引用
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) 新書 – 20141114 堤 未果 (著) 内容紹介・・アメリカ版・国民皆保険の呼び声高い「オバマケア」。
夢の医療保険制度改革は、「1%の超・富裕層」が仕掛けた、壮大なる「罠」だった!
史上最強の超大国をもゲーム上のコマとしてしまう「1%の超・富裕層」は、これまでに、石油、農業、食、教育、金融の領域で、巨万の富を蓄積してきた。
恐るべきことに、次のターゲットは、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった――。
米国の医療費は総額2・8兆ドル(200兆円)。製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託する「医産複合体」は、病気を抱えるもっとも弱い立場の人々をカモに、日々、天文学的な収益を上げつづけているのだ。
そして、その巨大な波は、太平洋を越えて日本に達しようとしている! !
本書は、稀代のアメリカ・ウォッチャーである著者が、完全崩壊した米国医療の実態とその背景を、入念な取材により炙り出した渾身のノンフィクションである。
■主な内容
・「がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用」
・「自己破産理由のトップは医療費」
・「夢から覚めたら保険料が二倍に」
・「一粒10万円の薬」
・「高齢者医療費は三分の一にカット」
・「自殺率トップは医師」
・「手厚く治療すると罰金、やらずに死ねば遺族から訴訟」
・「安い早い! ウォルマートがあなたの主治医になります」
■目次
はじめに 父の遺言
序章 「1%の超・富裕層」たちの新たなゲーム
第一章 ついに無保険者が保険に入れた!
第二章 アメリカから医師が消える
第三章 リーマンショックからオバマケアへ
第四章 次のターゲットは日本
鳴り物入りで始まった医療保険制度改革「オバマケア」は、恐るべき悲劇をアメリカ社会にもたらした。「がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用」「高齢者は高額手術より痛み止めでOK」「一粒一〇万円の薬」「自殺率一位は医師」「手厚く治療すると罰金、やらずに死ねば遺族から訴訟」。これらは、フィクションではない。すべて、超大国で進行中の現実なのだ。石油、農業、食、教育、金融の領域を蝕んできた「一%の超・富裕層」たちによる国家解体ゲーム。その最終章は、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった!
新書: 208ページ出版社: 集英社 (2014/11/14)発売日: 2014/11/14
目次
序章 「一パーセントの超・富裕層」たちの新たなゲーム
第1章 ついに無保険者が保険に入れた!(がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用
自己破産理由のトップは「医療費」 ほか)
第2章 アメリカから医師が消える(保険証を握りしめながら医師の前で死亡自殺率トップは医師 ほか)
第3章 リーマンショックからオバマケアへ(ゲーム必勝法「回転ドアをくぐれ!」―オバマケア設計者と愉快な仲間たち笑いが止まらない人々―保険会社編 ほか)
第4章 次のターゲットは日本(オバマケアと日本の皆保険制度はまったく違う!
消費税増税で病院がつぶれる!? ほか)
オバマケアの欠陥、そして、アメリカの医療複合体の野望がよくわかりました!!少し前、アメリカで中間選挙があり、オバマ大統領率いる民主党が大敗を喫しましたが、その時の争点の一つは、オバマケアでした。
私自身、アメリカでは日本のような国民皆保険がなく、アメリカでは医療費が異常に高いということはよく知っていました。
アメリカでは、資産2000万ドル以上の上位0.1パーセントが、国全体の富の20%を所有しているといわれていて、年間150万人の国民が自己破産をしています。そして、その理由のトップが医療費だということです。
それがオバマケアいよってアメリカにも国民皆保険が出来るのだから、これはアメリカの国民にとって素晴らしいことだと思っていました。しかし、日本と違い、アメリカの保険の主体は、あくまで民間保険であるという実態には変化がなかったのです。
オバマケアは確かに問題ではあるのだが…
オバマケアと言う、不完全な制度によってアメリカの医療事情がひどくなっていると言う指摘はまあ分からなくもない。ただ、町山智浩さんの著書とか読むと良く分かるのですが、共和党に下院を抑えられ、妥協に妥協を重ねた産物がオバマケアで、オバマがやりたかった事とは違うんだよなぁと言うのが正直な感想。
逆にオバマですらここまでしか出来なかった訳で、共和党政権になったらもっと貧困層に生きづらい社会になると思うんですが、その辺の切り込みが足りない気がします。
オバマケアの欠陥、そして、アメリカの医療複合体の野望がよくわかりまし
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
少し前、アメリカで中間選挙があり、オバマ大統領率いる民主党が大敗を喫しましたが、その時の争点の一つは、オバマケアでした。
私自身、アメリカでは日本のような国民皆保険がなく、アメリカでは医療費が異常に高いということはよく知っていました。アメリカでは、資産2000万ドル以上の上位0.1パーセントが、国全体の富の20%を所有しているといわれていて、年間150万人の国民が自己破産をしています。そして、その理由のトップが医療費だということです。
それがオバマケアいよってアメリカにも国民皆保険が出来るのだから、これはアメリカの国民にとって素晴らしいことだと思っていました。
しかし、日本と違い、アメリカの保険の主体は、あくまで民間保険であるという実態には変化がなかったのです。
これが大きな悲劇の大元です。しかも、医師の66%が、条件の悪いオバマケア保険のネット・ワークに参加していません。
この結果、アメリカ国民の大多数は、今より高価で、条件の悪い保険に入らざるを得ない状況になり、しかも診てくれる医師も少ない、という悲劇的な状況に陥っているのです。アメリカでロビー活動費が一番多いのは、医療・保険の分野です。そして、儲かるところからは、とことんしゃぶり尽くすというのが、アメリカのウォール街、医療複合体です。
このウォール街が医療分野に牙を剥けているというのが今のアメリカの現状のようです。しかし、C肝の新薬が1錠1000ドルには恐れ入りました。今ほど日本の国民皆保険制度に感謝したことはありません。しかし、アメリカのウォール街、医療複合体が次に狙っているのは、日本市場だそうです。
私たちは、TPPの行く末、医療法人の株式会社化、医療特区、などに厳しい監視の目を向け、日本の国民皆保険制度(いろんな欠点はありますが)を断固守らなければいけません!
5つ星のうち 5.0 ずっと以前から, 2014/11/23
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
アメリカの医療は大変なことになっているのは知っていましたが、さらにひどくなっているのがよくわかります。日本の厚労省はアメリカのまねをしようとしているがとんでもないことです。一読をお勧めします。
消費増税が日本の医療現場を崩壊させているという衝撃の事実!!,
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
よく日本もアメリカ並みになった。とか日本の制度の方が・・・などと訳知り顔で、説明してくる人に事欠かない医療格差問題ですが、本書の内容を読めば日本の現状はまだ天国で、アメリカの強欲による本当の医療崩壊の地獄というものをこれでもか、というほど追体験できます。同時に安倍政権によって着々と水面下で進む日本の安定した制度の改造に途方もない不安を覚えます。
本書で特に印象に残ったのは、日本医師会副会長の「経営不振になった医療機関が外国企業に買収されたら、とりかえしがつかない」という言葉と、税制上医療サービスは非課税とされているが、医療にかかる消費税は控除されないために消費税分は病院や医師が不公正な負担を強いられていることでしょうか。
全編を通して、どんよりと昏い内容ですが、それでも有能で志のある人が身を賭して、今''を守ってくれているのですね。感謝するのと同時に、残酷な市場原理主義を見直す契機だと思います。
日本もこうなりつつある......, 2014/11/14
(万国の労働者階級団結せよ!民主主義にタブーなし!在日外国人への差別を止めよう!): 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
News: 本年11月15日付けで、本書は、ネット書店が扱う全ての書籍中7位を記録し、アマゾン政治部門のNo.1 ベストセラーです!堤さん、おめでとうございます!
本書では、オバマ政権下での軍産複合体ではなく、医療複合体というこれまた巨大な多国籍大企業群の実相(オバマケアの正体は、大民間保険会社と薬品会社群のために全アメリカ人に民間保険加入を強制するネオリベ政策だった!)が詳細に分析されています。ただし、本書は単なるアメリカ論ではなく、日米関係を主軸に論じられている点に留意が必要です。つまり、日本の主権者国民にとっての生存環境に関わる緊要な諸テーマを扱っているのが、この堤さんの新書なのです。
本書で最重要のトピックは、実は2013年に「特定秘密保護法」(同法は、本年12月10日より施行)の裏で密かに法案が可決されていた国家戦略特区法です。これは、多国籍企業誘致の為に通常では考えられないレベルの大幅な規制緩和をするという由々しきネオリベラリスト法制です。堤さんは、この国家戦略特区法がマスコミに取り上げられずに一般に全く知られていないという点をご指摘くださっています。(P.193参照)
堤さん:2013年12月に会期末、無理矢理通した「特定秘密保護法」の裏に、もう一つ重要法案が隠されていた。「国家戦略特区法」だ。実はこの法律は、八十年代以降凄まじい勢いで国家解体中のアメリカと同じ道を辿る内容にも関わらず、法律が成立した事もその内容も、未だに多くの国民に知らされていない。国家戦略特区法は、一言で言うと、「特区の地区で、通常できないダイナミックな規制緩和を行い、企業が商売をしやすい環境を作る事で国内外の投資家を呼び込む」という内容だ。例えば新潟では「大規模農業」、福岡では「雇用の自由化」、東京・大阪では「学校や病院の株式会社経営や、医療の自由化、混合診療解禁など総合的な規制撤廃地区」を実現してゆく。まさに「企業天国」が誕生する。この制度は導入してから成果が検証され、上手く行けば全国にも広げてゆく計画だという。成果は「収益」で測られるため、これはかなりの確率で日本中に拡大するだろう。(本書、PP.193-194)
混合診療は、自由診療などという別の名称の下で既に日本で開始されており、後は拡大傾向を辿り、実質的な非正規雇用が半分以上に達しようという中で、企業偏重の福祉制度が非正規に及ぶどころか、崩壊しつつあります。さらに大増税8%から10%という滅茶苦茶な生存環境は、米国よりも既に酷いと言えますし、本書で描写されている米国は今の日本と寸分違わぬという読後感があります。TPP締結前には、並行協議もあり大方米国の医療複合体の日本への浸食は完了していることでしょう。主権者国民が何をなすべきか真剣に考察する機会として本書を推薦します。
本書は全日本国民必読の書です。
毎度の事ながら、堤さんのジャーナリスト魂には感服する。このルポを書いているのは、大好きなアメリカの普通の人々、そして彼女の父のためなのだろう。,
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
彼女は当然、アメリカが好きなのでる。そして愛するアメリカの普通の人たちが、グリーディーな富裕層や巨大な製薬会社・医療をビジネスのチャンスに過ぎないと考えている、医産複合体の渦に巻きもまれていく、悲しい実態をルポしていく。その真摯な姿に胸を打たれてしまう。
父親ゆずりのジャーナリスト魂が読む人の心を打つ。ペンは剣よりも強しの精神で、壊れ行くアメリカの医療、中産階級の人々の中をどうしてなのかと、問い続けていく。この恐ろしき複合体はもはや、国という縛りではなく、丁度、バイオハザードの映画のアンブレラ社のようである。巨大な欲望の塊である、わが国にもこの恐ろしい塊が忍び込むことに警鐘をならす、終章まで一気に読ませる。ルポルタージュなので、何を彼女が言いたいのか、結論は何かは読む人のそれぞれが考えていかなくてはならない。彼女の言うことが全てなのか?正しいのか?どうしたらいいのか?何が起ころうとしているのか?ジャーナリストの魂とは読者にそれを訴えていく力である。これは、多分、5年、あるいは10年後の日本の出来事かもしれないのだから。
