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2015年10月11日 (日)

自治体をどう変えるか [新書] 佐々木 信夫 (著) 第7章 深刻化する財政危機・163頁・175頁・

引用


龍郷町の皆様・自治体の龍郷議員に大いに活躍して雇用を増やす・・・自治体をどう変えるか  [新書]  佐々木 信夫 (著)

財政規律を失った国家の破綻、存在感が薄れる府県、平成の大合併など、わが国はいま明治維新、戦後改革に次ぐ、大改革が求められる「第三の波」に遭遇している。行政活動の三分の二を担う地方は、二〇世紀の集権下で行われてきた他者決定・他者責任の経営から早急に脱皮しなくてはならない。豊富なデータに基づく具体的な提言を行いながら、「官」と「民」の関係を問い直し、分権下の地方自治、新たな自治体経営の方向を示す。


2015年10月 8日 (木)・自治体をどう変えるか (ちくま新書) [新書] 佐々木 信夫 (著) 第6章 急がれる公務員改革・147頁・・・行政大学院を使え・・161頁・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/10/6-7e03.html

6:46 2015/10/11


引用・2015年9月23日 (水) 助け助けられるコミュニティ―立川市大山自治会の発明 (まちの知恵シリーズ) 単行本– 2011・11 福留 強 (著), 全国生涯学習まちづくり協会 (監修) 著者略歴 福留/強・町内会”は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2015/09/201111-f9f0.html

17:20 2015/09/23


人材投資はサービス産業(公務)の再生産力を高める投資である。企画や調査、研究、教育といったソフトな領域を削り、土木、建築、福祉、医療といったハードな分野にカネを回すことは、首長らにとって手っ取り早い投資先かもしれない。結果は目に見えやすく自身の選挙にも有利かもしれない。

しかし、それはあまりにも即効性を求めての話ではないか。自治体は知的産業である。企画や教育投資に賭けるカネを無駄な投資と考えるようでは、自治体は成長しない。むしろ、財政状況の厳しい逆風の中でこそ、重視すべき投資分野である。それが「米百票」の精神だ。サービス産業は人で持つ。その視点を明確な哲学にもって人材を磨くべきである。162頁・15/10/10 9時17分・


第7章 深刻化する財政危機・163頁・平成27年10月10日 土曜日・


・財政再建待ったなし・・

・財政の破綻・

我が国の国と地方の財政状況は、財政危機ではなく、財政破綻と言った方が適切ではなかろうか。バブル経済崩壊から十数年。政府は税収不足と景気対策のすべてを借金で賄ってきた。景気対策と称し、安易に借金で公共事業に即効性を求めた財政運営によって、積もり積もった借金の山は国債、地方債を合わせ約800兆円。借入金まで入れると1000兆円にも及ぶ状況にある(2005年末)。国債・地方債だけで国民一人約630万円、家族四人で2500万円の借金である。163頁・


164頁・15/10/10 21時19分・

平均的サラリーマン(40歳)の年収が約700万円だが、彼らの借金能力の限界は年収の五倍まで。すると、もはや日本のサラリーマンは公的借金の返済だけで一生を終わる計算である。個人として住宅ローンなどは組めない。

かりに来年度から国債、地方債の発行をゼロとして、国民の税金全てを借金の返済に充てたとしても、その簡裁に12年はかかる。この間、国地方のすべての行政サービスをやめ、400万人公務員のすべてを解雇しての話だ。現実にこうしたことはできない。


・政策の失敗・

我が国の行政は、国防、治安、司法、「ゆりかごから墓場」までのあらゆる分野にわたっている。GDP(500兆円)の四分の一が公共サービスで賄われており、これだけ依存度の高い行政活動を、一刻たりとも止めることはできまい。

失われた十年・・・景気対策と称し「来年はよくなる」と無展望に借金をしておきながら、そのツケはすべて国民が返せと言いうのではたまらない。政策の失敗について政府はまずアカウンタビリティ(説明責任)を果たさなければならない。

最近、増税や年金掛け金、健康保険料値上げなど負担増の話ばかり聞こえてくる。付けは全部国民に回そうというのか。国は現在でも、歳入の四割を借金で賄っているのにだ。


165頁・地方には国いかに陳情・請願しても、乾いたタオルを絞るようなもので、交付税も補助金もあまり期待できない。自治体の財政設計は金のないことを念頭に置かなければならない。


