« 2015年3月 | メイン | 2015年5月 »

2015年4月

2015年4月 2日 (木)

反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本・相川 俊英 (著) 内容紹介

地方から都市部への人口流出は高度経済成長期にはじまり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和一桁世代である。そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。

田畑や山林の所有権の継承に伴う課題である。かれらの資産を相続する人のほとんどが都市部に居住している。地域を支えてきた昭和一桁時代に代わり、大量の不在地主が誕生することになる。第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日・6プラス4の10次産業だと考えています。194頁・


リンクします・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/2015319-6-2745-9431.html


引用

反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本・相川 俊英 (著) 内容紹介

まえがき・アベノミクスでは地方創生はできない・1頁・


日本の政治は戦後一貫して、「国土の均衡ある発展」を金看板に掲げてきた。地域住民の生活向上を目指し、全国津々浦々でインフラ整備を進めてきたのである。

 アベノミクスの「地方創生」は画に描いた餅!

このままでは国土は強靭化どころか弱体化し、多くの市町村が破綻・消滅する!

出生率の低下、東京一極集中で、2040年には市町村が半減すると言われている。

これは地方自治体の多くが、中央官庁お仕着せの政策とばらまかれる補助金、すなわち「タリキ(他力)」に頼ってきたツケに他ならない。一方で、国に頼らず独自のアイディアと取り組み(「ジリキ(自力)」)で自治体の再生・活性化を成功させた「奇跡の市や村や町」がある。

過疎化から人口増に逆転させた村、シャッター商店街をよみがえらせた町……。

彼らはいかにして自分たちを守り、未来を切り開いたのか。その奇策とは!?

ローカルアベノミクスのまやかしに警鐘を鳴らす地方自治取材のスペシャリストが、地方再生の特効薬「ジリキ(自力)ノミクス」を提唱する!

「自律度」「豊かさ度」「税納付率」「投票率」ほか独自集計の市町村ランキングも多数掲載。

 内容(「BOOK」データベースより)

 お仕着せの政策とばらまかれる補助金では地方創生などできない!わが道を行く「ジリキ(自力)ノミクス」でよみがえった自治体、それぞれの奇策とは!?

 商品の説明をすべて表示する 単行本(ソフトカバー): 226ページ

出版社: 講談社 (2015/3/19)言語: 日本語発売日: 2015/3/19


まえがき

・アベノミクスでは地方創生はできない・1頁・

日本の政治は戦後一貫して、「国土の均衡ある発展」を金看板に掲げてきた。地域住民の生活向上を目指し、全国津々浦々でインフラ整備を進めてきたのである。


巨額の税金が投じられることになったが、そのおかげで生活基盤の地域差は少なくなり、日本どこに住んでいても一定の利便性を享受できるようになった。国指導で進められた公共事業の成果と言える。

しかし、ハード面での「国土の均衡ある発展」が進展すると同時に、東京など大都市部に富と人が集まるようになっていった。一方で地方からの人口流出が加速し、過疎地域が生まれ広がっていった。地方の衰退である。

国は税金を投入することで地方の疲弊を抑えようとした。ハード事業を中心とする手厚い支援である。地方の側も国の支援を望み、頼みとした。それは単に財政面だけではなく、政策面においてもだ。地域の実情を横に置いたまま、国が一方的に提示する政策をそのまま採用し続けていた。自分たちで創意工夫する努力を怠るようになっていったのである。

2頁・そうしたことの積み重ねがいろいろな歪みとなって現れてきた。

1つ目は、住民や自治体の依存症である。住民は自治体(行政)に、自治体は国に依存するようになっていった。自分たちで地域の課題を解決する策を考えず、しかも、自分たちで行動しなくなっていったのである。お任せ主義が蔓延し、政治・行政に注文や文句を言うばかりの住民が増えていった。それは、都市部も同様だった。


2つ目は、「国土の弱体化」である。国は戦後、スギ、ヒノキの植林を国策として推進した。地方はこれに飛びつき、地元の天然林を人工林に一変させた。しかし、木材需要の激変により、人工林は放置林となっていった。こうして山は荒れ、土砂災害などを多発させる要因の一つとなったが、国はコンクリートで抑え込む対策を取り続けている。いわゆる「国土強靭化策」だが、その実態は山のみならず、川や海などにも影響を及ぼしている「国土の弱体化」をもたらせるものとなっている。


3つ目が、地方のさらなる衰退である。過疎対策を重ねてきた国は、市町村合併を推進するようになった。「平成の大合併」である。地方分権の受け皿づくりを標榜し、アメとムチを駆使して合併を推奨した。地方はここでも国策に従い、「バスに乗り遅れるな」とばかりに合併に走った。市町村の数はほぼ半減したが、過疎化の衰退にむしろ拍車がかかることになった。


3頁・市町村合併の終了後、新たに取りざたされるようになったのが、消滅可能性都市である。2040年時点で896の自治体が消滅する可能性が高いと名指しされたのである。

こうした歪みが顕著になっている中で、安倍総理が「地方創生」を打ち出した。衰退する地方を再生するために「これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行してまいります」と大見得を切ったのが、これまでの延長線上のものでしかない。国が指導し、地方がそれに存するものであるからだ。同じ結果になるに違いない。

そもそも衰退した地方を国(中央官庁)や政治(国政)の力で活性化することはできない。活性化の特効薬は地域の中にのみ隠されている。それは四半世紀にわたって全国各地を取材して回った私の実感だ。


活力ある地域と衰退している地域の違いを一言でいえば、自力で奮闘しているかどうかだ。衰退した地域は住民も行政も何か大きな存在に頼り、依存しもたれかかっているかどうかだ。


衰退した地域は住民は行政も何か大きな存在に頼り、依存し、もたれかかっているところばかりだった。元気な地域は、国策に安易に飛びつかず、わが道を歩んでいるところである。


国や政治に過度に依存する地域が、もっとも脆弱な存在だ。国や政治に過剰な期待をかけず、まずは自力で踏み出すことが地域活性化の第一歩であると実感している。本書を一読してもらえば、「なるほど、そうか!」と共感していただけるものと思っている。

15/4/2 13時58分


目次


第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・


2016年11月21日 (月)反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本 – 2015・3・19 相川 俊英・・・ 第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・リンク・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/11/2015319-1-a8f5.html

2:08 2016/11/21


(行政、住民、政治の「じゃんけん」・16・


・自治体は「分譲マンション」・19頁・

・タリキノミクスとジリキノミクス・21頁・

グーの上にカスミとベイ・24頁・


客(住民)を客とも思わぬ体質・27頁・


「水は足りている」のに作るダム~「公共事業の迷走」宮崎県川南町・29頁・

改修の要望がいつの間にか新設に・30頁・

「新たな水はいらない」農家ばかり・32頁・

「ジリキノミクス」5つのメリット・34頁・


第2章 納税者が知るべき「自律度」ランキング

・独自に全市町村をランキング・38頁・

「財政自律度」ランキング・39頁・

「住民1人当たりの借金残高」ランキング・42頁・

「税の納付率」ランキング・43・


「自治体選挙における投票率」ランキング・45・


第3章 後悔先に立たず「タリキノミクス」の落とし穴

「豊かな自治体」の顔ぶれ~「財政力指数」ランキング・64頁・


カネが溢れていても人が増えない~“「財政力指数」ベストワン”愛知県飛鳥村・67頁・

財政難から富裕村へと大変貌・69頁・

カネがあっても人を呼び込めない・70頁・

「タリキノミクス」自治体の4分類・73頁・

富裕自治体からの転落~「あぐら型」タリキノミクス」神奈川県南足柄市・75頁・

企業からの税収頼みの危なさ・78頁・


「橋本ポピュリズム論」の誤解「放蕩型」タリキノミクス」大阪市・81頁・

大阪市民の厚遇とハコモノ充実度・82頁・

教育環境の劣悪化で学力・体力低迷・84頁・

とどまった既得権の洗い流し・86頁・

コンパクト化が再生の鍵~「過保護感覚マヒ型」「タリキノミクス」北海道夕張市・88頁・

ハコモノづくりの打ち出の小槌・91・


第4章 実録「ジリキノミクス」で実現した豊かな暮らし・

・ジリキノミクスへの取り組み・98頁・


村を蘇らせた「働く公務員」~“「崖っぷち型」ジリキノミクス”福島県泉崎村・100頁・


・「奇跡の村」の役場改角に学ぶ・102頁・

・イケイケ路線でがけっぷちに・104頁・

国に頼らぬ自主再建の道・105頁・

「少数精鋭」役場の仕事ぶり・107・

険しいゴール・109頁・

地方の光となった図書館~「退路断ち切りがた」ジリキノミクス」福島県矢祭町・111頁・

全国でいち早く「合併しない宣言」112頁・

世にも珍しい住民手作り図書館・113頁・

冷ややかだった専門家も認めた・117頁・

「子供司書制度」で心の教育・118頁・

・自治体が抱える時限爆弾~「伝統・風土型」ジリキノミクス」神奈川県秦野市・120・

・ハコモノメタボを筋肉質に改善・123頁・


・地域資源を生かし切る~「先人の教え尊守型」ジリキスト」島根県雲南市・125頁・

・地域を育てていく使命・127頁・

・自力で開発するオリジナル商品・129頁・

・「クラゲで世界一」~「ひらめき・目から鱗型」ジリキスト」山形県鶴岡市・131頁・

・不名誉な称号「落ちこぼれ水族館」133頁・

・オセロゲームのような大逆転劇・134頁・


・住民主導バス路線開設~「ひらめき・目から鱗型」ジリキスト千葉県印西市・137頁・

・利用者本位のバス事業・139頁・


・シャッター商店町の起死回生策~「試行錯誤型」ジリキスト・愛知県岡崎市・142頁・

・豊富な専門知識とおもてなしの心・144頁・

・「三方よし」の発想・146頁・

芸術家やIT企業家が続々移住~「人材集約型」ジリキスト」徳島県神山町・149頁・

・日本の田舎をステキに変える!・150頁・

・ユニークな移住支援活動・153頁・


第5章 「ローカル・アベノミクス」に騙されるな

・これまでの公共事業とこれからの公共事業・158頁・リンク・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/05/2015319-27416-368e.html