5.0 これまでの著作中もっとも怖い現実を綴る, 2014/11/25
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
これまでの堤さんの著作の中で最も大きな警告を日本に出していると感じた。
アメリカという巨大経済大国というコンテクストの裏に潜む巨大な貧困、この辺の事情は前著等で細かく現場取材されて報告されている。教育崩壊、就職出来ず奨学金が返済できず軍隊にリクルートされていく青年ら。
フードスタンプ(生活保護の直接食物給付、低コスト高カロリー)で潤うファストフードチェーンと多国籍スーパーマーケット等々。
そして今回は病気で個人破産して行くアメリカの人々とオバマケア(皆保険のはずが、、、、)の実態。あまりに怖すぎるマネーゲーム化したアメリカの医療システム。
日本の皆国民保険も多くの問題をはらんでいる(毎年1兆円の医療費が増えるや、多剤投与、過剰治療)がアメリカの現実を読んでしまうと日本は天国に一番近い島と思えてならない。
しかし、アメリカの企業は当然、これから日本を標的として(すでに)、ビジネスとしての医療に参入してくるのである。備忘録的メモオバマケア(皆保険のはずだった)
メディケイド(低所得者層用の公的保険)
メディケア(65歳以上高齢者、障害者、末期腎疾患患者の公的保険)
民間、労働組合加入の医療保険HIV感染者の薬剤投与、年間200万円(死ぬまで) 無保険の場合 発症してからメディケイドの障害者枠可能2013年10月オバマケア保険申請開始 しかし薬代負担率に幅、高額な薬は自己負担率も高く。
高額なHIV薬の多くを処方箋リストから外す。新薬はさらに高額C型肝炎の新薬 一粒10万円(保険適用外) 1クール12週の薬代840万円組合保険負担を減らすために企業はリストラ、非正規化、パートタイム化メディケイドによる病院倒産の危機(医師や病院の赤字)メディケイド患者が診療予約が取れない現実高齢者医療費カット 向こう10年間で57兆5000億円オバマケア保険ネットワークに入らない医師 全米で66%医療裁判での医師の訴訟費用保険額の高騰 年収2000万、訴訟保険料 1750万医療事務処理の煩雑さ 入力コード数ロビイスト(医療、製薬関連が4割) ワシントンに全体で17800人医療保険会社CEOの莫大な報酬 aentna CEO 日給900万円 年収30億不法移民500万人に滞在資格を与えると(大統領令で)、メディケイドによる医産複合体とウヲール街の饗宴医療の小売業チェーン店化(ヲールマート、コストコ等)、フードスタンプで大儲け。
メディアの寡占化による情報支配外資企業による大型医療法人(日本)の買収 医療特区、混合診療 年金資産の株式運用(GPIF)
明日は我が身か、暗黒の未來, 2014/11/30
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
堤さんのアメリカ現状ルポ。今回は「夢の国民皆保険」だったはずのオバマケアについてレポートする。
結論をいうと、中流以下の大衆にはまったく恩恵が及ばなかったそうだ。それどころか、ブッシュ時代よりひどくなった。なぜなら、アメリカでは医療は単なるビジネスだから。保険会社は安い保険しか入れない客には、ほとんど保障しない。
一方製薬会社は価格を好きなようにつけられるから、難病の治療薬は一錠十万円を越えるらしい。
当然最低限の保険しかない人は、買うことができない。
市場原理や自由価格にも良い側面はあるが、絶対に商売人に好き勝手させてはいけない分野というものがある。
教育や医療がそれだ。生存に不可欠な要素まで大資本の手にゆだねては、庶民に死ねと言うようなものだ。
医師は保険会社の使用人のようなもので、投薬や検査のたびに保険会社にお伺いを立てねばならない。
これでは正当な医療ができるはずがない。
実は病院勤めのころ、コスト削減を叫ぶ院長と喧嘩したことがある。会議の席で「おまえの科は金を使いすぎる」と言われたので、責任を伴わない下っ端なのをいいことに、「ゼニカネのことを考えながら、患者を救えるかい」と言い放った。当時は周囲から爆笑(失笑)と拍手で迎えられたが、今のアメリカで同じことをやったら、その場でクビになるんだろうね。
医師たちが窒息しかけているのに、訴訟ビジネス(なんて嫌な言葉だ)は花盛りだそうな。現場で人助けしている技術者は腕をふるえず、彼らのミスをあげつらう法律屋ばかりが儲かる。どう考えても病的で歪んでいる。これが資本主義のなれの果てか。日本にもアメリカ発医療商売化の波は、じわじわと押し寄せているらしい。暗澹たる気分だ。やっぱり今の世界は、一度壊れないと駄目かも。
0 アメリカ格差社会は命をも飲み込む強欲社会。, 2014/11/23
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
衆議院選挙前に読めてよかった。アメリカのいとこを盗むならいいけどあんまりいいとこないね。言いなりになったらどうなるか、よく分かりました。格差は努力を促す程度で十分で支配されるまでつけると取り返しがつきません。
オバマケア≠国民皆保険であって、TPPという手段を使ってアメリカの保険会社・製薬会社が狙っているのは日本人が命を守るために使う金であり、こういうことが政治の世界からは見えてこない。
実際オバマが悪人なんかと思ってたけど、そうではなく、強欲企業に踊らされているだけなのねと。で、歴史からは「最悪な大統領」って言われちゃう。きっと日本もそうなんだろうな・・・
メディアが伝えないオバマケアの実情を伝えるルポ。 読むべし。,
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
岩波の「貧困大国」シリーズに続く米国現代医療事情。
米国の医療事情がこんなにもひどいものとは知らなかった。オバマケアは医療保険の整備されていない米国では歓迎されたものとばかり思っていただけにあまりにも意外な米国の医療事情の現実に戦慄さえ覚えた。コーポラティズムの行きつく先が「生命」をターゲットにしたものだったとは。とにかく、今読むべき本だ。
もうしばらくしたらまた選挙がある。先回の選挙のときの公約を破った政党、公約になかったことを懸命に進めるような政治家を思い出して選挙に行こう。
けっきょく、この国の政治を決めていくのは我々国民なのです。
アメリカ医療保険制度(オバマケア)に見える薬品・保険業界., 2014/11/17
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
本書のタイトルは些か挑発的にも映るがこのページの「商品の説明」の弁を借りれば、「アメリカ版・国民皆保険の呼び声高い『オバマケア』」について、その実態を様々な適用ケースを取り上げて、“功罪”と言うよりももっぱらネガティブな結果(と将来的な医療危機及びTPPを見据えた米国資本の日本医療制度への参入懸念など)を検証するものと言って良い。私自身は本書の対象である「オバマケア」の制度詳細に関して、著者の論説・主張に逐一反駁・誤謬を指摘できるほどの知見(データ)を持つものではない(巷間の報道で知るレベルである)。従って「夢の医療保険制度改革は、『1%の超・富裕層』が仕掛けた、壮大なる『罠』だった」か否かーー私見では、オバマ自身が法案ないし制度設計の当初から薬品・保険業界の利益を予想・予期し、あるいは医療業界の後退(荒廃)を懸念していたとは思えないがーーはさておき、本書で言及が間に合わなかったであろう、先の11月の米国の中間選挙結果(上・下院の共和党勝利)を考慮すると、オバマ(民主党)の敗因は複合的なものであろうが、少なくとも(公約の1つで「鳴り物入り」とされた)「オバマケア」(医療保険制度改革法)は、右中間選挙を有利にするほど強力ではなかったと言えようか(右法律の完全施行は2014年1月からである:22頁ほか)。元々本制度は日本のような公的保険制度ではなく、従来の民間保険中心の医薬制度を抜本的に変更するものではない(第4章:182~187頁)。この辺りの事情が本書の「オバマケア」に対する、結果的な(ウォール街の)利潤追求型制度(従来制度の改悪)としてネガティブに批判展開される情況の1つとなっている(第1章:38頁以下の保険料上昇や労働時間短縮などの企業のリスク回避現象)。
本書では言及がないが、オバマは当初公的医療保険制度の創設を試みたが見送りとなったように仄聞するところ、資本主義大国アメリカの事情並びに本書を読めば、既存の薬品・保険業界等に依る既得権益保守(ロビイング)の激しさは大方想像のつくところではある(第3章ほか)。本書の構成・内容は、同前「商品の説明」及び「目次を見る」に詳しいので、本稿では特に取り上げない。「オバマケア」の骨子については本書21ページに一覧があるが、重要とされるものの1つが「メディケイド」(低所得者向けの公的医療保険制度)の拡充・緩和とされる。著者は本書28~32・84~100ページ等でこの「メディケイド」拡充の危うさを展開しているが、そもそも公的医療保険制度という本質において、公共(州政府)財政と民間企業の利潤追求活動は両立しえない(同一次元にない)ものと私は考える。既存の民間薬品・保険制度の枠組みを変更・改編することなく、財政問題と私企業の利潤追求と国民皆保険に依る画一的かつ安価な保険医療制度の確立は無理があろう。相互に両立しえないトレード・オフにある問題が、“三方一両得”のような道理にないのは火を見るより明らかで、どこかでその帳尻は不可避的に整合させられることになる。それが(恐らく本書の論旨としては)中間所得層でありまた医療業界(医師)であるということなのだろう(第2・3章など)。全体に「オバマケア」の批判が本書の趣旨であろうが、その客観性を担保する意味でも、保険競合に依るメリット(45~50頁など)や個人消費・所得の伸びなど(WSJに依れば「メディケイド」拡充に伴う税額控除等を要因とする)にも論述を割くべきかと思う。
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
保険に入るときに、皆に1冊ずつプレゼントして、読ませて日本の皆保険の素晴らしさを知ってもらいたい、と思いました。啓蒙活動の大事さがよく分かりました。 当たり前すぎて気が付かなったことを、事前に知っていれば、アメリカの侵略のごときマネーゲームの犠牲にならないための予備知識になるでしょう。
そして選挙がいかに大事か、政治を牛耳る主役を誰に任せるか、がとても重要なポイントになる、かが分かるでしょう。
アメリカで起こっていることは、まるで翼を広げた大きな怪鳥が、その黒い翼のもとに弱い人々を押さえつける
SF映画を見るがごとき感がして、読んでいてドキドキしてきました。この著者の次回作、医師たちの反逆をぜひとも読みたいと思います。
全力を尽くす堤さんに拍手, 2014/12/11
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
アメリカの国民皆保険制度をめざした「オバマケア」を日本の国民皆保険制度に近いものにすると単純に見ていたが、どうも様子が変だとは思っていた。しかし本書を読んでほとんど驚愕した。オバマケアによってアメリカの医療制度がますます混迷を極めつつある様子がつぶさに描かれている。オバマ大統領はリーマンショック後国民の税金を使ってメガバンクを救済しなくてはならなかったが、同じように、執拗で緻密なロビー活動を展開するハゲタカ資本はオバマケアを穴だらけにした、否むしろ彼らの思うツボを掘り込んだということのようだ。その詳細が本書で明かされているのだが、“知らなかったなぁ、空恐ろしい・・・”との他人事ではない。アメリカを喰い荒らしたハゲタカの次のターゲットは日本だというのだ。私は既にTPPには大きな危惧を抱いているが、しかしそれはハゲタカが日本に仕掛けてくるマネーゲームのほんの一部に過ぎないと云う。本書にも書かれているが、年金積立金管理運用独立行政法人は今年政府の意向を受けて年金資金を株式に運用する上限枠を外した。それは株価を上げてアベノミクスに寄与したのだが、多くの外資系金融機関がその資金運用受注先となっているという。ハゲタカに裸身をさらすに似たこのような行為が着々と進んでいるが、誰のための、何のための政治なのだろう?!
