地方創世 :まち・ひと・しごと創世本部が本格始動安倍首相 大前研一・増田敏夫:最大の課題は豊かで明るい地方をつくること
引用
第929号(2014年9月12日号)増田俊男
(セプテンバー・イレブン・グランド・ゼロのNYからお送りします)不況に向かう欧州経済
本誌(No.928:9月5日号)「ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁の度重なるミステイクで」ECBの利下げとマイナス金利で銀行預金に罰金を課す政策は益々資金の活性化を阻害し銀行の不良債権化政策に他ならないと述べた。
欧州経済が今後不況に陥り日本同様デフレ経済に陥ろうとしているのは15年来日本経済がデフレ化したのと同じ理由。日本は1998年から「団魂の世代」(戦後の第一次ベビーブーマー、よく働きよく使う世代)が引退し始めた為経済が高成長から低成長に陥り年を追うごとにデフレ化が進行した。
欧州経済のデフレ化の原因を理解せず通貨増刷とマイナス金利でインフレ化出来ると考えるドラギECB総裁の愚かさは日銀の黒田総裁の上を行く。
定年年齢上限化、高齢労働者支援と保証、移民政策緩和等人口構造問題に取り組むことが先である。いずれにしても先進国は民主主義国家が多いから政府は札を刷るような安易な愚作に走り国民が嫌う増税など財政健全化は口にするだけで実行しない。現在欧州先進諸国はすべて財政悪化が続き経済成長はゼロ又はマイナスである。欧州経済をけん引してきたドイツは本年(2014年)から2022年に向けて、かつての日本同様ベビーブーマーの引退が加速する。さらに欧州の経済健全国家スイス、比較的経済成長プラス(3%)の英国、オーストリアがドイツに続く。過去5年間の平均経済成長がマイナス1.45のイタリア、マイナス01%のフランスは今後さらに成長が落ち込むことが明白になっている。
トロイカ(EU、欧州救済資金、IMF)で財政破綻を救済されたギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインなどは言うに及ばない。
アメリカはこれから暴落と言う犠牲を厭わず金融緩和政策を止め、さらに来年早々の利上げを決定しているのに、欧州は、人口構造問題は言うに及ばず経済構造改革と言う難しい問題をことごとく避け安易なゼロ金利や通貨増発で目先をごまかす政策しか採ろうとしない。
安倍内閣は消費税増税を断行、さらに第三の矢で聖域と言われてきた農業、医療、教育分野の自由化を掲げているが見せかけだけに終われば欧州同様不況は避けられない。
今回の「小冊子Vol.60」は題名を『The Great Crash is Coming(大暴落目前)』とし、ワシントンD.C.での「防衛会議」(於Capitol Hill)、次期大統領を共和党から出すための会議への参加(NY)からの生情報、又CME(シカゴ・マーカンタイル:世界最大先物市場)の有名アナリストと私の激論など掲載。
乞うご期待!
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16:21 2014/09/12
昨日は、函館市内で朝の街宣を行った後、講演のため比布に移動した。ところが例の異常な天候のため、函館空港は雷で地上作業中止。離陸が危ぶまれたが何とか出発。札幌からのJRは、雨のためなかなか到着しないが、こちらも何とか出発。綱渡りの移動で、講演の主催者の皆さんには心配をかけた。
短い時間だったが、来年の統一自治体選挙の意義を話させて頂いた。
1)臨時国会
臨時国会が今月29日に召集される見込みだ。最重要課題が「地方創生」関連法案で、そのための特別委員会を新たに設置する方向だという。どうも釈然としない。確かに地方の活性化は国を挙げて行うべきことだが、国政が主導して、地方にああだこうだと言うべきものでは必ずしもない。
地方の自主性自律性が大事だし、地域の特色を地域自身がどう発見し、どう生かすかが鍵だ。国が余計なことをすれば、地域の自主性を阻害しかねない。このポイントをしっかり理解しているかどうかが大切だ。
安倍政権のいう地方創生の推進役となる、「まち・ひと・しごと創生本部」の初会合が、昨日、開かれている。
・50年後に1億人程度の人口を維持する
・東京一極集中に歯止めをかける
・若者の地方定住に向けた雇用創出
・子育て支援に力を入れる
・大企業、大都市に偏りがちだった「 アベノミクス 」を修正し、地方重視を打ち出すこんなことが語られているようだが、やはりピンとこない。
報道によれば、「最大の課題は若者の定住を促す職場の確保」だという。確かにそれは重要だが、この発想では、昭和40年代の過疎が始まったころと似たり寄ったりのものだ。もっと丁寧に地方の現状を見る必要がある。投資事業や企業誘致以外の、個別地域のあり方をみんなで考える腰を落ち着けた取り組みが必要だ。
霞ヶ関や永田町が一声かけると地域が一変するという魔法はあり得ない。逆に、地域がやる気を持って、地域の特色を生かす取り組みを進めると、日本の地方は一気に変化するに違いない。問題は、地域課題を適切に捉えた上での地域のやる気だ。
ここが全ての出発点だ。今日は、今年の政治塾の第三回目だ。今日の政治塾も
渾身の力を込めて実施する。さあ今日も、しっかりと前進します。
============ 2014・9・13
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11:31 2014/09/13
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送信日時: 2014年9月12日金曜日 8:21
宛先: takita@po.synapse.ne.jp
件名: KON534【地方創生・安倍首相~人口減少の過程で何があったのか?】大前研一ニュースの視点
◆━世の中どうなってんの…?大前さん! 『 大前研一 ニュースの視点 』
2014/9/12 #534発行部数177,649部(自社配信+まぐまぐ)
>地方創生・安倍首相~人口減少の過程で何があったのか?
