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2016年11月21日 (月)

反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本 – 2015・3・19 相川 俊英・・・ 第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・


2016年12月24日 (土)奇跡の村 地方は「人」で再生する (集英社新書) 新書–2015年10月16日 相川 俊英 (著) 少子化対策に目覚しい成果をあげて全国の自治体関係者から「奇跡の村」と呼ばれている長野県下條村など、独自の移住促進策で「消滅論」に抗う各地の山村を取材した、希望のルポルタージュ。 ・・反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/12/20151016-fcc6.html

6:15 2016/12/24


2016年11月21日 (月)

亡国予算―闇に消えた「特別会計」 単行本 – 2009・4・28 ・北沢 栄(著) だれも知らない日本国の裏帳簿―国を滅ぼす利権財政の実態! 石井 紘基 (著)そのほかいろいろ・ http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2016/11/post-2806.html 5:55 2016/11/27


2016年11月21日 (月)反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本 – 2015・3・19 相川 俊英・・・ 第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・

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2:08 2016/11/21


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11/21/2016


だれも知らない日本国の裏帳簿―国を滅ぼす利権財政の実態!  – 2002/1

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11:44 2016/11/21



「田中角栄を葬ったのは誰か」シンポジウム「田中角栄」(全編)視聴回数 6,765 回・2016/07/26 に公開■シンポジウム「田中角栄」■期日:平成28年7月26日(火)5時開場 5時30分開演・場所:憲政記念館講堂

主催:日本一新の会・(株)K&Kプレス・ゲストスピーカー小沢一郎(衆議院議員)石井 一(元自治大臣)「冤罪」(田中角栄とロッキード事件の真相)著者

大下英治(政治評論家)・パネラー佐高 信(評論家)早野 透(元朝日新聞記者)平野貞夫(元参議院議員)「田中角栄を葬ったのは誰か」著者植草一秀(経済学者)

https://youtu.be/-azD53mPWi8

6:19 2016/11/18


(公式)植草一秀氏(政治経済学者)「安倍政治の本質とブレイクスルーの方策」 チャンネル登録364 ・視聴回数 10,622 回・2016/06/03 に公開・第14回世界友愛フォーラム(主催:東アジア共同体研究所)に政治経済学者の植草一秀氏をお招きし、講演していただきました。

https://youtu.be/AYaIEPu5vTk

4:45 2016/11/18


反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本 – 2015・3・19 相川 俊英 (著) 内容紹介

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11/21/2016


まえがき

・アベノミクスでは地方創生はできない・1頁・

日本の政治は戦後一貫して、「国土の均衡ある発展」を金看板に掲げてきた。地域住民の生活向上を目指し、全国津々浦々でインフラ整備を進めてきたのである。

巨額の税金が投じられることになったが、そのおかげで生活基盤の地域差は少なくなり、日本どこに住んでいても一定の利便性を享受できるようになった。国指導で進められた公共事業の成果と言える。

しかし、ハード面での「国土の均衡ある発展」が進展すると同時に、東京など大都市部に富と人が集まるようになっていった。一方で地方からの人口流出が加速し、過疎地域が生まれ広がっていった。地方の衰退である。

国は税金を投入することで地方の疲弊を抑えようとした。ハード事業を中心とする手厚い支援である。地方の側も国の支援を望み、頼みとした。それは単に財政面だけではなく、政策面においてもだ。地域の実情を横に置いたまま、国が一方的に提示する政策をそのまま採用し続けていた。自分たちで創意工夫する努力を怠るようになっていったのである。


商品の説明をすべて表示する 単行本(ソフトカバー): 226ページ

出版社: 講談社 (2015/3/19)言語: 日本語発売日: 2015/3/19


目次


第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・


・行政、住民、政治の「じゃんけん」・16・

政治や行政への不満や不信が日本中を覆いつくすようになって、すでに久しい。

自分たちの思いを汲み取らずに動く政治や行政に怒り、嘆き、それどころか関心を失っていく人たちが後を絶たない。自分とは関係ないものだと政治や行政にそっぽを向いてしまうのだ。