著者は「無知は弱さになる」と言う。本書に書かれている多くのことを大手メディアが伝えることはないが、それは「国民を無知にしておく」という策略を担がされているからに違いない。それに比べると、著者は本物のそして一級のジャーナリストだ。
ハゲタカ企業・金融・投資家がアメリカを喰い尽している中で、「ウオール街とグローバル企業からアメリカ合衆国を取り戻すため」のアクションがあるらしい。それはこの本の続編として出版されると書かれている。「・・・・日本が持つ貴いものがこれ以上失われないように、全力を尽くすのだ」という著者の最後の言葉が悲鳴のように響き渡る。悲鳴の中で語られる真実に大いに期待する。
5つ星のうち 5.0 みんなで買おう(^^)/, 2014/11/15
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
(株)貧困大国アメリカに続いてアメリカの惨状がヒシヒシお伝わってきた。
医産複合体とウォール街の日本侵略が着々と進んでいる事に寒気を覚えた。
国民皆保険は既に崩しかけられたいるのかもしれない。
国民のものである年金保険も国民の許可も取らずに勝手に株式というマネーゲームにつぎ込んで損失の責任は誰もとらない。ウォール街の連中はこの知らせにお祭り騒ぎになったという。おそらく年金も全てこの連中に吸い取られてお終いだろう。
既にアメリカ企業の浸食は始まっているようだがだめ押しになるのがTTPかもしれない。TTPは政治家にも交渉内容が公開されないのにアメリカの関連企業は交渉内容が閲覧できるという異常な交渉である。それを許している政治家や役人はどういった頭をしているのだろうか。
安倍政権で様々な経済政策で日本の富を売り、集団的自衛権で日本人の命を売りグローバル企業の参入を許可し日本を解体に導く。そしてこの政権に支持し続ける日本国民の狂気。
こういったときに何時も思うのが教育の大切さだ。
日本人は教育水準が上がったというけれどうしてこういった政治家や権力者の横暴に気が付かないのだろうか?本当に教育のない愚かな国民だ!
著者が執筆中何度もくじけそうになったという。怒りや絶望に耐えながら冷静に本書を完成させるのは大変なことだったろうと思う。
最後に著者の「祖国日本が持つ貴いものがこれ以上奪われないように、全力を尽くすのだ」という決意に目頭が熱くなった。
こういった本を書き続けてくれている堤三果さんには本当に感謝したい。
総選挙前に出版されたことを歓迎します, 2014/11/18
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
「貧困大国アメリカ」の続編的な書籍です。著者が週刊現代で連載されているコラムでオバマケアの問題点を指摘されていて、それが本書で詳細に解説されたと思います。国民皆保険制度であるオバマケアが、実施後に貧困層を除く国民にとって不利益になる点が多すぎること、その政策決定の過程に医療・保険業界の意向があること、政府と大手産業が一体となって国民からお金を取る仕組み、、、等ぜひとも知っておくべき点が満載です。
安倍政権でも大手企業は空前の利益をあげていますが、一般の国民にとっては負担が増えているだけという現実と照らし合わせれば、国内でもいつ米国と同じようなことが起きても不思議ではありません。オバマ大統領になってからこの医療・保険業界が大儲けできたことに、「ルーレットの赤と黒の両方に賭ける」「国家を解体し、すべてを商品化する」という絶妙な表現をされています。
政権がどちらに転んでも儲かる仕組みを作る連中がいるのでしょう。本当に恐ろしいのは、大歓迎されていたオバマケア政策が実施されたあとになってその欠点が初めて分かったことです。
もはや我々には止めることも逆らうこともできない。ならばその中でどのようにしたたかに生きていくか、こういう覚悟を迫られる思いがしました。
週刊現代の老後破産系の記事と合わせて読んでもいいと思います。
最後の章の日本との比較はぜひとも読むべきでしょう。
また著者の旦那さんが、自民党よりも強烈に新自由主義政策を勧めるみんなの党所属の参議院議員であったことはなんという皮肉でしょうか・・・
万事アメリカ追随の日本はアメリカに倣って沈んでゆく?, 2014/11/17
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
この本を読んでいると,悪い夢を見ているような気になります.自由の国,アメリカはどこに消えたのだろうか.明るく,陽気なアメリカはどこに行ってしまったのだろうか.早い話,医療は既に崩壊しています.医療費が高額で払えない人たちがいる.医療保健もべらぼうに高い.アメリカは政府も国民も1%のスーパー・リッチ層に経済活動を牛耳られていて,オバマ現大統領ですらどうにもできない.何と哀れなことか.私はこの国に生きていて良かったと思いますが,昨今の趨勢をみるにつけこの国の近未来も心配です.かの国のスーパー・リッチはこの国にも触手を伸ばしている? 吾らのみえないところで今もごめいている?(151頁に元大手保険会社重役の女性ロビイストが写真入りで紹介されていますが,この人物は医療・製薬業界に莫大な利益を生む法案作成のために働いた).吾らは自分たちの命と健康を守るために最低限,現行の健康保険制度を維持しなければならない.そこで日本医師会の先生方にお願いします.TPPが締結していない今こそ踏ん張りどころです.TPPを何とか阻止して下さい.吾らも応援します.
蛇足の追加:健康に不安のある読者はアメリカ旅行は控えましょう.万一,入院したりすれば法外な治療費を請求されます.スウェーデンでは旅行者でも医療費は無料.アメリカと真逆です.どっちが文明国でしょうか.
1パーセントの金持ちのための国, 2014/11/18
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
堤 未佳 アメリカシリーズ第3弾、相変わらず切れ味鋭い指摘、読んでいて、アメリカのような国になろうとしている日本がつくづく心配になります。反韓、反中国などと言っている間に、これから日本から搾取しようとしている国はどこかがのシリーズを読むとわかってきます。1パーセントの金持ちのために存在する国家を押しし進めるアメリカという国が。
こういう事を伝えてくれるのが堤さんだけなのは何故かしら,
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
米国の事情を伝えてくれるメディア、記者は沢山いると思われるのにここに書かれているような事を書いて教えてくれるのは堤未果さんだけのような気がします。 何故なのかしら。又、続編が予定されているそうです。すぐにでも読んでみたいです。
5つ星のうち 5.0 自分の無知を思いっきり自覚させられました,
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
自分の無知を思いっきり自覚させられました国民皆保険でみんな幸せになるはずなのに、なんでオバマ大統領が不人気なのかわからないので、本書を読ませていただきました。オバマさんの理念により構成された保険なのか、スタッフにより作られた保険会社や製薬会社のためにに作り込んだ結果の保険なのか、私には正直わかりません。確かなのは、誰でも保険に入っていてよかったという状況ではないということ。特に低所得者にしわ寄せが来ている恐ろしい状態。
TPP交渉にも保険分野がはいっているとのことで、こんな刺激的な内容を事前に漏らされたら日本人は大混乱になるのは必須で、交渉を漏らしてはいけないという不思議な交渉はアメリカ側も混乱が怖いのでしょうね。情報が少ないのは、すでにマスコミが押さえ込まれているためでしょうか。この本を読むまで、アメリカの医療保険がどんな大変なことになっているかかの報道を見たことがありませんでした。
私たちの生活をどう守るか考えさせられる内容でした。
「中国の貧困格差を問題にし、中国国民の貧しさを憐れむ」本が多い中、アメリカ・日本の社会問題を浮き彫りにする本, 2014/11/20
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
昨年頃から出版される中国や韓国の国内格差を扱った書籍の何と多いことか。「共産党に富が集中し、国民が貧困状態である」「韓国は一企業に富が集中し、見せ掛けの経済成長だ」と警鐘を鳴らす本が、「中国人や韓国人の国民性を非難する本」が五月雨式に出版され、何者かが中国や韓国の社会問題に国民の注意を引きたがっているかの状況に、違和感を感じていたのは私だけのだっただろうか。まるで、「アメリカ式の混合医療を導入し、株式会社が医療経営に参入することが許され、特定秘密保護法が可決されつつあること」を、何者かが、覆い隠したがっていたみたいに。
確かに、中国の国内格差は問題だろう。既得権者に富が集中し、大多数の中国国民が貧困に苦しんでいることも事実だろう。韓国経済が崩壊する可能性があるのも事実かもしれないし、韓国人の国民性が批判されるのもそのとおりかもしれない。だが、中国や韓国のことばかり問題にし、アメリカの国内格差を扱いたがらないエセジャーナリストに、日本で導入されつつあるアメリカ式制度を問題にしようとしない偽ジャーナリストに吐き気がしていたところ、待望の書籍が出版された。
本書は、オバマケアの問題点、アメリカの医療体制の問題点を浮き彫りにしつつ、迫りつつある日本の危機について書かれた書籍である。詳しくは、同書を読んでいただきたいところだが、本書では、アメリカ医療・アメリカ経済・アメリカの社会体制を知ることを通し、日本で導入が始まりつつあるアメリカ式経済(現政権が進めつつある戦略特区など)に目を向けることができる。ぜひ本書を推薦します。
オバマケアは羊の仮面を被った狼だった, 2014/12/12
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
凄まじい内容である。
最初は、何人かの個人の物語から静かにスタートする。みんな、オバマケアの導入に希望を見出している人たちだ。
しかし、徐々にオバマケアの持つ様々な重大な欠陥が明らかにされ、後半になるほどアメリカが直面している救いようなく恐ろしい事態が次から次へと列挙され絶望的な気分にさせられ、更にはアメリカを食い尽くした後のターゲットが日本である、という恐ろしい予告で幕を閉じるという構成だ。
これまでの著作と一転、オバマケアの問題点一点に絞った内容かと思いきや、オバマケアはこれまでに様々な分野で行なわれてきた、業界を巨大企業の傘下に再編統合し、吸収した会社の元労働者を低賃金の契約社員とし、富める1%が支配する大企業と、わずかな賃金で長時間労働させられる99%の奴隷のような労働者の二極化した世界にする「アメリカ解体」の動きの一部に過ぎない、とした上で、その他の分野における「アメリカ解体」の実態をこれでもかと突き付けてくる迫力満点の衝撃の書だ。
オバマケアは、医療業界支配のためのとどめの一撃であり、これにより巨大企業傘下の営利目的のチェーン病院と、そこに低賃金長労働時間で雇われる契約社員としての医者、そしてオバマケアによって膨大な新たな顧客を得ることになった巨大保険会社という勝者と敗者のはっきりした世界を作り出すことに成功した。
同様の手法で大企業の手に落ちた業界としては、農業、畜産業、教育がある。今や教育の世界は、公立の学校に代わり、営利目的の学校が契約社員と化した低賃金の教師や非常勤講師をこき使うサービス業に様変わりしているのである。
何も「チェンジ」できなかった(しようとしなかった)オバマの唯一の成果と言ってよいかもしれないと思っていたオバマケアだが、その実態は外から見ただけのものとはかけ離れた真逆のものだった。
一見、民間の医療保険に入れない低所得者を無保険状態から救い出す慈悲に満ちた制度のように見えるが、実態はと言えば、全ての国民を「民間」の保険に強制的に入れることが柱となっており、
・全ての国民を民間の保険に入れることで保険会社の売り上げが激増するだけ
・政府が薬価交渉権を持たない(オバマが選挙公約だったのを放棄した!)ため、薬価は製薬会社の言いなり
・保険適用の例外の抜け穴だらけで患者が安価に受けられる治療の範囲は極めて限られている
・保険会社はオバマケアで様々な制限を掛けられた代わりに保険料を大幅に上げたり、患者の自己負担率を定額制から薬価に応じた定率性(高価な薬ほど負担率が高い!)にしたりしてこれまで以上に利益が出るようにした
・低所得者を加入させたしわ寄せは中流階級にのし掛かり、中流階級の医療費破産が激増することが予想される
・オバマケア患者への保険会社の保険金の支払い率が低く設定されているため、オバマケア患者を受け入れる病院が僅かしかない
・オバマケアは医者があらかじめ国に定められたマニュアルにそって治療し、その経過をPCに詳細に入力して報告する「電子式診療内容報告書」を義務化。これにより医者の事務作業量を大幅に増やして負担を増やすとともに治療のマニュアル化を狙っている
