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2014年8月12日 (火)

「植草一秀の『知られざる真実』」 20140812沖縄知事選に快勝して主権者が日本を取り戻す 第934号

引用

「植草一秀の『知られざる真実』」  20140812沖縄知事選に快勝して主権者が日本を取り戻す 第934号

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───────────────────────────────────11月16日に沖縄県知事選が実施される。主要な候補者の顔ぶれが固まりつつある。自民、公明が支持する仲井真弘多現知事は3選を目指して出馬する意向を固めた。

これに対して、共産、社民、生活、社会大衆、県民ネットの県政野党5団体は那覇市長の翁長雄志氏に出馬を要請し、翁長氏が出馬の意向を固めた模様である。

これとは別に、前衆議院議員で新党そうぞう代表の下地幹郎氏が出馬の意思を表明している。

知事選最大の争点は普天間代替施設を名護市の辺野古海岸に建設することの是非である。

現職の仲井真弘多氏は、昨年12月、名護市長選を目前にして、辺野古海岸の埋め立て申請を承認した。

沖縄県民に普天間飛行場の県外・国外移設を公約しておきながら、その公約を踏みにじる暴挙に突き進んだ。

安倍政権からさまざまな形で揺さぶりを受けた結果として、県民を裏切る埋め立て申請承認に突き進んだものと思われる。

 自民党は仲井真氏が候補者では知事選に勝てないと考えて、別の候補者擁立を模索したが、妥当な候補者を擁立できず、結局、出馬意思を表明した仲井真氏を擁立することになる見通しである。

自民党が仲井真氏の擁立に難色を示したのは、沖縄県民の仲井真氏に対する批判が極めて強いからである。

仲井真氏は普天間飛行場の移設先を県外・国外に求めることを公約に掲げて2010年の知事選で再選を果たした。

その公約がありながら昨年末に辺野古海岸埋め立て申請を承認したことは、明らかな県民への裏切り行為であり、金の力に屈した知事とのイメージが県民全体に広がっている。

 本ブログ、メルマガでは、仲井真氏が安倍政権によって揺さぶられた背景について、独自の推論を提示してきた。

その背景は2006年の知事選にさかのる。

2006年の知事選は、仲井真弘多氏と糸数慶子氏による一騎打ちの戦いとなった。糸数氏が優勢の選挙戦を展開したが、最終局面で仲井真氏が逆転を果たして勝利したと分析されている。選挙終盤で勝敗を決する決め手になったと言われているのが、沖縄徳洲会による仲井真候補の全面支援であった。

徳洲会出身の徳田毅衆院議員は、沖縄知事選直前まで自由連合に所属し、自由連合は糸数氏支持を決めていた。

 この自由連合の徳田毅氏が沖縄知事選直前に自由連合を離脱して、仲井真氏支持を打ち出した。

 徳洲会は仲井真候補を全面支援して、その結果として仲井真氏が沖縄知事選に勝利したと言われている。徳洲会は大規模な組織選挙を展開したと伝えられている。

沖縄知事選で仲井真氏が勝利すると、徳田毅議員は自民党に入党した。そして、この経過と並行して進んだのが、愛媛県の徳洲会病院を舞台とする生体腎移植問題であった。

 沖縄知事選直前に徳洲会病院の生体腎移植問題がマスメディアの社会時事問題として大規模に報道された。

 当時の報道の流れでは、これが刑事事件として立件されることが推測されていた。このなかで、徳洲会出身の徳田毅議員が自由連合を離脱して、沖縄知事選で糸数慶子支持から仲井真弘多支持に鞍替えした。

 仲井真候補は徳洲会の全面支援を受けて知事選で勝利した。

 知事選後に徳田毅氏は自民党に入党したが、同時に愛媛県の徳洲会病院の生体腎移植問題報道が消滅し、刑事事件として立件されることもなくなった。昨年後半、2012年の総選挙にかかる選挙違反で徳洲会が摘発された。この事案に絡んで、徳田毅議員は議員辞職に追い込まれた。

2013年後半は、2010年の沖縄知事選から丸3年が経過するタイミングであった。

 2010年の沖縄県知事選でも徳洲会は仲井真候補を支援している。

 仲井真弘多氏は、このことに関連して安倍政権から揺さぶりをかけられたのではないかと考えられる。

 2010年沖縄知事選での選挙違反事案のなかで、2013年末に公訴時効を迎える事案が存在したと考えることもできる。

 こうした事案で仲井真氏が揺さぶられたとするなら、年末の県民に対する背信行為もうなずけるのである。

知事選に出馬を表明している下地幹郎氏は、辺野古移設問題については県民投票を実施するとしているが、基本的に下地氏のこれまでの言動から判断できるのは、下地氏が辺野古移設容認の判断を有していることである。

沖縄県知事選で沖縄県民が辺野古基地建設阻止の意思を明示したいと考えるなら、翁長雄志氏に投票を集中させる必要がある。

沖縄県民の総意として、辺野古基地建設を許さないことを明示し、沖縄の新しい歴史を創り上げてゆく必要がある。

 本年1月19日の名護市長選で、沖縄県名護市民は辺野古基地建設阻止の意思を明示した。

仲井真氏は、1月19日に名護市長選が実施されることを知りながら、その直前の12月27日に辺野古海岸埋め立て申請を承認した。

基地問題で何よりも重視されなければならないことは、地元自治体住民の意思である。名護市議会選挙、名護市長選は、名護市民の意思表示の機会である。1月19日に市長選が実施されるのであるから、埋め立て申請に対する判断は、当然のことながら、名護市長選の結果を踏まえるべきものであった。

 それを知りながら、仲井真弘多氏は12月27日に埋め立て申請承認を発表した。このことについて、名護市長の稲嶺進氏が1月7日の名護市長選立候補決起集会で次のように述べた。