・なぜ「タリキノミクス型」が多いのか・160頁・

・加速する土建政治の十倍返し・162頁・

「忘れられたダム事業」の復活~「タリキノミクス型公共事業」熊本県・164・

・亡霊「立野ダム事業」・166頁・

・二の次にされた白河河川改修・168頁・

・身の丈事業と驚くべき村民力~「ジリキノミクス型公共事業」長野県下条村・170頁・


2015年5月 3日 (日)反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本– 2015・3・19相川 俊英・第5章・・身の丈事業と驚くべき村民力~「ジリキノミクス型公共事業」長野県下条村・170頁・平成27年4月16日・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/05/2015319-27416-368e.html

9:18 2016/11/19


・住民が村道や水路を整備・補修・171頁・

・下水道ではなく合併浄化槽を選択・172頁・

・国策による負の連鎖「土砂災害」・175・

・スギ・ヒノキの人工林が山を壊した・176頁・

・ダムは森林再生にはつながらない・179頁・

・力技だけでは土砂災害に勝てない~「森林再生」ジリキスト」神奈川県相模原市・180頁・


第6章 地方創生の特効薬とは何か・


・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・

第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日・6プラス4の10次産業だと考えています。194・まで・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/2015319-6-2745-9431.html

リンクしています


・地域活性化予算を虚しく消化・188・

・スローガンで終わる地域活性・189頁・

・大合併でばらまいた毒まんじゅう・191頁・

・地方創生の見本「四万十ドラマ」~「清流と森」ジリキスト」高知県四万十町・192頁・

・ローカル・ローテク・ローインパクト・194頁・


・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・

第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。199頁まで・リンクします・2015・5・3・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/post-4e93.html


・循環経済で「地元の創り直し」・198頁・

・疲弊地方の再生拠点「郷の駅」・200頁・

・カネ・ヒト・モノの連結決算・201・

・真の地方創生を示した若き実業家・~「地元創り直し」ジリキスト」徳島県美波町・203頁・

・「半X半IT」で業績拡大・204頁・

・「ソトとナカ」の交流・206頁・

「ジリキノミクス」の3本の矢・208頁・

・あとがき・・「地域主権」と「住民自治」への道・213頁・


平成27年4月2日

8:14 2015/04/02・反骨の市町村・

2916,11,19,


2015年4月 5日 (日)

反骨地方から都市部への人口流出は高度経済成長期にはじまり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和一桁世代である。そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。・・・の市町村・国に頼るからバカを見る 単行本186頁・平成27年4月5日川 俊英 (著) 第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日・6プラス4の10次産業だと考えています。194頁・

引用


反骨の市町村・国に頼るからバカを見る 単行本2015・3・19 相川 俊英 (著)

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/post-e46e.html

リンクします・


第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日 日曜日・

日本の地方の窮状が深刻化している。地域経済は疲弊し、過疎化や高齢化歯止めがかからない。中でも深刻なのが、中山間地域である。住民の半数以上が高齢者という限界集落が一般化し、今や存続そのものが危なくなっている集落が増えている。こうした過疎に「2015年度危機」なるものが訪れている。

地方から都市部への人口流出は高度経済成長期にはじまり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和一桁世代である。そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。

田畑や山林の所有権の継承に伴う課題である。かれらの資産を相続する人のほとんどが都市部に居住している。地域を支えてきた昭和一桁時代に代わり、大量の不在地主が誕生することになる。

担い手の消滅により、田畑や山林、家屋などの維持管理は一層困難となるのは必至だ。また、地元の伝統文化や技、知恵といった無形の財産の喪失も不可能となり、地域の荒廃が一気に加速するのは間違いない。


187頁・15/4/5 8時55分・

厚生労働省の「将来推計人口」によれば、人口5,000人未満の小規模自治体が激増し、2040年には全自治体の5分の1以上を占めるという。

人口減少が進むと同時に、居住者がいなくなる無人化地域も拡大することが予測されている。

 現在、日本の国土の約5割に人が居住しているが、国土審議会の「国土の長期展望」(2011年)によると、2050年までに居住エリアは約4割に減少するという。


現在、日本の国土の約5割に人が居住しているが、国土審議会の「国土の長期展望」(2011年)によると、2050年までに居住エリアは約4割に減少するという。

つまり、現在人が居住している地域のさらに約2割が将来、無人化してしまうのである。今後、無人化する地域の割合が高いのは北海道(52・3%)と四国地方(26・2%)、それに中国地方(24・4%)である。

お盆休みに帰省したいが、故郷で迎えてくれる人がいないので断念…。そんな悲しい事例が今後、ごくありふれたものとなりかねない。故郷や地元、田舎といったものが消滅してしまう重大危機に直面している。

残されている時間がもはやそう多くない。自律的で持続可能な地域の再構築を図ることが喫緊(キッキン)の課題となっている。


・地域活性化予算を虚しく消化・188・15/4/5 11時1分・

もっとも、地域活性化は古くからの課題であり、その取り組みは地方からの人口流失がはじまった当初から実施されている。それはまた、失敗の歴史と言っても過言ではない。

各地でよく似た活性化策が実施され、一時的な盛り上がりに終わってきたのが、実態だ。公共事業によるインフラ整備や企業・施設の誘致、それに特産品の開発やイベント開催が定番である。各地で同じような取り組みを行い、同じような挫折を繰り返してきたのである。

もちろん、地域の疲弊の背景には経済社会の潮流の激変がある。対症療法で簡単に活性化できるはずもなく、小さな地域の奮闘に限界があるのも事実。成果が思うように上がらず気持が萎えてしまい、諦めてしまう地域や住民も少なくない。

・・・代表的なのが、過疎法だ。・・・

人口減により住民の生活水準や生産機能の維持が困難となった地域を対象に、国が国庫補助率のかさ上げや過疎対策事業債(元利償還金の7割を国が交付税で肩代わりする特別な地方債)といった財政的な支援を行うものだ。1970年に時限立法として制定され、改定を重ね今なお継続している。

189頁・過疎地域の指定要件は人口減少率と財政力指数の2点で、2010年の法改正で緩められた。財政力指数「0・42」以下が「0・56」以下となり、直近25年間の人口減少率19%以上が17%以上となった。

2014年3月時点で全国1719市町村のうち、約46%に当たる797市町村が過疎地域に指定されている。当初の約24%より比率は大幅に増加している。

過疎対策のための法律がこれといった効果を発揮せずにいることの表れでもある。そればかりか、北海道小樽市や福岡県大牟田市といった古い歴史を持つ年までもが過疎地域に指定される実態となっている。

・スローガンで終わる地域活性・189頁・

地域活性化策といえば、1979年に大分県の平松知事(当時)が提唱した「一村一品運動」が名高い。地元の特産品を創り上げ、地域経済を潤わせようという運動で、大分県のみならず、全国に広がった。ブランド化に成功した産品もあるが、担い手の高齢化などにより持続しているものはそれほど多くはない。

竹下内閣が1988年から始めた「ふるさと創生1億円事業」も記憶にあろう。全国の自治体に自由に使える予算として1億円ずつ配分し、地域活性化を競わせた。

2015 4 6


190頁・平成27年4月6日・

その結果、全各地に公設の温泉施設などが雨後の筍のように生まれた。

バブル時代になり、地域活性化の特効薬として「総合保養地域整備法(リゾート法)」が制定された。1987年に施行され、全国の自治体が次々と名乗りを上げた。過疎化に悩む各地の農山漁村はリゾート開発に沸き返った。

当時、ブームとなっていた第三セクターが主に事業主体となり、ゴルフ場やスキー場、テーマパーク、ホテルなどの開発に乗り出した。税制上の優遇措置や国からの無利子貸し付け、地方交付税による補填などが誘い水となった。

