市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 [単行本] 佐々木 実 (著)
引用
変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書) [新書]野口 悠紀雄 (著)
内容紹介
過去30年の間に国際経済を取り巻く環境は激変しました。しかしながら、日本経済は、円安頼みの輸出立国モデルに固執した結果、長期にわたる低迷を余儀なくされました。猛スピードで変化した世界経済に立ち後れた日本に対して、いち早く金融自由化に取り組んだイギリス経済は劇的な復活を遂げ、IT化に成功したアメリカは歴史に残る黄金期を迎えています。かつて「欧州の最貧国」といわれたアイルランドは、世界経済の変貌にいち早く対応し、「ケルトの虎」と呼ばれるまでに急成長しています。はたして周回遅れの感もある日本に、挽回の余地はあるのでしょうか。残念ながら、アベノミクスは、株価の底上げには成功したものの、円安誘導の輸出立国モデルに固執しており、古い産業構造を温存することを躍起になっています。野口悠紀雄氏は、アベノミクスの金看板である、インフレ目標と異次元金融緩和は、目標も手段も間違っており、国民にカタストロフをもたらす可能性が高いと、厳しく批判しています。これからの日本経済を待ち受けているものはなにか? 経済学の第一人者 野口悠紀雄氏の鋭い分析がふんだんに盛り込まれた作品です。
内容(「BOOK」データベースより)
世界はこんなに変わった!日本はなにも変わらない!アベノミクスでは日本は浮上しない。日本経済を復活させる唯一の解決策とはなにか。
新書: 288ページ出版社: 講談社 (2014/4/18)発売日: 2014/4/18
目次
序 始まりは80年代
第1章 経済思想が大転換した
必然だったソ連崩壊サッチャーとレーガンの経済改革市場経済以外はありえない石油価格の安定とインフレなき成長
第2章 IT革命と市場型経済の復活 新しい技術 ITの登場アメリカ経済の復活イギリスの大変貌:脱工業化と金融立国
90年代、アイルランドの驚異的な経済成長
第3章 中国が工業化に成功した
改革開放が軌道に新しい企業が台頭する巨大EMSというバケモノ 中国経済の矛盾
第4章 取り残された日本は円安のぬるま湯に不良債権の処理に追われた日本の90年代大規模介入で円安に垂直対水平
第5章 100年に一度の金融危機 アメリカ住宅バブル金融危機の進展投資銀行モデルとその破綻アメリカ経常赤字の拡大円安バブル
第6章 リーマンショック後の世界 GDPがマイナス10%減中国の経済対策と不動産バブルアメリカの金融緩和策 ユーロ危機 米中というG2の時代
第7章.日本経済が抱える深刻な問題 下落する賃金貿易赤字、脱原発、海外移転デフレが問題なのか? 消費税増税で財政再建できるか?社会保障の見直しこそ最重要
第8章 アベノミクスは答にならない 空回りする異次元金融緩和 動かない実体経済円安は日本人を貧しくする目標も手段も間違っている
第9章.日本の成長に本当に必要なこと何をやってはいけないか?何が必要か?
政府に依存するのは間違い人材開国による新しい成長に向けて
保守とは問題の先送りでしかない テレビによって「アベノミクス」という言葉が一人歩きしていますが、本当にみんな内容がわかってんのかな、と疑問を感じることがあります。(「集団的自衛権」もそうですが)
この本で野口はアベノミクスが効果的でないと批判します。その理由を、1980年代からの世界経済の変化をたどりながら、広い視野で説明してくれます。
現状のアベノミクスは、日銀にお札をじゃんじゃん刷らせて(量的緩和)、円安と株価の上昇をもたらしています。(野口によると円安は別の要因であるようですが)しかし、それが実体経済の改善につながるかというと、非常に難しいと野口はいうのです。
5つ星のうち 1.0 結論はありきたり
結論は、サービス産業を発展させ、高齢者の需要を開拓し、高等教育を充実させ、外国人労働者を積極的に受け入れるということ。ずっと前からいわれている。これですこし経済成長ができたとしても、国民生活や国土、安全は守られるのだろうか。
5つ星のうち 4.0 保守とは問題の先送りでしかない, 2014/4/24
レビュー対象商品: 変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書) (新書)
テレビによって「アベノミクス」という言葉が一人歩きしていますが、本当にみんな内容がわかってんのかな、と疑問を感じることがあります。(「集団的自衛権」もそうですが)この本で野口はアベノミクスが効果的でないと批判します。その理由を、1980年代からの世界経済の変化をたどりながら、広い視野で説明してくれます。
現状のアベノミクスは、日銀にお札をじゃんじゃん刷らせて(量的緩和)、円安と株価の上昇をもたらしています。(野口によると円安は別の要因であるようですが)
しかし、それが実体経済の改善につながるかというと、非常に難しいと野口はいうのです。
90年代以降、世界経済は流動性の高い英米型が優位となった上に、中国の製造業が台頭してきたことで、かつての日本型経済が通用しなくなっている、つまり、世界経済の変化に日本が対応できていないことが、長期にわたる経済不振の理由だというのが野口の見方です。
