« 反骨の市町村 国に頼るからバカを見る 単行本・相川 俊英 (著) 内容紹介 | メイン | 第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。199頁まで・ »

2015年4月 5日 (日)

反骨地方から都市部への人口流出は高度経済成長期にはじまり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和一桁世代である。そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。・・・の市町村・国に頼るからバカを見る 単行本186頁・平成27年4月5日川 俊英 (著) 第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日・6プラス4の10次産業だと考えています。194頁・

引用


反骨の市町村・国に頼るからバカを見る 単行本2015・3・19 相川 俊英 (著)

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/post-e46e.html

リンクします・


第6章 地方創生の特効薬とは何か・・地域活性策の「失敗の歴史」・186頁・平成27年4月5日 日曜日・

日本の地方の窮状が深刻化している。地域経済は疲弊し、過疎化や高齢化歯止めがかからない。中でも深刻なのが、中山間地域である。住民の半数以上が高齢者という限界集落が一般化し、今や存続そのものが危なくなっている集落が増えている。こうした過疎に「2015年度危機」なるものが訪れている。

地方から都市部への人口流出は高度経済成長期にはじまり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和一桁世代である。そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。

田畑や山林の所有権の継承に伴う課題である。かれらの資産を相続する人のほとんどが都市部に居住している。地域を支えてきた昭和一桁時代に代わり、大量の不在地主が誕生することになる。

担い手の消滅により、田畑や山林、家屋などの維持管理は一層困難となるのは必至だ。また、地元の伝統文化や技、知恵といった無形の財産の喪失も不可能となり、地域の荒廃が一気に加速するのは間違いない。


187頁・15/4/5 8時55分・

厚生労働省の「将来推計人口」によれば、人口5,000人未満の小規模自治体が激増し、2040年には全自治体の5分の1以上を占めるという。

人口減少が進むと同時に、居住者がいなくなる無人化地域も拡大することが予測されている。

 現在、日本の国土の約5割に人が居住しているが、国土審議会の「国土の長期展望」(2011年)によると、2050年までに居住エリアは約4割に減少するという。


現在、日本の国土の約5割に人が居住しているが、国土審議会の「国土の長期展望」(2011年)によると、2050年までに居住エリアは約4割に減少するという。

つまり、現在人が居住している地域のさらに約2割が将来、無人化してしまうのである。今後、無人化する地域の割合が高いのは北海道(52・3%)と四国地方(26・2%)、それに中国地方(24・4%)である。

お盆休みに帰省したいが、故郷で迎えてくれる人がいないので断念…。そんな悲しい事例が今後、ごくありふれたものとなりかねない。故郷や地元、田舎といったものが消滅してしまう重大危機に直面している。

残されている時間がもはやそう多くない。自律的で持続可能な地域の再構築を図ることが喫緊(キッキン)の課題となっている。


・地域活性化予算を虚しく消化・188・15/4/5 11時1分・

もっとも、地域活性化は古くからの課題であり、その取り組みは地方からの人口流失がはじまった当初から実施されている。それはまた、失敗の歴史と言っても過言ではない。

各地でよく似た活性化策が実施され、一時的な盛り上がりに終わってきたのが、実態だ。公共事業によるインフラ整備や企業・施設の誘致、それに特産品の開発やイベント開催が定番である。各地で同じような取り組みを行い、同じような挫折を繰り返してきたのである。

もちろん、地域の疲弊の背景には経済社会の潮流の激変がある。対症療法で簡単に活性化できるはずもなく、小さな地域の奮闘に限界があるのも事実。成果が思うように上がらず気持が萎えてしまい、諦めてしまう地域や住民も少なくない。

・・・代表的なのが、過疎法だ。・・・

人口減により住民の生活水準や生産機能の維持が困難となった地域を対象に、国が国庫補助率のかさ上げや過疎対策事業債(元利償還金の7割を国が交付税で肩代わりする特別な地方債)といった財政的な支援を行うものだ。1970年に時限立法として制定され、改定を重ね今なお継続している。

189頁・過疎地域の指定要件は人口減少率と財政力指数の2点で、2010年の法改正で緩められた。財政力指数「0・42」以下が「0・56」以下となり、直近25年間の人口減少率19%以上が17%以上となった。

2014年3月時点で全国1719市町村のうち、約46%に当たる797市町村が過疎地域に指定されている。当初の約24%より比率は大幅に増加している。

過疎対策のための法律がこれといった効果を発揮せずにいることの表れでもある。そればかりか、北海道小樽市や福岡県大牟田市といった古い歴史を持つ年までもが過疎地域に指定される実態となっている。