しかし、大規模リゾート開発が無残な結果に終わったことは周知の通りだ。

杜撰な計画にバブル崩壊が加わり、バタバタと経営破綻した。日本列島全体がまるでリゾートの墓場と化したのである。こうしたリゾート破綻はその後、事業主体となった第三セクターの処理問題に形を変え、自治体財政を圧迫することになった。

リゾート開発を主導した国はバブル崩壊後、景気対策に力を入れるようになった。その一環として先述の「地域総合整備事業債(地総債)」の活用を自治体に推奨した。主にハコモノ建設に充当できる特別な地方債で、元利償還金の一部を国が交付税で手当てした。つまり、国にツケ回しできる「有利な起債」であった。

191・これもまた「自治体の創意工夫による地域活性化を促す」目的で作られた、ところが、現実は正反対の方向へと進んでいった。

各自治体が箱モノづくりに狂奔し、創意工夫や効率化とは無縁の箱もの王国が日本各地に誕生した。このため地総債は「箱モノ行政を助長した」との批判を受け、2001年に廃止されることになった。

2015 4 7


・大合併でばらまいた毒まんじゅう・191頁・平成27年4月7日 火曜日・

それといれかわるように「平成の大合併」が始まった。人口減少や少子高齢化、過疎化といった難題に対応できるよう、合併により自治体の体質を強化しようというものだ。

しかし、合併の旗振り役立った国は、ここで矛盾に満ちた誘導策を用意した。合併を促すための手厚い財政措置として、元利償還金の7割を国が交付税で手当てする合併特例債を創設したのである。

その一方で、地方交付税額を減額していった。

これらの効果は抜群で、各市町村は一斉に合併になだれ込んでいった。3,200余りあった市町村は、わずか10年ほどで1,700余りに激減した。しかし、市町村合併が体質強化や地域活性化につながったという事例は少ない。

192頁・

国は市町村合併を進めると同時に、規制緩和を掲げた。その具体策の一つとして地域限定の「構造改革特区」を2002年に創設した、自治体に規制緩和の提案を募り、構造改革の突破口とすることを意図した。これまで1,200件余りが認定されたが、小粒のものばかりである。

その後、政権交代が起こり、地域主権を掲げる民主党政権が誕生した。この政権下で「総合特区」が創設された。規制緩和と国の税財政支援を組み合わせたものだが、再度の政権交代により「国家戦略特区」に取って代わられた。

結局、これまで国が進めてきた地域活性化策はことごとく失敗に終わっている。一過性のブームを生むだけで、しかも、そのブームが過ぎ去ったあとは地方の疲弊が一層進むという皮肉な現象が繰り返されていた。

平成27年4月7日・


・地方創生の見本「四万十ドラマ」~「清流と森」ジリキスト」高知県四万十町・192頁・15/4/7 9時42分・

安倍総理は2014年9月5日、政府内に地域再生を目的とした「まち・ひと・しごと創生本部」を新設し、自ら本部長に就いた。省庁横断で地域活性化策を打ち出し、疲弊した地域経済の再生を目指すとした。

アベノミクスの「第3の矢」である成長戦略の一つで、「ローカル・アベノミクス」と言われている。

193頁・


「地方創生」策の一つとして挙げられているのが、地域の農林水産業の「6次産業化」だ。自分たちが作った産品を自らが加工して商品化し、さらには自らが販売するというものだ。

その先進事例として全国から注目を集めているのが、高知県四万十町の「株式会社四万十ドラマ」だ。クリや茶、米、シイタケといった地域の1次産品を加工して商品化し、全国に販売することで地元に金と雇用をもたらし、さらには若者の移住をも呼び込んでいるからだ。

日本最後の清流と言われる四万十川の中流域に広がる高知県四万十町は、2006年に窪川町と大正町、それに十和田村が対等合併して誕生した。人口は約18,400人で、町の約87%が林野。川沿いと台地に人家が点在する山村である。

こうした四万十町の中でも山手の旧戸和地区(人口約3,000人)が、「四万十ドラマ」の活動拠点となっている。条件不利の典型的な過疎地の山間部である。ところが、地元の1次産品の生産と加工、販売に力を入れた「四万十ドラマ」は地域の中核企業で、グループ会社は7社(NPO法人と一般社団法人を含む)。年間の総売上高は約4億5000万円に上り、37人もの従業員を抱える。

もっとも、畦地社長は「私たちは消費者の皆さんとも一緒にやっていますので、6次産業ではなく、6プラス4の10次産業だと考えています。

194頁・


 ・ローカル・ローテク・ローインパクト・194頁・15/4/7 11時9分・

「四万十ドラマ」の歴史は意外に古く、設立したのは今から20年前の1994年のこと。地元自治体(旧大正町と旧十和村、旧西土佐村が出資)による第3セクターとしてスタートした。

社員は当時、農協から引き抜かれた29歳の青年のみ。今の畦地社長である。

文字通りゼロからのスタートだったが、「四万十ドラマ」は明確な経営理念を高々と掲げていた。

1つは「ローカル」である。これは「四万十川を共有財産として豊かな生き方を考える」というものだ。

そして、「ローテク」。「地元の素材・技術・知恵にこだわったモノづくり」である。3つ目が「ローインパクト」で、「四万十川に負荷をかけずに風景を保全しながら活用する」といった考え方だ。社名の「四万十ドラマ」には、「最後の清流・四万十川から新たな物語をつくる」という意味が込められていた。

 

これら3つの理念も下、「四万十ドラマ」は船出した。まずは地元産品を活用した独自商品の開発に知恵を絞り、販路開拓に力を入れた。

194頁・


バイヤーに必ず、現地・四万十で生産者に直接、会ってもらうなど、顔の見える関係を何よりも大事にした。

また、会員制度をつくり全国にネットワークを広げていった。これが商品快活に止まらず、交流や観光といった「四万十発着型産業」へと展開していった。事業開始から3年足らずでヒット商品が生まれた。

地元のヒノキの端材を活用した芳香材「四万十の檜風呂」だ。さらに、地元特有の香り米「十和錦」や地元の生産組合と共同開発したペットボトル入り緑茶「しまんと緑茶」など、四万十ならではのヒット商品を連発。売り上げは年々増加していった。

業績の好調ぶりが行政からの完全独立につながっていった(市町村合併の枠組みの問題も要因の一つと思われる)。2005年に旧3市町村が所有する株式をすべて会社側が買い取り、地域住民を対象に新たな株主を公募することになった。

こうして「四万十ドラマ」は2005年4月に、地域住民などが株主となる「住民株式会社」として再スタートした。地域により深く根を下ろすことになったのである。

その後も、地元産のクリや紅茶などを活用した新商品を次々に開発された。いずれもオリジナルである。さらには古新聞を使った新聞バッグの販売や道の駅の運営、新たな加工場の設置やカフェのオープンなど、「四万十ドラマ」は事業内容を今なお拡大させている。

196頁・15/4/8 11時19分・


畦地社長は、「3つの理念は、設立当初からいささかもブレていません」と胸を張る。今や地域を支える中核企業に成長し、都会から就職を希望する若者も後を絶たない。社員の過半数を30代以下が占めているほどである。


第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。

リンク・・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/post-4e93.html


 

2015年4月 8日 (水)

第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。199頁まで・

引用


反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本2015・3・19 相川 俊英 (著)

アベノミクスの「地方創生」は画に描いた餅!

このままでは国土は強靭化どころか弱体化し、多くの市町村が破綻・消滅する!

出生率の低下、東京一極集中で、2040年には市町村が半減すると言われている。

これは地方自治体の多くが、中央官庁お仕着せの政策とばらまかれる補助金、すなわち「タリキ(他力)」に頼ってきたツケに他ならない。一方で、国に頼らず独自のアイディアと取り組み(「ジリキ(自力)」)で自治体の再生・活性化を成功させた「奇跡の市や村や町」がある。

過疎化から人口増に逆転させた村、シャッター商店街をよみがえらせた町……。彼らはいかにして自分たちを守り、未来を切り開いたのか。その奇策とは!?