日本は変化に対応して産業の基本構造を変えるべきであるのに、保守的な発想でそれを避け続け、安易な(痛みの少ない)金融政策(アベノミクス)で一時しのぎを続けています。
野口の主張には目新しいものは全くありませんでしたが、これは悪いという意味ではなく、当たり前のことを言っていて納得できたということです。たとえば、野口は量的緩和がマネタリーベース(日銀が発行したお金の総額)を増加させても、マネーストック(実際に経済活動で動いている金額)を増やさないため、実体経済の改善に役立たないと説明しますが、このような量的緩和批判は、かつて自民党の塩崎恭久が日銀の量的緩和を批判したときに、僕が耳にした説明と同じです。
(ちなみに、塩崎は第1次安倍晋三内閣の官房長官で、安倍と同期だったため「お友達内閣」と揶揄されましたね。その塩崎が批判したことを安倍がやっているのは皮肉です)野口は日本がモノづくりで復活するのは不可能だといいます。
だとしたら、変化への対応をやり過ごし、製造業を圧迫する中国を悪とみなして、問題の本質をごまかす、という保守の発想が理解しやすくなります。
保守的で現状を否認する量的緩和だけではなく、野口が言うような、「痛みを伴う」経済的な構造改革が行えるかどうかで、安倍の経済政策を評価するべきでしょう。
5つ星のうち 1.0 結論はありきたり, 2014/5/2
レビュー対象商品: 変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書) (新書)
結論は、サービス産業を発展させ、高齢者の需要を開拓し、高等教育を充実させ、外国人労働者を積極的に受け入れるということ。ずっと前からいわれている。これですこし経済成長ができたとしても、国民生活や国土、安全は守られるのだろうか。
17:18 2014/05/05
竹中平蔵氏の正体 佐々木 実
http://gekkan-nippon.com/?p=5372
7月 7th, 2013 by 月刊日本編集部.
佐々木実氏の著作
労働分野の規制改革を進める竹中平蔵氏
―― 竹中平蔵氏の実像に迫った、佐々木さんの『市場と権力』(講談社)は、新自由主義がいかにしてわが国に導入されてきたかを考える上で、示唆に富むものだ。
佐々木 竹中氏は、一月二十三日に開かれた産業競争力会議初会合で、「成長戦略に打ち出の小槌はなく、企業に自由を与え、体質を筋肉質にしていくような規制改革が成長戦略の一丁目一番地」だと語った。その翌日、安倍首相は竹中の発言をそっくりそのままなぞるような口ぶりで規制改革の必要性を唱えている。安倍首相と竹中氏の近さを象徴する場面だった。
小泉政権時代に大きな役割を果たした竹中氏は、その後様々な批判を浴び、民主党政権時代には一旦過去の人となったかに見えた。ところが、それでも生き残り、安倍首相にとりたてられ、いまや新自由主義イデオローグの第一人者となっている。
―― いま産業競争力会議や規制改革会議で、解雇規制の緩和など労働分野の規制改革が論じられているが、ここには露骨な利益誘導があるのではないか。
小泉政権は、労働分野の規制改革を断行して、人材ビジネス市場の拡大をもたらしたが、小泉政権が幕を下ろした後、竹中氏は人材派遣会社パソナグループの創業者である南部靖之氏から同グループ特別顧問として迎えられた。そして、二〇〇九年には取締役会長に就いている。
佐々木 竹中氏が労働分野の規制改革に意欲を持ち続けていることは間違いない。彼は、楽天会長兼社長の三木谷浩史氏との対談(『文藝春秋』四月号)で、「労働市場にも、健全な競争がないわけです。日本の正社員は世界で最も守られていますが、これは、一九七九年に東京高裁が出した特異な判例があるためです」と語っている。
―― パソナグループ会長が、労働分野の規制改革を論じること自体がおかしいのではないか。
佐々木 まったくおかしな話だ。ところが、大手メディアは利権問題を引き起こしかねない事実をとりあげようとしないばかりか、竹中氏の肩書として「慶應義塾大学教授」としか書かない。本来、「パソナグループ会長」という肩書も併記すべきだ。産業競争力会議や規制改革会議は議論の内容の是非を論じる前に、構成メンバーが経営者や経済学者に偏り過ぎていることを問題にしないといけない。
―― アメリカでは、「リボルビングドア」(回転ドア)と呼ばれる通り、民間・政府間の交流人事の名のもとに、一部のエリートが政府、大企業、学界の役職を回し合い、一部の勢力の「お手盛り」で国家を運営しているように見える。
佐々木 アメリカ社会における経済学者たちと金融業界の癒着を描いたドキュメンタリー映画『インサイド・ジョブ』(チャールズ・ファーガソン監督、二〇一〇年)がアカデミー賞を受賞して話題となった。日本はアメリカ社会の病理ともいえる「リボルビングドア」をさらに歪曲した恰好で真似ようとしているようにみえる。
ビジネスの論理に偏ることなく、国民生活全体の立場に立って正論を唱える政治家がいなくなってしまっていることも大きな問題だ。
17:12 2014/05/05
市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 [単行本] 佐々木 実 (著)
内容紹介
第45回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品!
