自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47宇沢 弘文 (著) 内容紹介
引用
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2014/10/post-6356.html
自由貿易を考えるシリーズ2TPPは「社会的共通資本」を破壊する
宇沢弘文氏(東京大学名誉教授).マル激トーク・オン・ディマンド 第515回.
今週、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加に反対する超党派の国会議員らが、「TPPを考える国民会議」を設立した。代表世話人を務めるのは、東京大学名誉教授の宇沢弘文氏だ。「TPP参加で日本は本当に幸せになれるのか」を考えるシリーズの第二弾は、宇沢氏がTPPに反対する理由を聞いた。
宇沢氏は、1970年代の著書「自動車の社会的費用」で、当時の日本の高度経済成長の牽引役だった自動車が社会に与えるコストの大きさを指摘するなど、「社会的共通資本(Social Common Capital)」の重要性を一貫して主張してきた。
社会的共通資本とは、ゆたかな経済・すぐれた文化・人間的な魅力のある社会を持続的に維持する山、川、森林などの自然環境や、道路や鉄道など社会的なインフラ、教育や医療、ジャーナリズムなどの制度資本を指す。これまで経済学に組み込まれてこなかった自然や社会環境の価値を、共通財産として位置付ける考え方だ。
宇沢氏は、TPPが謳う無条件の自由貿易は、各国が持つ固有の社会状況を無視して、全ての国を同一のルール上で競争させることを前提とするもので、これは社会的正義に反すると主張する。その上で、あらゆる貿易障壁を撤廃すれば全ての国が得る利益が増大するという自由貿易の基本的な考え方には、生産手段の完全な私有制などいくつもの前提条件があり、それは現実には存在しない反社会的な条件であることを忘れてはならないと言う。
宇沢氏はまた、自由貿易の思想的背景となっている市場原理主義の危険性にも警鐘を鳴らす。市場原理主義の思想のもとでアメリカはベトナム戦争時、「限られた予算で多くのベトコンを殺す」ために一人のベトコンを殺すのに何ドルかかるかを数量化した「キル・レイシオ(kill ratio)」なる概念を導入し、これを最小化する政策を目指したことからもわかるように、市場原理主義はもっぱら効率だけを追求し、社会的共通資本の破壊という自由貿易が持つ外部性を一切無視する。それがTPPの源流にある間違った考え方だと宇沢氏は指摘する。
さらに宇沢氏は社会的共通資本としての農村や農業の重要性を強調し、農業政策は個々の農家を対象にするのではなく、農村をコモンズ(社会的共通資本)の一つと位置付け、これを村落単位で守っていく必要があると言う。
TPPを「第三の開国」と位置づける菅首相について宇沢氏は、「一国の総理として考えられないこと」と酷評する。それは宇沢氏が、第一の開国を、治外法権を認め関税自主権を放棄し、最恵国待遇をアメリカに与えたことでその後の日本を長きにわたって苦しめた日米修好通商条約の締結を、第二の開国を、敗戦からの経済復興のかたわらで、日米安保体制を通じて日本が「アメリカの僕」と化していく過程を指すと考えるからだ。
激動の20世紀を生き、人間の心や自然環境に価値を見出す経済学によって社会問題を分析してきた宇沢氏に、自由貿易の問題点を神保哲生・宮台真司が聞いた。
・なぜリスクの高い米原発計画に日本政府が融資するのか
・リビアは分断国家状態に解説:水口章氏(敬愛大学教授)
・全面可視化のために法改正も視野に枝野長官が部分可視化導入を受けて言及
宇沢 弘文うざわ ひろふみ
(東京大学名誉教授)
1928年鳥取県生まれ。51年東京大学理学部数学科卒業。経済学博士。スタンフォード大学助教授、カリフォルニア大学助教授、シカゴ大学教授、東京大学経済学部助教授などを経て、69年同教授。89年退官。著書に『自動車の社会的費用』、『「成田」とは何か』、『経済学と人間の心』、『社会的共通資本』など。 515_uzawa
16:23 2014/10/27
自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47宇沢 弘文 (著) 内容紹介