ローカルアベノミクスのまやかしに警鐘を鳴らす地方自治取材のスペシャリストが、地方再生の特効薬「ジリキ(自力)ノミクス」を提唱する!「自律度」「豊かさ度」「税納付率」「投票率」ほか独自集計の市町村ランキングも多数掲載。


第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。

もともと旧十和村は災害多く、「日本一の寒村」とまで呼ばれていた。住民はそれほどまでに厳しい生活環境を強いられていた。このため、戦前は村民の約3分の1が村を離れ、満開拓団に加わったほどだ。

ところで、繰り返し述べているように、国は戦後、杉やヒノキといった針葉樹を植える政策を打ち出した。国策として全国の山村に大号令を発したのである。

日本の天然林の多くは広葉樹で、当時は約8割がそれであった。国からの手厚い補助金が効き、国策に飛びつく地域が相次いだ。貴重な地域資源である広葉樹林が、瞬く間に針葉樹林に変貌していった。

全国各地がいっせいに、同じ方向へ猛進していったのである。

だが、高知の小さな無名の山村に過ぎなかった旧戸和村は違った。国策に従わず、地元の広葉樹林を大切に守り続けたのである。

197頁・

当時の森林組合長の岡峰さんが、「何でもかんでも植林さえすればよいというものではない。山の複合経営を維持すべきだ」と、住民を説得して回ったことによる。

岡峰さんの考え方はこうだった。

スギ・ヒノキを植林しても、それらが商品になるには40年に以上かかる。その間、山からの収入が得られなくなり、いずれ生活できなくなる。年間通して山から収入が得られるような複合経営を維持すべきで、そのためには天然の広葉樹林を残しておくべきだというものだ。シイタケやクリ、茶などを栽培するためである。

岡峰さんの村づくりに心血を注ぎ、森林組合事務所に寝泊まりする生活を送っていた。そんな人物の懸命な説得に、住民のだれもが耳を傾けた。そして、補助金の魅力に惑わされずに広葉樹林を残す道を選択したのである。

こうして旧戸和村の約6割が広葉樹林のままとなり、地域の貴重な資源となった。地域資源を守り、活用することを提唱した岡峰さんは、人材育成にも熱心だった。若者たちと森林組合事務所で村づくりの話に没頭し、そのまま朝を迎えることも珍しくなかった。こうして小さな村に、岡峰門下生というべき人材が育っていった。

「四万十ドラマ」の畦地社長がその代表的な存在だ。

197・


・循環経済で「地元の創り直し」・198頁・4/8/2015 2:09 PM・

日本で最も早く人口減と高齢化の現象に見舞われたのが、島根県である。

平地が少なく、県域のほとんどを中山間地域が占める島根県は、人口わずか約70万人。東京の練馬区の人口より少なく、「過疎」という言葉は島根で生まれたといわれている。

そんな島根県は、地域活性化の取り組みにおいて最先端を走っている。

島根県は1998年に、中山間地域の問題を調査・研究し、打開策などを練る専門機関を創設した。

「島根県中山間地域研究センター」

http://www.pref.shimane.lg.jp/chusankan/

(以下、研究センター)で、県内の中心部ではなく、山間部の飯石郡飯南町に設置された。地域活性化に特化した全国で唯一の公的な研究機関である。

研究船体は、実効性のある地域活性化策を積極的に提言し、かつさまざまな実践活動に力を入れている。島根県のみならず中国地方の過疎地の地域づくりに協力し、成果を上げている。

そうした調査・研究と実践を基に、2013年5月に「地域づくり虎の巻」という本を出版した。地域活性化のいわば指南書である。この虎の巻を一読することをお勧めしたい。

199頁・


研究センターが提唱する地域活性化策は、従来のものとは大きく異なっている。外から何か持ってくるのでも外に打つ手出るのでもなく、「地元の創り直し」を行うべきと主張している。

では、「地元の創り直し」とは一体いかなるものなのか。

提唱者である研究センターの藤山研究統括監は、「中山間地域の本質は、資源や居住の「小規模・分散性」にあります。「規模の経済ではなく「循環の経済」に転換すべきです」と語り、「地元の創り直し」の意味と中身を解説してくれた。こんな趣旨だった。

日本は戦後一貫して、「規模の経済」を追求してきた。「大規模」な施設を「集中的」に配置し、特定の分野、産物、機能への専門家を進め、海外を含めた遠隔化した流通経路でつなぐ経済システムだ。特定の臨海部に産業や人口を集中させ、経済成長を果たしてきた。その基盤となったのが、安価な化石燃料の大量消費である。

一方、中山間地域の本質は資源や居住の「小規模・分散性」にあり、「規模の経済」を追求する社会経済システムとは相容れないため、成長路線に乗り遅れた。それだけではなく、地域の基幹産業である農林業は海外からの1次産品を大量輸入により、衰退の一途をたどることになった。

こうして中山間地域の循環・定住の構造が壊され、過疎化が急速に進んでいった。

199・



2015年4月26日 (日)

埼玉から日本を元気に!埼玉県知事・上田清氏・茶の間・平成27年4月26日・105頁

首都圏の重要な一角を占めるこの埼玉県を率いるのが、上田清司・埼玉県知事です。政治不信の揺らいだ埼玉県政を立て直すために、国政の場から身を転じ、マニフェストを掲げて行財政改革に敢然と立ち向かう、改革派のシンボル的存在です。少年時代に早くから政治に目覚め、不屈の闘志で初志を貫徹した情熱派の知事に、改革の思いをうかがってきました。

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/07/post-2083.html


日曜・夜間議会開催へ・大和村議会・議会基本条例制定

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/06/post-8207.html


容赦なき戦争―太平洋戦争における人種差別 (平凡社ライブラリー) 単行本  – 20011210 ジョン・ダワー (著),    John W. Dower (原著)   リンク・

http://amaminagata.blog.fc2.com/blog-entry-848.html


公共サービスの民営化―民間活用(PPP)による地域経営新時代 単行本  – 2008・4東北産業活性化センター (編集) 内容(「BOOK」データベースより)

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/05/ppp-20084-book-8c2b.html


むろん、群島全体はおろか、奄美大島全体を優勢な階級が統一支配する「自前の地方国家(政府)」を樹立したことも、歴史上まだ一度もありません。


http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/06/post-8207.html


遠い昔、北部以外はほとんど山地ばかりの奄美大島では、シマ(自然集落)は多数の入り江の奥に、それぞれ分散する形で存在していました。そうした地理的条件・物理的な交通環境が影響して、島内のシマ相互間の交易は未発達で、それぞれのシマの経済活動は長い間、人々が生活していくための共通の目的の下で相互に依存し合う自給的で自己完結性の強い組織的分業(=地域社会による「組織的分業」の原型に近いレベル)にとどまっていたと考えられます。

対外的な社会的分業も十分な発達は見られませんでした。ただ、奄美のサンゴ礁が夜光貝の方向であったためにその頃の重要な螺鈿(ラデン)などの工芸品の材料として、イグサによる琉球むしろなどとともに移出され、見返りに本土や大陸から鉄を移入して島の生産力を前進させていたとされています。

ところが、薩摩藩による封建的・早熟的な植民地主義的支配がはじまると、奄美の各シマの自然的経済は、藩が取り仕切る広域的な社会的分業の中に取り込まれていきました。薩摩藩は、鹿児島内陸部ではハゼ、屋久島は屋久杉、大島が黒糖、沖永良部島や与論島は米、琉球はウコンというように島ごとに分業制を敷きました。

奄美大島は「島全体としての組織的社会的地域分業態」を内発的に形成しきれない分散状態のまま、封建権力の主導する植民地主義的な広域的社会的分業体制に組み込まれ、私的売買も金銭の流通そのものも厳しく禁圧されていったのです。

このように、奄美大島では、地方地場資本の蓄積と域内再投資を可能にする「経済循環の場」と「自律的な政治的・経済的共同主体」のパッケージの形成が、18世紀以降、歴史的に徹底して禁圧され(1713~1872年)明治前半期の薩摩藩庁(鹿児島県庁)と鹿児島豪商による「植民地的経済支配(惣買入れ制)ソウカイイレセイ」の継続と「近代改革潰し」によって阻害され(1873~1891年)、そして、明治の半ば以降は、鹿児島県制による53年間にわたる「大島郡分離独立予算制度」の施行(1,888~1,940年)により完全に放置されて、古い仕組みが存続。


茶の間・引用


埼玉から日本を元気に!埼玉県知事・上田清氏・茶の間・平成27年4月26日・

東京都と隣接し、ベットタウンとしての色彩が濃く、工業も盛んな県南部肥沃な土壌に恵まれ、農業が盛んな県北部。秩父多摩甲斐国立公園を擁し、豊かな自然に溢れる県西部…。まさに多彩な顔を持つ「彩の国」埼玉県を率いるのが、上田清埼玉県知事です。地方分権推進の論客として知られ、全国知事会副会長という要職にもある上田知事は、今年が三期目の最終年。

少子高齢化に強い社会づくりを目指し、女性の社会進出支援にも力を入れる「埼玉版ウーマノミクス」などのプロジェクトの仕上げに余念がありません。

 うえだ・きょしプロフィール・


昭和23年5月15日・福岡県福岡市生まれ・

昭和46年3月・法政大学法学部法律学科卒業・

昭和50年3月・早稲田大学院政治学研究科修了・

昭和51年~61年・建設省建設大学校非常勤講師「地域社会論」「国土計画論」担当・

昭和55年より衆議院議員選に挑戦。4度落選するが、不屈の闘志で5度目に初当選・

平成5年7月・衆議院議員初当選・

平成8年10月衆議院議員(埼玉4区)当選(2期連続)

平成12年6月衆議院議員(埼玉4区)当選(3期連続)