などなど、意図的としか思えない欠陥だらけで、オバマケア以前の段階ですでに崩壊寸前だった医療システムは確実に崩壊して行くだろう。医療訴訟に備えるための保険料の高さや、保険会社に治療法の許可を取ってからでないと治療ができないなど、保険会社に支配される医者はすでにアメリカで最も自殺率の高い職業なのである。
まだまだ書き足りないことがある。メディケアとメディケイドの問題もある。
アメリカで起こっていることは「アメリカ」の話ではない。アメリカの解体を着々と進める国際金融資本の世界戦略の話なのだ。彼らが次に目を向けるのは、同じ彼らがTPPで狙っている巨大市場、そう、日本なのである。
この本に書かれている「事実」を手に日本を眺めてみるといい。安倍政権が進めている規制緩和は何なのか?特定秘密保護法とは何なのか?今まで見えなかった「恐ろしいもの」が見えてくるに違いない。
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
常識というかイメージというか、アメリカに持っていた幻想をキッパリと正してくれる著者のファンです。今回もオバマケアの問題点を描き出し、オバマ大統領の不人気の理由がよく分かりました。
沈み行く大国。そして対岸の火事ではない。アメリカコンプレックスの人にこそ、読んで欲しい, 2014/12/5
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
最近メディアで度々取り上げられるアメリカの問題だが、テレビなどに比べて制限が少ないだけあって、あれもこれもとかなりぶっちゃけているのは、流石の本媒体。
実に面白く、興味深く読んだ。
アメリカの深刻な医療問題は、それこそ昔から耳にするので、常に付きまとう問題なのだとは思っていたが、まさかこれほどだとは思わなかった。編集して教科書に掲載し、子供たちにも読ませたい本だ。こういう名著が拡がることを、切に願う。作者の今後の活動にも、期待。
無知であることは危険だと思わせる本, 2014/12/25
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
著者のこのシリーズは読んでいるので、即購入した。
今回は、オバマケアを題材に、アメリカ社会における保険と医療の悲惨な実態を生々しくレポートしている。大企業とウォール街によるグローバリズムの進展は医療・介護事業にもおよび、大資本を活かした低コスト・高効率のビジネスを現場に持ち込んで高収益を上げている。
潤っているのは彼らに関連するごく一部の富裕者だけで、低所得者をはじめ、中所得者や果ては医療を提供する側の人々まで、アメリカ社会の99%に及ぶ人々は逆に被害を受けている。
そして彼らが次に狙っているのが日本であり、このままでは日本も同様な事態になりかねない、と著者は警鐘を鳴らしている。
グローバリズムによる格差の拡大の問題はすでに方々で危惧し警告されていることではあるが、そうした話を聞いて「そうなんだ」と漠然と認識はできても、では具体的に何がどうなっているのか、自分で判断できるレベルまで掘り下げて調べたり勉強したりすることは中々できないことである。
しかし本書を読んで、そうした無関心(というか不勉強?)は結局自分に返ってくるのだと感じた。著者がインタビューした医師のドン・ダイソン氏が述べたコメントが印象的。「自分たちの社会で医療というものがどんなシステムで動いているのかを知る努力をもっとすべきだ」「教育レベルの高い先進国ほど、こうしたことに無関心だが、国民にとって無知は弱さだ」
余談だが、消費税に関しても似たようなことが言えまいか。以下著作が参考になったので紹介まで。「消費税のカラクリ」 斎藤貴男氏著
http://www.amazon.co.jp/dp/4062880598
オバマケアの真実。思わず身の毛がよだってしまいました, 2014/11/30
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
日本に住んでいると、「国民皆保険」は、「水道の蛇口をひねれば水がでてくる」くらい、当たり前のことだと思っていたが、今著を読むと「世界の中で日本が特殊」なことがわかる。「オバマケア」は日本の報道で、まさに、「アメリカ版国民皆保険」と認識していたのですが、大きく異なることを知り寒気が。しかも、虎視眈々とアメリカの保険会社が、高齢化社会を間近に控えた日本進出を狙っている理由も。これから先、健康保険の自己負担率は、消費税同様に上がっていくのは避けられないでしょうが、まさに、著者のお父様がおっしゃられた通り「日本の国民皆保険」制度そのものの崩壊だけは絶対に避けなければならないと痛感させられました。
知は力なり, 2014/12/27
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
「貧困大国アメリカ」や「政府は必ず嘘をつく」等、毎回米国の深層を抉り出してくれる筆者の今回のテーマは「医療」、とりわけオバマ政権による国民皆保険「オバマケア」を中心に米国社会の大きな課題について詳述している。
同じ皆保険制度とは言っても日本の状況とは大きく異なる為、同列に論じられるべきものではないものの、医療関連ビジネスの拡大を図る米国産業界からすると日本市場は恰好の標的であり、我々は米国で起こっていることを正しく理解しておかねば、変革の荒波に飲み込まれる懸念はなしとしない。
国民の様々な層にとって保険制度の改革がどのような影響を及ぼすのか。オバマケアで目指したものと実態がどう乖離していたのか。米国においてもはや医師は目指すべき職業ではなくなってしまうのか。医療のファストフード化とはどういうことか。オバマケアによって潤っているのは誰か。オバマケア導入によって労働組合は何故危機感を強めているのか。そして、日本はこのような米国での動きと無関係でいられるのか。
本書はこうした問いに対する一定の答を用意している。
日本においては当たり前の制度が如何に大事なものか、我々はそれを知っておく必要を再認識させられる。「無知は弱さになる」という筆者の言葉は重い。
この本を読み感じたこと, 2014/12/18
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
(株)貧困大国アメリカ、ルポ貧困大国アメリカ、政府は必ず嘘をつく、を読み、今回沈みゆく大国アメリカを読み返した。TPP(自由貿易)の表紙は、まさに貿易相手国に貧困を輸出する姿を連想させる。国民皆保険制度は日本国民が健康で暮らせるが、アメリカが求めるのは金融資本主義、医療は保険会社に移行され、税金が保険会社に注ぎ込まれる構図、保険に加入できない貧困者は、医療が受けられない。アメリカ社会を表紙だけで見るべきではない。この本を読み、実態を知るべきだ。仲野隆三
いつもながらに鋭い!, 2014/12/6
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
いつもながらに鋭くテーマに切り込んでいく手法は見事でした。今回は、TPPでも論点のひとつになっている医療保険がテーマ。国民皆保険という素晴らしいシステムを持っている我ら日の本族に、アメリカのアパッチ族が、自分たちの商売かわいさに手を変え品を変え、自民党の馬鹿どもを踊らせながら、襲いかかろうとしている。 そんな構図が浮かんでくる論考でした。この続編もぜひ読みたいと思います。
米国民一人あたり=「戦争税」年間 約40万円, 2014/12/10
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
日本では不要な公共工事が税金で行われますが、アメリカでは不要な戦争が税金で実施されます。その結果、世界最強の軍備を維持するためにアメリカ国民が払うコストは年間で約40万円に達します。
故に非常に高額な税金を納める一方で、医療、教育はまともに受けられないのが実情です。本著はこうしたアメリカの負の実態を明らかにしてくれます。
題名は、「あまりにも酷いアメリカ医療」が適切, 2014/12/30
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
読解力がないのか、知識不足なのかどうか、文章がわかりずらかった。大筋、以下の点がわかった。今のアメリカの医療はむちゃくちゃだ。○アメリカでは、薬の値段が製薬会社によってきめられている。医療費がバカ高くなる原因になっている。(日本では厚生労働省によって決められる)
○日本と違い医療保険は、民間が多い。民間保険は非常に高いので、裕福な人しか加入できない。
○オバマ大統領によって作られた低所得者層向けの保険では、十分な補償が得られない。
○医者は、収入が多くても、医療訴訟保険代がまた高いので、手取り250万という医者もいること
○アメリカで自殺が多い職業1位が医者であること
○正社員に保険加入を義務付けたため、会社は社員をパートにしてしまう流れになったしまった。
○アメリカの巨大資本によって、日本の医療にも圧力が加わっており、次のターゲットにされている。個人的な感想としては、オバマ大統領が悪いのではなく、保険会社と製薬会社に医療が牛耳られていることが、わかった。悪賢いロビー活動、汚い世の中でオバマも苦労している・・・つくづく自分達さえよければ良いと考える人たちの罪深さを感じた。
「医療」が「ビジネス」に、「いのち」が「商品」になってもよいだろうか―今日のアメリカは、明日のニッポン!, 2014/12/22
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
2014年12月14日に執行された第47回衆議院議員総選挙は、11月20日の自民党によるNHKと在京民放テレビ局に対する要望(!?)や、大手メディアによるバンドワゴン効果促進の霊験あらたかとなって、自公で475議席のうち326議席を占めた。12月15日の総務省発表によれば、投票率は52.66%で戦後最低を記録し、自民党が絶対得票率で2割前後しか獲得しなくとも、これからのニッポンは8割の民意に関係なくディストピアに向かって突き進んで行くのだろう(格差・貧困・戦争…この道しかない!)。
こうした政治状況下において、2015年の統一地方選挙後における通常国会で提出されるのが集団的自衛権行使(日米による「ふたり国際連合!」)に係る10数本の関連法案であろう。そして、それらと並行して提議されてくるのが「農業」や「医療」などの“構造改悪”に関するものであろうことは想像に難くない(これらの事案は、12月15日の記者会見で、安倍晋三が触れている)。さて、農業(農業委員会制度の改悪等)の問題はひとまず措き、国民医療の制度改悪をイメージする手立てがないものか…。
それが、私が信を置くジャーナリスト堤未果さん編述のこの調査レポートであろう。本書は、一言で括れば、まさしく国民医療に関する“明日のニッポン”が浮き彫りにされている、と断言してよいと思う。当書は、日本では比較的“好意的に”紹介されてきた通称「オバマケア〔患者保護並びに医療費負担適正化法(PPACA)〕」の実態を、アメリカの様々な階層・職種の人びとの証言に基づいて剔抉しており、アメリカにおける「医療制度改革」の“負の側面”と、その本質的な意味を明るみにしている。
堤さんは『(株)貧困大国アメリカ』(岩波新書2013)において、SNAP(補助的栄養支援プログラム:フードスタンプを改称)制度の問題点を暴き出し、アメリカ人から「国家ぐるみの貧困ビジネス」という言葉を引き出している。実際、このSNAPもファストフード業界や大手小売会社さらにウォール街が巨大な利権を手に入れた。今度は「オバマケア」で、保険会社や製薬会社、そしてまたまたウォール街が笑いが止まらなくなるという。アメリカは「医療」が「ビジネス」に、「いのち」が「商品」になってきている。
そうした実態から、アメリカでは医療の「ファストフード化」、医者の「ワーキングプア化」が進行しつつある、という。日本でも、TPPに関連して「国民皆保険制度」の危機が叫ばれている。だが、すでに「命の沙汰もカネ次第」といった「混合診療解禁」や「株式会社病院」などの市場原理主義的な「医療制度改革」に着手しており、医療制度の「アメリカ化」を進めようとしている(公費負担の縮小と民間保険部分の拡大など)。それは実質的に「国民皆保険制度」のなし崩し的な解体を目指すものでもあるのだ。
2010年。著者である堤さんのお父上が亡くなったそうだ。その時のお父上の最後の言葉が「この国の国民皆保険制度を、なんとしても守ってくれ」だったそうである(本書「はじめに」)。「保険証1枚で全国どこの医療機関でも一定水準の医療が受けられる日本の医療制度は、WHO(世界保健機関)をはじめ、世界中から賞賛されている」(同前)。この評価に間違いはないだろう。保険会社や製薬会社などに支配された医療制度を、この国に持ち込んではいけない。そういった意味で、本書を多くの日本人に読んでもらいたい。