だが、この世の中に政治や行政と無関係に生きられる人など存在しない。人間誰もが社会的な存在であるからだ。政治や行政の影響から逃れることはできない。それは、関心のあるなしとは別次元の話である。

そもそも我々住民にとって政治や行政とはいかなるもので、「行政、住民、政治」はどのような関係性にあるのだろうか。


この三者を「じゃんけん」に関係に置き換えて説明する人がいる。誰もが知っているグー(石)チョキ(ハサミ)、パー(紙)のじゃんけんである。

パーは政治家で、このパーに勝るチョキが住民だ。選挙によってパーの政治家をただの人に変えることができるからだ。チョキには勝てない政治家もグーの役人にはめっぽう強い。16・


17頁・16/11/19 11時25分・

だが、政治家にからっきし弱い役人も住民には強気だ。上から目線で住民を見下ろし、いんぎん-ぶれい慇懃無礼に接する役人がなんと多いことか。

こうした実態から住民と政治家、役人の抑制均衡関係をわかりやすく「じゃんけん」に例えているわけだ。それは、この三者を三つ巴の関係と捉えているからだ。

その三つ巴の関係が、現在、非常に歪んでしまっている。

・最大の原因はチョキ(住民)にある。ハサミが小さくなり、しかも、開きが悪く、切れ味が著しく低下してしまっている。チョキの機能が落ちるにつれ、パー(政治家)は弛緩してしまい、どんどん劣化していった。チョキに切られるという不安や恐れが薄れ、切磋琢磨する必要がなくなってしまったからだ。

・その結果、パー(政治家)はどんどん小粒化・劣悪化していき、実質的にグー(役人)の一人勝ちになっていった。これが政治(政治家)と行政(役人)、住民の三者による「じゃんけん」関係の歪んだ現状である。

だが、政治と行政、住民の関係を「じゃんけん」関係と捉えるのは、そもそも大きな間違いだ。本質的にはそういう関係ではなく、また、そうであってもならない。17頁・16/11/20 5時16分・


18頁・三者の関係を理解する上で最大のキーポイントとなるのが、「税金」だ。

税金とは何か。

「我々や我々の子や孫が生活をしていく中で、さまざまな社会的な課題を抱えることになる。そうした社会的な課題を解決するために、皆であらかじめ出し合う金」が、税金である。

その税金の集め方と使い方、さらには生活していく上での様々なルールを作るのが、政治だ。つまり、政治が、税金を使って解決すべき社会的課題か否かの判断を下すのである。

もちろんそれが税金を使うべき社会的な課題かどうかの判断基準は一定でなく、時代や社会状況、地域によって変わる。

・重要なのは、税金を支払っている人たちの合意や納得に基づく決定であるか否かである。

・税金が決定した税金の集め方、使い方に則って実務をとり行うのが、行政(役人)だ。つまり、本来は政治(政治家)が行政(役人)をコントロールしなければならない。

では、その政治の担い手は誰か。日本社会は主権在民となっている。つまり、われわれ一人ひとりの有権者が政治の担い手であり、税金の集め方と使い方、そして社会のルールづくりの主役なのだ。

ところが、残念ながら現実はそうなってはいない。先ほど説明したように、ゆがんだ形での「じゃんけん」関係が形成され、グー(役人)の一人勝ちとなっているのが実態である。18・


16/11/21 0時53分・


・自治体は「分譲マンション」・19頁・


本来の住民と政治(政治家)、行政(役人)の三者の姿を例えるならば、「じゃんけん」関係ではなく「分譲マンション型」関係というべきだろう。

分譲マンションの場合、区分所有権を持つ住民らが管理組合を組織する。そして、自分たちの中から役員を選び、管理組合のトップ(理事長)を選ぶ。

・管理組合はマンションの維持管理や保守、修繕などについて議論し、方針を決める。実務は管理組合ではなく、委託された管理組合が行う。この管理会社が、行政つまり役所に当たる。管理などにかかる経費の原資は区分所有者が支払う管理費で、これが税金に当たる。