・スローガンで終わる地域活性・189頁・

地域活性化策といえば、1979年に大分県の平松知事(当時)が提唱した「一村一品運動」が名高い。地元の特産品を創り上げ、地域経済を潤わせようという運動で、大分県のみならず、全国に広がった。ブランド化に成功した産品もあるが、担い手の高齢化などにより持続しているものはそれほど多くはない。

竹下内閣が1988年から始めた「ふるさと創生1億円事業」も記憶にあろう。全国の自治体に自由に使える予算として1億円ずつ配分し、地域活性化を競わせた。

2015 4 6


190頁・平成27年4月6日・

その結果、全各地に公設の温泉施設などが雨後の筍のように生まれた。

バブル時代になり、地域活性化の特効薬として「総合保養地域整備法(リゾート法)」が制定された。1987年に施行され、全国の自治体が次々と名乗りを上げた。過疎化に悩む各地の農山漁村はリゾート開発に沸き返った。

当時、ブームとなっていた第三セクターが主に事業主体となり、ゴルフ場やスキー場、テーマパーク、ホテルなどの開発に乗り出した。税制上の優遇措置や国からの無利子貸し付け、地方交付税による補填などが誘い水となった。

しかし、大規模リゾート開発が無残な結果に終わったことは周知の通りだ。

杜撰な計画にバブル崩壊が加わり、バタバタと経営破綻した。日本列島全体がまるでリゾートの墓場と化したのである。こうしたリゾート破綻はその後、事業主体となった第三セクターの処理問題に形を変え、自治体財政を圧迫することになった。

リゾート開発を主導した国はバブル崩壊後、景気対策に力を入れるようになった。その一環として先述の「地域総合整備事業債(地総債)」の活用を自治体に推奨した。主にハコモノ建設に充当できる特別な地方債で、元利償還金の一部を国が交付税で手当てした。つまり、国にツケ回しできる「有利な起債」であった。

191・これもまた「自治体の創意工夫による地域活性化を促す」目的で作られた、ところが、現実は正反対の方向へと進んでいった。

各自治体が箱モノづくりに狂奔し、創意工夫や効率化とは無縁の箱もの王国が日本各地に誕生した。このため地総債は「箱モノ行政を助長した」との批判を受け、2001年に廃止されることになった。

2015 4 7


・大合併でばらまいた毒まんじゅう・191頁・平成27年4月7日 火曜日・

それといれかわるように「平成の大合併」が始まった。人口減少や少子高齢化、過疎化といった難題に対応できるよう、合併により自治体の体質を強化しようというものだ。

しかし、合併の旗振り役立った国は、ここで矛盾に満ちた誘導策を用意した。合併を促すための手厚い財政措置として、元利償還金の7割を国が交付税で手当てする合併特例債を創設したのである。

その一方で、地方交付税額を減額していった。

これらの効果は抜群で、各市町村は一斉に合併になだれ込んでいった。3,200余りあった市町村は、わずか10年ほどで1,700余りに激減した。しかし、市町村合併が体質強化や地域活性化につながったという事例は少ない。

192頁・

国は市町村合併を進めると同時に、規制緩和を掲げた。その具体策の一つとして地域限定の「構造改革特区」を2002年に創設した、自治体に規制緩和の提案を募り、構造改革の突破口とすることを意図した。これまで1,200件余りが認定されたが、小粒のものばかりである。

その後、政権交代が起こり、地域主権を掲げる民主党政権が誕生した。この政権下で「総合特区」が創設された。規制緩和と国の税財政支援を組み合わせたものだが、再度の政権交代により「国家戦略特区」に取って代わられた。

結局、これまで国が進めてきた地域活性化策はことごとく失敗に終わっている。一過性のブームを生むだけで、しかも、そのブームが過ぎ去ったあとは地方の疲弊が一層進むという皮肉な現象が繰り返されていた。

平成27年4月7日・


・地方創生の見本「四万十ドラマ」~「清流と森」ジリキスト」高知県四万十町・192頁・15/4/7 9時42分・

安倍総理は2014年9月5日、政府内に地域再生を目的とした「まち・ひと・しごと創生本部」を新設し、自ら本部長に就いた。省庁横断で地域活性化策を打ち出し、疲弊した地域経済の再生を目指すとした。