第12回新潮ドキュメント賞受賞作品!
「構造改革」「規制改革」という錦の御旗のもと、いったい何が繰り広げられてきたのか? その中心にはいつも、竹中平蔵というひとりの「経済学者」の存在があった。
“外圧”を使ってこの国を歪めるのは誰か? 郵政民営化など構造改革路線を推し進めた政治家・官僚・学者たちは、日本をどのような国に変えてしまったのか?8年におよぶ丹念な取材からあぶり出された事実から描ききった、渾身のノンフィクション。
内容(「BOOK」データベースより)
経済学者、国会議員、企業経営者の顔を使い分け、“外圧”を利用して郵政民営化など「改革」路線を推し進めた竹中平蔵がつぎに狙うものは!?8年におよぶ丹念な取材があぶり出す渾身の社会派ノンフィクション。
単行本: 338ページ出版社: 講談社 (2013/5/9)発売日: 2013/5/9
目次
はじめに 「改革」のメンター
第1章 和歌山から東京へ
第2章 不意の転機
第3章 アメリカに学ぶ
第4章 仮面の野望
第5章 アメリカの友人
第6章 スケープゴート
第7章 郵政民営化
第8章 インサイド・ジョブ
おわりに ホモ・エコノミカスたちの「改革」
ウォームハートを忘れた経済学者の軌跡
ジャーナリストの佐々木氏による周到な文献調査などで描かれた、日本の権力中枢で活躍した「経済学者」竹中平蔵氏のこれまでの軌跡を示す。
経済学者とはいえ、学問的良心とは関係なく、アメリカの意向に忠実な姿があらためて明らかになった。
日米構造協議時では、アメリカの主張にそって、日本をバブルに落とし込んだ公共事業430兆円の過大な公共投資計画を正当化していたのにもかかわらず、道路・橋などの劣化が見通せたはずの小泉政権下では徹底した公共投資の削減に旗をふった。
また、金融担当大臣の際の、木村剛を使った不透明な政策決定や、派遣業のパソナの役員をしながら、個別企業の利益誘導を疑わせるような労働法制の規制緩和を声高に主張する。
5つ星のうち 3.0 日本における「悪人」の一類型
こんな重厚なルポが掲載されていたのですね。知りませんでした。相当な時間と労力をかけ、竹中氏の幼年時代から現在までが相当な深さで探られていきます。和歌山での青年時代、そして上京、就職などにかかわる様々な興味深いディテールがさりげなく提示されていきます。これらの竹中前史にかかわるディテールは、想像をたくましくすれば、いくらでも話を様々な方向へ展開することが可能ですが、著者は禁欲的にその前でとどまります。どのエピソードも様々なストーリーの展開を可能とするものです。
後半はその奇妙な生態と動きが日本の変貌と共に完膚なきまで解明されていきます。そこで明らかにされるのは、1970年代というブレトンウッヅ以後の時代に社会に放り出された、田舎の何のコネもない、しかし世俗的な権力欲だけは人並み以上だった一青年の生き様です。
5つ星のうち 5.0 ウォームハートを忘れた経済学者の軌跡, 2013/5/25
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
ジャーナリストの佐々木氏による周到な文献調査などで描かれた、日本の権力中枢で活躍した「経済学者」竹中平蔵氏のこれまでの軌跡を示す。経済学者とはいえ、学問的良心とは関係なく、アメリカの意向に忠実な姿があらためて明らかになった。
日米構造協議時では、アメリカの主張にそって、日本をバブルに落とし込んだ公共事業430兆円の過大な公共投資計画を正当化していたのにもかかわらず、道路・橋などの劣化が見通せたはずの小泉政権下では徹底した公共投資の削減に旗をふった。また、金融担当大臣の際の、木村剛を使った不透明な政策決定や、派遣業のパソナの役員をしながら、個別企業の利益誘導を疑わせるような労働法制の規制緩和を声高に主張する。
本来経済学という学問自体は、特段、金儲けには役に立たないはずが、権力と結びついたことにより、利益を生むことになった。
ウォームハートを忘れた経済学者の問題点を鮮やかにしめす快作だ。
5つ星のうち 5.0 学者の仮面を被った鬼畜, 2014/1/19
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竹中平蔵という名前を初めて聞いたのは何時だったろう。あの「鬼平犯科帳」を連想させる剛直で古めかしい名前と、それに似合わぬ童顔でソフトな語り口、そして都会的かつスマートなイメージの「慶応」の教授であるというプロフィールに強い印象を受けた。
その後、小渕内閣の「経済戦略会議」で中央政界にも重要な位置を占め、小泉内閣ではついに閣僚に登用された。