・マンション管理組合の役員会に当たるのが議会で、理事長は国政ならば内閣総理大臣、地方自治体ならば首長ということになる。国政の場合、選挙で選ばれた管理組合の役員の中から総理大臣を選ぶが、地方自治体の場合は役員選挙とは別に、管理組合トップの選挙を行うことになっている。二元代表制である。

マンション管理組合の理事長の役割は、住民の代表として管理会社をマネージメントすることだ。管理や点検、修繕などの方針や予算などを取りまとめ、管理組合の役員会や総会に諮るのは建前となっている。19・


20頁・平成28年11月21日

実際のマンションの場合、そこに居住していない(区分所有していない)人が理事長になることはあり得ないが、地方自治体の首長は住民以外の人でも選挙に当選すればなれる。

・その点を除けば、マンションの管理組合と地方自治体の構造はきわめてよく似ている。

・ところが、実情を見ると、区分所有者の多くがマンション全体の管理に関心を払わず、役員会が機能していないケースが多い。理知場や役員のなり手がなかなか現れず、居住環境の維持や改善は自分たちの日常の問題にもかかわらず、総会に出席しない住民さえ少なくない。なかには管理費を滞納する居住者まで現れる。

こうなると管理組合は機能を充分に発揮できなくなり、理事長も単なるお飾りになってしまう。いつの間にか、委託先の管理会社の社員が実質的な理事長になってしまうのである。つまり、行政(役人)がすべてを取り仕切ることになる。

先ほど紹介した歪んだ「じゃんけん」関係でグー(役人)が一人勝ちになるというのは、こういうことを指している。

では、管理会社への丸投げが進むとどうなるか。居住者の要望や都合よりも管理会社の都合が優先されることになりがちだ。20・


21頁・例えば、マンションの駐輪場を広くしたいといった居住者の生活実感に根ざした要望よりも、事業費の大きくて業者にとって「うまみ」のある外壁の塗り替え工事などが優先されたりする。毎月の管理費が高くなり、その割には、本来居住者が望んでいるような住環境の維持や改善が一向に進まぬ事態となるのである。

ではなぜ、管理会社への丸投げが行われてしまうのか。

マンション居住者には「管理することはめんどくさい」「暇はない」「余裕はない」「カネは払っているのだから、誰かに任せたい」という思いがある。

自治体における「お任せ民主主義」というのが、まさしくこれである。21・


平成28年11月21日・ここまで・

第4章 実録「ジリキノミクス」で実現した豊かな暮らし・


・ジリキノミクスへの取り組み・98頁・


村を蘇らせた「働く公務員」~“「崖っぷち型」ジリキノミクス”福島県泉崎村・100頁・平成28年11月18日

「短くても半年、それも2人ずつ何とか受け入れて頂けないでしょうか?」

「職員を減らしているので増えるのは困ります。無理です」

「そこを何とかお願いします。・東北の下條村・を目指したいのです。受け入れて頂けるまで何日も寝泊まりする覚悟で参りました」


2,010年2月のある日のことだった。2人の男性が応接間で向かい合い、こんなやりとりを続けていた。長野県下條村の村役場の応接室だった。

懇願されて困り果てた表情を見せるのは、下條村の伊藤喜平村長。

・一方、要求が受け入れられるまでテコでも動かないと悲壮感を漂わせていたのが、福島県泉崎村の久保木正大村長だ。前年11月に就任したばかりの新人村長だった。直線距離で数百キロメートルも離れた福島から、不退転の決意で訪ねてきたのである。

それは、泉崎村の職員を下条村役場で長期研修させたいという異例の申し入れだった。

市町村職員が県や国、研究機関などに研修目的で出向する事例はよくあることだが、村の職員が他県の村で長期研修をするというのは聞いたことがない。短期日程での視察で済ますのが、通例でもあるからだ。100・

101頁・実は、泉崎村の久保木村長は、自らが村議会運営委員だった時に下條村を視察し、様々な取り組みの説明を下條村の担当者から受けて、深く感銘した体験を持っていた。


・人口4,000人ほどの小さな山村に過ぎない下條村は、行政関係者の間から「奇跡の村」と呼ばれていた。財政改革を徹底し、全国のトップクラスの健全財政を運営していたからだ。