アベノミクスの「第3の矢」である成長戦略の一つで、「ローカル・アベノミクス」と言われている。

193頁・


「地方創生」策の一つとして挙げられているのが、地域の農林水産業の「6次産業化」だ。自分たちが作った産品を自らが加工して商品化し、さらには自らが販売するというものだ。

その先進事例として全国から注目を集めているのが、高知県四万十町の「株式会社四万十ドラマ」だ。クリや茶、米、シイタケといった地域の1次産品を加工して商品化し、全国に販売することで地元に金と雇用をもたらし、さらには若者の移住をも呼び込んでいるからだ。

日本最後の清流と言われる四万十川の中流域に広がる高知県四万十町は、2006年に窪川町と大正町、それに十和田村が対等合併して誕生した。人口は約18,400人で、町の約87%が林野。川沿いと台地に人家が点在する山村である。

こうした四万十町の中でも山手の旧戸和地区(人口約3,000人)が、「四万十ドラマ」の活動拠点となっている。条件不利の典型的な過疎地の山間部である。ところが、地元の1次産品の生産と加工、販売に力を入れた「四万十ドラマ」は地域の中核企業で、グループ会社は7社(NPO法人と一般社団法人を含む)。年間の総売上高は約4億5000万円に上り、37人もの従業員を抱える。

もっとも、畦地社長は「私たちは消費者の皆さんとも一緒にやっていますので、6次産業ではなく、6プラス4の10次産業だと考えています。

194頁・


 ・ローカル・ローテク・ローインパクト・194頁・15/4/7 11時9分・

「四万十ドラマ」の歴史は意外に古く、設立したのは今から20年前の1994年のこと。地元自治体(旧大正町と旧十和村、旧西土佐村が出資)による第3セクターとしてスタートした。

社員は当時、農協から引き抜かれた29歳の青年のみ。今の畦地社長である。

文字通りゼロからのスタートだったが、「四万十ドラマ」は明確な経営理念を高々と掲げていた。

1つは「ローカル」である。これは「四万十川を共有財産として豊かな生き方を考える」というものだ。

そして、「ローテク」。「地元の素材・技術・知恵にこだわったモノづくり」である。3つ目が「ローインパクト」で、「四万十川に負荷をかけずに風景を保全しながら活用する」といった考え方だ。社名の「四万十ドラマ」には、「最後の清流・四万十川から新たな物語をつくる」という意味が込められていた。

 

これら3つの理念も下、「四万十ドラマ」は船出した。まずは地元産品を活用した独自商品の開発に知恵を絞り、販路開拓に力を入れた。

194頁・


バイヤーに必ず、現地・四万十で生産者に直接、会ってもらうなど、顔の見える関係を何よりも大事にした。

また、会員制度をつくり全国にネットワークを広げていった。これが商品快活に止まらず、交流や観光といった「四万十発着型産業」へと展開していった。事業開始から3年足らずでヒット商品が生まれた。

地元のヒノキの端材を活用した芳香材「四万十の檜風呂」だ。さらに、地元特有の香り米「十和錦」や地元の生産組合と共同開発したペットボトル入り緑茶「しまんと緑茶」など、四万十ならではのヒット商品を連発。売り上げは年々増加していった。

業績の好調ぶりが行政からの完全独立につながっていった(市町村合併の枠組みの問題も要因の一つと思われる)。2005年に旧3市町村が所有する株式をすべて会社側が買い取り、地域住民を対象に新たな株主を公募することになった。

こうして「四万十ドラマ」は2005年4月に、地域住民などが株主となる「住民株式会社」として再スタートした。地域により深く根を下ろすことになったのである。

その後も、地元産のクリや紅茶などを活用した新商品を次々に開発された。いずれもオリジナルである。さらには古新聞を使った新聞バッグの販売や道の駅の運営、新たな加工場の設置やカフェのオープンなど、「四万十ドラマ」は事業内容を今なお拡大させている。

196頁・15/4/8 11時19分・


畦地社長は、「3つの理念は、設立当初からいささかもブレていません」と胸を張る。今や地域を支える中核企業に成長し、都会から就職を希望する若者も後を絶たない。社員の過半数を30代以下が占めているほどである。


第6章・・国策に従わずに守り続けた広葉樹林・196頁・・では、なぜ今から20年も前に四国の小さな山村にこんな会社が生まれたのだろうか。

リンク・・

http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2015/04/post-4e93.html


 

コメント

コメントを投稿

最近の写真

  • Img_0761
  • Img_0760
  • Img_0759
  • Img_0758
  • Img_0757
  • Img_0756