再生」 再エネが変える日本 20201024ビデオ

6:48 2020/11/09


引用・

??42頁・事実上、タダの電源・??

メガ・リスク時代の「日本再生」戦略 ――「分散革命ニューディール」という希望 (筑摩選書) (日本語) 単行本(ソフトカバー) ? 2020/9/17

飯田 哲也 (著), 金子 勝 (著)巨大リスクに直面する現代日本。いつ収束するのか見通せない新型コロナウイルスの世界的流行。記録的な豪雨による深刻な水害など地球規模の気候変動。情報通信分野の立ち遅れと情報セキュリティの不備―。衰退する一方の産業をどう立て直し、雇用創出をどう実現するか?私たちの暮らしを守るには何が必要か?世界的な潮流となっている再生可能エネルギーを軸とする、地域分散ネットワーク型の経済社会へと転換することで、「ガラパゴス・ニッポン」から脱却できると説く希望の書!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

飯田/哲也

1959年山口県生まれ。京都大学大学院原子核工学修了。東京大学先端研博士課程満期退学。原子力産業従事後に「原子力ムラ」を脱出、北欧での研究を経て、2000年に認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)を設立。FIT法起草、市民ファンドやグリーン電力証書の構想と導入、ご当地電力立上げなど、自然エネルギー社会変革の第一人者。著書多数

金子/勝

1952年東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

発売日 : 2020/9/17

単行本(ソフトカバー) : 214ページ

出版社 : 筑摩書房 (2020/9/17)

未来のエネルギーシフトの指南書2020年9月28日に日本で

二人の異分野の専門家がタッグを組み、日本の未来のエネルギーシフトの方向性を示している良書。再生可能エネルギーの世界の潮流から学ぶ方から、エネルギー業界の関係者に読んで頂きたい。


5.0 エネルギーを自らの手に2020年11月1日に菅政権はデジタル化や脱炭素化を掲げています。それはどんな方法を用いてどのような過程で排出ガス0を目指すのか明確ではありません。この本は経済から地球環境までの行く末やこれから私たちが向かうひとつの筋道が記載された一冊です。

16:20 2020/11/09・


引用・メガ・リスクの時代の日本再生・40頁・「クリーンな純国産エネルギー」再生可能エネルギーについては、世界でも日本でも、これまでずっと長い間、次のように言われてきました。「再生可能エネルギーはクリーンな純国産エネルギーだが、コストが高くつくだけでなく、電力供給の面でも不安定。しかも規模が小さいから、発電量は全体のごく一部を占めるにすぎない、取るに足らないエネルギーだ」と。

今でも「専門家」を含めて少なくない人たちが、再生可能エネルギーについて、このように思っているのではないでしょうか。特に日本では、こうした見方は「常識」となっていると言っていいでしょう。

ですが、この通説のほとんどが、今となっては完全に時代遅れとなり、再生可能エネルギーに対する認識としては根本的に間違っているのです。


??42頁・事実上、タダの電源・??

44頁・コストについては、もう一つ重要な点があります。それは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーは燃料費がゼロだと言うことです(バイオマスを除く)。その結果、初期投資分を回収し終えた後は、わずかな維持費だけで済むという、

?事実上タダの電源になるのです。

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21/11/2 10
時30分



公務員の終身雇用制度は10~15年で崩壊する小紫雅史:奈良県生駒市長  

写真はイメージです Photo:PIXTA

公務員の終身雇用が崩壊するのは当然のこと

先日、私は生駒市での体験に基づき、『10年で激変する!「公務員の未来」予想図』(学陽書房)という本を出版しました。その中で「公務員の終身雇用は確実に崩壊する」と書きました。これは大げさでもなんでもなく、少し考えてみれば当たり前のことです。

 終身雇用が崩壊するからこそ、公務員は、今まで以上に地域や社会に必要とされる人材となるために経験を積み、成長しなければなりません。

 役所も、職員に対しては社会変化の中で活躍できる公務員に成長できるよう、また、仮に公務員をやめても食べていくことができる人材に成長できるよう、挑戦の機会を与え、成長を促す義務と責任がこれまで以上に大きくなります。