・財政再建の視点・

かつてイギリスの停滞する社会状況を「先進国病」と呼んだが、そのイギリスは鉄の宰相・サッチャー政権の誕生から20年かけて立ち直った。日本は、イギリス以上にその病は深刻な状況であり、GDPの二倍以上の借金国である。では一体どうするのか。まず国家全体の財政再建には、次の三点が必要となろう。

第一。財政再建には、一定の時間を覚悟しなければならないこと。

若干の景気が回復したことで政界からは数年で財政再建が可能だという甘い話が聞こえてくる。とてもそうとは思えない。選挙が近づくと必ず好景気だと話すのが政治家の性癖である。早くともプライマリーバランス(基礎的財政収支)の回復には10年要しよう。 


第二に。歳出削減を徹底すること。その際、社会保障費も聖域ではない。

ただ、少子高齢化を考えれば、社会保障費の伸び率を経済の名目成長率並みの伸びに抑えられれば上出来だろう。すると、削減の矛先は公共事業費と地方への支出(交付税、補助金)に向いてこよう。


166頁・15/10/10 21時46分・

第三に、徹底した歳出の削減を前提に、ある程度の増税も覚悟御せざるを得ないこと。その中心は消費税の段階的な引き上げになろう。今後、第二次三位一体改革など地方への税源移譲も、こうした増税とセットになる可能性が強い。

日本の財政は戦時にも見られたような水準にまで悪化している。財政再建は敗戦の後始末と同様の危機意識で取り組む必要がある。政治が対立する余裕はもはや残されていない。166頁・


・2・地方財政の窮乏・・

・続く借金財政・

国の財政収入は、税収が六割弱で、約四割が借金である。地方で財政支出の二割超が借金の返済・利払い(国債費)に充てられている。地方への支出(財政移転)が四割で、公務員の人件費も一割強を占めている。これらで七割以上となり、これらは固定経費である。サービスに回せるカネは少なく、いかに財政硬直化が深刻化が理解されよう。


167頁・15/10/11 5時52分・

地方財政も硬直化という点ではそう違わない。図7・1のように歳出の約三割が地方公務員の人件費で、借金の返済(が約1・5割とこれだけで固定経費が約半分を占めている。行政サービスに回るカネは全体の半分以下でしかない。

こうした「財政破綻」ともいえる国、地方の状況なのに、依然、安易な借金依存をやめようとしない。誰が返すのか、将来へ負担を先送りする危機意識のなさが蔓延している。

実務界で「行財政」という言葉が使われるが、それは行政と財政は一体的に運用されることを指している。どんなに魅力てきな政策でも、それを裏付けるカネがなければ絵に描いた餅になる。組織目的は違っても、企業経営と行政経営はそう大差がないともいえる。

しかし、国民の財政需要が前提なので、必要な金ならいくら借金しても構わないという財政理論が幅を利かす。167頁・

・168頁・厚生経済学のこの種の説明は財政破綻を誘発する可能性がある。そうではなくて、これからは歳入と歳出を一体的に考えるべきではないか。


・地方財政の問題点・

2000年の地方分権一括法施行の際、地方財政の改革はほとんど手つかずで、今日まで先送りされてきた。今行われている三位一体改革は、五年遅れでやってきた改革テーマだ。日本の地方財政には次のような問題点がある。

第一。国の歳入6に対し、地方の歳入は4。一方、国の歳出は4に止まり、地方の歳出が6を占める。この歳入歳出の構造的なずれを解消しなければ、地方財政の自立はない。


第二・歳出の自治を阻む使い勝手の悪い補助金制度の存在。だが、それに依存しなければ地方は予算が組めない。そこで補助金獲得を優先する予算編成体質が常態化している。

第三・歳入の自治権が実質的に欠落している。基幹税はすべて国が押さえており、独自の減税、独自の増税は事実上できない仕組みとなっている。

第四・国と地方が一体化し、行政全体の膨張体質が行財政膨張を促す仕組みにある。景気回復を優先する国債、地方材依存、補助金と地方の記載がセット化され、財政膨張が進む。

こうした構造的な問題に加え、総務省の21世紀ビジョン懇談会(報告書、2006年5月26日)が・1・行き過ぎた国の関与と地方の財政的存、167頁・


・169頁・15/10/11 6時26分・

・2・地方の累積債務の増大(200兆円超)、・3・住民による監視(ガバナンス)が不十分としている点も見落とせない。

・3・三位一体改革・

・三兆円の税源移譲・


国から地方への税財源の分権化、それが「三位一体改革」である。第一にの三位一体改革は2,006年度~2,008年度の三年間で国の補助金を4・7兆円減らし、代わりに地方へ3兆円税源を移す。加えて交付税を2兆円カットするという改革となっている。

