50頁・主要国の個人所得税最高税率が徐々に下がっている。高い順ではベルギーが50%、ドイツやオーストラリアが45%、日本、イギリス、フランスが40%、アメリカが35%。日本は地方税10%を含めると50%になり、主要国の中では世界一高い水準にある。
引用
最強国家ニッポンの設計図 単行本 – 2009529 大前 研一 (著) シンガポールやマレーシア、台湾の国家アドバイザーとして国家建設に携わった大前研一氏
http://amamioosimasanrinha.synapse-blog.jp/takita/2014/10/2009529-0d97.html
2014・11・3・
最強国家ニッポンの設計図 単行本 – 2009529 大前 研一 (著) シンガポールやマレーシア、台湾の国家アドバイザーとして国家建設に携わった大前研一氏が
「日本立て直しプランの集大成」と位置づける一冊。
一院制と国民投票を導入する政治システム、産業発展と地方復活を実現する道州制、所得税、住民税、相続税・贈与税をすべてゼロにする全く新しい税制、アクティブで安心できる老後を可能にする新・2階建て方式の年金など、既存の政党や政府、論客とは全く異なる国家ビジョンは斬新さが際立つ。
さらに本書では、政策の細目をまとめる新しい国家シンクタンク設立も提唱する。
これを実践する政治家は現れるか!?内容(「BOOK」データベースより)
年金解決、所得税・法人税・相続税「ゼロ」、エネルギー大国、核「準備国」、日本を立て直すアイデアはすべてここにある。
著者略歴・大前/研一
1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、72年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年に退社。以後も世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍するとともに、「ボーダレス経済学」と「地域国家論」の提唱者としてグローバルな視点と大胆な発想で活発な提言を行なっている。2005年には日本初の遠隔教育による経営大学院『ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学院大学』を設立し、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 単行本: 320ページ
出版社: 小学館 (2009/5/29)発売日: 2009/5/29
目次
序章 日本は最強国家になれる!・7頁・
大前流日本改造計画「ザ・ブレイン・ジャパン」構想を建白する・7頁・
世界に雄飛する日本人「第4の黄金期を築け・17頁・
第1章 「年金と税金」で国民の「安心と意欲」を作り出せ・27頁・
「2015年・年金崩壊」の前に「新2階建て方式」に移行せよ・28頁・
「新2階建て年金」の「2階部分」はこの国へ投資せよ・38頁・
所得税12%・法人税25%・相続税ゼロの「世界標準・大減税」を敢行せよ・49頁・11/3/2014 9:28 AM・
50頁・主要国の個人所得税最高税率が徐々に下がっている。高い順ではベルギーが50%、ドイツやオーストラリアが45%、日本、イギリス、フランスが40%、アメリカが35%。日本は地方税10%を含めると50%になり、主要国の中では世界一高い水準にある。
逆に税率が低いのはモナコとリヒテンシュタインのゼロ、続いてスイスは11・5%、ロシアが13%(しかもフランっとタックス・・累進税率ではなく、すべての人が同じ税率)香港15%、シンガポール18%など。
税率の低いモナコやスイスは、世界中から富裕層を引き寄せている。たとえばスイスには、フランスから俳優のアラン・ドロンや歌手のジョニー・アリディ、テニス選手のアメリ・モレスモ、元F1ドライバーのアラン・プロスト、同じくドイツからミハエル・シューマッハ、イギリスから歌手のフィル・。コリンズらが移住している。
そのため欧州諸国は、スイスなどに流出した資金を引きも伸す取り組みを進めてきた。イタリアは、海外の隠し資産を申告した場合は脱税などの罪に問わず、2・5%の課税で済ませる特例を2001年に導入。ドイツは自動車のトランクなどに隠された紙幣の匂いを嗅ぎ分ける「お札犬」をスイスとの国境に配備し、04年1月から05年3月まで脱税恩赦(過去10年間にドイツ人が海外に持ち出した未申告の資産を申告してドイツに戻した場合、25%の追徴税だけですませ、脱税などの罪は免責)を実施している。ベルギーやフランスも対策を打った。
51頁・インドネシアも08年にムルヤニ財務大臣が、「今後きちんと納税するなら、過去の脱税は罪に問わない」という、刀狩政策を打ち出して企業や国民に協調を呼びかけ、年間で50%以上の税収が増えた。おそらく金持ち華僑たちが税務当局との戦いをやめ、この機会にまともな申告をしたのではないかと思われる。