下條村の「財政力指数」(必要経費を税収で賄える割合)はわずか「0・221」と低いが、実質公債比率(一般財源に占める借金返済額の割合)はマイナス五・四%出、なんと全国ベスト3位。実質公債比率がマイナスを記録しているのは、交付財措置付きの借金を繰り上げ償還していることによる。


経常収支比率(一般財源に占める義務的経費の割合)は65・1%と6年連続で6割台を維持。また、村の実質的な借金残高が約一億一四〇〇万円に対し、基金残高は約六〇億円にも上っていた。一般会計の歳出額が約二四億二〇〇〇万円ほどなので、その2年半分に相当する(いずれも2,013年度決算)。101・

102頁・16/11/18 7時41分・ 


・「奇跡の村」の役場改角に学ぶ・102頁・

無駄をトコトン省き、仕事の効率化を追求し続けた下條村の伊藤村長の手腕は、確かに注目に値する。

・伊藤村長は1,992年の村長就任直後から、役場職員の意識改革に乗り出した。当時としては常識外れとも言える職員の民間企業への研修など、役場改革を断行した。ピーク時に五九人いた職員を37人にまで減らし、「少数精鋭」に変えた。「お役所仕事」を一掃し、職員を働くプロ集団に育て上げたのである。

コウした役場の奮闘ぶりに、住民たちも呼応した。村が提案した建設資材支給事業を受け入れ、小規模の道路や農道、水路の施工を住民自らが行うようになったのだ。

また、下條村は下水道を合併浄化槽に一本化する決断を下していた。国から手厚い補助が出る公共下水や農業集落排水事業よりも、トータルコストが少なくて済むと判断したからだ。実際、その通りの結果となった。

・下條村は一連の財政改革によって捻出した財源を、少子化対策などに充てた。子育て世代専用の村営住宅の建設や子供の医療費無料かなどである。こうして山間部に広がる小さな下條村が、全国有数の高い出生率を誇る自治体となったのである。102・


103頁・応接室でのやりとりがしばらく続いた。何度も頭を下げる泉崎村の久保木村長に根負けし、下條村の伊藤村長がとうとう「1人ずつなら・・・」と受け入れを承諾した。

こうして2,010年4月から、福島県の小さな村から長野県のより小さな村への職員派遣が実施されることになった。研修は1名ずつ、半年間ごととなった。

それにしてもなぜ、泉崎村の久保木村長はこれほどまでにこだわったのか。村の悲惨な財政状況がその背景にあった。

先述の通り、北海道夕張市が2,007年3月、国の管理下で再建を進める「財政再建団体」となった。環境事業に失敗し、巨額の負債を抱えていたことが表面化したのである。夕張市の突然の財政破綻に住民のみならず全国民が驚愕し、日本中に夕張ショックが広がった。自治体財政の危うい実態に関心が集まるようになり、誰もが「我が町の財政は大丈夫か」と不安を抱くようになった。

実は、日本中が夕張ショックに見舞われる数年前に、別の自治体がすでに財政破綻していた。夕張市のような全国的な知名度を持つ自治体ではなく、どこにでもあるような地味な小規模自治体であったため、大きな話題になることはなかった。その破綻自治体というのが、他でもない福島県泉崎村だった。103・


104頁・16/11/18 8時14分・

・イケイケ路線でがけっぷちに・104頁・平成28年11月18日・

福島県泉崎村は白河市に隣接する小さな農村で、人口約6,600人。福島県南部の一寒村に過ぎなかったが、東北新幹線の開業で村を取り巻く環境は大きく変貌した。

・1,982年に新白河駅が開設され、新幹線新駅に隣接する泉崎村はバラ色の夢を描くようになった。1,991年には東北新幹線の東京乗り入れが実現市、村は沸きに沸いた。「我が村が東京への通勤圏になった」と喜んだのである。

・実際、泉崎村が1,984年から造成をはじめた住宅用分譲地(430区画)は完売し、その後も村役場に問い合わせの電話が殺到した。当時の村長は豪腕で知られた人物だった。「日本一豊かな村に」を公約に掲げ、イケイケの拡大路線を貫いた。新たな住宅用分譲地や工業団地の造成、さらには大規模公園墓地の造成まで目いっぱい手を広げた。