 地方公務員法第27条第2項には「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、もしくは免職されず…」という身分保障に関する規定があります。しかし、私は公務員の終身雇用は10~15年後、2030年から2035年をめどに崩壊していくと見ています。それにはいくつかの理由があります。

 

 第一に、単純に多くの公務員を雇用し続けることができない財政状況になることです。

 人口減少や高齢化、行政課題の多様化などに伴い、自治体の財政状況は厳しくなります。財政状況が比較的良好で、高齢者の介護予防の先進的な取り組みが高く評価されている生駒市でさえ、約360億円の一般会計予算に対し、毎年約3億円の社会保障経費が増え続けます。10年で30億円、そのインパクトはすさまじいものがあります。収入の増加にできる限りの知恵を絞り、他の支出も下げていくことが不可欠ですが、人件費の削減も例外ではありません。

 第二に、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)の普及、外部委託の増加により、職員がやるべき業務が大きく減少することです。

 定型業務などをAIが行うようになれば、適正な職員数が今と大きく変わります。今は一部の自治体で実証的な事業が始まっていますが、10年も経てば相当の自治体業務はAIやICTの活用により対応可能になっているはずです。

人材の過度な同質性をあえて乱す必要がある

 第三に、今後の急激な社会変化や市民ニーズの高度化・多様化等に対応するには、プロジェクトごとに外部から専門家を登用するほうが合理的になるからです。

 新卒で採用したプロパー職員を40年近く全員雇用し続けるのではなく、課題に応じて職員を一定割合入れ替えていく「流動的」「弾力的」な組織運営が不可欠になります。

 実際に、すでに職員採用に社会人経験枠を設けたり、年齢制限を撤廃するなど、より多様な人材を求める動きはすでに始まっています。法令で定められた仕事をミスなく遂行することが求められる時代には自治体組織の同質性が大きな武器となっていましたが、地方創生時代に新しい挑戦が求められる今、年齢に関係なく地域に付加価値をもたらすことのできる職員を抜擢したり、中途採用者などの多様な視点を組織に持ち込んだりして、過度な同質性をあえて乱しにいくことが不可欠なのです。

16:27 2019/06/02終身雇用崩壊時代に「自治体」がやるべきこと

 自治体側にも職員の成長を支援する構えが必要です。終身雇用崩壊の時代においても、職員が地域から必要とされるよう、また、仮に公務員をやめてもしっかりと食べていくことができるよう、若いうちから十分な機会を与え、成長を促す義務と責任がこれまで以上に大きくなるのは当然のことです。

 前述した「始動力」「協創力」をしっかりと身に付けることのできる機会を、仕事の中でも研修でも確保するのはもちろん、職員が地域に飛び出し、市民とのコミュニケーションの中で成長することを支援しなければなりません。

  具体的には、始動力を伸ばすため、若い職員にもどんどん仕事を任せることです。生駒市も以前は、政策形成・実践研修の受講対象は入庁15年目前後の職員でした。今はこれを入庁2~3年目の職員と一気に対象年齢を下げ、新しい取り組みを若いうちから考え、実行するための支援を行っています。

 また、実際の仕事の場でも、小さなことから若手職員が自分の裁量で進められる仕事を与え、任せることも大切です。私はこれを「自分プロジェクト」と呼んでいますが、組織の方針にしっかりと沿う形であれば、組織のメンバーがどんどん自分でプロジェクトを考え、行動に移していけばよく、そういう行動をできる人こそが、官民問わずこれからの時代に必要とされる人材なのです。

副業をやる人間ほど本業の重要さを理解している

 協創力を伸ばすためには、「地域に飛び出す公務員」を支援することです。

「地域に飛び出すなんてまだ早い。本業をちゃんとできるようになってからにしなさい」という言葉をよく耳にしますが、この言葉は一見正論のように見えて、部下の成長を止める「悪魔のフレーズ」です。