しかし、その頃からこの人には疑惑或いはスキャンダルがついて回ることになる。本書は、それらの疑惑について関係者への詳細な取材に基づいて検証を行っている。まぁこうした上昇志向の塊で、他人を踏み台にしてのし上がる輩はいつの時代にもいるのだが、竹中の始末に負えないところは「学者」の仮面を被っていることだ。何となく憎めない童顔も手伝って、大衆は簡単に騙されてしまうのである。
「考えない総理」小泉純一郎という存在もこの男にとって、強い後ろ盾となった。この二人によってその後の日本が辿った結果を見ると、本当に痛ましい。小泉が人気絶頂の頃、テレビの街頭インタビューで中年の主婦が「小泉さんのためなら痛みにも耐えます!」とはしゃいでいた姿が筆者には忘れられない。「B層」と名付けられたこの人たちを騙すことなど、竹中にとって赤子の手をねじるようなものだったろう。
政権交代によって、一旦表舞台から消えたかに見えた彼がまたぞろ復活してきたのを見ると、絶望的になる。
加えて、都知事選で「反原発」を掲げてはしゃぐ小泉を持ち上げるマスコミと大衆。
もうあの二人が表舞台に立つ世の中はコリゴリだ。みんなはそう思っていないのだろうか。
それにしても、こういうレポートが掲載される論壇誌が殆どなくなってしまったのは寂しい限りだ。
5つ星のうち 5.0 黒い立志伝、最高だ, 2013/5/26
探偵デプロ (東京都) - レビューをすべて見る
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小泉構造改革を推し進めた竹中平蔵氏を多岐にわたる取材で描いた黒い立志伝。「改革」を推し進める過程での「仕掛け」や「振り付け」のダイナミックさや巧妙さに驚嘆する反面、その裏に描かれた「私心」には憎悪さえ覚える。竹中氏や構造改革への評価は横においても、読み物、エンタテイメントとして十分面白い。それがまたさまざまな人をひきつけ動かしてきた氏の魅力の顕れなのだろう。
5つ星のうち 5.0 権力中枢の無力と経済学の科学性, 2014/2/12
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佐々木実氏による、小泉政権において「構造改革」「規制改革」に辣腕を振るったとの印象のある竹中平蔵氏の成育歴、学問的業績、そして何よりも権力中枢に近づく手法とそこで行った様々な行動を綿密な取材と関係者の証言から描く一冊です。
竹中氏が自我に目覚めた頃よりの人生の軌跡、殊にアメリカの政界とシンクタンク・学者知識人(財界)の「回転ドア」システムを目のあたりにし、ワシントンと永田町を結ぶ「人材」としての基礎を作り、博士号・教授としての地位を手に入れ、小泉時代という舞台を得て、成したことが事実に基づき抑えた筆で描かれる。
読後に持つ感想は、「成功したホリエモン」との印象であり、経済学界周辺の科学性と無関係に見える人間模様の日本的風景と、さらには政治家ことに最高権力者を伺う位置にあるであろう人々の脇の甘さ、決して飛び抜けたものを持っていないと感じられる竹中平蔵氏に「なぜ、ここまで許したのか」が解けない。
決して無能ではない官僚組織が、なぜ竹中氏に易々と対抗力・抵抗力を失ったのか?「族議員」とある種恐れられた議員集団がなぜ無力化したのか?である。
社会の空気が、「構造改革」「規制改革」を称賛し、テレビ話術のあるお茶の間経済学者を持ち上げ、冷静さを失った時代の一幕が描かれている。
著者は、ジョセフ・E・スティグリッツの師である経済学者・宇沢弘文氏を登場させることで、竹中氏の人柄と経済学者としての業績に止めを刺すことを、意図している様だ。
「構造改革」「規制改革」を、己とその周辺の個人財産の形成に利用した手法への批判は、個々の事例に付いて、各々一冊の解明本が必要であり、この著者であれば可能であろう。行間からは、大阪大学経済部を卒業し経済学を修めた者として、日本経済新聞社にいた者の無念が伝わる様だ。
5つ星のうち 5.0 不純な人士達の筆頭, 2013/6/17
JAZZファン "JAZZ初心者" (東京都江東区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
本書の元となったのは、月刊現代2005年12月号に前編、2006年1月号に中編が発表された佐々木実氏のノンフィクション『竹中平蔵 仮面の野望』。
同作が発表された当時は、小泉人気が絶頂の頃である。当時は、小泉本人やその政権を批判する人は少数派であり、場合によっては、抵抗勢力とみなされる状況にあった時期である。未だに小泉を賛美する者、部分的には批判しつつも全体としては好意的に捉える者が大勢を占めている中で、大々的に問題として取り上げられてはいないが、小泉政権及びそれに関係する勢力から敵視された人物が、直接的、間接的な圧力を加えられ、職を失ったり、罪を被せられて社会的に抹殺されたりするなど、言論弾圧にも等しいことが水面下で行われていた時期である。