地方創世 :まち・ひと・しごと創世本部が本格始動安倍首相 :最大の課題は豊かで明るい地方をつくること
地方創世 :まち・ひと・しごと創世本部が本格始動安倍首相 :最大の課題は豊かで明るい地方をつくること
▼ 国家が主導して再生した田舎はない
安倍政権が重要課題に掲げる地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」が5日、本格始動したとのことです。全閣僚が参加する初会合を12日にも開き、今月半ばから首相と関係閣僚を加えた有識者会議で具体策の検討に入るそうですが、これは「最悪の戦略」だと私は思います。
まず世界を見渡してみても「国が主導して」田舎を再生できた例はほとんどありません。
私が知るかぎりで言えば、フランスのラングドッグが唯一の成功事例です。私はUCLAで地域国家論の授業を担当したこともありますが、都市に人口が集中しすぎるという「都市問題」は、世界中の全ての国に共通するテーマ・問題です。
ゆえに、世界中の国がどのようにすればよいか?を考えて対処しようと試みています。しかし、国策として取り組んで田舎を再生できた国は、ほとんどありません。では田舎は再生できないのか?というと、そんなことはありません。田舎の再生というのは「国が主導」して成功するものではなく、「自然に」成功するものなのです。
米国のバーモント州やニューハンプシャー州などは、国が経済的に投資することもなく、長い間「放って置かれた」状態でした。放って置かれたゆえに、「昔ながらの風景」がそのままに残っていたのです。
何かのタイミングで、そういう自然を求めて人が集まるようになってくると
「自然に」再生することがあるのです。世界の事例を見ても、田舎が再生する理由のほとんどは「何もしなかったから」です。まず、この事実を知る必要があるでしょう。
▼ 補助をするべきは、第2次産業。雇用創出しなければ意味がない
先日、佐渡へ行く機会があり、そこでもこの都市問題に直面しました。かつて12万人だった人口が半減し、6万人になってしまったというのです。理由を聞くと明確で、かつては携帯電話の組み立て工場などがあり若者が働く場所があったけれど、最近はそうした組み立て産業もなくなってしまったそうです。働き口がなければ、若者は本土へ行かざるを得ません。
このままでは、佐渡に「発展の絵」を描くことは不可能でしょう。このような状況に対して、地方創世と称して国が推し進めようとしているのは農業補助です。日本は世界最大規模の農業補助を行っている国です。しかし、農業補助をいくら充実させても、佐渡の例に見たような「雇用」問題を解決することはできません。
ここに大きな問題があります。
農業ではなく、もし佐渡に製造業が戻ってくるなら雇用創出にもつながるでしょう。
例えば、製造業への補助金を出して中国と勝負できるくらい価格競争力を持たせることができれば、大きな意味があるはずです。すなわち、補助すべきは農業(第1次産業)ではなく、雇用創出につながる第2次産業なのです。
安部総理が農業補助を叫んでいるのは、選挙対策でしょう。農民票を獲得するための政策だと私は見ています。
皮肉な言い方をすれば、地方に雇用創出をして地方創世をするためではなく、
「自民党の」雇用創出をするための施策だと言うことです。非常に情けない限りです。
※この記事は9月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています。
▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今回は地方創生に関する話題を中心に取り上げました。記事中、大前は佐渡でのインタビューを事例に挙げ、地方の人口減少の原因と、農業補助政策の誤りを指摘しています。減少するプロセスで一体何があったのか?
いま起こっている問題の原因を把握するためには、時間の流れで情報収集・整理をすることが有効です。問題解決に向けた最初のステップは、このように問題を発見するところからスタートします。
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問題解決力トレーニングプログラム(大前研一総監修)
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■(5)あとがき:ご無沙汰しております。
平成26年9月13日
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