・しかしその時すでにバブル経済は崩壊していた。泉崎村のイケイケ路線は完全に裏目に出てしまったのである。進出予定企業が相次いで注視を宣言し、新たな住宅用分譲地も売れたのは180区画のうちわずか12区画だった。


土地の販売代金で造成工事費などを支払うという計画が完全に破綻し、村早く六八億円もの負債を抱えてしまった。104・


105頁・これは当時の村の標準財政規模(約二四億六七〇〇万円)の約二・8倍に当たる途方もない額で、泉崎村はにっちもさっちもいかない状況となった。

・この事実が明らかになる前に豪腕村長が突然辞任し、村は大騒ぎとなった。


2,000年2月に村長選挙が実施された。結果は前村長の後援会青年部長だった小林日出夫氏の当選となった。対立候補とわずか46票差という大激戦だった。

村内で建築業を営む小林氏は、行政経験はもちろん議員経験もゼロ。泉崎村の財政破綻の詳細について、知るよしもなかった。後援会幹部として後継候補の擁立に奔走したが、財政破綻の事実を知る役場幹部は逃げ回り、自らが出馬せざるを得なくなったのである。105・

平成28年11月18日ここまで


・国に頼らぬ自主再建の道・105頁・


小林新村長は村の財政状況の説明を聞き、初めて耳にした財政破綻の事実に言葉を失った。

・しかし新村長は、直ちにその事実を村民に公表した。地区ごとに住民説明会を開催し、村の窮状を村民に知らせて協力を求めたのである。


・そして、議会で議論を重ねた末に、国の管理下に入る財政再建団体ではなく、村債の発行が出来なくなる自主再建の道をあえて選ぶことにした。


・夕張市のように財政再建団体になれば、行政サービスは否応なく最低水準に落ちる。そうなれば工業用地や住宅用地も売れなくなり、村民の負担が増えることになる。105・


106頁・苦しくとも自主再建の道を選び、粘り強く土地を売っていくほうが良策だと判断したのである。

・小林村長は福島県に日参し、県の財政支援を取り付けた。県から低利の融資を受け、負債の大部分を占めた農協からの高利の貸し付けの返済に充てたのである。

村は2,000年度に「自主的財政再建計画」を策定し、人件費や各種補助金のカットと言った歳出削減に乗り出した。借金が出来ないので単独事業は原則として行わず、ちょっとした道路の補修などは役場職員が対応することにした。

・また、分譲地の販売促進による歳入確保にも全力をあげた。住宅用分譲地の販売価格を下げ、すでに買った人にはその差額を返金した。また、村の分譲地を購入して住宅を新築した人を対象とした「ゆったり通勤奨励金」を新設した。村内の対象となる分譲地から村外に電車通勤する場合、三〇〇万円を限度に補助金を交付する大胆な策だった。

・泉崎村は、宣伝活動にも必死に取り組んだ。小林村長を先頭に、議員や職員、住民が東京の銀座で分譲地の宣伝ビラを配って歩いた。大型バスで村を案内する「現地無料招待会」などを開き、村民自らがソバを打って参加者をもてなしたりもした。

・アイデアマンだった小林村長は、2,007年に泉崎村から約200キロメートル離れた東京・銀座まで歩く「財政再建行脚」を行った。分譲地のPRを狙ってのことだ。106・


107頁・16/11/18 9時9分・翌2,008年も2回目を実施し、12月27日に泉崎村の自宅を出発して大晦日にゴールの銀座にたどり着いた。

・こうした村を挙げての販売活動が評判を呼び、分譲地が売れ出した。負債の山は少しずつ小さくなっていった。

ところが、泉崎村は思いもしなかった悲劇に見舞われる。2,009年9月、必死に財政再建に取り組んでいた小林村長が急死したのである。

107・平成28年11月18日・


「少数精鋭」役場の仕事ぶり・107・

・リーダーを突然、失うことになった村は再び大騒ぎとなった。急遽、村長選が行われることになり、2,009年11月に久保木正大氏が新村長に就任した。

先に紹介したやり取りは、そのわずか3ヶ月後のことだった。

「以前から役場のスリム化が急務と考えていましたが、職員数を削る話ですので、どうしても職員に抵抗感があります。下條村は考えられないような数の職員で、実際に仕事をしっかりこなしています。どうやって仕事をこなしているのか、生で実態を見せて貰い、うちの職員に学ばせた地と考えていました」