「11月に県選出の国会議員、そして自民党の県連、ヤマトゥ(大和)の力に首がウサーサッティ(抑えられて)ムヌゥイワサンアタイ(物をいえないような)イッターヤ、ウヤヌイイシ、チカンガンブイ(おまえたちは、親のいうことをきかないのか)こんな感じで脅かされて恫喝されて、そして屈服をしてしまったんです。

 石破幹事長のうしろに座らされていた5名の姿が新聞に出ておりました。アギジャビヨー(あーあ…)あんなに恥ずかしい思い、そしてカメラの前に晒されてあの惨めな姿、あれを見てワジワジー(腹が立つ)というよりも悲しくなったんです。

そういう状況をこれまで我々は68年間ずっと煮え湯を飲まされるような形で虐げられてきた。そして68年後に今、あらためてあの琉球殖民を思い起こさせるようなそういう姿が映し出されます。アンスカマデ、スンナーサイ(そこまでしますか?)

そこまでやりますか、みなさん。でもそれが今後の姿なんです。」

「仲井真県知事も予算折衝に行ったんでしょうかね。東京に行ったら病院に逃げ込んで何もかもみんな外からも誰も入って来れないように隠れてしかし入っていたのは貴賓室だったんでしょうかね。そこで日本政府との裏工作、そんなことをやっていたんですね。

最初ウチナーンチュは入院したというからみんな心配していたんですよ。大丈夫かねー、と。しかし、ふたを開けてみたら、あれ本当に病気だったのかね、と。本当に情けなくなります。

そしてその後、官邸に行って、その帰りに、驚くべき内容を提示した、と。

 よい正月を迎えられる、140万県民を代表して感謝申し上げます。誰がお願いしましたか、そんなこと。本当に、何が驚くべき内容ですか。驚いたのは、ワッターウチナーンチュ(私たち沖縄人)です。

「3000億円か知りませんけれどもワッターウチナーンチュ(私たち沖縄人)、そこまで卑屈になる必要がありますかね。

 ネーランヨーヤーサイ(ないですよね)本当に悲しい、むなしい、そういう思いがこみ上げる状況でした。そして沖縄に帰ってきたら、ちゃんと仕事を県庁に出てやるのかと思ったら帰ってきたら知事公舎に向かいました。

 また県民と向き合わない。県民の抗議を恐れて知事公舎に引っ込んでそこでまた、承認しますという発表をする。

 どこまでウチナーンチュの代表としての気概、そして覚悟があるのかな、と。」

  「こんなにこそこそしながら、あんな大事なことをやっちゃったんでヌガーラサナイヨヤーサイ(ゆるしませんよ)

 記者団の質問にいろいろ、やったやつね、何か少しキレてしまってそのときに知事は何を言ったかといったら私も人並みに日本語上手だよ、と。こんなことを言ってるんですよ。アンシ、イッチョーシェー、ムルワカラングトゥ(それで、言ってることみんなわからないですよ)言語明瞭、意味不明ということであります。こんな風にして不可解な言動を私たち沖縄県民に晒し、そしてそれをそのまま日本国民のすべてに伝わっていってるんです。」「先ほどもお話しありましたけれども、結局沖縄はお金か。

反対するのはその金を引き上げるためにやってるんじゃないの。こんな誤ったメッセージをいちばん低層な、それをやっちゃったということですね。

我々がウチナーンチュとしてとても許されるものではない。

私は沖縄の自立経済ということを言っております。

 しかしあの瞬間、私は沖縄の自立は遠のいてしまったと思います。」稲嶺進名護市長の本年1月7日の決起集会のスピーチは、いまもYOUTUBE映像で閲覧できる。

ぜひ一度、自分の目と耳で、じっくりと視聴いただきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=Z-gf_eOnpFo


安倍政権の基地問題や原発問題への対処の姿勢は単純明快である。「最後は金目でしょ」これが安倍政権の基本姿勢である。

札束で頬を叩いて、相手をひざまずかせる。なかなかひざまずかないと思えば、札束の厚さを増す。札束の厚さを増やしてひざまずかない者はいないと考えているのだ。これが、「最後は金目でしょ」の言葉にはっきりと表れている。

 この言葉で出てくるたびに思い出されるのが、斑目春樹氏の言葉と小出裕章氏の言葉の相違である。

原子力安全委員会の委員長をしていた斑目春樹氏はこう述べた。

「最後の処分地の話は、最後は結局お金でしょ。あのー、どうしても、そのー、えー、みんなが受け入れてくれないって言うんだったら、じゃあ、おたくには、これ、その、じゃあ、えー、いままでこれこれと言ってたけど、その2倍払いましょう。それでも手上げないんだったら、じゃー5倍払いましょう、10倍払いましょう。どっかで、国民が納得する答えが出てきます。」これに対して京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏はこう述べる「私が原子力に反対する根本の理由は、自分だけがよくて、危険は人に押し付けるという、そういう社会が許せなかったからです。

電力を使う都会には原発を作らないというのもそうですし、原子力発電所で働く労働者はほんとに底辺で苦しむ労働者であったりするわけです。こういう社会を私は認めたくないので、原子力に反対してきています。」沖縄知事選で安倍晋三政権は徹底的な「金目」攻撃を仕掛けてくるだろう。

沖縄県民は、金目攻撃に屈しない、強固な県民の意思、矜持を示すべきだる。のための方法は、基地建設阻止を明示する候補者にすべての投票を集中することである。選挙で主権者の意思を明示して、新しい沖縄の歴史を創ること。ここから新しい日本の歴史が始まるのだと思う。

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著者:植草一秀(政治経済学者)

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14:56 2014/08/12


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