自動車は現代機械文明の輝ける象徴である。しかし、自動車による公害の発生から、また市民の安全な歩行を守るシビル・ミニマムの立場から、その無制限な増大に対する批判が生じてきた。市民の基本的権利獲得を目指す立場から、自動車の社会的費用を具体的に算出し、その内部化の方途をさぐり、あるべき都市交通の姿を示唆する。 新書: 180ページ
出版社: 岩波書店 (1974/6/20)言語: 日本語発売日: 1974/6/20
宇沢弘文先生の偉大なる書の一つ
投稿者 カスタマー 投稿日 2003/9/13
形式: 新書 この書は、自動車を中心とする交通体系に対する警鐘するものである。事実、現在のモータリゼーション社会は、環境問題や交通事故等の諸問題により大きな外部不経済を生み出している。
この書については、多くの評論がされているので、多くを述べることは必要もないと思う。しかし、特筆すべきは1974年に出版されていることであり、宇沢弘文先生の現在の諸問題を予測した慧眼には驚かされてしまう。
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形式: 新書
自動車とは確かに快適で便利である半面、自動車の排気による環境破壊、交通事故による死傷者数の多さという面もある。著者は新古典派の人間的側面を忘却してきた思考様式、つまり命などを金銭として算出して社会的費用化することで自動車社会の問題を解決しようとする思考である。しかしそれに著者は賛同しない。
新古典派と思想的決別を宣し、自動車の社会的費用を、その思考様式とは別のやり方でいかに内部化するかを探求し、あるべき住みよい社会とは何かを著者は示唆する。
最近の新書になく、30年前の新書にあるもの、それがこういった社会哲学力ある本である。真摯に問い詰める。この姿勢をもった新書である。自動車社会であることの異常さを認識するためにも非常に今日的意味をもつ一冊。まさに一読の価値あり。
30年前の本とは思えません
形式: 新書 Amazonで購入
「使える新書」で紹介されていたことと、題名の分かりやすさに惹かれて購入しました。
初版は1974年で31刷を数えているようですが、まったく古さを感じさせません。そんな感じを受けるのは、本書で指摘されていることが30年前から一向に改善されていないためと考えられます。そう思うと益々居たたまれない気持ちになります。
自動車には問題がある。何よりも歩行者を追いやったことに問題があると指摘しています。その他、交通事故、公害などもあるのですが、そういった問題は社会的費用として車を運転する受益者が負担すべきであるはずだが、そうなっていない。運転者にとっては運転することによる利益のほうが負担よりも大きいため、車を運転するというインセンティブがはたらき、ますます車が増加して問題が拡大していくとされています。
昨年、四国遍路の一部約300kmを歩いたのですが、いかに道路が車のために作られているのか実感しました。悟りを開く前に交通事故で召されてしまうと思うくらいに歩行者にはつらい道が続いていました。
受益者負担という観点に立ち、社会的費用を分かち合わなければならないと思った次第です。でも、自分もまた自動車産業の関係者と思うと複雑な気持ちにもなります。「社会的共通資本」のあり方を深部から再考する!
: 新書
日本が高度経済成長を遂げた1970年代、大企業批判が展開され、経済成長至上主義の負の側面として環境・公害問題が大きくクローズアップされるようになった。1974年に刊行された本書はそうした時代的風潮に先駆ける形で登場し、先進諸国の発展を支えてきた自動車がもたらすさまざまな社会的費用とともに、社会的共通資本のあり方を真摯に模索した意欲作である。著者である宇沢弘文氏は、近代経済学(新古典派理論)の発展に大きな貢献をなした学者であるが、本書ではその著者自らが、新古典派理論によって自動車の社会的費用の問題を明らかにすることには限界があることを強調しており、そのことがかえって宇沢氏の深刻な問題意識を浮かび上がらせている(自己批判の発露かもしれない)。自動車の飛躍的普及がもたらす諸問題を丹念に解説し、それを経済学的なフレームワークを通じて客観的に分析するスタンスはきわめて説得的である。自動車の普及を生物体に侵入したガン細胞であるとみなし、それはガン治療よりもはるかに困難であるという。なぜならば、「自動車は経済社会のなかで有用なはたらきをしている側面があって、有害な面だけを切り離すことが不可能に近いからであり、また生物体とは異なって、経済社会を構成する個々の細胞は人間だからである」(30頁)。労働を生み出す生産要素としてのみ人間を理解する新古典派理論が、こうした問題に不十分にしか対応し得ないのは自...続きを読む ›