・こう語る泉崎村の久保木村長は、素早い行動力と粘りを発揮し、下條村から受け入れ承諾を引き出したのである。107・


108頁・久保木村長は、派遣する職員を40代の課長補佐クラスから自ら選び出し、業務命令で半年間ずつ送り込んだ。その第1号となる職員が下条村役場に単身でやってきたのは、2,010年4月だった。

・最初はものすごく緊張しました。役場の廊下を歩いている時も体がふわふわしている感じがしました」

こう振り返るのは、この研修職員第1号となった泉崎村の星雅之さんだ。少ない人数で仕事をしっかりこなす下条村役場の組織体制や配置、使途との仕方などに着目した。


・職員一人ひとりが実によく働き、一人二役や三役をしていること。仕事をする上での横のつながりが強く、職員が各課をまたいで働いていることなど、星さんにとって驚きの連続だった。

また、下條村は4つの課(泉崎村は当時11課)しかなく、業務の割り振りと配置も独特だった。星さんは、それが住民サイドに立って作り上げられたものだと実感した。

星さんはいろいろな地域活動にも参加させて貰った。そこで目にしたのは地域のまとまりや結びつきの強さだった。

・そして、飲み会の席で地元の人が漏らしたこんな言葉に、強い衝撃を受けたという。

「俺たちは自分たちが副村長になったつもりで村をよくしようとしているんだ」108・


109頁・16/11/18 15時5分・


険しいゴール・109頁・

下條村研修の半年はあっという間に過ぎた。泉崎村に戻った星さんは、全職員お前で研修方向を行い、後任者にバトンタッチした。

泉崎村職員の下條村研修は、2,014年9月末まで続いた。半年間の研修を体験した職員は9人に上った。

・泉崎村は2,013年10月25日、土地造成事業の失敗で抱えた巨額な負債の完済を果たすことが出来た。13年間に及ぶ自主再建の険しい道のゴールに、やっとの事でたどり着いたのである。

・久保木村長は、「ようやく他所並みになりました。過去のつまずきを反省材料にして、健全財政を貫いてきたい」と語る。

歳出削減を続けてきた泉崎村は職員採用を抑え、新規採油は13年間でわずか3人。久保木村長の就任時(2,009年)に91人いた職員が、現在(2,014年)は70人に減少している。村は少数精鋭路線を確立させるため、2,014年4月に役場組織の大改革に踏み切った。一一あったかを下條村と同じように4課に再編し、係長を亡くしてグループ長に変えたのである。

職員が自分の仕事だけをするのではなく、職員全体で仕事に取り組み組織にしようというものだ。109・


110頁・役場全体を下條村のような「働く公務員集団」に磨き上げようという、不退転の決意の表れである。

絶体絶命の危機に直面した場合、事態を打開するには必死に努力するしかない。歯を食いしばってひたすら頑張るのみである。そんな苦境の時ほどリーダーの良し悪しが鍵となる。

・陣頭に立ち、熱意をほとばしらせて取り組む人物を選び抜くことが重要だ。泉崎村は小林さんと久保木さんという2人のリーダーを選び、住民と職員が一丸となって行財政改革の努力を愚直までに重ねた。