そういった中で、佐々木実氏の『竹中平蔵 仮面の野望』が発表された訳である。内容はと言えば、小泉政権に於いて、新自由主義的価値観に基づく経済政策を推し進めた中心人物である竹中平蔵の実態を白日の下に晒す極めて刺激的なものであった。それも単なる下ネタ的なものではなく、綿密且つ渾身の取材から得た事実関係に基づき、竹中平蔵という人物の実態を世に問う内容であった為に非常に衝撃を受けたのを憶えている。
後編が発表されることなかったのは、あまりにも核心に迫る内容であり、これが伝播し、人口に膾炙されると問題視される恐れがあると、小泉政権及びそれに関係する勢力が慮んばかってのことと考えていたが、何とかこれが完成形となって刊行されたことは、非常に悦ばしいことである。
本書が契機となって、竹中平蔵という人物の不純さ、いかがわしさというものを出来るだけ多くの人に認識されることを期待したい。
5つ星のうち 3.0 日本における「悪人」の一類型, 2013/6/15
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
こんな重厚なルポが掲載されていたのですね。知りませんでした。相当な時間と労力をかけ、竹中氏の幼年時代から現在までが相当な深さで探られていきます。和歌山での青年時代、そして上京、就職などにかかわる様々な興味深いディテールがさりげなく提示されていきます。これらの竹中前史にかかわるディテールは、想像をたくましくすれば、いくらでも話を様々な方向へ展開することが可能ですが、著者は禁欲的にその前でとどまります。どのエピソードも様々なストーリーの展開を可能とするものです。
後半はその奇妙な生態と動きが日本の変貌と共に完膚なきまで解明されていきます。そこで明らかにされるのは、1970年代というブレトンウッヅ以後の時代に社会に放り出された、田舎の何のコネもない、しかし世俗的な権力欲だけは人並み以上だった一青年の生き様です。
アメリカとのかかわり、大蔵省でのコネづくり、様々な日本固有の仕組みへの実務責任者としての関わり、強烈な節税への意識、ここに示されるのは、東京出身の典型的な日本のエスタブリッシュメントとは明確に異なる軌跡です。
案外、規制緩和や新自由主義なんて当人にとってはどうでもいい話なのかもしれません。彼がキャリアを形成した時代は、ただそのイデオロギーがアメリカによって日本に強制されたため、一番の勝ち馬に乗ったというだけなのかもしれません。一番興味深いのは、この権力欲と隠された破壊願望の源ですが、この部分は青年時代のエピソードの羅列だけで、深められることはありません。この部分の解明は、ノン・フィクションではなく、小説(宴のあと (新潮文庫)などの別な形のジャンルの方がより効果的なのかもしれません。
5つ星のうち 5.0 デモに参加している人々にとっては必読の書, 2013/12/19
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (Kindle版)
読んでいて、思わずため息が出るほどの力作である。竹中平蔵という大きな力を持った人間を徹底的に追究した作品だけに、新聞やテレビなどの大メディアなどではなかなか取り上げられにくそうだが、このような作品が「新潮ドキュメント賞」を受賞して光を浴びたことは非常に喜ばしい。
本書のすごい点を挙げていくとキリがないが、ひとつだけ指摘しておきたい。それは、官邸前や国会周辺でデモなどに参加している人たちにとっては、これは必読の書だということだ。
21世紀の日本で、デモが抗議行動として一般化する兆しを見せ始めたのは、小泉純一郎&竹中平蔵の「構造改革」により、格差・貧困問題が顕在化してきたあたりからだろうか。その政策が立案され実現されるまでの経過が、本書には驚くほど克明に描かれている。
つまり「敵」が誰なのか――それが明確に示されている、ということだ。
ごくごく大雑把にまとめてしまえば、アメリカの意向を受け、竹中(およびその周辺)がシナリオを描いていた、ということになる。そして「アメリカの意向」とは、すなわちアメリカ政府の周辺に群がる経済学者やシンクタンクの意向ということである。この作品では、それら黒幕の人名や組織名も次々と実名で登場してくる。
ちなみに、竹中がその活動の手本としてきたのが、このように政策決定に影響力を持つアメリカの経済学者たちの姿だった。
リーマンショックの後、アメリカの経済学者たちは、金融業界と癒着して、会社役員として高額の報酬を得ていたり、ヘッジファンドから莫大な額の顧問料を受け取っていたりしたことが明らかにされている。同様に、竹中自身とその周辺の人々(オリックス宮内義彦などが代表的存在)も、「構造改革」が進んでいく過程で生まれた利益をしっかりと分け合っていたという。
5つ星のうち 5.0 あぶり出された改革利権の構図, 2013/7/27