平成15年9月第57代埼玉県知事に就任・

平成19年8月第58代埼玉県知事に就任・

平成21年12月内閣総理大臣から地域主権戦略会議の構成員に指名される・

平成23年8月第59代埼玉県知事に就任・

https://www.pref.saitama.lg.jp/


104頁・平成27年4月26日 日曜日・

・・集客力が絶大な小江戸川越を味方に引き入れて・・

・今後、細川紙の観光資源としての活かし方は、どのようにお考えでしょうか?・

上田・歴史的な古い町並みが残る小川町は「武蔵の小京都」として、また、東秩父村は「埼玉県に残る唯一の村」として、これまでもそこそこは売ってきているのですが、「小江戸」川越市と比べれば、集客力はもう雲泥の差があります。

蔵造りの町並みで知られる観光地、川越市には年間約6,570,000人観光客が訪れています。

川越市から小川町へのアクセスは電車なら40分ほどです。近いと言えば近いですから、小判鮫ではありませんが、「小江戸」見物の後、さらに足を伸ばしてもらって、小川町、東秩父村の「和紙の里」を巡るというルートを開発すべきだと思います。単独では辛いですから、相互に協定を結んでね。

実際、東京都内の旅行代理店では、川越と長瀞のライン下りとか、紅葉の季節には川越と日高の曼珠沙華といったセットメニューがあるんです。

ですから川越と小川町、あるいは川越と東秩父村のセットメニューというのもありですよね。

鳥取砂丘の集客力が1,400,000人、金沢の兼六園が1,700,000人、飛騨高山が3,000,000人くらいです。

それらと比べたら、川越の6,570,000人という集客力はなかなかの規模なんです。この集客力を活用しない手はありません。もし私が村長であれば、しぶとく川越を味方に引き入れますけれども(笑い)。

…この3月に、北陸新幹線が開業しました。停車駅や何ヵ所かある埼玉県も当然通るわけですが、何を期待されますか?・・・ 


105

・上田・大宮駅は、新幹線が止まるということに関しては、東京駅を除けば、日本一の駅なんです。

東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線、上越新幹線、そして北陸新幹線と、五つの新幹線が止まります。北海道新幹線が開通すれば、ここから函館まで乗り換えずに行けることになります。


ここ大宮駅を核とすれば、川越まで電車で20分くらいで行けますし、川越からバスルートなどを上手くつなげられれば、小川町、東秩父村めぐりという形でやっていけますので、埼玉県の新しい売りのコースになって行くと思います。圏央道も昨年、東名から川越道までつながりましたので、小川町、東秩父村までの車でのアクセスも随分よくなりました。

・・・アピールするものが多すぎるのが悩み・・・

・ユネスコ無形文化遺産登録、北陸新幹線開通という観光振興のきっかけとなる新たな要素が出てきているわけですが、さらなる観光振興を図るうえで課題となるものはあるでしょうか?

・上田・埼玉県は大東京の陰に隠れがちで、どうにも有難味がないというところがあるんですね。


例えば、埼玉にも「彩の国黒豚」という美味しいブランド豚があります。ある皇族の方にお奨めしたところ、「でもね、上田知事、薩摩の来る豚というと、遠くから運んできた感じがするから「ご苦労さん代」が含まれている気がするのに、埼玉だと、そのご苦労さん代が弱いですね」と言われたことがありました。たしかにこの部分があると思います。

実は埼玉には、小江戸川越のほかにも、全国でも高い人気を誇る観光スポットがたくさんあるんですが、埼玉県というのは、そこそこ商売になるところなものですから、PR一つとっても、向きになってやっていないんですよ(笑い)。そういうところが幾つもありましてね。

たまに展示会などで埼玉県の観光政策について、ああだこうだと言われるときに、「鳥取県がうらやましい」と私は、逆説的に言うとことがあるんです。鳥取県は鳥取砂丘を一生懸命にアピールするだけでもいいから、いいねと。こっちはアピール物が多くて、大変だと(笑い)。

・・・富岡製糸場と縁が深い渋沢栄一は埼玉県出身・・・

・先ほどのユネスコ無形文化遺産のつながりで行きますと、今、埼玉県のお隣、群馬県の富岡製糸場がすごく集客量を増やしています。その陰にある立役者が、実は埼玉県人だったと伺っています。・・・

・上田・おっしゃる通りです。脚本が深谷市出身の明治の実業家、渋沢栄一で、主演男優が栄一の従兄弟で工場長をつとめた尾高。そして、工場の煉瓦製造を指揮した韮塚直次郎埼玉の人。場所だけが群馬県なんです。これに関連する絹産業遺産群も埼玉県には多く、「競進社模範蚕室」が本庄市に、渋沢栄一の生家「中の家」と尾高の生家が深谷市にあります。

富岡製糸場だけだと三時間しか持ちませんが、埼玉に下ってこうした絹産業遺産群と連動させれば一つの流れができて、一日観光コースが出来上がるんです。

・・・東京オリンピック開催に向けてのおもてなし・・・

・2020年には「東京オリンピック・バラリンピック」が開催されますが、埼玉県では三競技の会場が確定しているそうですが・・・。

・上田・ええ、すでにゴルフが川越の霞が関カンツリークラブ、サッカーが埼玉スタジアム2002、射撃が陸上自衛隊朝霞訓練場、この三つが決まっています。それにバスケットボールの会場も既存の施設を使いたいということで、さいたまスーパーアリーナが第一候補として既に調査が入っています。

もっとも、マスゾエ東京都知事のインタビュー記事を読むと、もう決まったようなことを書いてありましたけどね。そういう権限が彼にあるかどうか、私にもわかりませんが、調査が入っていますし、世界バスケットポール大会開催の経験もありますので、そういう点では会場になる可能性はかなり高いと思います。

・・・競技会場が増える中で、海外からのお客様も増えることが予想されますが、そういった「おもてなし」についてはいかがですか?・・・

106頁・上田・埼玉県下の旅行、物産、レストラン等々の企業を中心に応募していただいて、毎年「おもてなし」大賞を表彰しています。

高いレベルのおもてなしをしている企業を表彰することで、それを励みにして全体のレベルを上げていこうというのが一つです。

それから、多言語案内看板の設置はまだ不十分ですので、できるだけ統一的に、かつレイアウトを美しくし、さらに地域地域で色合いを変えていくというような工夫をしなくてはいけないと思っています。

町々の雰囲気に合わせて看板のレイアウトも変えなくてはいけないのでしょうし、当然、四~五ヶ国語は急所急所に入っていくような形で整えないといけないと思っています。それから観光案内所などでもやはり五ヶ国語くらいは対応できるような案内体制をつくったりする必要があります。

おもてなしと言うと、礼儀作法のような、日本人のきめ細やかさばりにスポットが当たりますが、案内板をはじめ、これからはスマホの時代ですので、案内用のテレフォンですとか案内用のアプリなどの準備も大事だと思います。

表に見える看板はもちろんですが、スマホでピピピッと動かせば自分の国の言語で案内表示がパッと見えるとか、主要なものが見えるとか、そういいうおもてなしのスタイルに変わっていくのではないでしょうか。

・・・地方創生に必要なのは自主財源を与えること・・・

・さて、去年から国政のキーワードとして「地方創生」が盛んに取り上げられるようになりました。この地方創生に関して、知事はいかがお考えですか?・・・

・上田・昨年五月、シンクタンク「日本創生会議」から、二〇四〇年までに地方自治体の約半数が消滅してしまう可能性があるというショッキングなレポートが公表されました。それを受けて、このままでは駄目だということで「地方創生」が国政の主要なテーマになったわけです。

ただ、地方振興に関しては、これまで一貫して成功したことがありません。

昭和三十七年の第一次から平成10年の第五次に至るまでの日本の国土計画「全国総合開発計画」は全部、目的が地方分散でした。田中角栄さんの「日本列島改造論」にしても、地方にインフラを整備し、地方に産業を呼び込んで人口を定着させようという作戦を展開してきたわけですが、地方の人口、減っていますね。と言うことは、成功したことにはなりません。

地方の創意工夫で頑張れと言っても、みんなが徳島県上勝町のように「葉っぱビジネス」に取り組んだら、ビジネスにならないわけです。そんなに葉っぱは食べられないし、そんなに飾りがたくさんあると、葉っぱの中の中身なのかわからないということになってしまいます。

経済のメガトレンドと言うのでしょうか、時代の大きな流れを充分に分析しないまま進めると、スローガン倒れになって、あまり良くならないと思います。

より使い勝手のいい交付金を地方に流してもらうことは、それはそれで悪くはないのですが、実際には地方交付税の金額を増やして自由に使わせる、あるいは地方に自主財源与えるというのが本筋だと思います。その本筋を忘れ、国の方から交付金、補助金を出して、それで地方に頑張りなさいというだけでは弱いと思います。

本筋を通すための制度改革をやっていかなくてはいけないのが大事な言ってんです。

もう一つは経済のメガトレンド、つまり、なぜ地方に港湾や鉄道、道路と言ったインフラを用意したのかと言うと、東京あたりで何かやろうとしても、地価が高いし、大変だから、地方にインフラを用意し、工場をつくって、そこで人を雇ってもらうためだったんです。