パスポートなしで移動できるEU域内では、富裕層の資産が税率の低い国に移動するのは当然だ。そこでEUは05年7月から、域内の銀行に、国外預金者の利子総額を母国に報告することを義務付けたが、今度はEUの富裕層が「アジアのスイス」を目指すシンガポール、あるいは香港といったEU域外に資金を持ち出してしまった。現在、EUシンガポールや香港とも預金者名や利子額に関する情報提供の交渉を行うハメになったが、こんなことはいくらやってもイタチごっこで大した効果はない。
大事な点は富裕層と税務当局の戦いではなく、日本も所得税率を引き下げるかフラットタックスにしないと、遠からず富裕層の海外流出が亜h身○ことは避けられない、ということである。
「国税の古い考えに従えば世界中が「タックス・ヘイブン」
法人税・
52頁・
法人税でも、企業を海外から呼び込むため、または自国からの流失を防ぐために世界中で引き下げ競争が進行しており、税率は25%にシンクロナイズ(収斂)しつつある。97年から07年の10年間で世界平均33・5%から24・2%に下がっている。日本は51・6%から下がったとはいえ、まだ40・7%。OECD諸国の中では最も高い。
欧米では税務戦略上、企業が低税率国に拠点を移すケースが多く見られる。特に海外流出が目立つのはスウェーデン企業だ。重電のアセア(現ABB)はスイスに、家具販売のイケアや、ノーベル賞を生んだ科学のノーベル(現アクゾノーベル)はオランダに本社を移転した。また、アメリカのインターネット企業ノーベイや衣料品のポロ・ラルフローレンは欧州本部を、グーグルは持ち株会社をいずれもスイスに移している。あるいは、05年にアメリカのハリケーン・カトリーナ被害後、多額の保険金支払いで財務体質が悪化したロンドンの保険・再保険会社は相次ぎ「タックス・ヘイブン」のバミューダに移転した。
日本企業も海外流失も始まっている。サンスターは08年、日本企業初の三角合併を使って本社機能をスイスに移した。金田会長が代表を務めるスイス法人の日本子会社を通じ、経営陣と従業員による企業買収(MEBO)でサンスターを上場廃止にするという奇抜な手法だった。
また、税務戦略の優れた日本企業は法人税率の低いアジア諸国などに生産・販売拠点を移し、税負担を大幅に軽減している。
53頁・
04年度まで5年間の平均実効税率を見ると、例えば日本電産は29・5%、HOYAは29・7%、マブチモーターは31・9%。海外に活動の主要拠点を移すことで税負担を約10%も軽くしている。経営者の判断としては当然で、海外移転を非難するのは間違いだ。
いま世界の法人税のトレンドをリードしているのはEUである。ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、ポーランド、バルト3国などの新規EU加盟国は外資誘致のために積極的に法人税率を引き下げ、大半が25%未満になっている。それに引っ張られてオーストリア、オランダ、ポルトガル、北欧諸国などEUの経済中堅国も25~30%が中心。
経済大国も企業流出を避けるため、ドイツは08年までに38・9%から29・8%(いずれは25%)に、イギリスは08年から30%を28%に、スペインは08年までに35%から30%に、それぞれ引き下げ、フランスも今後5年程度で20%までの引き下げを検討するとしている。
このようにアナウンスすることによって、企業が国外に逃げ出すことを未然に防ごうとしているわけだ。
アジア諸国も同様だ。08年から香港は17・5%を16・5%に、シンガポールは20%を18%に、中国は33%を25%に、マレーシアは27%を26%に引き下げた。
ちなみに日本の国税当局は法人税率25%以下の国を「租税回避国」、すなわち「タックス・ヘイブン」と呼んできたが、今や世界の大半の国は「タックス・ヘイブン」になっているのである。
54頁・14/11/3 11時4分・
54頁・14/11/3 11時4分・
国税当局が厳しく徴税すれば、日本企業の税回避行動を強めるだけである。たとえば海外の儲けを日本の本社に配当せず、海外で再投資する。日本の税収はさらに減る。この悪循環を避けるためには、日本も世界標準である法人税を25%を目指すしかない。ただし、税率引き下げと同に、業界ごとに細かく決められた優遇税制などの複雑な仕組みも一斉に廃止することを忘れてはならない。
54頁・
「税率を下げれば税収は増える」が世界の常識・・
・・相続税・・
相続税は、ほとんどの国が廃止に向かっている。すでにスイス、イタリア、スウェーデン、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアなど主要17各国は国税としての相続税がゼロである。