日本の医療制度のアメリカ化を阻止すべき、続編にも期待したい,
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
著者のアメリカに関する作品は全て読んできた。前作(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)では、食に関するアメリカの恐るべき実態が明らかにされたが、本作は医療に関するものだ。オバマ大統領が導入したアメリカ版皆保険制度(オバマケア)の実態、問題点を綿密な取材によって明らかにしている。巨大企業が政府と癒着し国の制度を好き放題に変えて、ウォール街や保険会社に富が流れて集中するようにしているのだ。アメリカの医療保険制度は複雑ですぐには理解できなかったが、治療法方や薬を医師ではなく保険会社が決めるということ、医療費が異常なほどに高額で一度の病気のために破産する者が多いこと、など驚くようなことばかりだった。皆保険制度とは言っても、医療を商品として扱い民間の保険への加入を義務付けていることが問題なのだ。日本の皆保険制度は社会保障制度の一環として成り立っているので根本的に異なるのだが、次のターゲットは日本だという指摘がされている点は怖いところだ。
確かに今まで例えば「混合診療」という言葉について深く考えたこともないし、その意味もよく知らなかったのだが、保険診療と保険が適用されない自由診療を併用することをいう。日本では原則禁止されているが、最近東京圏の医療特区では混合診療を認めるということになったらしい。未承認薬が使えるために医療の発展につながるなど良いことを並べ立てるが、本書のアメリカの例を考えると、保険が適用されない自由診療が増えて皆保険制度が骨抜きになるようなことに向かうのではないかとの懸念を覚える。
だがアメリカにも、このような流れに対抗しようという動きがあるということだ。本書の続編では、これらの内容を紹介する予定とのこと、期待したい。
5.0 国民の年金もどんどん株に投資せよ, 2014/12/23
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
日本の皆保険制度は、アメリカのそれとは全く違う。日本は、生存権に基づき 公平平等 の基本理念がある。アメリカは、 いのち は商品であり、医療はビジネスの位置付けだ。確かに皆保険制度について正確に理解する者は少ない。しかし知らないことは隙を作る。
混合診療解禁や株式会社病院、保険組織の民営化、診療報酬改革、公的保険周辺の営利民間保険参入や投資信託など、すごいスピードで日本も法改正しているのだ。
名前は同じ皆保険制度だが成り立ちや参加者が違えば「いのちの沙汰も金次第」全く違う結果になる。
日本は次のターゲット。投資家は介護や医療が優良投資商品だと知っている。国民健康保険の公費負担が減るほど、それ以外のカバーの為、日本人は民間保険を買うようになるでしょう。やがて貧困層と低所得高齢者、障害者だけが公的保険に入り、それ以外の国民が国民健康保険と民間保険の両方に加入するというアメリカと同じ図になりますね。
忙しくて全て読めない人は182から203ページだけでも目を通して欲しい。
オバマケアは確かに問題ではあるのだが…, 2014/12/27
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
オバマケアと言う、不完全な制度によってアメリカの医療事情がひどくなっていると言う指摘はまあ分からなくもない。
ただ、町山智浩さんの著書とか読むと良く分かるのですが、共和党に下院を抑えられ、妥協に妥協を重ねた産物がオバマケアで、オバマがやりたかった事とは違うんだよなぁと言うのが正直な感想。
逆にオバマですらここまでしか出来なかった訳で、共和党政権になったらもっと貧困層に生きづらい社会になると思うんですが、その辺の切り込みが足りない気がします。
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
貧困大国シリーズから全部読んでますが、新自由主義のもとで巨大企業が世界を飲み込んで行く怖さを教えてくれます。徐々に日本にも上陸し、侵されつつあります。何とかしないといけない、そんな思いです。
そりゃ 共和党 が 勝つよね, 2014/11/24
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
オバマケア の 詳細がよくわかりました。レーガノミクスから始まる 規制緩和、新自由主義の推進の流れの一環なのでしょうね。小さい政府を標榜しながら 大きすぎて つぶせない と 金融機関を救済する。それも 血税にて。あげくに紙幣をじゃぶじゃぶ すって資産上昇を更に加速させようとする。金融機関はもうけますよね。国民の預金は目減り。知る 努力しないと どうしようもない。知っても どうしようもないとこはあるのですが。このアメリカの医療現場は近い将来の日本の医療現場かもですね。なんとか 回避したい と 考えさせられる本でした。年金の運用比率は本で書かれた以上にリスクの高い 分配になちゃいましたね。年金もやめてほしいは
2.0 悪者はオバマ???, 2014/11/22
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
アメリカの医療制度に問題があって、オバマケアが妥協の産物であることは誰もが認めるところでしょう。オバマケアを妥協の産物にしたのはスーパーリッチと癒着した、オバマの反対側にいる勢力のはずです。オバマを陰謀論の立役者のように論じるのはセンセーショナリズムが過ぎるばかりか、問題の本質から目をそらすことです。
医療保険オバマケアの悲惨な話がいっぱいでてくる, 2014/12/29
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
オバマケアの悲惨な話がいっぱいでてくるアメリカの貧困 医療 医療がビジネス化国民皆保険オバマケア悪法なのか
オバマケアの失敗, 2014/12/16
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
日本の皆保険の良さを改めて知ることとなり、良い本だと思いましたが、文章が少し読み難いのが難点ですね。
悪いのはオバマか?, 2014/12/28
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
オバマケアが不完全な制度であり、その制度のほころびが期待と真反対の結果を生んでいるのはよく分かりましたが、根本的な問題は異常に高く設定されている医療費の方ではないでしょうか。医療費の負担を嫌った企業が従業員の待遇を悪化させるなどの問題で責められるべきはオバマではなく、待遇を下げる企業の経営陣の方でしょう(確かに、妥協の末にそのような事態を招いてしまう不完全な制度しか構築出来なかったのが問題である、というのは事実だと思いますが)。オバマは確かに政策で失敗したとは思いますが、問題の元凶がオバマであるかのように書くのは少し違うのではないか、と思いました。
前作のレポートをはるかにしのぐ怖さを感じました。, 2014/12/13
レビュー対象商品: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
「いいかげんわたくし達にっぽん人は前頭葉を使いなさい。」と言われた気がしました。下朝鮮も直ちに片付け、同時に日本人の日本人たる財産、資質を守らなければなりません。
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
せめて この本を買った人は投票に行こう。もしかしたらかわりはじめるかもしれない。
さすがにこの内容では、、、, 2014/12/22
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
序章でいきなり、ウォール街では五大銀行が「四半期だけで279兆ドル(2京7900兆円)の利益を得ている」との記載がある。「279兆ドル」だけでやめておけば何かのタイプミスだろうと思って見過ごすこともできるが、わざわざ日本円に直して、さらに日本の一般会計は95.9兆円と上塗りをしている。
世界全体のGDPがいくらなのか知らないが、平均レベルの知能があればこの数字が間違いなのは分かるのでは?
その後もきちんと資料に当たっているのか、自分で物を考えているのか、ちょっと疑問に思うレベルの記載が多い。
(そもそもの議論のベースになる数字が違っていれば、そりゃ「衝撃的」になるのは当然だと思うのですが)
週刊誌の記事レベル, 2014/12/16
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
この本のテーマは何なのでしょうか?タイトルからすると、必ずしも”アメリカの医療制度”を著述の対象としているわけではないのでしょうかね。というのも、オバマケアの悲惨な話がいっぱいでてくるのですが(なるほどと思いますが)、そもそもオバマケアはどのような制度になっているのか、それに対して日本の国民皆保険の制度はどのようになっているのか、なぜこのようなことになってしまったのか、現在の制度設計のどこが悪いのか、ということに対する記述がとても浅いように思います。
化け物だー、化け物だー、大変だー、大変だー、というような文章ばかりがたくさん記述されているように思えます。そういう意味で週刊誌の記事みたいです。
はたして、オバマは票のことしか考えてなくて、企業は金儲けしか考えていないから、このような事態になっているのでしょうか?確かにそれもあるでしょうけど、制度の設計に問題があるせいで巨大な怪物が生まれてしまい誰も止められない、という実例は、これまでの歴史にたくさんみられるはずです。単純に悪者のせいにせずに、丹念に制度設計の穴を解析してほしかった。
目のつけどころはとてもよいと思います。せっかくいろいろ調べたのでしょうから、こんなふうに週刊誌の記事みたいにせずに、詳細で丹念な解析と記述をしてほしかったですね。
そんな書き方だと本が売れないって?
まあそういうことで、週刊誌の記事レベルだと思います。
詳しい実情を知らずに正義を騒ぎ立てるのは非常に危険なことです。大変惜しいです。
構成に難あり, 2014/12/10
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
オバマケアの個々の事例を散発的に羅列した構成になっていて、問題の核心が非常に分かりにくい。先ずはオバマケア以前の保険制度を紹介し、その上で改正後何がどう変わって、どの様な理由があって失敗したのか説明して欲しかった。前作?の貧困大国アメリカが良かっただけに残念。
何を言っているのか全くわからない文章。, 2014/11/17
メリカ (集英社新書) (新書)
3回読み直してみたが、言葉の定義や使用法が自分だけしかわからない使い方をされていて、文章の流れがわかりにくい。結論はわかるが、分析プロセスがよくわからない。ということで、星1つ。
反米な人たちに向けて書かれたミミズあるいはゴカイ, 2014/11/17
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
日本にはなぜかアメリカを逆恨みする連中が多い。そういう連中に私は常に「海よりも深く山よりも高いアメリカ様の御恩を忘れるな」と教戒を垂れているのだが、連中の耳に私の「アメリカを敬うというありがたい教え」は届かない。連中は物事を客観的にみるという習性を持たない。「アメリカはひどい国だ」「アメリカは悪い国だ」「アメリカは没落する」という結論は既に出ていて、そういう結論に沿った本書のような本しか手にしない。「バカは死ななきゃ治らない」というが、これは本当である。本書は、こういう「事実をきちんと学べない人」たちに向けてばらまかれた撒き餌、いうならば養殖場の魚に向けてばらまかれるミミズ、ウジ虫、ゴカイのような本である。本書に対してのシンプルな反論は「そんなにアメリカが悪い国で、そんなにアメリカが没落しているのなら、どうして世界中のアメリカ大使館の前にアメリカへの移民を希望する人たちの長い行鉄が毎日出来ているの?」のひと言で終わる。世界の人たちは知っている。アメリカが今も世界で数少ない希望に満ちた国であり、アメリカにさえ移民出来れば絶望から脱出してチャンスを手に出来るということを。先日、ワシントンDCにいって空港でタクシーを拾ったら、ひげ面の兄ちゃんが運転手だったので「どこから来たの?」と聞いたら「アフガニスタン」との答が返って来た。タリバンによる残虐な虐殺が続く絶望の国アフガニスタンを捨ててアメリカに渡ったこの若者は、嬉々としてタクシーを運転していた。これが現実である。以上、証明終わり。Q.E.D!