にもかかわらず、肝心の工場が経済のグローバル化で海外にどんどん移転しているわけです。

去年9月に帝国データバンクが、工場を新設・移転する意欲のある企業2,946社に対し、「どこに行きますか?」と言うアンケート調査したところ、一位が海外なんです。二位が愛知県、三位が埼玉県という結果でした。国内でランキングが二番目という意味では埼玉県は悪くないのですが、製造業関係が海外に逃げているというこの事実は見逃せません。

107頁・


・・・「毎日一万歩運動」で国民健康保険を黒字に・・・

・ところで今年、知事は三期目の仕上げの年になろうかと思いますが、現在進行中の三大プロジェクトについてお聞かせください。・

・上田・一つ目の「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」は、女性が仕事と子育てを両立できる社会を目指すものですが、それを推進するには、意識の変化が必要です。

そのためにはまず企業文化を変えなくてはなりません。通常の九時から五時までと言う世界を、子育て中は十時から四時まででいい。勤務時間が二時間減ったなら、給料はその分少なくなるけれど、キャリヤは減りません。だから子育てが終われば、もうバッチリの戦力として職場復帰が果たせます。

一般的なパターンで極端なことを言えば、女性が子育てに専念するために職場を辞めたとします。

そうすると、それまで培った六~七年のキャリアが全部なくなってしまいます。これではその人のキャリアがもったいないわけですね。

企業にとってもお金がかかっているわけですから。そうではなくて、そのキャリアを生かすような形での短時間勤務、フレックスタイムではないのですが、縛りをあまりかけない働き方をさせていく。

それが企業文化として定着させていけば女性の人材が活かせるはずです。

短期間勤務やフレックスタイムなど、多様な働き方を実践しているモデル企業を県では認定していますが、平成二十四年の開始以来、今では千三百九十社くらい認定登録されています。こうした認定企業が「右に倣え」でどんどん増えていくといいですね。週休二日制がそうであったように、だんだん定着していくと思います。

二つ目の「エコタウンプロジェクト」はエネルギーの地産地消、つまりは、できるだけ地域内でエネルギーの需要の調整をやっていきましょうという取り組みです。

今は円安でエネルギーが高く付いています。たまたま原油価格が下がって助かっていますが、円安状態がさらに続けば、もう五兆円くらいは余分に日本のお金を海外に払わなければいけなくなります。

そういうことをしなくても済むように、家庭分くらいはもう自家発電をして地産地消でやりましょうというのを実験的にやっていて、それなりの成果を上げているところです。

そして三つ目が「健康長寿社会埼玉プロジェクト」です。今、超高齢化社会に突入するプロセスの中で、年金を減らそう、医療費が抑制で出ないが、負担を増やし供給を減らそうなどと、暗い話ばかりですが、明るい話もあるんですよ。

埼玉県が進めるモデル事業で去年、学会で一定程度の評価を受けた「毎日一万歩運動」をした人は、それをしなかった人と比べると、年間で一人当たり二万3,800円もの医療費抑制効果があるという試算結果が出たんです。筋力アップトレーニングをした人は、七万8,800円、抑制効果があるんです。

埼玉県には四十歳以上の県民が四百十九万人いるのですが、もし、その人たちの十人に一人、十%がこの毎日一万歩運動に取り組めば、約百億円が浮くんです。三十%の人たちが毎日一万歩運動をやってくれたら、三百億円が浮きます。

埼玉県の各市町村は国民健康保険で約300億円の赤字を抱えているのですが、その赤字が帳消しになるという勘定です。こうして前向きな話をしていると、結構明るい社会になりますね。終・

平成27年4月27日 

・上田・


0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる 単行本(ソフトカバー)  – 2015/2/14

スティーヴン・レヴィット (著),    スティーヴン・ダブナー (著),    櫻井祐子 (翻訳) 36件のカスタマーレビュー   

http://www.kk2.ne.jp/


自主財源確保は、集落活動の根幹を支える大切なことです。住民全員が集まって、笑って農業生産活動を行い、その付録として自主財源がついてきます。自主財源を稼ぐ 自治公民館長 豊重哲郎より

http://www.yanedan.com/action/funds


Kindle版  ¥ 1,152    単行本(ソフトカバー)  ¥ 1,728     内容紹介これが、世界一読まれている思考法の本!世界でシリーズ750万部を超え、本国アメリカだけでも初版50万部という

超異例の部数で刊行されて大きな話題となっている一冊がついに上陸!


「ワールドカップでPKをどの方向に蹴るか」のような答えの見えにくい問題も、「仕事をやめるか」「恋人と別れるか」のような身近な問題も、「国家の公共政策」のような難題も、何でもバイアスをゼロにして考えることで、一気に合理的な「答え」を出せるという、驚くべき「思考法」を展開する。

著者のひとりスティーヴン・レヴィットは、ノーベル経済学賞の先行指標と言われる「ジョン・ベイツ・クラーク賞」を受賞している実力派経済学者であり、ノーベル賞受賞者を続々と輩出し、世界一の経済学を誇るシカゴ大の現役教授。アカデミズムの世界でここまでのキャリアを持つ現役の経済学者がこれほどあけすけに「ノウハウ」を語ることは極めて稀だ。


世界でいま最も注目すべき「鬼才」教授の渾身作!

著者によると、普通ひとは、つねに脳にしみついている何らかの偏見や既成観念などのノイズを通して思考しているという。しかし、そんなバイアスから解放されて、問題にゼロベースで対峙することで、核心に切り込み、ズバリと問題解決することができる。

◎あらゆる問題を「ゼロベース」で考える

◎「PKを蹴る方向」も合理的に決められる

◎「べらぼうな利益」を生む仕掛けとは?

◎子どもより大人のほうがだましやすい

◎聞く耳をもたない人を説得する5つの方法

◎なぜ、より豊かな人ほど自殺するのか?

◎ぼくたちが仕掛けた「生命保険詐欺」のトリック

◎だからあなたは「やめるべきこと」を続けている

世界でいま最も注目すべき気鋭の経済学者が、すごい「答え」を次々と見つけだせる秘密を惜しげもなく公開した本書、何をおいてもぜひ読んでほしい一冊だ。

内容(「BOOK」データベースより)

 PKを蹴る方向も、人生の選択も、国の政策も、すべてバイアスをゼロにして考えろ―。あらゆるバイアスから自由になり、一発で本質に切り込む思考法。 単行本(ソフトカバー): 280ページ出版社: ダイヤモンド社 (2015/2/14)

言語: 日本語・発売日: 2015/2/14

目次

第1章 何でもゼロベースで考える――バイアスをゼロにしてアプローチする思考法

第2章 世界でいちばん言いづらい言葉――「知らない」を言えれば、合理的に考えられる

第3章 あなたが解決したい問題は何?――問題設定を変えて、すごい答えを見つける

第4章 真実はいつもルーツにある――ここまでさかのぼって根本原因を考える

第5章 子どものように考える――「わかりきったこと」にゼロベースで向き合う

第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように――地球はインセンティブで回っている

第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように――地球はインセンティブで回っている

第7章 ソロモン王とデイビッド・リー・ロスの共通点は何か?――庭に雑草を引っこ抜かせる方法

第8章 聞く耳をもたない人を説得するには?――その話し方では100年かけても人は動かない

第9章 やめる――人生を「コイン投げ」で決める正確なやり方

   商品の概要に戻る

ゼロベースで考えることの重要さ・世界中でベストセラーになった「ヤバい経済学」の著者らの新刊である。「経済学」ではアメリカの凶悪犯罪の減少の原因は、銃規制の強化ではなくて人工妊娠中絶の合法化であったことを証明してみせた。いつの時代でも望まれない子供は犯罪に走りやすい。不幸な子供の出生を抑えれば犯罪は減る。納得である。

 本書のタイトルは「Think Like a Freak」。つまりフリーク(変人、常識にとらわれない人)のように考える。常識や先入観を捨てバイアスをゼロにして考えましょう、と著者たちは説いている。


思っていたより軽快な文章2時間程度で読み終える事ができる文量。突飛な事例からはじまり、全体のストーリー構成がよく最後まで飽きない。押しつけがましくない文体という事もあり、自分自身と照し合せながら内容を読み解いていくと尚読後感が良くなる。

私個人としては「自分に自信のあるビジネスマン」の方が読まれるのをおススメ。

・自分の考えが最善という意識≒他意見の軽視

・結果を伴ってきた自身の経験則≒定例化、マニュアル化自信からくる主観的発想が間違っているわけではないが、本著は「本当にそれって正しいの?」と投げかけてくれる。

とはいえ実際には枠外の考え方をしようとしても、先入観から抜け出すのは非常に難しいのが現状・・・・

ゼロベースで考えることの重要さ, 2015/4/2

0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

世界中でベストセラーになった「ヤバい経済学」の著者らの新刊である。「経済学」ではアメリカの凶悪犯罪の減少の原因は、銃規制の強化ではなくて人工妊娠中絶の合法化であったことを証明してみせた。いつの時代でも望まれない子供は犯罪に走りやすい。不幸な子供の出生を抑えれば犯罪は減る。納得である。