 そんなことをいちいち言われなくても、地域に飛び出す活動をしている人は、「本業も今まで以上に頑張らないといけない」なんてことは当然分かっています。地域活動がやりたいという部下には、むしろどんどん副業をやらせたほうが本業でも伸びるはずです。

 理想的には、支援するだけでなく、上司自らが地域に飛び出す姿を部下に見せることです。地域活動をしたくても「やってもいいのかな?」と迷っている部下にとって、地域で活躍する上司の姿は最高の見本であり、安心材料。若手が地域に飛び出すための背中を温かく、力強く押してあげる上司になることが求められています。

 生駒市では、職員の地域に飛び出す活動や、それを支援する上司の部下育成の行動を、人事評価の項目に盛り込んでいます。そうすることで職員本人はもちろん、上司も組織も、地域に飛び出すことをプラスにとらえ、しっかり応援する意識と行動をとれるような仕組みを作っています。

 逆にいえば、職員に成長の機会を十分与えられない自治体は、キャリア形成の視点から見て魅力がなく、新しい時代において、働く場として選ばれなくなるでしょう。

(奈良県生駒市長 小紫雅史) 

https://diamond.jp/articles/-/204086?page=5

16:32 2019/06/02&Analysis

2019.1.13

市民と行政がともに汗をかかない自治体は崩壊する

小紫雅史:奈良県生駒市長  

奈良県生駒市役所

市民を「お客様」にする自治体に未来はない

 『10年で激変する!「公務員の未来」予想図』 小紫雅史著 学陽書房刊 1600円+税

 先日、私は生駒市での体験に基づき、「10年で激変する!『公務員の未来』予想図」(学陽書房)という本を出版しました。

 その中で一番伝えたかったことの1つが、「市民を『お客様』にしてしまう自治体に未来はない」ということです。

 すでに現在進行形で、市民ニーズや行政課題が一


気に多様化・専門化している一方で、自治体の予算は厳しさを増し、職員数は減少の一途をたどっています。他方、このようなニーズや課題に対応できる事業者、専門家、NPO、市民なども確実に増えています。

 したがって、これからの自治体は、「市民を単なるお客様扱いせず、まちづくりに汗をかいてもらう」「事業者をパートナーとして積極的にまちづくりに力を借りる」ことを意識して行動することが不可欠なのです。

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 私は、このように、市民を単なる「お客様」にせず、市民や事業者とともに汗をかきながらまちづくりを進めることができている街を「自治体3.0」と呼び、地方創生時代の自治体が目指す理想的な方向性と位置づけています。

自治体1.0はいわゆる「お役所仕事」をしている自治体

 では、どうしてこのようなまちづくりが不可欠なのでしょうか。自治体1.0や自治体2.0との違いに触れながら、その理由や意義を説明します。

 まず、自治体1.0とは、人口減少や少子高齢化をはじめとする社会の大きな課題や財政危機等に直面してもなお「もうしばらくは何とかなる」「仕方ない」という自治体で、地方創生を形にしようという気概からはほど遠く、接遇にすら問題を抱える自治体です。メディアが「お役所仕事」として自治体を語るときのイメージがこの1.0の自治体です。

 これに対し、自治体2.0とは、自治体1.0に対する市民やメディアからの批判が集まる中、「改革派」といわれる首長が登場し、民間企業のスピード感やコスト意識を持って、財政再建・行政改革などに取り組む自治体です。首長のトップダウンの下、「市民はお客様」という意識での接遇改善を進め、スピード感を持って市民ニーズに応え、一定の成果を出している点は評価されるべきことです。