補助金と税源移譲、交付税を三点セットで改革することを三位一体改革と呼んでいるが、一般にはわかりにくい。大学入試に出しても正答率は三割にも届かない。

三位一体改革の話は、2,004年夏の参議院選挙前、当時の小泉首相が「三兆円、地方へ税源移譲する」と発言したのが動きのきっかけとなり、地方側にそれに見合う補助金削減プランを出すよう求めてのスタートだった。169頁・


170頁・15/10/11 14時9分・

・迷走する改革・

この三位一体改革で最大の焦点になったのは、公立学校の教員人件費((国と県が半々負担)の国の補助金を2・4兆円をカットし、その相当分を地方へ移せという話だった。

まず、小中学校合わせた2・4兆円の補助金のうち、中学校分の8500億円の義務教育費補助負担金(国が二分の一負担する中学校の教員人件費)削減について話が先行した。

しかし、文部科学省は中央審議会の答申町を立てに最後まで抵抗した。その結果は数合わせに終わった。2,005年11月、中学校人件費の国の負担(二分の一)を全廃するではなく、小中学校人件費の国の負担割合を三分の一に減らすことで決着した。確かに数字は8500億円となる。

地方側が考えた中学校の負担分をゼロとした後、小学校負担分をゼロとする戦略は失敗に終わった。しかも義務教育に関する国の関与を残すと明記した形での決着の終わった。

今回の税源移譲は、所得税(国税)を減らし住民税(地方税)に移し変える方法で行われる。地方の住民税を13%、10%、7%の三ランクに分けたこれまでの税率を廃止し、すべて10%の税率に統一することで地方の税収を三兆円増やすというやり方である。

自治体によっては、住民に増税感が生まれよう。確かにマクロ的に見ると地方へ三兆円税源は移るが、個々の自治体になると、減収になるところと増収になるところが出る。170頁・


171頁・

171頁・15/10/11 14時23分・

所得水準の低いところほど増税感が高まろう。税源移譲も地域の利害対立が残ってしまう。

もとより、この程度の改革で税財源の分権化と言えるかどうか。補助金の単なる負担率引き下げでは、金の使い道や使い方は変わらない。行政サービスの受け手にとっては、何の恩恵もなかろう。国民の利益にあまりつながらない改革がどうして改革と言えるのか。

これまで民主党は補助金のほぼ全額に当たる18兆円の補助金を削減し、5・5兆円の税源移譲と12兆円の一括交付金による財源補填を求めている。自民党の中にも、さらなる改革を望む声がある。全国知事会、全国市長会は8~10兆円規模の補助金削減と相当額の税源移譲を求めている。第二次改革へ向け、国も地方も新たなステップへ進むべきだ。171頁・


・・三位一体改革とは・・

この「三位一体改革」と言う表現自体、一般にはわかりにくい。もともと「三位一体」なる表現は宗教(キリスト教)用語で、父なる神と子なるキリストと精霊なる神は、姿こそ異なるが唯一神の現れであり、それはもともとよと一体だったという意味である。

この表現を国と地方の税財政改革に使うようになったのは、2,003年4月、当時の片山虎之助総務大臣が経済再生諮問会議に提出した、いわゆる片山プランからである。


172頁・15/10/12 12時22分・

以後、補助金削減と税源移譲、交付税改革をセットで行うことを三位一体改革と呼んでいるが、一般には理解されず、その意味するところは自治体職員にも浸透していない。

本来は「地方財政の自立改革」と呼ぶべき性格のものだ。それは財源の量的移転のみでなく、地方財源の質的確保が焦点である。その点、補助金を交付金化する発想は評価できない。地方の税源化することが不可欠だが、ただ、その割合を高めていくと地方間の不均衡をどう調整するかが大きな課題として浮上してくる。172頁・


・同床異夢の改革・

もう一つ、この改革は政府内で同床異夢の改革と言う性格を持つ点も見逃せない。

財務省は、三位一体改革の名のもとに交付税を減らす、補助金を削減する、税源移譲は進めないが、ホンネではないか。国家の財政再建は急務なので、ない袖は振れない。交付税などで厚く守られている地方財政に切り込まない限り再建はないという認識だろう。

それに対し、総務省は、地方自治の振興の観点から税財源の分権化として三位一体改革を捉える。地方六団体も、もともと税源の少ない町村などは補助金、交付税カットに反対が多いが、それでも総論では総務省側に賛意を表している。