1974年に書かれた名著である。
1974年に書かれた名著である。
自動車が社会に及ぼす様々な影響について、経済学的に分析し、その対応策について提言しているものであるが、今この時代でさえも本書のもつ説得力は色あせてはいない。
それは、人々が自動車を使用するときは、単に自動車購入のための支払いやガソリン代などという私的な資源の利用に対する代価だけでは済まされない問題、すなわち「道路」という人々が生活していくために欠くことのできない都市環境の最も重要な構成要因である社会的資源の使用を媒介して一般市民の生活に大きな影響を与えているという視点である。
今、この国においては景気対策と称して、自動車購入に減税や補助金など様々なインセンティブを与えている。この点についても、既に「自動車が資本主義的な経済制度に組み込まれたとき、生産面についても消費面についてもその範囲が加速度的に拡大されていって、経済循環のプロセスにおいても社会的な生活という点からも切り離すことのできないものになりつつある。自動車は、まさに生物体に侵入したガン細胞のように経済社会の中で拡大していった。」とこの時代に指摘しているのは、驚くほかない。
本書の書かれた時から、30年以上経過した現在でもなお、歩道のない生活道路でさえも、わがもの顔で通過する車や、歩行者のほとんどいない地方都市の横断歩道を渡る歩行者を無視した車など、危険を感じる場面は数多い。
いまさらながら、ここまで車を優遇する社会になってしまったことに、愕然とする。
単純に、暫定税率はその目的を達したから廃止だとか、環境税だとか言う前に、車のもたらす利便性と危険性、さらには都市構造までも破壊し公共交通機関をも消し去ってしまう現実に、そのあり方を根本から考え直す時期ではないかと考えさせられた。
16:29 2014/10/27
経済学と人間の心 単行本 – 2003/5/1宇沢 弘文 (著) メディア掲載レビューほか
経済学と人間の心 日本経済学界の重鎮である宇沢弘文・東京大学名誉教授が、昨今の経済論争のあり方に一石を投じる書。我々はともすれば、人間のために経済制度が存在していることを忘れ、マネーゲームの行方に心奪われることが多い。宇沢氏は本書で「社会的共通資本を第一に考えて人間の心を大切にする経済制度」という持論の正当性を、エッセイ形式で軽やかに論じていく。
宇沢氏の理想は地球環境、教育、医療を中心とする社会的な共通資本の問題を市民一人ひとりが真剣に考え、魂の自立を図る社会の実現である。しかしそれは、人間の心を持ち込むことをタブー視する経済理論の下では成立し得ない。宇沢氏は持論に理解を示してくれた昭和天皇やローマ法皇ヨハネ・パウロ2世とのやり取りを振り返りつつ、人間社会の原点について考え直すヒントを提示する。
そのうえで、田中康夫・長野県知事による「脱ダム」宣言を「世界全体にとって、新しい時代の時代精神を簡潔で、格調高い文章で表したもの」と称え、全文を引用する。自然環境を後世に受け継ぐことは、豊かな人間社会構築の第一条件だと言う。さらに「リベラルな教育」を実践するための基本思想についても、古典的学説を引用しつつ分かりやすく解説する。
(日経ビジネス 2003/07/14 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画内容(「MARC」データベースより)
人間的に魅力ある社会を安定的に維持するためにはどうすべきか。環境をはじめ混迷の時代を切り拓く展望を随所ににじませるエッセイ集。文化勲章受章の論壇重鎮による思策の結晶。単行本: 270ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2003/05)発売日: 2003/05
目次
第1部 リベラリズムの思想と経済学(経済学と人間の心森首相の「神の国」発言のもたらしたもの ほか)