 

本書のタイトルは「Think Like a Freak」。つまりフリーク(変人、常識にとらわれない人)のように考える。常識や先入観を捨てバイアスをゼロにして考えましょう、と著者たちは説いている。

 冒頭にサッカ―のペナルティ・キックの話が出てくる。ゴールのどこをめがけて蹴ればいいのか。データでは一番成功確率が高いのは真ん中だが、ほとんどの選手は両サイドを狙って蹴る。それは失敗したときの「見っともなさ」を嫌うからだと言う。つまり、選手の虚栄心がバイアスとなって成功確率の高いシュートを選ぶのを妨げているのである。次に紹介されるのはハンバーガー早食い競争で何年も連続優勝に輝いた日本人コバヤシの話である。彼がこれまでの食べ方を疑って、最も効率的でスピードの上がるハンバーガーの食べ方を実験を繰り返して会得していくプロセスは感動的ですらあった。

一方で、正しいはずの施策が逆効果になった例が紹介されている。たとえば、インドでコブラが増えたのでコブラの皮を持ってきた人に報奨金を出したところ、報奨金目当てにコブラを養殖する人まで現れてかえってコブラが増えてしまった、とか。要するに常識にとらわれないで「フリーク」のように、何でもバイアスをゼロにして考えることで隠れていた核心が見えてくる。問題を正しく捉えて、原因を突き止め、問題を取り除く、課題を解決する。そのためにはどうすればいいのか、著者は様々な例をあげてその手法について語っている。いずれも身につけたい手法ばかりである。

 一流の経済学者と新聞記者の合作である。そのためか、わかりやすい事例を次々に紹介し、軽妙な文体で、やさしく語っている。本書はビジネス書に分類されるはずだが、文章は極めて読みやすい。しかし、読了して気になったのである。内容の深さ、重要さに比べて文章が軽すぎるのではないか。そのためにすいすい読めてしまい、読みながら疑問や反論がまったく沸いてこないのだ。胸に引っかかるものがない。「読んで面白かった」で終わてしまい実践に結び付かない可能性が高いのではと危惧する。したがって、設問を並べるなどして、読者にもっと考えさせたり、読むのに時間をかけさせたりすることで、本書の趣旨がしっかり読者に浸透するのではないか。続編として「ゼロベースで考えるスキル」を身につけるエクササイズ本を要望したい。

  簡単そうで難しいですが、そこがまた面白いです。, 2015/4/20

0ベース思考 (Kindle版)

この本の特徴は、他の方もおっしゃられているように文章が読みやすく、面白い例(誰かの逸話や実験の結果など)で構成されている事です。経済学を知らない人でも読むことができますし、高校生ならわからない言葉もちょっと調べるかニュアンスさえつかめれば楽しんで読めると思います。

 

【ハウツー本だと思っている方へ】他のレビューを見ていると意外と低評価が多いのですが、邦題でハウツー本だと思っていたり、文章が軽く読めてしまうせいでサラサラと読めてしまうのが原因のようです。確かにタイトルは0ベースということで色んな解釈をしてしまいますね。無料版や書店で試し読みをした人であれば、第一章の一番最初の項で「読者から寄せられた難題を解決するのは難しいので、個別に質問に答えていくより「フリーク」(常識の枠に収まらない人、既存の慣習にとらわれない人)みたいな考え方が誰でもできるようになる本を書いた方が良いんじゃないかと考えた。」

みたいな内容が書かれてあり、自分にもその思考が身につく方法を手取り足取り教えてもらえるかもしれないと考えた人もいるのではないかと思います。

しかし、kindleの無料版に載っているサッカーの項の後ろに(つまり有料版を読めばわかる)、「そうは言っても、この本はよくあるハウツー本じゃない。だいいちぼくたちは人さまにノウハウを伝授するような柄じゃない。」

と書いてあります。つまりハウツー本ではありません。私も???となりましたが、読みました。

【超個人的な感想】実は、私がすでに実行できているのではないかと思う章がふたつありました。自分が無知で人より優れていると思わないこと、やめるべきことをやめることです。この本の内容は、一般的な人とは違う世界に住んでいる人(頭が良くて意欲も高い)の話も多いのでなかなか自分には当てはめにくいのですが、この2項で「お、」と思えた私は、次は他の項にあった問題設定を変えれるような考え方を身に着けたいと思っています。各項の中には、実際に素晴らしいひらめきが必要なわけではないものもあり皆さん実行しやすいのではないかとも感じました。さらに言えば、今やりたくない仕事を嫌々している人や親に言われて興味の無い分野を勉強している人は、ぜひそれらをやめて、自分の好きな事・興味のあることに取り組んでほしいと思います。

 【もし読んでない人に勧めるとしたら・・・】これらの9つの章を一気に理解して実行できる人はほとんどいないと思います。しかし、内容がユニークで面白い。ただ、お勧めするとすれば以下の項目の中で二つ以上あてはまる人です。

・本を読むときに自分で辞書をひいて意味を調べる人(これは当たり前のことですが、英語の言葉が出てくるので余計に。ちなみにフリークの意味が最後にならないとわからないと言っている人がいますが、最初の方の文中にかっこ書きで説明があります。)

・受け身でない人(自分から理解して行動しようという体勢の整っていない人は、読み終えた後、じゃあどうすればいいの?となります。)

・学問を追究している人(自分の興味のある分野について継続的に楽しんで学んでいる人)

・人の体験談が好きな人

 

この本を読んで学びが無いという人は、もうすでに学ぶことの限界を自分で設けているのではないかと思います。自分はこの程度の内容では満足しないと思う時点で、学びは終わります。この手の本を何冊も読んでどれにも満足しなかった人も、姿勢が受け身なのではないかと思います。あるいはもうそのような本などいらないくらい天才な人の意見です。

この本は皆さんをいきなり天才にしてくれるわけではりませんが、新しい考えを吹き込み、今まで自分が実行できていたことを再確認させてくれるものではいかと感じました。あと私の空想ですが、この本に出てくる、「疑陽性率」を削るような内容になっているのかもしれません。自ら勉強しない人に簡単には教えないよ、と。 

また、タイトルはまだ良いとして副題?の「どんな難題もシンプルに解決できる」には不満があるので星4。英語版を見てもそういうことは書かれているようには見えないし、内容の最初の方でも難題を解決するのは難しいと書いてあります。「フリークみたいな考え方は本当は案外簡単にできる」ということと、「難題を解決する」というのは意味が全然違います。うまく言えはしないのですが、どんな難題にもシンプル(何でもない事に疑問を持ったり、やりたいことをやってみようという感じ)に取り組める。みたいな感じとか、他の方がおっしゃっているようなタイトルなんかの方が良いと思いました。

また、このくそ長たらしい文章を読まれた方がいましたら、ありがとうございました。

  地球はインセンティブで回っている!~ 「ヤバい経済学」著者が軽妙な語り口であなたの脳を再訓練, 2015/4/26

 0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

「ヤバい経済学」、「続ヤバい経済学」の著者が、そこで示した「フリーク」(=既存の慣習や常識にとらわれないない人)のような考え方が誰でもできるようにと書いた本である。自ら本書でそう述べている。原題の副題に「フリーク経済学(「ヤバい経済学」の原題)の著者があなたの脳を再訓練」とあるから、まさしく、そういうことであろう。

 その内容は、先入観を持たず、子どものように0ベースで、じっくり自分の頭で考えろというのが主旨で、具体例を軽妙な語り口で語り、読者にとっては読みやすい本となっている。仕事を終えて帰宅したような疲れた頭でも、無理なく読める本だと思う。ただし、示された例は、当然ながら欧米圏のもので、日本で暮らす私たち読者が大いに共感できるといったものではないかもしれない。だが、その中で日本人コービーの例は問題なく理解・共感できるだろう。

著者の思考の基本的スタンスは、「地球はインセンティブで回っている」、それが経済の基本というもの。例えば、慈善事業は「良心ロンダリング」という指摘には苦笑させられた。だが、笑った後で、その指摘の的確さに感嘆してしまう。本書では、そういうことが多々あった。

説得の有効な方法として、・正面切って言うより、そっと示す ・いい悪いを一切言わず、物語を語る、というのは是非、実行を試みたい。「庭に雑草を引っこ抜かせる方法」も面白く読めた。

 個人的に一番心に残ったのは、機会費用やサンクコスト(埋没費用)に拘らず、やめるべきことは続けるな。それは失敗ではなく勝利だという指摘。生真面目な日本人に本当に良い忠告だと感じた。企業経営でも重要なことではないだろうか。


思っていたより軽快な文章, 2015/4/13 : 0ベース思考 (Kindle版)

 2時間程度で読み終える事ができる文量。突飛な事例からはじまり、全体のストーリー構成がよく最後まで飽きない。押しつけがましくない文体という事もあり、自分自身と照し合せながら内容を読み解いていくと尚読後感が良くなる。私個人としては「自分に自信のあるビジネスマン」の方が読まれるのをおススメ。