筆者は次のように考える。補助金を減らし、交付税を削減し、税源移譲は少しだけというのでは地方分権は進まない。172頁・


173頁・15/10/12 15時9分・

この改革は地方分権を進めるための改革だという哲学を持って進めなければならない。国から地方への補助金は20兆円近い。政府予算の四分の一だ。これほど巨額の補助金を使って、地方に口出ししている国はない。補助金を半分以下としてそれ相当分の税源移譲を進めるべきだ。今回と合わせて10兆円規模の税源移譲が要る。

それには第三次臨調(改革諮問機関)を設置して、国と地方の役割分担の見直しとセットでこの改革を本格的に進めるべきではなかろうか。

・4・交付税をどうする・


・地方財源の削減・173頁・

財政再建を狙う政府は歳出・歳入一体改革の一環として、地方交付税の削減、見直しを求めている。人口と面積だけで交付基準を決める新型交付税の制度化も検討されている。その狙いは、交付税の大幅削減にあると見るがどうか。第二次の三位一体改革は必要だが、さらなる補助金の削減と地方への負担増を求める動きは静観できない。173頁・


174頁・

地方財政の削減に危機感を持つ地方は、全国知事会など地方六団体で交付税の「地方共有税」化と新分権改革法の制定を求めている。

地方交付税は「国が地方に代わって徴収する地方税」である自治体の財政の独立性を担保するため、・1・財源の均衡化と・2・財源の保障の二つの機能を持っている。

各自治体には、経済力の差が財政力の差となって現れる。財政力の弱い自治体はナショナルミニマムを実現するためには財源不足に陥る。そこで国税として徴収された財政資金を各自治体の財政力に応じて補填する制度が要る。それが地方交付税である。

しかし、この制度も、バブル崩壊後の財政危機を乗り切るために景気対策を誘導する財源保障機能を強め、そのうえ、市町村合併を促進するため合併特例債の七割補填と言った政策誘導の役割まで付加されたため、「第二補助金」と見られるようになってきた。

現在、東京都を除く46道府県、市町村の90%以上が交付税に依存している。これが年々、一兆円規模で減らされることに地方側は強い危機感を持っている。

国税五税の一定割合(所得税、酒税の32%、法人税の35・8%、消費税の29・5%、たばこ税の25%)を原資とする交付税制度は、国税が減少すると交付税の原資も減る仕組みにある。

しかし、バブル崩壊後は財源保障の観点を重視、借金をしてまで法定額以上の交付税を配ってきた。この結果、交付税特別会計は50兆円以上の赤字となっている。174頁・


175頁・15/10/12 15時46分・


・交付税の争点・ここまで

交付税改革の論議には、交付税の捉え方に基本的な認識の違いがある(本間正明・神野直彦「地方財政と交付税のゆくえ』読売新聞2006年5月9日参照」。

一方の見方はこうである。

・1・自治体の歳入と歳出の差額を補填する交付税は、歳出拡大に対する地方の負担感を希薄にし、地方の財政規律(モラルハザード)も弛緩させてしまう。

・2・「地方財政計画」で見積もられ、財源保障された公共事業経費が実際には執行されず、浮いた財源が他に流出されている。

地方に見方はこうである。

・1・交付税は地方に必要な財政需要を賄うための財源を保障したもので、地方がモラルハザードを起こす余地はない。

・2・地方財政計画と決算の乖離が起こるのは、計画が地方の実態に即していないからだ。もともと交付税は、使途が自治体の裁量に委ねられた一般補助金であり、自治体や地域住民の視点からすれば、かりに地方財政計画と異なる使途に充てられても大きな問題はないという見方である。もとより納税者からすると、公共事業費のための財源保障と説明された金が、福祉の経費に充当されるとなるとやはり問題視しよう。175頁・


176頁・15/10/12 16時39分・


現在、地域の税収に交付税を加えた地方の一般財源は、一人当たり東京都が17万円、島根県が33万円だ。税収は東京都が島根県の2・2倍なのに、交付税を含めた調整後には島根県が東京都の1・9倍に逆転する。このままで調整する必要があるかどうか。

交付税問題は都市から地方への仕送りの面もあるが、それぐらいが地域の財源保障として必要か、その水準の見極めが議論の出発点となる。176頁・

・交付税論争


引用・2015年10月12日 (月)自治体をどう変えるか (ちくま新書) [新書] 佐々木 信夫 (著) 第8章 市町村の将来―合併後・15・10・12 16時52分・191頁・・地域力の発想・・地域力の確保・・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/10/8-151012-165219-2539.html

17:39 2015/10/12

 

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