自治体2.0は民間企業のスピードと

コスト感を持って取り組むが課題も

 改革派首長に率いられた自治体2.0には多くの課題も顕在化しています。

 第1に、職員数が減り、予算が厳しさを増す中で、多様化・専門化する市民ニーズのすべてに対応することは不可能だからです。「市民はお客様」「行政は市民のニーズに全力で応えます」という発想自体が、現時点ですでに立ち行かなくなっていることは明白であり、無責任とすら言えます。印刷

 第2に、自治体2.0では、改革派首長のトップダウンが強く、首長や行政が何とかしてくれるという「お上に頼る」市民意識を助長してしまうことが最大の問題です。まちづくりは自分たちでやった方が楽しい、より良い街にできる、ということに市民が気づく機会を行政が奪ってしまうことになりかねません。

 さらに言えば、首長のトップダウンが強いと、職員の意識改革や自主的な行動が育ちにくいことも課題となります。トップの指示に応えることで精いっぱいの職員が増え、首長が変われば元の木阿弥と言うことにもなりかねません。

自治体3.0は「自主自律」がベース

 このような自治体2.0の限界を突破するために必要なのが「自治体3.0」です。

 私がこの考え方に至った経緯には、昨今の激動する社会変化が大きく関係しています。

 前述のように、多くの自治体では、財政的にもマンパワー的にも、自分たちだけで、専門的で多様化する市民ニーズに対応することは不可能になっており、市民や事業者、専門家の力や知見を借りることが不可避となっています。

 一方で、街に飛び出し、いろんな市民や事業者と話したり、活動の現場を見れば見るほど実感するのですが、リタイア層・主婦層の地域デビューや学生等による地域活動への関心の高まり、実学志向、事業者によるCSVなど、まちづくりの担い手は従来と比較にならないほど広さも厚みも増しています。

 このような背景を踏まえれば、自治体が今後採るべき戦略として、行政しかできない課題には自治体2.0のスピード感を持って取り組みつつ、それ以外の課題には「みんなの課題はみんなで解決」を基本として、市民などにも積極的に汗をかいていただき、行政に足りない専門性なども補完いただきながら、「市民力=地域愛+まちづくりへの行動力」を最大限生かしたまちづくりを進めていくことは極めて自然な流れです。良県生駒市長  

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市民に動いてもらったほうが満足度が高くなる

 さらに言えば、単に「まちづくりに市民や事業者の力が必要」と言うだけではなく、市民に汗をかいてもらってまちづくりを進めた方が、「市民の要望に応え続けるよりも市民満足度や定住希望率が高くなる」と私は考えています。

 例えば、各種の子育て補助金を支給する自治体を選んだ市民は、それよりも多くの補助金を支給する自治体があればそちらに移ってしまう可能性があります。しかし、子育て支援の取り組みが官民連携して進められ、特に自分も参加して子育てサークルを運営したような市民は、よほどのことがない限りその地域を動くことはありません。街に対する愛着がわき、活躍している自分を誇りに感じ、なにより日々の生活が楽しいからです。

  生駒市に関して言えば、音楽に造詣の深い市民が多く、音楽コンサートを毎年開催してきました。それだけでも市民には評価していただいていたのですが、市民からは「クラシックだけでなくジャズも聞きたい」「子ども連れで聞けるコンサートはできないか」などの多様なリクエストがありました。そこで生駒市では、コンサートそのものを市民にプロデュースしてもらう「市民みんなで創る音楽祭」をスタートしたのです。その結果、クラシックに加え、ジャズや和太鼓、民族音楽など多様なジャンルに広がり、厳粛に聴くコンサートから、子どもたちが泣いたり走り回ってもOKのコンサートまで、内容が多彩になりました。観客数も大きく増加し、観客の満足度も高まったほか、企画した市民や参加した市内在住の音楽家などが、まちづくりに協力してくださることも増えてきました。

市民がまちづくりに参加する機会や方法の多様化

 市民がまちづくりに参加する方法もどんどん多様化しています。

 従来からある自治会活動やPTAなど地域別の活動に加え、子育て・福祉・教育・環境・生涯学習、産業振興などあらゆる分野ごとに、イベントやセミナーなどが一気に増えてきました。