・自分の考えが最善という意識≒他意見の軽視

・結果を伴ってきた自身の経験則≒定例化、マニュアル化

自信からくる主観的発想が間違っているわけではないが、本著は「本当にそれって正しいの?」と投げかけてくれる。

 とはいえ実際には枠外の考え方をしようとしても、先入観から抜け出すのは非常に難しいのが現状・・・・

いざ「0ベース」という概念を思い出しても、良いアイデアはなかなか浮かばないかなと思う。

ただ本著を読む事で「先入観」の危険性を改めて感じる事ができる。

自由な思考を妨害するものを知るのによい本, 2015/3/7

0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

本書のエッセンスは帯に書かれている、「バイアスを0にして考えろ」に尽きる。この本は、自由な思考の妨げになっているもの(バイアス)や人の行動や判断、考えに影響を与える色々な要因とその具体例が整理されていてわかりやすかった。

一般的なハウツー的な思考手順やツールについての本ではなく、もっと根源的な以下の重要な事柄について書かれている。(根源的なことなので、応用範囲が広い。ただし、とっかかりなので、今すぐ自分の思考レベルそのものを飛躍的にアップしてくれるものではない。しかし、確実に思考の自由度をアップしてくれることは間違いない。もし、思考の妨害になっているものが何かについて気付いていない状態ならば、非常に読後効果が高い本。)

●どんなに聡明な人でも、自由な思考をしたい場合、自分が偏見にまみれていることを自覚する必要がある。

●自由な発想の邪魔になる要因が何か。

●継続し続けても全く苦痛じゃないどころか、楽しすぎて継続し続けていることすら忘れさせるものが才能。

●問題の設定、そもそも同じ現象に対しての問題設定、問題へのアプローチの仕方の違いがあることに関しての具体例。

●フィードバック、トライアンドエラー、実験、実際にやって確認してみることの重要性とその具体例。

●動機づけ、何が人を動かしているのかの見極めが重要だということ、またそれが思考を固まらせてしまうバイアスになっている。

●否定的なことの方が、肯定的なことよりも強く人の心に残る。

●小さく考えることの重要性。

●群集心理と考えない楽さに関して。

 妨げとなるものの排除の仕方に関しては、即実行できそうなものと、そう容易ではないものがある。

自由な発想を難しくする点は、この妨げとなる要因の排除しがたさだと思った。

道徳や常識、感情、経験、知識、虚栄心、損得、価値観、などなど、そういった何らかの判断や価値を与えるものを取り去って、とにかくとことん取り去って、すべてフラットに考えること、とにかく縛られずに考える。

それができたら、どんなに自由に発想できるだろう!!

それができないから悩んでいるというのに。

往々にして、バイアスがあることにすら自分自身では気付けないでいるので、他者の視点やバイアスを意識することの重要性について改めて考えさせられた。

  知的に面白く、思考を磨ける, 2015/2/15 ・0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

人はあらゆる問題について、気づかないうちにさまざまなバイアスにさらされている。では、そこからどう脱して合理的に、創造的に思考し、判断していけばいいのか、という本。「ワールドカップでPKをどの方向に蹴るのが合理的か?」「問題をゼロからとらえ直すには?」といった具体例が面白く、さくさく読める。

後半8章には「聞く耳をもたない人を説得するには?」という章があり、思考法の本になぜ?と思ったが、読んでいて、たしかにクリエイティブな思考ができるようになって自分ひとりでオリジナルなことを考えても、何かを実行に移す際には、多くの場合人を説得する必要があるので、なるほどと思った。やはりここでも、「人は必ずしも合理的に思考しているのではなく、自分では気づいてもいないバイアスに影響されて思考している」(だから論破しても意味がない)ということが出てくるのだが、「自分は正しい」という自分側の思い込みにも気をつけなくてはと思った。

ほかにも、「わからない」「知らない」と言うことこそ、思いがけない発見や思考の活性化につながるという話や、人に行動の動機(インセンティブ)を与えて動かす方法についてなど、示唆が多く、読みながら、自分がはまっている思い込みなどにぽろぽろ気づいた。

  ゼロベースで考えなければいけないと思わされる1冊。, 2015/5/18


: 0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

同書は、世界でシリーズ750万部を超え、本国アメリカだけでも初版50万部を超えているという話題の書です。

同書で何を言おうとしているか?というと、私たちは、自分の視点で、物事を見ているがそれは時に逆効果をもたらすこともあり、どんな時であっても、ゼロベースで考えなおさなければ大きな間違い、想定外の間違いに直面する、という事です。

同書の中では、早食い選手権で有名な小林尊さんや、その他、コブラ効果など、さまざまな矛盾や、ゼロベースで考える事の大事さを教訓として紹介されています。特に、自信過剰気味になりやすい方は、同書を読む事で「内省する」事の重要性に気付かれると思います。

常識のウソ, 2015/4/17: 0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

「ヤバい経済学シリーズ」の番外編? 既成概念に捉われず、子供のように、まっさらな頭で物事を見る重要性を、さまざまな興味深い実例を引き合いに出して、説いています。

一番印象深かったのは、人は道徳的なインセンティブでは動かないというお話しでした。エネルギーを節約する為に、次の4つの標語を作り、それぞれ効果を試してみたら、

1.省エネで環境をまもりましょう

2.未来の世代のために省エネにとりくみましょう

3.省エネでお金を節約しましょう

4.ご近所のみまさんと省エネを進めましょう

結局、4の標語が一番効果があったそうです。ゴーイング・マイ・ウェイの人が多いアメリカ人でもこうですから、日本だともっと効果がありそうです。これ以外にも、“専門家の予想の的中率はチンパンジー並み”といった面白いお話がちりばめられています。役に立つというよりも、頭の体操の本です。


一般通念を捨てて, 2015/5/19 : 0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

人間は大人になってくると道徳、一般通念など様々な「社会的常識」に捉われて日常を過ごします。そんな社会的常識を捨て去り、違う観点から再度物事を考えることによって、解決する問題があるのではないか。という先入観に捉われない考え方を、示してくれるのがこの本です。

「第2章・世界で一番言いづらい言葉」は大人になるとなかなか言いづらいですし、第6章の人間のインセンティブ、人間がその行動をとる理由を説明した内容も、とても面白く読めました。タイトルで堅い内容なのかなと思いますが、読んでみると文章が軽いのですいすい読めてしまいます。

今までの自分の考え方は様々な問題を考えるのにはたして正しいのか?自らの思考法に一石を投じる本でした。

シンプル!, 2015/4/22: 0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる (単行本(ソフトカバー))

いろいろと考えるあまり、どんどん硬くなっていたんだなと気付かされました。

もっとシンプルに、もっと自由に考えられるようになれる本でした。

5:48 2015/05/21


 

ごまめの歯ぎしり  メールマガジン版.  衆議院議員 河野太郎の国会日記

経産省がつくったエネルギーミックスの案が自民党に示された。自民党の額賀調査会長は、経産省のいうベースロード電源なるものを欧米と遜色のないレベルにすることを求める提言を官邸にもっていっている。

しかし、経産省案は、2030年にベースロード電源の比率が56%になるという案を示した。

欧米が50-40%程度まで「ベースロード電源比率」を下げようというのに対して、それに大きく後れを取るものになっている。

「遜色のない」どころではない。

しかし、そうした提言を出した額賀調査会長は、経産省案に対して怒りを見せることもなかった!?


経産省案によれば、原発の比率もおかしい。既存の原発を40年で廃炉にしていけば、原発比率は11-13%程度にしかなり得ないのに対して、経産省案では20%を超えている。

経産省の説明によれば、60年まで原発を使い、稼働率を引き上げれば、この数字は達成可能だとしている。


原発の稼働率は、これまでも引き上げる引き上げると言い続け、それができずに、結局、石炭で差を埋めたということの繰り返しだった。同じ間違いを平然と繰り返そうとしている。

再稼働もしていないのに、最初から原発を60年使いますというのも、おかしな話だし、再処理、核のゴミについては頬かむりしたまま。

欧米は2030年に再生可能エネルギーの比率を40%程度まで引き上げる目標を掲げている。燃料コストがかからず、自給自足ができるエネルギーを獲得する欧米諸国と、化石燃料と原発に頼る日本では、エネルギーの安全保障や競争力に差が出てくることになる。===============

メルマガバックナンバーはこちら(ブログ版)↓

http://www.taro.org/gomame/index.php

■発行:河野太郎●購読申し込み・解除:   http://www.taro.org/

●関連ホームページ:      http://www.taro.org/

●ご意見・お問い合わせ:  http://www.taro.org/contact/


 当レポートに掲載された記事は、全文を掲載する場合に限り転載・再配布できます。◎ごまめの歯ぎしり  のバックナンバー・配信停止はちら

ttp://archive.mag2.com/0000006653/index.html

5:02 2015/05/21


最近の写真

  • Img_0761
  • Img_0760
  • Img_0759
  • Img_0758
  • Img_0757
  • Img_0756