バカ丸出し, 2014/11/18
: 沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) (新書)
そんなにアメリカが憎い?1%の富裕層が憎い?ハッキリ言って、日本の国民保険なんて全額自己負担しても払い損なんだよ。国民年金も払った金額以上にもらえるなんてうまい話が長く続くわけねーだろ。この両制度を維持し続けた結果が、1000兆円の借金だ。この両制度は廃止すべきだ。沈みゆくのはアメリカでなく日本の方だ!
追記 弱者や庶民の味方面してる政治家、弁護士、医者、マスコミ、学者。これはみんな高収入の既得権益層だからね。ダマされないように気をつけたほうがいいよ。
追記 日本は財政破綻するまで分からない国民性なんだろうな。原爆を落とされるまで悲惨な戦争を続けたように。
17:33 2014/12/30
中国崩壊で日本はこうなる 単行本 – 2015/1/27宮崎正弘 (著), 大竹愼一 (著)
2015年度の最大注目は中国経済の動向。今の中国は死に体にカンフル注射の状態でいつ崩壊してもおかしくない。そこで日本屈指のチャイナウォッチャー宮崎正弘とファンドマネジャー大竹愼一が中国崩壊を視野に今後の日本人の対応を激しく議論。
宮崎「世界や日本のマーケットは既に中国崩壊を織り込み済み。損害を被るのは中国に深入りした企業だけ」大竹「株は心理戦争。中国経済の混乱は日経平均4000円まで下落する」
著者について
1946年石川県金沢市に生まれる。早稲田大学英文科中退。『日本学生新聞』編集長、月刊『浪漫』企画室長をへて1982年『もう一つの資源戦争』で論壇デビュー。中国ウォッチャーとしても知られ、『中国・韓国を本気で見捨て始めた世界』はベストセラーに。又、三島由紀夫を論じた三部作『三島由紀夫「以後」』『三島由紀夫の現場』『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』など文芸評論でも活躍する。
日・米・欧で活躍するファンドマネジャー。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了後、ドイツ・ケルン大学、イギリスLSEに留学。野村総合研究所研究員、ロンドンのチェース・インヴェスターズ、ニューヨークのAIGグローバル・インヴェスターズを経て独立。欧米ファンドのグローバル株部門でトップクオーターを続ける成績をあげる。これまで訪問した日米の会社は1500社を超え、その徹底した現場主義には定評がある。著書に『ウォール街から日本を見れば 2015世界大恐慌の足音が聴こえる』他多数あり。 単行本: 224ページ
出版社: 李白社 (2015/1/27)発売日: 2015/1/27
17:35 2014/12/30
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第1042号 実現可能な25%運動が日本を救う 2014/12/27 13:19 配信の記事 「植草一秀の『知られざる真実』」 2014/12/27 実現可能な25%運動が日本を救う
第1042号暗い話題の多かった2014年の日本政治に、大きなクリスマスプレゼントが届けられた。
参議院議員山本太郎氏が生活の党に合流し、「生活の党と山本太郎となかまたち」
に党名が変更された。生活の党は政党要件を欠く状況に陥っていたが、山本氏の合流で政党要件をクリアすることになった。
生活の党に所属していた鈴木克昌氏と小宮山泰子氏は総選挙前に民主党に移籍して比例代表で復活当選を果たしている。
太田和美氏は維新の党で比例代表復活当選を果たしている。
「同志」が党籍を変えて議席を守ったのである。
生活の党が政党要件をクリアしたことを歓迎する。年末がデッドラインであったから、政党要件を満たす方向での調整が当然進められたわけだが、その調整が山本太郎氏の合流で着地した。
山本氏は、原発、憲法、消費税、TPP、基地、格差の六大問題において、安倍政権の基本政策に反対の主張を明確に示している。この山本氏が生活の党に合流したことの意味が大きい。
私は、拙著『日本の真実』(飛鳥新社)
http://goo.gl/8hNVAo
において、結論として下記の主張を示した。
拙著の副題は、「安倍政権に不安を感じる人のための十一章」である。
十一章のタイトルは、
第一章 日本の支配者
第二章 戦後非民主化
第三章 小鳩の春
第四章 尖閣の罠
第五章 「フクシマの嘘」
第六章 日本を飲み込むTPP
第七章 成長戦略の正体
第八章 財務省の謀略
第九章 「あべさまのNHK」
第十章 絶望の警察、検察、裁判所
第十一章 さまよえる群集
結論として示したことは、日本政治の基本方向を、「戦争と弱肉強食」の方向に定めるのか、それとも、「平和と共生」の方向に定めるのかを、日本の主権者が選択するべきこと。
私の主張はもちろん、「平和と共生」の方向を選択するべきというものであるが、その方法として、「25%運動」を提唱した。同書第十一章「さまよえる群集」の末尾部分を転載する。
「原発ゼロ、TPP不参加、集団的自衛権行使容認反対、消費税増税阻止、沖縄基地建設阻止で共闘できる政治勢力が結集して、次の総選挙に備えなければならない。
基本理念は「平和と共生」である。「戦争と弱肉強食」に対する「平和と共生」の政治勢力が正面から対峙し、最終的に主権者が判断して選択する。これを日本政治、日本の民主主義の原点にしなければならない。リベラル勢力の結集が求められている。
現有の議席数にだけ目を奪われれば、希望を見失ってしまうが、政治の基本に置かれるべき政策、思想・哲学を見つめるなら、状況の大転換が生じ得ることに、希望を失う必要はない。
圧倒的な議席数を確保する自公の政権与党であるが、何度も繰り返すように、選挙で投票した有権者は、全体の4分の1に過ぎない。この勢力を結集できれば、いつでも大逆転は発生し得る。国民の過半数を結集するのは困難だろうが、国民の25%を結集することは不可能な目標ではないはずである。筆者はこれを「25%運動」と呼ぶこととする。
主権者である市民が、この政治運動を主導することが必要になる。「主権者フォーラム」を創設し、政治勢力の大同団結を誘導する。こうした戦略が求められている。」政界再編の核は民主でも維新でもない。原発・憲法・消費税・TPP・基地・格差の六大問題で安倍政権に対峙する主権者勢力を結集する「主権者の党」が軸にならなければならない。「生活の党」がこの方向に軸足を定める方針が明示されたことの意味が重大であり重要なのだ。
上記拙著第一章「日本の支配者」第4節「支配の技法」に次のように書いた。
「第3は、選挙妨害である。主権者が主権者としての権利を行使する行為である選挙への参加を妨害するのだ。
分かりやい例は選挙の投票率を引き下げる工作である。最近の選挙では、投票率が5割程度しかない。
自公の政権与党勢力は、投票した有権者の約半分の票しか得ていない。つまり全有権者のわずか4分の1の投票で国会の多数議席がもたらされている。4分の1の国民の支持で日本政治を支配するためには、できるだけ多くの国民に選挙を棄権してもらうことが必要になる。
人々が選挙を棄権するように仕向ける策謀を、既得権による、日本政治を支配するための第3の技法として提示する。」今回の総選挙においても、この記述はまさに正鵠を射るものだった。投票率は52.66%。
比例代表選での自民、公明の得票率は33.1%と13.7%で両者の合計は46.8%だった。
全有権者のなかで自公両党に投票した者の比率は24.7%である。この24.7%の投票で、衆議院475議席のうちの68%に該当する325議席が自公によって占有された。
全有権者の4分の1の意思で日本政治が支配されてしまっている。「民意と国会議席のねじれ」が極めて深刻な事態を引き起こしている。
国民の大多数が自公政権を支持しており、国会の大多数の議席が自公勢力によって占有されているのなら、何の問題もない。
しかし、現実は違う。恐らく、国民の多数は自公政権の方針を支持していないのである。にもかかわらず、自公が国会議席の多数を支配してしまっていることが問題なのだ。この状況を打破するためには、戦術的な対応が必要なのだ。「戦術的」という意味は、現行の選挙制度を踏まえた「選挙戦術」が必要ということだ。
具体的に言えば、全有権者の25%の人々が大同団結して、衆議院総選挙の小選挙区に対応することである。
これをやっているのがほかでもない。自公なのだ。
自公は全有権者の25%が結束して、衆議院総選挙の295の小選挙区に対応している。
そして、231の小選挙区で勝利した。その結果として、衆議院の圧倒的多数議席を占有したのである。したがって、安倍政権に対峙する有権者=主権者が、全体の25%でまとまって対決すれば、自公とがっぷり四つの闘いを展開できるのだ。
全有権者の50%を束ねる政治運動は実現が難しいだろう。しかし、25%が結束する政治運動なら、実現可能である。この「25%運動」を展開する必要がある。12月12日に大阪で記者会見を行った。「ストップ安倍政権を実現する国民会議」の声明を発表する記者会見である。
そして、この会議の検討会議が12月19日、東京で開催された。新たに合意が形成されたことは、原発・憲法・消費税・TPP・基地・格差の六大問題で安倍政権の政策方針に反対する政治運動を広く国民運動に発展させることであった。その核心的提案は、「組織を作らず運動を展開すること」である。誰が代表を務める、誰が世話人になる、といった組織に対応を取らずに、理念、主張、方針に賛同する主権者を広く募り、この理念、主張、方針に賛同する主権者を拡大してゆくことを目指すというものだ。
ガンディーがインドで展開した「非暴力・非服従」の運動を想起させる主権者全体の運動である。この運動を主権者全体に広げてゆく。
そして、来る国政選挙において、この主権者勢力が国会過半数議席を確保することを目指すのである。
恐らく、その際には、主権者政党と共産党の盤石の選挙協力を実施することが必要不可欠になる。
自民と公明が盤石の選挙協力を実施している以上、安倍政権の政策方針に反対する主権者勢力が盤石の選挙協力体制を構築しなければ、自公勢力を打破することが難しいからである。
民主党が代表選を実施するが、第二自公、第二自民党の色の濃い政治勢力は、主権者政治勢力の核にはなり得ない。民主党はできるだけ早く、自公補完組と主権者勢力に分裂するべきである。主権者にとって大事なことは、原発・憲法・消費税・TPP・基地・格差の問題で安倍政権と真正面から対峙する政治勢力に政権を委ねることなのだ。
いまの、民主や維新は、この要請に応えられる存在ではない。この意味で、山本太郎氏が生活の党に合流したことが持つ意味は極めて重大であり重要である。山本太郎氏には失礼な言い方になるかも知れないが、「アリの一穴」である。ここから、安倍晋三独裁政権の瓦解が始動することになるだろう。
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8:59 2014/12/29
第1043号 砂上の楼閣安倍政権打倒に向けての戦術プラン
「植草一秀の『知られざる真実』」 2014/12/28
砂上の楼閣安倍政権打倒に向けての戦術プラン 第1043号
12月26日、11月鉱工業生産統計速報値が発表された。鉱工業生産指数は季節調整後前月比 -0.6%の減少を示した。
鉱工業製品在庫率指数は 前月比4.0ポイント上昇の 116.8を記録した。
11月に発表された予測指数では、12月の生産は季節調整後前月比 +2.3%の伸びを記録することとされていたから、予測指数に対して、大幅下方修正の統計数値発表となった。
この統計が示していることは、日本経済が、完全に景気後退局面にあることだ。
景気の循環変動を把握するうえで、最も有用な経済指標は、
鉱工業製品在庫率指数
の推移である。
景気循環の姿は、鉱工業製品在庫率指数の推移にくっきりと表れる。
鉱工業製品在庫率指数は、景気拡大局面で低下し、景気後退局面で上昇する。
鉱工業製品在庫率指数の推移を示すグラフを見ると、経済の循環変動が手に取るように分かる。
2008年の初めから2009年の初めにかけて、日本経済は急落した。
サブプライム金融危機不況が世界経済を襲ったのだ。
米国の投資銀行であるリーマンブラザーズ社が破綻したのが2008年9月15日。
リーマンショックが世界の金融市場を震撼させた。
日本では2008年末に、東京日比谷公園に年越し派遣村が設営された。
サブプライム金融危機大不況で、製造業が生産活動を急激に縮小し、派遣労働者が解雇されて、寒空の下に放り出されたのである。
鉱工業製品在庫率指数のグラフは、この大不況の進行を鮮明に描き出している。
2012年4月から2012年11月にかけて、不況が日本経済を覆った。
野田佳彦政権による財政再建原理主義不況である。
「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」
と絶叫していた野田佳彦氏が、
「シロアリを退治しないで消費税をあげる」ことを決めた。
野田佳彦氏と菅直人氏は、日本政治を破壊したA級戦犯である。
二人とも、自分の利益のために、魂を財務省に売った人物である。
自分が総理大臣になるために、主権者との約束を踏みにじって消費税増税に突き進んだ。
そして、この愚行が、日本政治刷新の芽を破壊し尽くす主因になったのである。
いずれにせよ、鉱工業製品在庫率指数のグラフは、野田佳彦財政再建原理主義不況の現実を鮮明に示している。
そして、2014年の日本経済。