 また、個々の分野における活動にとどまらず、行政を補完してまちづくり人材をつなげたり、イベントに参加した人を企画者・実行側につなぎこむような「ハブ」「人材発掘・育成」機能を果たす団体・個人も出てきました。市内のまちづくりの取り組みを内外に発信する「広報」活動を展開する市民もいます。

 さらには、活動ではなく、寄付などの形で市や市民の取り組みを応援する人や、それを活用して活動を一歩先に進める団体も増えています。

 生駒市では、地域別の活動に分野別の活動をつなぎこんだり、活動や寄付以外に市民がまちづくりに貢献できる方法(データの提供など)の検討を進めています。

市民に汗をかいてもらうためには行政の「覚悟」が不可欠

 このような「市民に汗をかいてもらう」まちづくりを行政が口にするには、ある種の「覚悟」が必要です。市民に負担を求める以上は、行政でしかできない仕事は他の自治体に負けないスピード感と高い質で実施することが必要だからです。そうしないと、市民に「税金払っているのにどうして市民が汗をかかないといけないのか」という不満が募ります。行政が市政に真摯に取り組み、その頑張りを市民にしっかり発信・周知することにより、「自分たちでできることは自分たちでやろう」と言う気持ちを市民に持っていただく努力も必要です。

  同時に、市民が汗をかいてまちづくりをしてくれている現場に市長をはじめとする行政職員が顔を出して感謝しつつ、それに負けないように、行政職員ももう一歩先の取り組みを具体化し、さらに市民の信頼を勝ち取る。このような市民と行政のまちづくりに汗をかきあう好循環、信頼関係を深め合う動きが自然と起こっている地域だけが、地方創生時代に生き残ることができるのです。

自治体3.0時代に必要な公務員像とは

 行政職員も自治体3.0に対応できるよう進化を遂げなければなりません。

 市民などに汗をかいてもらうべき業務を見極め、その担い手を発掘し、対話やワークショップなどを活用して信頼関係を築き、取り組みを具体化していく力が求められます。

 これからの行政職員、特に市町村職員は、まさに「まちの営業マン」とならなければいけないのであり、市役所にこもってばかりでまちに飛び出さない行政職員は将来仕事がなくなります。生駒市は、仕事以外でも、職員がどんどん地域に飛び出すこと、場合によっては報酬を得ることも積極的に推奨していますが、職員が市民として地域活動をすることが、仕事においても市民との信頼関係構築や、まちづくりの具体的なアイディアなどの面で大きくプラスになると考えているからです。

 市民を単なる「お客様」にする自治体ではなく、場合によっては市民にも汗をかいてもらい、ともにまちづくりを楽しめる自治体、そういう信頼関係を市民としっかり創り上げていける自治体こそが、地方創生を具体化することができるのです。

 16:40 2019/06/02

2018.12.9

 採用応募数を4倍に伸ばした生駒市長の人材確保戦略

小紫雅史:奈良県生駒市長  

写真はイメージです Photo:PIXTA

この秋、経団連の中西宏明会長が就職協定に基づく採用活動・就職活動のルールの廃止を決定したことが大きなニュースとなりました。「一日でも早く優秀な人材を確保したいという企業の強い思い」と、「学業に専念する環境整備」の微妙なバランスの上に定められていた従来のルール。その廃止は、外資系企業や新興企業に人材確保で後れを取りたくないという経団連の大きな決断であり、組織としてはある意味当然のことでしょう。

私は、2015年より奈良県生駒市長として、人材確保に向け様々な施策を展開してきましたが、行政の世界では、一日も早く優秀な人材を確保したいという想いを強く感じる自治体は数えるほどしかないのが現状です。採用説明会すらしない自治体の方が多い現状では、地方創生なんて夢のまた夢です。