第2部 人間的な都市を求めて(ルーヴァン・ラ・ヌーヴとジェーン・ジェイコブス緑地という都市環境をどう創るか)
第3部 環境と社会的共通資本(社会的共通資本としての環境地球温暖化で何が起こるか ほか)
第4部 学校教育と人間の心(カントの『純粋理性批判』と数学魚に泳ぎ方を教える ほか)
皆がこんな考え方ができたら..大きく分けて都市、環境、学校教育の3つについて、社会的共通資本(人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持するような自然環境と社会的装置)とリベラリズムの概念を中心に据え、人間の心を大切にする経済学の構築、その制度的、政策的分析を積極的に進めた宇沢氏のエッセイなどが集められ、一冊の本になっている。
経済学と題名に入ってはいるが、学校で勉強できるような経済学について書かれているわけではないということを念頭に入れていただきたい。
私自身、経済について深く学んだわけではありませんが、興味深く読むことができました。特記事項として、今まで気付かなかった分野についても興味がもてるようになる(かもしれない)本です。
肩に力を入れずに読めるエッセイです。
東大名誉教授のエッセイである。難しい論文というよりさまざまなエピソードの中から、氏の考え方の元になっているものが伝わってくる一冊である。
昭和天皇陛下のエピソードはお人柄が伝わってくるようで良かった。またケインズのエピソードがあるが、とても尊敬できる人柄には思えなかった。マルクスは友達がいない人間嫌い、そんな奴の理論は評価できないと聞いたことがあるが、ケインズ氏も嫌な奴である。
田中長野県知事への積極的な評価も面白かった。
すごい理論が紹介されている本ではありませんが、休みの日に肩の力を抜いて読むにはいい本ではないでしょうか。
皆がこんな考え方ができたら..., 2007/9/1
: 経済学と人間の心 (単行本)
大きく分けて都市、環境、学校教育の3つについて、社会的共通資本(人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持するような自然環境と社会的装置)とリベラリズムの概念を中心に据え、人間の心を大切にする経済学の構築、その制度的、政策的分析を積極的に進めた宇沢氏のエッセイなどが集められ、一冊の本になっている。
経済学と題名に入ってはいるが、学校で勉強できるような経済学について書かれているわけではないということを念頭に入れていただきたい。
私自身、経済について深く学んだわけではありませんが、興味深く読むことができました。
特記事項として、今まで気付かなかった分野についても興味がもてるようになる(かもしれない)本です。 宇沢弘文, 2014/1/26 : 経済学と人間の心 (単行本)
宇沢弘文は、中同協の相談役赤石義博氏の学習会で参考文献として表示されていたのと、彼の講義の中で何度も名前が出てきたのでこの本を買って読むこととしたものである。
制度経済学、マルクス経済学、現代経済学とあるが、この制度経済学は経済を学んでいない素人にも解りやすかった。
すばらしいエッセイ集です, 2004/4/15
: 経済学と人間の心 (単行本)
久々に圧倒されるほどの感銘を受けました。戦中から戦後にかけて真摯に、かつ情熱的に生き、思索を続けた大経済学者の謦咳に接する思いがしたからでしょう。時の移ろいとともに、こうしたエッセイを書ける学者は絶対数も相対数も減少の一途を辿るであろうことが寂しく感じられます。
本物の経済学者に出会ったという気持ち, 2013/3/19
経済学と人間の心 (単行本)
私は渋沢栄一の著作や論語の講義録を何度も読み返し、渋沢栄一が真の「経世済民」(それは渋沢に云わせると、管仲を仁者とした孔子の神髄であり、多くの渋沢論者が到達していない点であるが)の精神を発揮して今に残る日本の代表企業とも云うべき500もの企業を設立したのだと感動していたが、宇沢理論はそれを未来に真に市民のものとして発展させ得る道を示していると確信出来ます.
宇沢先生の一連の著作を学び、まさに、市民の暮らしに目を向け、血を通わせ、生きた学問のあり方というものに出逢ったと思いました.これらの著作に流れる精神をこれから実践に移すべく、学びをできるだけ拡げていきたいと思い立っているところです.