安倍晋三氏による消費税増税実施により、日本経済は再び景気後退局面に突き落とされた。
私が『日本経済撃墜』(ビジネス社)
http://goo.gl/lgZ9ky
で警告した「日本経済撃墜」が現実のものになった。
2014年の日本経済は景気後退局面にあるのだ。
これが真実である。
しかし、日本の腐敗御用マスメディアは、12月の総選挙に際して、事実無根の大本営報道を展開し続けた。
「アベノミクスで日本経済は改善傾向にある」
との虚偽報道が展開され続けたのである。
先の大戦で大本営が、日本軍の連戦連勝を喧伝し続けたのと、まったく同じ図式が展開され続けた。
拙著『日本の奈落』(ビジネス社)
http://goo.gl/48NaoQ
で、2015年の日本経済を読み抜くポイントを指摘した。
アマゾンが、拙著に対する販売妨害行動を続けているのは、恐らく安倍政権の意向を反映したものであると思われる。
紀伊國屋ウェブショップでは販売が行われているので、ぜひご参照賜りたい。
http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784828417752
安倍政権がどの部分を国民に読ませたくないのか、本書から探り出していいただきたい。
また、
12月22日発行の「金利・為替・株価特報」第219号
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/
に、年明け後の金融市場動向についての分析を提示した。新年に幸運を呼び込むための秘訣も盛り込まれているので、ぜひご参考にしていただきたいと思う。
日本が消費税大増税不況に突入しているにもかかわらず、日本の腐敗したマスメディアは、
「アベノミクス」
を絶賛する自民党支援報道を展開し続けた。
日本経済新聞などは、2014年4月の消費税増税実施に向けて、
「消費税増税の影響軽微」
という大キャンペーンを展開し続けた。
新聞名を
「日本経罪新聞」
に変更した方が良いと思う。
朝日新聞の吉田証言報道が攻撃されてきたが、
日本経済新聞の「消費税増税の影響軽微」報道は、
ほとんど攻撃に晒されていない。
社長が辞任して責任を明らかにするべき内容である。
アベノミクスで円安と株高が進行したのは2013年前半のことで、もう2年近くも前のことだ。
1991年に日本経済はバブル崩壊不況に突入していた。
私はバブル崩壊不況の深刻な影響を警告し続けたが、当時の宮澤政権が景気対策に踏み出したのは、なんと1992年8月のことだった。
マスメディアでもバブル崩壊の影響の深刻さを指摘する者は存在しなかった。
この初期対応のまずさが、その後の日本経済の
「失われた10年」
「失われた20年」
をもたらす主因になった。
要するに、この国の病巣の重大な一部は、日本のマスメディアの腐敗にある。
安倍首相は政治記者との会食を重ねて、メディアとの癒着を強化する。
メディアの側はメディアとしての矜持など忘れて、自ら率先して茶坊主に成り下がる。
矜持を失った堕落メディア、堕落言論人が日本を腐臭の立ち込める国にしているのである。
事態を打開するには、国民が目を醒ます必要がある。
国民が腐敗メディアの本質を見抜けずに、腐敗メディアに誘導されるまま、権力迎合の行動を示すなら、政権もろとも、この国は暗黒の海に沈んでゆくことになるだろう。
沈みかかった船の上で、権力と腐敗メディアと無自覚国民が宴を繰り広げるまま、日本丸が沈没することを回避する必要がある。
日本を救う道は残されている。
実は方法はかなりはっきりしているのだ。
問題は、それを実行できるかどうかだ。
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も
成らぬは 人の 為さぬなりけり」
そして、
「命もいらず 名もいらず、
官位も金もいらぬ人は始末に困るものなりこの始末に困る人ならでは艱難を共にして国家の大業は為し得られぬなり」
の言葉を胸に刻む必要がある。
安倍政権は砂上の楼閣である。
衆議院の楼閣は325議席と、立派に見えるが、その基盤は驚くほどに脆弱である。
24.7%の民意にしか支えられていない。
24.7%の民意にしか支えられていないが、295ある小選挙区に、この24.7%の民意が結託して選挙に臨んだ。
その結果、295の選挙区で231の議席を獲得した。
この結果として、325議席の立派な楼閣が作り出されたのである。
安倍政権の政治に反対の意思を持つ主権者が、24.8%団結すれば、事態を転覆できる。
簡単ではないが、絶対不可能な目標ではない。
主権者の25%が結束すれば、日本政治を刷新できるのだ。
大事なことは、基本路線である。
基本路線で一致できる者が結束する。
これが大事だ。
基本路線で核心になるテーマは、
原発・憲法・消費税・TPP・基地・格差
の六大問題である。
この六大問題に関して、安倍政権の基本路線に反対である主権者が多数存在するのだ。
この多数存在する主権者が大同団結することが必要なのだ。
既得権益が、日本の第二政治勢力に仕立て上げようとしている
民主と維新は
この基本に噛み合わない。
民主と維新は、
原発、憲法、消費税、TPP、基地、格差
の六大問題の基本路線において、
自公政権に極めて近いのだ。
自公と第二自公によって日本政治を支配されること以上の暗黒はない。
自公の基本路線と正面から対決する第二政治勢力を構築することが必要なのだ。
この事実を踏まえるなら、主権者勢力は共産党と協議して、主権者勢力と共産党による選挙協力体制を構築することが必要不可欠だ。
共産党も基本政策路線で同調できる政治勢力であれば、選挙協力を拒むことができなくなるだろう。
安倍政権の基本政策に反対する主権者が25%連帯する。
そして、この25%の主権者が総選挙の295選挙区で、ただ一人の統一候補を擁立するのである。
この具体的プランを着実に実行できれば、必ず日本政治を刷新できる。
為せば成る、成らぬは人の 為さぬなりけり
である。
9:00 2014/12/29
読者日記──マスコミ同時代史 2014年12月23日号(総選挙特集)
【アベノミクスの対案とは?】
執筆 田中良太(売れないもの書き 元毎日新聞記者)
E-mail gebata@nifty.com
朝日が16日付朝刊1面に連載「安倍政治 その先に」(上)を掲載した。「富の再分配、知恵絞る時」という見出しで、書き出しは以下の文章だ。< 大勝ではあるが、熱も風もなかった。それはそうだろう。与党にとっては、相手の
いない不戦勝のような選挙だった。少なくとも経済政策については。強力な金融緩和で、日本経済はまがりなりにも安定へ向かった。失業率の低下が、その象徴だろう。野党第1党の民主党は、安倍政権の経済政策への批判を強めたが、では代わりにどうするかが見えにくかった。>
首相・安倍晋三は「アベノミクス それしかない」と絶叫し、野党各党には「対抗する政策」がなかったということだろう。マスコミ論調に共通した見方で、すなわちこれがいまの日本の「空気」である。これに反発すると「KY=空気が読めない」と軽蔑される。
私は「逆KY=空気を読むだけ」の人間たちこそ、軽蔑に値すると考えている。テレビのニュースショーに出演し、エラそうにしゃべりまくっている人物はほとんどがその逆KYである。元新聞記者も多いが、テレビ芸人に堕してしまっている。落語家のように芸を売りものにするわけではない。しかも自分の考えを持たず、マスコミがつくり上げている日本の「空気」に同調するだけ。サイテーの人物たちだ。
紹介した朝日の記事「安倍政治 その先に」(上)は、その「逆KY(空気を読むだけ)」に近いと思う。経済に話題を戻すと、「崩壊」の危機に陥っているのは、日本経済だけではない。米国でもEU(欧州連合)でも、さらにはロシアでも中国でも、経済は低迷し、危機的状況にあるのだ。米大統領ニクソンがドルの兌換停止など「ドル防衛策」を発表してブレトン・ウッズ体制が崩壊したのは1971年8月だった。以後短期間のスミソニアン体制(管理変動相場制)を経て、73年2月には、通貨の交換レートは、外為市場の相場によって日々変動することになった。通貨は互いに売買される「商品」になってしまった。通貨は商品の価値を示す尺度であったはずだ。通貨の中の通貨が金貨であり、資本主義経済はほんらい、金本位制によって発展した。金本位制の下で各国の通貨(円、ドル、ポンド、マルク等)は、各国通貨当局が決めたレートで、金に変えることができた。すなわち各国の通貨は、金と交換できる兌換通貨だった。しかし1929年の世界大恐慌で、多くの通貨は金と交換できない不換通貨となった。日本の円も同じことで、昭和初期には、円を兌換通貨に復活させる「金解禁」が大きな政治課題となった。
第2次大戦語の国際通貨システムは「ブレトン・ウッズ体制」となった。最強の通貨、米国のドルは、他国の通貨当局に要求された場合に限り、金との交換に応じることにした。他国の通貨当局にとっては、ドルを保有することは金保有と同じ意味を持つことになっ。ブレトンウッズ体制は「疑似金本位制」として機能したのだった。ブレトンウッズ体制とその亜流にすぎないスミソニアン体制の崩壊によって、国際通貨システムは「本位通貨なき時代」に入った。もはや16年も以前になる1998年11月8日付日経新聞朝刊掲載の「中外時評」は(「まだ続く『71年無体制』──市場化と情報化が相乗」というタイトルだった。「本位通貨なき時代」を「無体制」と呼んだのである。金本位制、スミソニアン体制など、本位通貨を基本とする「体制」がないから「無体制」という新造語をひねり出したのだろう。各国の通貨は外為市場で取り引きされる商品となった。「価値の尺度」だったはずの通貨は、最大の商品となったのである。
さらにコンピュータ時代が加わる。さまざまな市況の数値に対する判断基準をコンピューターに組み込んでおく。データをインプットしたとき、コンピューターは瞬時に「売り」「買い」などの行動をアウトプットしてくる。取り引きの規模さえ打ち込んでおけば、何億円でも、何兆円でも瞬時にして取り引きする。前記の「中外時評」は、< 情報化した金融市場は、実需の裏打ちのない取引を急膨張させてきた。世界の外為市場の1日の取引高は、1兆ドルを軽く上回る。世界の年間貿易総額約5兆5千億ドルを3、4日でこなしてしまう規模である。>と書いた。 経済学者宮崎義一(故人)は著書「ドルと円」(岩波新書、88年9月)「複合不況」(中公新書、92年6月)などで、当時の世界経済を動かす力が「物とサービスの貿易ではなく、資本移動に変わった」と指摘している。宮崎によると1986年3月、はじめて東京、ロンドン、ニューヨークの各外為市場で1日あたりの取引額の同時調査が行われたが、それをもとに年間の通貨の取引額を推計した数字は、世界の年間貿易総額の16倍以上だったという。
週刊誌「アエラ」は07年8月13日号で「円高・株安の本当の主犯 米国発サブプライムショック」と題するレポートを掲載した。その書き出しは、以下のとおりである。<もはや「兆」を超え、「京」の単位に達する。為替に特化したヘッジファンドの動かすマネーである。ジョージ・ソロスが名を馳せた1990年代、彼らの資金量は、せいぜい10兆円程度だったと見られている。だが、いまやそれが120兆円を超えると推定される。空恐ろしいのは、彼らがこれを元手に借り入れをし、運用する規模を20~30倍に膨らませていることだ。したがって動くマネーは数千兆円から京円サイズになる。
背筋が寒くなるのは、規模だけではない。その回転スピードが尋常ではないのだ。コンピューターネットワークの発展は世界中の資金移動を容易にさせ、彼らの売買は年間数百回転にもなり、出来高も京単位だ。邦銀の為替ディーラーでさえ年数十回といわれるので、その動きの速さは驚異的だ。>
この時期、宮崎がやったように、通貨売買総額と年間貿易総額を比較するなら、少なくとも100倍程度になっていたはずだ。それは間違いで、千倍・万倍の単位になって
いるかもしれない。
いずれにせよ、本位通貨なき時代の経済運営について、きちんとした理論などない。
各国の金融当局・財政当局が、経済の現実に対応する金融・財政政策を手探りで実行し
ているだけなのである。
アベノミクスの対案というべき経済・財政政策はない。本位通貨なき時代の経済は、
極めて危険なもので、好況など望めない。「崩壊」を防止するだけが可能なことだ。ア
ベノミクスは、巨大企業に対して、調達コスト=ゼロに近い巨額資金を提供することに
よって、株価など景気判断の指標とされる数値を上昇させているだけだ。巨大企業はそ
の資金を手にして、株・債権・外為などの市場でマネーゲームをやり、利益を上げてい
るだけだ。
その資金提供の見返りに、日銀は保有する日本国債をどんどん増やし続けている。諸
外国の機関投資家たちが、「日本は国の借金を支払う意思を持っていない」と判断し、
日本国債売却という相場行動に出れば、いますぐにでも、日銀発行の通貨である円は信
任を失い、紙切れ同然になってしまう。
つまり目先の数値を好転させているだけで、通貨・円の信任をどんどん低落させてい
るのが「アベノミクス」の金融政策なのである。「アベノミクスで経済が良くなってい
る」と安倍が言うのは、あまりにひどい手前勝手な経済認識なのである。
選挙戦の中で民主党などが主張したのは、以上の「アベノミクスの嘘」論に近いもの
だった。「対案の主張がなかった」ことを非とする朝日記事の主張の方が、はるかに浅
薄なものだ。
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16:46 2014/12/25
第1040号 民主党を破壊した権力亡者が代表選出馬?