どうして自治体の採用はこのような状態になっているのでしょうか。その理由は大きく2つです。

採用に力を入れても首長の評価につながりにくい

 第一に、採用に力を入れても首長(都道府県知事、市区町村長)の評価につながりにくいからです。首長の任期は4年。採用に力を入れても年功序列の強い行政組織において、採用した新人職員が成果を上げ始めるのは少し先の話です。首長にとっては、選挙にプラスにならないと考えられているため、採用業務に力を入れるモチベーションが働かないのです。

 もう一つは、自治体の業務の特性です。これまでの自治体は、国に指示されたり、制度に定められた方針をミスなく確実に遂行することが最大の仕事でした。したがって、創意工夫や行動力というよりは、確実性や事務処理能力が必要とされてきたのです。このような業務であれば採用に力を入れなくても何とかなっていました。なぜなら、「転勤がない」「安定した地位や身分制度」などの雇用条件に魅せられた学生が一定数受験し、それなりに事務処理能力のある人材を採用できてきたからです。事務処理に長けた人材だけでは、自治体が衰退する

 しかし、今後、このような採用方法を続ける自治体は消滅していきます。これからの自治体は、「地方創生」のスローガンの下、国からの補助金などが徐々に減らされる中で、多様化する市民のニーズに応え、自治体経営に必要な収入を稼ぎ、コストをゼロベースで削減する覚悟が求められます。このような劇的な変化に対応するためには、単に国や制度に基づく方針を無難にこなすだけの人材では全く不十分です。地域のニーズを見極め、資源を活用しながら、新しいことに取り組む、「ゼロから1を生みだす」人材が不可欠になっています。

「安定しているから公務員になりたい」というような人材を採用してはいけないのであって、地域に飛び出して市民や事業者、専門家などと意味のあるつながりを築いたり、AIやIT技術、ロボティクスなどの最先端の動きを学んで地域の課題解決につなぎこんだり、リスクを恐れずに新しい挑戦を進めたりできる人材を、なりふり構わず確保しに行かなければならないのです。

奈良県生駒市の採用倍率を関西首位に押し上げた施策

 このような認識に基づき、生駒市では私が副市長として着任した直後から採用改革を進めてきました。結果、受験者数はそれまでの4倍以上となる毎年1000人を超え、全国トップレベルの倍率となっています(全国8位、関西1位。採用者数が20人以上の自治体では全国トップ:日経グローカル(NO.307、1月2日号))。生駒市よりも人口規模などが大きな自治体や民間企業に内定が出ていた人が、生駒市を選んでくれることも増えてきました。

 生駒市の採用改革は、以下の大きく3点に整理されます。 

第一に、従来の公務員試験の常識を根底から破壊したこと。具体的には、公務員試験を廃止してSPI3を導入したことで公務員にも民間企業にも興味がある学生に受験の門戸を広げました。あわせて国家公務員や都道府県試験よりも後で行うのが慣習とされていた市役所の職員採用試験の日程を改め、全国で最も早い4月1日から募集開始し、優秀な人材を先手必勝で確保しに行きました。さらには、採用説明会を質・量とも充実させ、各大学での開催はもちろん、公務員予備校などでも説明会を開催し、すべての説明会に私も出席しました。

  第二に、採用募集プロセスにマーケティングやプロモーションの要素を入れたこと。具体的には、採用ポスターについてはとにかく話題になるようなデザインとし、メディアにも多く取り上げてもらった結果、生駒市のウェブサイトを見てくれる受験者数が大幅に増えました。ウェブサイトでは、動画なども取り入れながら、仕事内容や若手職員の活躍ぶり、私からのメッセージなどを発信し、より具体的に「生駒市役所で働くこと、その魅力」を知ってもらうよう工夫しました。その結果、生駒市の採用説明会への参加者を増やすことができています。ここでは、全国的に活躍している生駒市職員から生の声をじっくり聞いたり、私もプレゼンを行った後、来訪者からの質問が出尽くすまで「市長がすべて」答える質疑応答を続けています。