・逃げずに真摯に進めてきたことが、負の遺産との決別に繋がったと言える。

問題は、状況が好転してからもその姿勢を貫けるかどうかではないか。


福島県泉崎村

・「財政自律度」ベスト438位・

・「住民1人当たりの借金残高」ワースト650位・

・「税の納付率」ワースト172位・

・「自治体選挙における投票率」・

村長選挙68・09%(2,013年10月13日)ベスト447位・

村会議員選挙79・43%(2,011年9月18日)ベスト323位・

・「豊かさ度(財政力指数)」ベスト614位・111頁・


平成28年11月18日 金曜日


地方の光となった図書館~「退路断ち切りがた」ジリキノミクス」福島県矢祭町・111頁・

全国でいち早く「合併しない宣言」112頁・

世にも珍しい住民手作り図書館・113頁・

冷ややかだった専門家も認めた・117頁・

「子供司書制度」で心の教育・118頁・

・自治体が抱える時限爆弾~「伝統・風土型」ジリキノミクス」神奈川県秦野市・120・

・ハコモノメタボを筋肉質に改善・123頁・

・地域資源を生かし切る~「先人の教え尊守型」ジリキスト」島根県雲南市・125頁・

・地域を育てていく使命・127頁・

・自力で開発するオリジナル商品・129頁・

・「クラゲで世界一」~「ひらめき・目から鱗型」ジリキスト」山形県鶴岡市・131頁・

反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本(ソフトカバー)  – 2015/3/19

 

相川 俊英 (著) 内容紹介

 

アベノミクスの「地方創生」は画に描いた餅!

このままでは国土は強靭化どころか弱体化し、多くの市町村が破綻・消滅する!

出生率の低下、東京一極集中で、2040年には市町村が半減すると言われている。

これは地方自治体の多くが、中央官庁お仕着せの政策とばらまかれる補助金、すなわち「タリキ(他力)」に頼ってきたツケに他ならない。一方で、国に頼らず独自のアイディアと取り組み(「ジリキ(自力)」)で自治体の再生・活性化を成功させた「奇跡の市や村や町」がある。

過疎化から人口増に逆転させた村、シャッター商店街をよみがえらせた町……。

彼らはいかにして自分たちを守り、未来を切り開いたのか。その奇策とは!?

ローカルアベノミクスのまやかしに警鐘を鳴らす地方自治取材のスペシャリストが、地方再生の特効薬「ジリキ(自力)ノミクス」を提唱する!

「自律度」「豊かさ度」「税納付率」「投票率」ほか独自集計の市町村ランキングも多数掲載。

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

 

お仕着せの政策とばらまかれる補助金では地方創生などできない!わが道を行く「ジリキ(自力)ノミクス」でよみがえった自治体、それぞれの奇策とは!?

 

 