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
立花隆の「田中角栄金脈研究」が大きな反響を呼んだとき、大手紙の記者たちは「あんなことは自分たちはとっくに知っていた」とうそぶいた逸話がある。
本書を読了した時に、この話を思い出した。
本書で次々と挙げられる竹中をめぐるエピソードはいずれもすでに一度は耳にしたり、目にふれたことのあることばかりだ。しかし、これらをひとつにつなぎ合わせ、大きな絵を描くことで、竹中氏をめぐる疑惑、不正、構造改革利権を食い物にしたのではないかとの構図が浮かび上がる。
国民に対する背信行為であり、本来なら、それこそ特捜検察が動き出すか、国会などで追及されなければならない性質のものも含まれていると思う。しかし、それがなされず、大マスコミも断片的な報道に終始しているのはなぜか。第二次安倍政権の下で彼が復権しようとしている現在、一人でも多くの人に読まれるべき本である。
5つ星のうち 5.0 「金と権力」に憑かれた「経済学者」の肖像, 2014/1/9
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
竹中平蔵という人物が、「学者」の仮面を最大限利用しながら、いかにして金と権力にありついたかを丁寧に追いかけたノンフィクションである。至極まじめな本ではあるが、おぞましさをこらえながら、ようやく読了した。「学者」時代から金と権力の臭いに敏感に鼻を利かせ、金脈・権力脈に取り入る様子は、「そこまでやるか!」と妙に感心した。まさに、「学者が金と権力にありつく方法、教えます!」を地で行く生き様である。
竹中の幼少期から学生までのエピソードも、この人物の本性を覗わせるが、本領を発揮するのは、一橋大学を卒業し、日本開発銀行に入行してからである。「金と権力」を嗅ぎ分ける能力は本格的に強化され、政治家にパイプを持つ経済学者に取り入っていく。知る人ぞ知るの有名なエピソードは、共同研究の成果を相手の了解を得ることなく独り占めし、あたかも自分の成果であるかのように単独で著書を刊行したことだろう。上司であった宇沢弘文氏や同僚を呆れかえらせたこのエピソードは、竹中にとって「学問」が「金と権力」を得るための手段に過ぎないことを雄弁に物語っている。
竹中が「金と権力」の強力な臭いを嗅ぎ付けたのはアメリカ留学や出張であり、アメリカの政権に通じた経済学者と人脈を築いたのがきっかけのようだ。帰国後、森政権時代から、政界進出への機会を覗っていた竹中は、小泉政権において「金と権力」の強力な手蔓を入手する。「構造改革」「規制緩和」「不良債権処理」「郵政民営化」などが最大限生かされた。国会で、民主党議員から、竹中とアメリカ政権中枢との不透明な情報交換を指摘され、慌てふためいたことが、竹中の背景をすべて物語っている。「改革」を錦の御旗に、国民の財産をアメリカに叩き売るこの「経済学者」(もどき)こそ、真の売国奴と呼ぶべきであろう。
本書で描き尽くされたおぞましいこの人物が、安倍政権で「復活」を遂げた。暗澹とせざるを得ないが、本書のように、この人物が何者であるかを世の中に広くしらめることこそが何よりも重要だろう。
5つ星のうち 5.0 【俺の手の中で踊ってくれればそれでよい】, 2013/5/29
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
規制を緩和したからではなく、むしろ改革が不十分だから従業員の解雇が厳しく、結果として非正規が増えてしまった。同一労働、同一条件を正規・非正規の間で設けることができれば、企業は人を雇いやすくなる。柔軟な雇用ルールにして雇用機会を増やすべきだろう。と彼は主張しているかのようだ。
普通の人が語っても、インパクトが出ないようなことでも、竹中平蔵が語ると途端に「色身」を帯び始める。決して弁論に長けた学者ではない。発せられる言葉の分にもつかみにくいことがままある。だが、不思議と彼の口から発せられる言葉を、なぜか「そうあるべきもの」だとして受け入れてしまう。竹中を見ていると、第三者を惹き付けるには弁論術を身につけるよりも、雄弁術を身につけることの方が重要なのかもしれない。竹中が口にする論の多くは、海外の著名な学者が考案したものが多い。古くはケインズ・ハイエク論争を経た後のフリードマンの思想にべったりと浸っている。彼が目指すのは市場のレッセフェール。国を思ってレッセフェールを支持・提案するのか、はたまた私欲を満たすためにレッセフェールを望むのかは定かではない。