頭でっかちでない学問, 2005/11/15
: 経済学と人間の心 (単行本)
経済とは、本来、人間の行動により起因されるものであり、人間の生活とは決して切り離しては論じられないもののはずである。昨今、無機質的・機械的に数字のみを操り淡々と理論をのべる、自称“経済学者”が多い中、著者は、本のタイトルのとおり「経済学と人間の心」を融合させて論じることのできる本当の経済学者である。
著者の著作の中で、今や古典的名著とされているものに岩波新書「自動車の社会的費用」がある。自動車、特に自家用車が社会に与える外部不経済を経済学的に算出し、自動車利用者が社会に対して本来負担すべき費用を支払いきっていないことを指摘した。自動車優先社会による環境悪化、次々と切り捨てられる市民の足たる公共交通機関、道路整備最優先とする無駄な公共事業による財政破綻。著者が数十年前に提起した問題は現在に至っても一向に解決していない。
著者は近年あちこちで、自然環境・社会的インフラストラクチャー・制度資本からなる社会的装置としての「社会的共通資本」の概念を説いている。教育・都市・環境・福祉など、社会を多様な観点から総合的に見つめながら、ゆたかな人間生活を導く方策づくりである。著者の活躍を期待するとともに、様々な分野の人々が認識をあらたに議論に参加できる体制が望まれる。
著者の思考する「ゆたかな社会」イメージを本書の中より抜粋する。
○美しい、ゆたかな自然環境が安定的、持続的に維持されている
○快適で、清潔な生活を営むことができるような住居と生活的、文化的環境が用意されている
○すべての子どもたちが、それぞれのもっている多様な資質と能力をできるだけ伸ばし、発展させ、調和のとれた社会的人間として成長しうる学校教育制度が用意されている
○疾病、傷害にさいして、そのときどきにおける最高水準の医療サービスを受けることができる
○さまざまな稀少資源が、以上の目的を達成するためにもっとも効率的、かつ公平に配分されるような経済的、社会的制度が整備されている
いずれも、日本が現在進んでいる向きとは全く逆方向であるような気がする。
全体的には読んでいて将来に夢の持てるすばらしい書であるが、冒頭の著者の天皇観には落胆させられる。戦後、昭和天皇が象徴として“人間”として振舞おうとしたことなどでは、決して天皇の戦争責任及び国体守護のためのみに敗戦の決断を遅らせ多くの人命を失ったことが免責されるものではない。
「社会主義の弊害と資本主義の幻想」, 2003/8/3
: 経済学と人間の心 (単行本)
世界的な経済学者でありながら、著者の視線は常に、時の権力の犠牲となる社会的弱者に向く。公害、水俣病、そして三里塚闘争・・・。あまりテレビに出演されることはないが、数年前NHKの番組で水俣病患者の方々を取材しておられ、そのときの柔和なまなざしと、語り口がとても印象的だった。本書においても経世済民であるべき経済の本質が、胸を打つ優しい文章で綴られている。
珠玉のエピソードが満載, 2003/10/28
: 経済学と人間の心 (単行本)
著者の長年の海外生活における体験を交え、「社会的共通資本」「リベラリズム」という考え方から、現代の事柄についてまとめたエッセイ集。様々なエピソードは一つ一つが貴重なもので、読んでいて頷いてしまう。友人達の体験や考え方についても、かなりの思考を巡らせた方だという事が伝わってくる。学校教育について、理想実現への具体的ステップについてもう少し触れて欲しいとは思ったが、それは個々人が考え、実行していく問題なのかもしれない。 さすが泰斗, 2003/7/23
経済学と人間の心 (単行本)
自由主義者の論理を一刀両断する。失礼だが,テレビに出るエコノミストとは,格が違う。経済知らない人でも読める。この方。世界計量学会の会長。ノーベル賞級の学者。もう一人,都留氏がいる。まさに、COOL HEAD
WARM HEART.知性について考えたい人は,ぜひ一読を。
肩に力を入れずに読めるエッセイです。 2003/8/3 : 経済学と人間の心 (単行本)
東大名誉教授のエッセイである。難しい論文というよりさまざまなエピソードの中から、氏の考え方の元になっているものが伝わってくる一冊である。昭和天皇陛下のエピソードはお人柄が伝わってくるようで良かった。またケインズのエピソードがあるが、とても尊敬できる人柄には思えなかった。マルクスは友達がいない人間嫌い、そんな奴の理論は評価できないと聞いたことがあるが、ケインズ氏も嫌な奴である。
田中長野県知事への積極的な評価も面白かった。
すごい理論が紹介されている本ではありませんが、休みの日に肩の力を抜いて読むにはいい本ではないでしょうか。
16:31 2014/10/27
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