商品の説明をすべて表示する 単行本(ソフトカバー): 226ページ

出版社: 講談社 (2015/3/19)言語: 日本語発売日: 2015/3/19

目次

第1章 お任せ民主主義「タリキノミクス」が日本をダメにした・

(行政、住民、政治の「じゃんけん」・16・

・自治体は「分譲マンション」・19頁・

・タリキノミクスとジリキノミクス・21頁・

グーの上にカスミとベイ・24頁・

客(住民)を客とも思わぬ体質・27頁・

「水は足りている」のに作るダム~「公共事業の迷走」宮崎県川南町・29頁・

改修の要望がいつの間にか新設に・30頁・

「新たな水はいらない」農家ばかり・32頁・

「ジリキノミクス」5つのメリット・34頁・

第2章 納税者が知るべき「自律度」ランキング

・独自に全市町村をランキング・38頁・

「財政自律度」ランキング・39頁・

「住民1人当たりの借金残高」ランキング・42頁・

「税の納付率」ランキング・43・

「自治体選挙における投票率」ランキング・45・

第3章 後悔先に立たず「タリキノミクス」の落とし穴

「豊かな自治体」の顔ぶれ~「財政力指数」ランキング・64頁・

カネが溢れていても人が増えない~“「財政力指数」ベストワン”愛知県飛鳥村・67頁・

財政難から富裕村へと大変貌・69頁・

カネがあっても人を呼び込めない・70頁・

「タリキノミクス」自治体の4分類・73頁・

富裕自治体からの転落~「あぐら型」タリキノミクス」神奈川県南足柄市・75頁・

企業からの税収頼みの危なさ・78頁・

「橋本ポピュリズム論」の誤解「放蕩型」タリキノミクス」大阪市・81頁・

大阪市民の厚遇とハコモノ充実度・82頁・

教育環境の劣悪化で学力・体力低迷・84頁・

とどまった既得権の洗い流し・86頁・

コンパクト化が再生の鍵~「過保護感覚マヒ型」「タリキノミクス」北海道夕張市・88頁・

ハコモノづくりの打ち出の小槌・91・

第4章 実録「ジリキノミクス」で実現した豊かな暮らし・

・ジリキノミクスへの取り組み・98頁・

村を蘇らせた「働く公務員」~“「崖っぷち型」ジリキノミクス”福島県泉崎村・100頁・

・「奇跡の村」の役場改角に学ぶ・102頁・

・イケイケ路線でがけっぷちに・104頁・

国に頼らぬ自主再建の道・105頁・

「少数精鋭」役場の仕事ぶり・107・

険しいゴール・109頁・

地方の光となった図書館~「退路断ち切りがた」ジリキノミクス」福島県矢祭町・111頁・

全国でいち早く「合併しない宣言」112頁・

世にも珍しい住民手作り図書館・113頁・

冷ややかだった専門家も認めた・117頁・

「子供司書制度」で心の教育・118頁・

・自治体が抱える時限爆弾~「伝統・風土型」ジリキノミクス」神奈川県秦野市・120・

・ハコモノメタボを筋肉質に改善・123頁・

・地域資源を生かし切る~「先人の教え尊守型」ジリキスト」島根県雲南市・125頁・

・地域を育てていく使命・127頁・

・自力で開発するオリジナル商品・129頁・

・「クラゲで世界一」~「ひらめき・目から鱗型」ジリキスト」山形県鶴岡市・131頁・

・不名誉な称号「落ちこぼれ水族館」133頁・

・オセロゲームのような大逆転劇・134頁・

・住民主導バス路線開設~「ひらめき・目から鱗型」ジリキスト千葉県印西市・137頁・

・利用者本位のバス事業・139頁・

・シャッター商店町の起死回生策~「試行錯誤型」ジリキスト・愛知県岡崎市・142頁・

・豊富な専門知識とおもてなしの心・144頁・

・「三方よし」の発想・146頁・

芸術家やIT企業家が続々移住~「人材集約型」ジリキスト」徳島県神山町・149頁・

・日本の田舎をステキに変える!・150頁・

・ユニークな移住支援活動・153頁・

第5章 「ローカル・アベノミクス」に騙されるな

・これまでの公共事業とこれからの公共事業・158頁・

・なぜ「タリキノミクス型」が多いのか・160頁・


・加速する土建政治の十倍返し・162頁・

「忘れられたダム事業」の復活~「タリキノミクス型公共事業」熊本県・164・

・亡霊「立野ダム事業」・166頁・

・二の次にされた白河河川改修・168頁・

・身の丈事業と驚くべき村民力~「ジリキノミクス型公共事業」長野県下条村・170頁・

・住民が村道や水路を整備・補修・171頁・

・下水道ではなく合併浄化槽を選択・172頁・

・国策による負の連鎖「土砂災害」・175・

・スギ・ヒノキの人工林が山を壊した・176頁・

・ダムは森林再生にはつながらない・179頁・

・力技だけでは土砂災害に勝てない~「森林再生」ジリキスト」神奈川県相模原市・180頁・


第6章 地方創生の特効薬とは何か・

・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・

・地域活性化予算を虚しく消化・188・

・スローガンで終わる地域活性・189頁・

・大合併でばらまいた毒まんじゅう・191頁・

・地方創生の見本「四万十ドラマ」~「清流と森」ジリキスト」高知県四万十町・192頁・

・ローカル・ローテク・ローインパクト・194頁・

・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・

・循環経済で「地元の創り直し」・198頁・

・疲弊地方の再生拠点「郷の駅」・200頁・

・カネ・ヒト・モノの連結決算・201・

・真の地方創生を示した若き実業家・~「地元創り直し」ジリキスト」徳島県美波町・203頁・

・「半X半IT」で業績拡大・204頁・

・「ソトとナカ」の交流・206頁・

「ジリキノミクス」の3本の矢・208頁・

・あとがき・・「地域主権」と「住民自治」への道・213頁・

平成27年4月2日

8:14 2015/04/02・反骨の市町村・

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