国の経済情勢を変えるためならば、手段を選ばない。日本の銀行を窮地に追いやるような制度を持ち込み、同時に外資が参入しやすい仕組みを設ける。周到に組み立てられたロジックに陶酔され、それがどのような結果をもたらすのかまで思考が回らなくなってしまう。表向きには「風当たりの良い」仮面をかぶっているため、マイナスのポイントをイメージするのが難しい。だが、彼の施策の一つ一つを分析し、背後でどのような動きがあったのかをつぶさに見ていくと、竹中の「用意周到」「徹頭徹尾」ぶりに、教学と嘆息の声を漏らすはずだ。同時に「嫌悪」の念を抱く人もいるだろう。たとえば、小泉政権時代の郵政民営化の真意はどこにあるか。表面は「職員の無駄を省き、一般企業と同程度の効率的な組織体制に変革させる」といいつつ、真意は巨額の郵政資本を市場に流通させることにあった。
もちろん、その背後には外資の影がちらつく。ハゲタカに餌をあげる代わりに、何かを約束させているかは本人のみ知るところだ。根回しの達人、竹中平蔵の生き様をとくとご覧あれ。
著者にとっては悔いの残る仕事だったのではないか?, 2013/12/1
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
最初に言っておくけど、これはとても面白い、読ませる本で、多くの読者を得ることを願う。ただこの本を一読者の立場から、竹中平蔵批判として読めば十分に意義ある内容だと思うのだが、著者の立場から見ると、もしかすると書いていて苦しかったんじゃないかと疑わせる面がある。
著者はあとがきで、次のように言っている。「ひとりの人物に焦点をあてて彼の人生を描き切るのが人物評伝なのだとしたら、私が取り組んでいるのは別種のものなのかもしれない。(中略)いま冷静にふりかえれば、私は、竹中平蔵氏を通じて、“あるもの”を突きとめようとしていたような気がする」(p328)この“あるもの”は、結局この本の中で明確な言葉に置き換えられることなく終わるのだが、なぜだろう。
しかし実際にこの本を読んでみれば、その“あるもの”が何か、概ねの見当はつく。
まずヒントとして、同じくあとがきの中に、誘われて宇沢弘文主宰の勉強会に参加して「私は驚いた。“あるもの”をこれほど深く探求している人を見たことがなかった」(p328)という件りがある。そして本文中、最終章にあたる「おわりに ホモ・エコノミカスたちの革命」で、1971年1月4日付の日経に掲載された、近代経済学的思考方法に疑義を呈する宇沢の文章からの引用を冒頭に掲げ、著者は「価値判断」の問題を提起している。
人によっては宇沢弘文という名前を聞いた瞬間に、ほとんどパブロフの犬のように「ああ、近経批判ね」と呟くだろう。だから著者の議論の展開は常套的なものなのだが、だからと言ってどうでもいい問題だということにはならない。遡れば、例えばウェーバーが目的合理性と価値合理性の区分によって指し示そうとしたものに関わるし、アレントの『イェルサレムのアイヒマン』と接続していくような問題だ。
もし以上の推測が正しいなら、私はこの本が根本的な矛盾を抱えていると思う。だって、少なくとも本書に描かれた「竹中平蔵」はマクナマラでもアイヒマンでもなく、もっとずっと卑小な何かだから。宇沢が原理的に考えようとしていたのに対し、本書の「竹中平蔵」は原理的な思考者ではなく、いわば心理的な、あるいは精神分析の対象になるような存在だから。宇沢はマクナマラの言葉に衝撃を受けたかもしれないが、「竹中平蔵」に対しては単に軽蔑のまなざしを向けるだけだろう。実際、竹中のことなど思い出したくもないといった宇沢の様子が、p59に拾いあげられている。
再びあとがきに戻れば、上に引いた宇沢との出会いの頃、著者は本書の「方法論に確信がもてないまま迷走ぎみに取材を続けていた」(p328)と述べている。おそらく著者は、竹中平蔵という存在を考えることの延長線上に“あるもの”を問う契機があると見込んで、この仕事に着手したのだと思う。しかしいずれかの時点で、そこに“あるもの”は姿を現さないということに、心の片隅で気づいたのではないか。しかし、それを意識化してしまえば、この仕事を続けることができなくなるかもしれない。
いや、著者が意図的にそのことを隠蔽したというのではなく、もしかすると間違った道に入り込んでしまったのではないかという不安と焦りを抱えながらも、何とかそのまま突っ切って目標地点まで辿り着こうと、「確信がもてないまま迷走ぎみに取材を続けていた」というのが実情だろう。
憶測に憶測を重ねるが、おそらく著者は本の出来上がった今もまだ、自分が目標地点に辿り着いたのかどうか、確信の持てない状態でいるだろう。何か違うような気がする。しかし近傍にいるようにも思う。その迷いが、著者に“あるもの”の明確化を妨げているのだと、私は考える。
因みに、もし大学入試か何かで「著者が言う“あるもの“を一語に置き換えなさい」という問題が出たら、私は思い切って以下のように答えようと思う。
[ ニヒリズム ]
5つ星のうち 5.0 ある経済学者 その生態に関する一考察, 2013/6/5
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