イギリスも(ゴードン・ブラウン首相の選挙公約によれば)相続税を廃止に向かっており、EU諸国やロシアの金持が大挙してイギリスに移住し、ロンドンの高級住宅地チェルシーなどの不動産が急騰する原因となった。フランスでもニコラ・サルコジ大統領が選挙公約として相続税・贈与税の廃止を掲げた。
55頁・
ユニークなのはアメリカだ。02年から段階的に引き下げ、2010年に1年間だけゼロにして、翌年から再び復活することになっている。それを「タッチダウン」と呼び、私の友人のアメリカ人たちはその話で持ち切りだ。そうすることで2010年に大半の資産を高齢者から若い世代に移し、一気に消費を刺激しようという政策である。
日本の相続税率は最高50%と突出して高いが、税収そのものは国・地方合わせて税収総額の1・6%(約1兆5000億円)にすぎない。実際の税収が少ない割に心理的なマイナスは大きい。事業継承などに支障をきたして企業の廃業率を高める、土地所有の細分化・固定化を促進する、土地資産の相続対策として親が借金を背負って不必要なアパートやマンションを建てるケースが多くなる…といった弊害を生んでいる。財政的は効果が薄く、デメリットの多い相続税および贈与税は、日本も(少なくとも一旦は)廃止したほうがよいだろう。
以上のような世界の潮流を日本の政治家は全く知らない。だから、政府税制調査会も自民党税制調査会も税制改革を平気で先送りしている。しかも、減税ではなく、消費税などの増税論議ばかりである。
これでは企業や富裕層に国を出ていけ、と言っているのと同じである。しかし「最強国家ニッポン」を目指すためには、政府が税金の無駄遣いをやめ、世界から人材、企業、資産が集まるような魅力的な税制にしなければならない。
56頁・11/3/2014 9:51 PM・
そもそも政府税調や自民党税調の議論には根本的な錯誤がある。税収を増やすには税率を上げなければならないと思い込んでいることである。だから必ず「増減税一体改革」などと言い、減税したらその分を別の増税でまかなおうという話になる。子では、算数はできるが経済はわからない役人の典型的な発想だ。
実際に世界でこの30年間に起きたのは「所得税と法人税は税率を下げたほうが税収が増える」という全く逆の現象である。要するに、税率を下げると、個人も企業も嘘をついたり利益を隠す工夫をしたりする必要がなくなり、正直に申告する様になって税収が増えるのだ。
代表的な例は、80年代アメリカの「レーガン税制」である。それまで最高税率70%で累進が15段階もあった所得税を28%と15%の2段階フラットタックスにした結果、税収が大幅に増加した。
最近ではロシアのプーチン政権による所得税のフラット化が絶大な効果を上げた。ロシアの所得税は12%、20%、30%の累進制だったが、01年に13%のフラットタックスを導入した。
その途端に所得税収は25・2%も増え、以後も02年24・6%、03年15・2%、04年14・4%と税収の大幅増が続いた。所得の89%が手元に残ることになり、所得を隠すものがいなくなって巨大な地下経済が表に出てきた。その後のロシアの大消費ブームは、まさにプーチン税制のお蔭だといわれている。
前述のインドネシアの「刀狩改革」も税収を倍増させた。私は07年に「心理経済学」を書いたが、経済学者や税調のメンバーたちは、もっと企業や個人の心理を勉強したほうが良い。
57頁・
機械的な算術でなく、あるいはマクロ経済理論でもなく、託和えのある先進国では「心理」が最大の経済及び税収の調整弁になっていることを知るべきなのである。
(この問題は経済危機を論じる第6章で改めて触れる)。
アメリカロシアにできて、日本にできないはずはない。日本の国と地方を合わせた税収総額は約90兆円で、そのうち個人所得税収は約30兆円あまりのGDPのざっと半分が個人所得だと考えると、30兆円の税収を維持するために必要な税率は、たった12%である。すべての国民が12%のフラットタックスで納税すれば、税収は減らない。むしろ富裕層の手取りが増えることで消費が活性化して景気はよくなり、GDPそのものがもっと増えるだろう。
法人税でも同様に(レーガン税制と同じように)税率を下げれば税収は上がると考えて間違いない。そして相続税は廃止する(究極の「大前流税制改革」は、所得税も法人税も廃止して付加価値税と資産税だけに簡素化するというものだが、この提案については次節で述べる)
重ねて言う。世界はボーダレス化し、企業や資金、経済活動を呼び込むために税制改革を牽引力とした「大競争時代」に入っている。日本もその競争に参加し、勝たなければ最強国家にはなれないのだ。
57・14/11/4 5時17分・
「所得税・法人税・消費税」全廃!「資産税・付加価値税」を導入せよ・58頁・
「50兆円国家ファンド」を創設し、日本人すべてが「10%利回り」を手にする社会を実現せよ・68頁・
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