 第三に、市長自ら「生駒市には安定ではなく成長の機会がある」「地域に飛び出さない人にはつまらない仕事」「生駒市なら本気で日本を変えられる」「生駒市をやめても食べていけるだけの経験を積むことができる」などとインパクトあるメッセージを送りました。

「公務員志望」「民間企業志望」は死語に

 生駒市の採用説明会で私は受験者に対し、「近いうちに公務員の終身雇用は崩壊する」と伝えています。単に安定を求めて生駒市を受験する人をなるべく減らしたいからです。同時に、私は、生駒市では副業を奨励していること、年功序列を崩して若いうちから挑戦・成長できる風土があることなどをアピールします。その方が生駒市を受験する人の心には響くことを知っているからです。今では、生駒市を受験する人の半数以上は民間企業との併願者です。もはや「公務員志望」「民間企業志望」と言う言葉は死語になりつつあるし、さっさと死語にしなければ、本当にこれから必要な人材を自治体で確保することは困難です。

 首長による「職員採用の努力は市民に評価してもらえない」と前述しましたが、たとえ評価されなくても、人事、なかでも採用が自治体の最重要事項であることは間違いありません。また、生駒市では採用改革の成果を、最近では市民に高く評価してもらえるようになっています。市民を市役所で待つだけではなく、どんどん地域に飛び出し、市民と触れ合う職員が増えてきたからです。職員と街でコミュニケーションし、その人柄や能力をリアルに感じた市民は、生駒市の採用改革の成果を高く評価してくださるようになっています。

 本気で採用に力を入れれば、単に事務処理が得意なだけでなく、地域に飛び出し、市民の声を聞いて市政に生かしたり、市民とともに汗をかいてゼロからのまちづくりに取り組む職員は確実に増えます。採用改革こそ、すべての自治体が何よりも優先して取り組まなければいけない最優先事項なのです。

(奈良県生駒市長 小紫雅史)

 16:45 2019/06/02 

 市政情報 WEB市長室 生駒市長の小紫雅史です。

この度、28,902票の厚いご支援を賜り、2期目をスタートすることができました。市長1期目の4年間、徹底して現場に足を運び、市民や各団体の皆さまのお話に耳を傾け、地域課題やその改善策について語り合ってきました。市民の皆さまと共に汗をかき、一歩ずつ着実に具体化してきた結果、どの市町村にも負けない協創のまちづくりが進み、市民の定住意向率や満足度は全国トップ水準となっています。

 一方、平成25年をピークに人口は減少に転じ、少子高齢化も進んでいます。将来を展望すると、人口減少・少子高齢化の進行に加えて、AI・ICT・ロボットなどの最先端技術の進展など、今後も様々な大きな社会経済環境の変化が見込まれます。

 そうした中で、令和3年に本市は、市制施行から50周年を迎えます。次の50年を見据えて、さらに本市が発展を続けるためには、単なる「ベッドタウン」から卒業し、学研高山地区第2工区の整備やニュータウンの再生、観光や産業の振興なども含めた「次世代の住宅都市」を目指す挑戦が不可欠です。

 市民とともに汗をかきながら進めていく「自治体3.0」のまちづくり

「ワーク・ライフ・コミュニティの融合」を具体化する、脱ベッドタウンのまちづくり

市民全員の力を一つにする「12万人総親和(Inclusive)」のまちづくり

生駒市の強みや特性を最大限生かした「稼ぐ」まちづくり

「最先端技術と自然・伝統・歴史がつながる」まちづくり

 今後はこれらの「5つのキーワード」に基づいてまちづくりを進め、「みんなで創る!日本一楽しく住みやすいまち いこま」を実現するため全力で取り組んでまいります。皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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〒630-0288 奈良県生駒市東新町8番38号

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16:50 2019/06/02

https://www.city.ikoma.lg.jp/0000017713.html

16:51 2019/06/02

11/6/2020 4:32:53 PM 

 11/6/2020たきたのふえす

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11/3/2020/

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