そもそも経済学者が想定する人間像が卑しい。自己の利益を最大限にすべく人は動くのだそうだ。人はなるべく豊かになりたいと思っている。だから損得勘定で行動する。確かにそんな人間もいるでしょう。竹中は経済学が想定する人間像を自ら体現している。体現とはすなわち哲学であり、彼の言説が妙な説得力をもってせまってくる理由はそこにあるのではないかと感じました。郵政民営化を推し進めたかった小泉には、そんな彼の政策(自由化)が頼もしく映ったに違いありません。歪んだ人間観の人物が権力の座に着くとどうなるか。本書はその姿を浮き彫りにすることで、日本の政治が抱えた問題点も明らかにしています。お勧めの一冊です。
5つ星のうち 5.0 現代で最低、最悪の人間竹中平蔵, 2014/2/21
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このような人間を取り込んだ小泉共々何故罰せられないのか?手法(小泉をちらつかせる(武部元幹事長も同様)、顔と喋り方も武器、彼の話の内容はどこか異常、違和感を感じる。私は理系(工学部)竹中より一歳年長)は単純なのだけれども、最大の効果が上げられる。著者は丹念に調査され、労力に敬意を表する。
5つ星のうち 5.0 平成26年度大宅壮一ノンフィクション賞受賞作, 2014/4/19
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大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したこと知り一読。縁のある興銀の設備投資研究所長を務めた下村治を思い出し(沢木耕太郎「危機の宰相」)、その対照が興味深かった。倫理を喪った政策家の行状と、刹那主義化した改革路線の退廃現象を活写して興味深かった。このような輩が跳梁跋扈することを許す政治およびジャーナリズムの退廃を憂う。
5つ星のうち 4.0 ピカレスクロマン, 2013/10/3
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竹中さんの人となりは、全く興味なかったけど、とっちゃんぼうやみたいな見た目に反して上昇志向の塊みたいなひとらしい。 政界や経済界で成り上がる様は、ピカレスクものみたいで結構面白い(^^) ただ、国家の経済を語る人が、せこい「節税」しちゃダメだろwww。
5つ星のうち 5.0 刊行のタイミングは残念だが丹念な調査がみてとれる, 2013/6/3
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竹中氏の過去の行動をどう評価するか、好きか嫌いか、どんな人物評なのか……
そうした点について著者と同じかどうはさておき(親竹中なのか、反竹中なのか)、本書は、学者として、政治家としてユニークな存在である竹中平蔵の人物像に丹念な調査でしっかりと迫った、価値の高い記録に仕上がっている。
過去の竹中氏の報道、企画記事にはだいたい目を通してきたつもりだったが、それでも初めて知ったこともあり、(失礼ながら)感心させられた。安倍政権になって中枢で登用されていれば本書ももっと広く評価されたであろうに、その点は(仕方ないこととはいえ)残念。
5つ星のうち 5.0 素晴らしいです!, 2014/3/30
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本読み太郎 (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
よくここまで調べたなあと思います。記述も正確性と客観性に徹し、思い込みなどで筆がすべったようなところはありません。こういう本に出会えるのは5年に1度でしょうか。
5つ星のうち 5.0 これ程の大著に些かの瑕瑾あり 誠に惜しい, 2013/9/25
戦死者に哀悼を "戦中派" (東京都荒川区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (Kindle版) 本書p.227 左から3行目に 福田赳夫は大蔵事務次官まで上り詰めたとありますが福田は主計局長時代に昭電疑獄に連座の疑いをかけられ 辞任しその後政治家に転身しました これ程の大著に些かの瑕で 誠に惜しい 夢男
5つ星のうち 1.0 大学教授, 2014/1/13
レビュー対象商品: 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (単行本)
権力者に取り入り、市場を混乱させた責任は大きい。実務の経験も無い男が「したり顔に」机の上で空想した怪しげな理論を振り回して、社会を混乱させた。
15:12 2014/05/05