発行者:植草一秀(政治経済学者) 価格:540円/月(税込)
2014/12/25 03:30 配信の記事
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「植草一秀の『知られざる真実』」20141225民主党を破壊した権力亡者が代表選出馬? 第1040号
民主党の海江田万里氏が総選挙で落選し、民主党代表を辞任した。民主党は年明けに新しい代表を選出する。しかし、この党に対する主権者の期待は冷め切っている。2009年に政権交代を実現し、日本政治が変革するとの期待が日本中に広がった。このとき、最大の警戒をもって状況を見つめたのが日本の既得権益である。
日本の既得権益とは、米国・官僚・大資本のトライアングルだ。別名は、ハゲタカ・シロアリ・ハイエナである。
攻撃の対象とされたのは、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏だった。
小沢一郎氏に対しては、西松事件、陸山会事件という、戦後最悪の政治謀略事件が捏造された。
鳩山由紀夫氏に対しては個人献金をめぐるスキャンダルが掘り起こされ、徹底的な人物破壊工作を展開された。
そして、もうひとつ見落とせないことは、政権交代の最大の功労者である小沢氏と鳩山氏が人為的に分断されたことだ。
鳩山政権は沖縄の普天間移設問題でトラップにかけられた。
鳩山首相が普天間問題で追い落とされる原因を創作したのは、民主党内の隠れ既得権益派勢力だった。
具体的には、沖縄基地問題を担当した、
岡田克也外相、前原誠司沖縄担当相、北澤俊美防衛相
の三名が、鳩山首相に対して忠誠を誓わず、横田政府=米国の僕(しもべ)として動いたのである。
このために、鳩山首相が追求した普天間基地の県外・国外移設方針が座礁した。
そして、もうひとつ、2009年の政権交代が破壊された最大の理由のひとつは、小沢一郎氏が謀略によって人物破壊されたことだ。
2009年3月3日に勃発した西松事件で、小沢一郎氏は不当な追及を受けた。
民主党は一致結束して、検察による小沢民主党攻撃に立ち向かう必要があったが、民主党の一部の人間は後ろから小沢一郎氏に対して弾を撃ったのである。
その悪徳民主党議員が、
岡田克也、前原誠司、玄葉光一郎、枝野幸男、安住淳
などのメンバーである。
そして、政権交代を実現した民主党の存立基盤が完全に粉砕される原因になったのが、公約破棄の消費税増税方針提示だった。
この背徳の政策運営が、民主党に対する期待を絶望と怒りに変えた。
その戦犯が、
渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、枝野幸男、安住淳、玄葉光一郎
の悪徳10人衆である。
民主党は
「シロアリを退治して天下り機関を排して天下りを根絶する。
そこから始めなければ、消費税を上げるのはおかしい」
ことを公約に掲げて2009年総選挙に臨んだ。
その民主党がシロアリを退治しないまま、消費税増税に突き進んだのである。
だから、民主党は主権者から見放された。
民主党を破壊した戦犯が民主党代表選に出馬するのだという。
要するに、権力亡者なのだ。
権力亡者をトップに据えて、民主党が一刻も早くに消滅することを念願する。
そのためには、悪徳10人衆が新代表に就任するのが望ましいのではないか。
メディアは、民主党が完全な対米隷属政党に変質することを望み、その方向に誘導しようとしている。
これが日本の支配者である米国の意向でもある。
日本政治再生のグランドデザインを描く際に、焦点になるのは民主党の今後である。
民主党が維新などと合流して、第二自民党を形成するなら、日本政治再生の可能性はほぼ消滅する。
いま求められていることは、自公政権に対峙する、本格的な主権者政党の樹立である。
原発、憲法、消費税、TPP、沖縄基地、格差
の問題について、安倍政権に対して真っ向勝負をする主権者政党を樹立することが必要なのだ。
日本政治を破壊した民主党悪徳10人衆は、民主党解体とともに消滅してもらいたいと思う。
民主と維新の一部、生活、社民などが連携して、主権者の党を創設するべきだ。
日本政治を破壊した民主党悪徳10人衆がいまだに大きな顔をして権力欲を剥き出しにしている民主党の現状に、未来はまったく存在しない。
日本の主権者は民主党代表選を褪めた目で見つめるべきである。
歴史にifは意味を持たないが、民主党が2009年の政権交代実現を大切に育てたなら、日本の歴史は異なるものになったはずだ。
繰り返すが、政権交代の大業を破壊し尽くした主体は、民主党の内部に潜んでいたのである。
それが、悪徳10人衆である。
民主党がいまだに、この負の遺産を引きずっているために、日本政治の未来が開けないのだ。
直接的に最大の汚点を残したのは、民主党が財務省の軍門に下ったことだ。
その主犯は菅直人氏と野田佳彦氏だ、
裏から誘導したのは藤井裕久氏である。
菅直人氏も野田佳彦氏も、私の主張の影響を受けたのだと思う。
シロアリ退治、官僚の天下り利権根絶の主張を強調していた。
ところが、よりによって、この二人が、変節して消費税増税に突き進んだのである。
要するに、財務省による利益誘導に完全に乗せられたのである。
二人とも、何よりも優先したことは、自分の出世、名誉欲、権力欲である。
財務省から、
「消費税増税推進と引き換えに、首相ポスト獲得への全面協力」
のオファーを受けて、いともたやすく、変節を遂げたのであると思われる。
この変節が日本政治を破壊したのである。
菅直人氏は2010年7月参院選で消費税増税を打ち出して惨敗した。
直ちに総理の職を辞する必要があった。
なぜなら、菅氏は参院選が菅政権に対する信任投票になると明言していたからだ。
参院選惨敗は菅直人政権不信任の意味を持った。この時点で総理の職を辞する必要があったが、なんと、1年間も総理の椅子にしがみついた。
自分の権力欲、出世欲だけで政治家稼業を営んでいるのだ。
野田佳彦氏はなおひどい。
2009年8月15日の大阪街頭での「シロアリ演説」がネット上に流布されて、それでも総理の椅子にしがみついて、消費税増税に突き進んだ。
それほどまでに厚顔無恥なのである。
野田氏は鳩山政権発足時に無役だったが、財務省OBの藤井裕久氏が野田氏を財務副大臣に引き上げた。
これを契機に、野田佳彦氏は完全に財務省に取り込まれた。
自分自身の利害得失で、主権者との約束を放り出したのである。
財務省の支援なくして野田政権の誕生はなかった。
要するに、官僚の前に膝を屈して、ひたすら自分自身の個人的な利益だけを追求したのである。
日本財政で最大の問題は、消費税増税の前提である「シロアリ退治」が何ひとつ実践されていないことだ。
財務省こそ、増税の前に、天下り利権の放棄を宣言するべきだ。
しかし、財務省は天下り利権を放棄するどころか、天下り利権の全面奪還に動いている。
我が身を切る改革ではなく、我が身を肥やす膨張を実行しつつ、一般庶民に悪魔の税負担を強制している。
これで日本が良い国になるわけがない。
安倍政権は消費税再増税を2017年4月に延期したが、本質は変わらない。
ハゲタカ、シロアリ、ハイエナのための政治を推進し続けている。
そして、現在の民主党に、増税推進の悪徳10人衆残骸が潜んでいる。
したがって、第二自公にしかならない野党勢力の再編ではなく、自公勢力に正面から対峙する主権者勢力を代表する新党の創設が必要不可欠なのだ。
民主党が代表選を通じて分裂することが望ましい。
この意味で、今回の民主党代表選に期待される最大の事項は、民主党分裂とその後の主権者政党の樹立である。
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著者:植草一秀(政治経済学者)
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16:46 2014/12/25
大勝小学校・良いこの生徒の皆様に
拝啓・私は平成25年に龍郷町大勝に引っ越してきました、私たち夫婦は後期高齢者ですが・山も川もひと山越えれば太平洋のある・大勝の町が大好きです・先日大勝小学校の生徒さんが訪ねて来て・大川のことを聞いていましたが、私は思い切って。
大川の彼岸桜がススキで埋もれいて可哀想なので・草刈りを始めました・草刈はつらいけれど・川岸が綺麗になり・うれしくて疲れも吹っ飛びます・朝健康のために散歩する時・きれいにした大川の淵を眺めもっともっときれいにしていくべきだと思っております。
鹿児島県大島郡龍郷町大勝3113-1
滝田 好治0997-69-3195
平成26年12月20日
http://www.town.tatsugo.lg.jp/school_portal/ohgachi/