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2014年8月16日 (土)

安倍政権の究極売国政治を主権者が打破する「植草一秀の『知られざる真実』」第937号

引用

安倍政権の究極売国政治を主権者が打破する「植草一秀の『知られざる真実』」第937号

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69年前の8月15日、昭和天皇が読み上げた「大東亜戦争終結ノ詔書」が放送された(玉音放送)。日本がポツダム宣言を受諾して降伏することを決定したことが公表された。しかし、日本が降伏文書に署名したのは9月2日である。

日本の敗戦記念日は9月2日とするのが正しい。また、終戦よりも敗戦の方が情報量が多い。9月2日を「敗戦の日」とするべきであろう。

決して自虐的な行為ではない。歴史を直視すること、歴史の事実から目をそらさぬことが重要なのである。終戦記念日」として、意味を不明確にすることが、歴史認識を誤る原因になる。

 

私たちは歴史に正面から向き合い、歴史の真実を認識したうえで未来に向けて

立ち向かうべきである。日本はポツダム宣言を受け入れた。ポツダム宣言には以下の内容が盛り込まれた(Wikipediaの現代語表記より抜粋)。

6.日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を除去する。無

責任な軍国主義が世界から駆逐されるまでは、平和と安全と正義の新秩序も現

れ得ないから。

8.カイロ宣言の条項は履行されるべき。又日本国の主権は本州、北海道、九

州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に限られなければならない。10.日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではない。捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されること。民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除されるべきこと。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されること。

12.日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹

立を求める。この項目並びにすでに記載した条件が達成された場合に占領軍は

撤退する。

13.我々は日本政府が全日本軍の無条件降伏を宣言し、かつその行動につい

て日本国政府が示す誠意について、同政府による十分な保障が提供されること

を要求する。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅のみ。

戦争責任者を排除して平和的傾向の責任ある政府の樹立を求めることが明記さ

れた。領土については、カイロ宣言の条項に基づき、日本の主権が本州、北海道、九州及び四国ならびに連合国が決定する諸小島に限られることが定められた。

また、とりわけ次の二点に注目するべきである。

12.日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府が樹立され、また、この宣言に記載された条件が達成された場合に占領軍が撤退すること。

13.日本政府が全日本軍の無条件降伏を宣言し、かつその行動について日本

国政府が示す誠意について、日本政府が十分な保障を提供すること以外の選択

肢を日本政府が選択する場合に、迅速且つ完全なる壊滅が実行されること。米国は原爆の開発を進めていた。

そして、この原爆の実戦での利用を日本で実行しようとしていた。ポツダム宣言第13項には、このことが示唆されている。

日本政府がポツダム宣言の内容を精査して広島、長崎の原爆投下の前にポツダ

ム宣言受諾を決定していれば、広島、長崎の惨禍は回避できたはずである。

戦争責任者の罪は計り知れなく大きい。だが、一方で、ポツダム宣言に原爆投下を明記していれば、日本政府の対応も異なるものになったとの見方も成立する。

原爆投下が明記されていれば、広島、長崎の惨禍がもたらされる前に、日本政

府がポツダム宣言受諾を決定していた可能性がある。

米国は実戦で原爆を投下するために、ポツダム宣言第13項の表現に原爆を明

記しなかった可能性がある。そして同時に、ポツダム宣言第13項は、米国による原爆投下を正当化する条項になっているのである。

これは「悪魔の技法」と言ってよいものであると思われる。米国は原爆を実戦で使用し、戦後世界の覇権を握ろうとしたのである。同時に市民大虐殺の罪を正当化する大義名分を創作したのである。産軍複合体の利益のためには、人間を人間と思わぬ残酷、冷酷極まりない行動を躊躇なく実行するのが米国である。

しかし、その人道上の罪を正当化してしまう大義名分創作にも余念がない。

本当の「悪」なのである。この「悪」の手先に率先して成り下がろうとする暴政が推進されている。敗戦から69年経過した日本で、思慮浅く日本を戦争国家に仕立て上げようとする人物が日本政治を牛耳っている。

主権者がその危うさに気付き、早めに手を打たないと、歴史の暴走に歯止めが

かからなくなる危険がある。

 

8月15日、そして9月2日を迎えるにあたり、日本を戦争推進国家に逆戻り

させようとする暴走行為を断じて許さない決意を新たにしなければならない。

敗戦の時にまだ6歳だった人々が、いま75歳になる。

安倍政権の暴政に対して声を挙げて抵抗する中心に75歳以上の高齢者が存在

する。

私も子供の頃に、父親から繰り返し戦争体験を語られた。戦争を実体験した者は、戦争を決して賛美しない。戦争を美化する者は、戦場に身を置かない者たちばかりである。

マイケル・ムーア監督が映画作品『華氏911』のなかで、「自分の息子をイ

ラクに行かせるか」と国会議員に街頭で問うシーンが出てくる。

議院のなかにはパフォーマンスで息子をイラクに行かせると答える者もあるか

も知れないが、基本的に自分と他者を区別する。他者の犠牲は厭わない。自分の犠牲は一切認めない。戦争推進者に見られる最大の特徴である。

戦争は「必然」ではなく「必要」によって創作される。戦争を「必要」としているのは「大資本」である。大資本は利益拡大のために戦争を必要としているのだ。

しかし、戦争は人の命を犠牲にするものである。

戦争を推進するには、犠牲になるものを納得させる大義名分が必要になる。大資本の「必要」から創作する戦争を、「必然」によってもたらされるものに見せかける「偽計」=トリックが必要になるのだ。

そのトリックによって、人々に「幻想」=イリュージョンを植え付ける。

トリック&イリュージョンによって戦争は創作されるのである。

何度か述べているが、戦争産業は想像を絶する巨大産業なのである。

米国の軍事支出が50兆円から60兆円。

武器弾薬、兵器だけで年間22~23兆円の規模の支出が行なわれる。超巨大産業なのである。日本農業のGDPは年間5兆円弱である。大きすぎて破壊できない「原子力ムラ」の売上が年間2兆円規模である。米国の兵器産業の規模のとてつもない巨大さが分かる。

この巨大産業は常に戦争を「必要」としている。その「必要」を原動力として戦争が創作される。

『日本の真実』(飛鳥新社)

http://goo.gl/8hNVAo

に記述したが、戦争産業は「言い値=いいね!ビジネス」である。

軍事産業の製品価格はあってなきがごときものだ。「言い値」で値段が付けられる。これほど旨みのある商売はない。この「言い値ビジネス」にハイエナ・ハゲタカ・シロアリ・寄生虫政治屋が群がる。

軍事産業は不正利得の最大の温床なのである。だから利権政治屋は軍国主義をやめられない。集団的自衛権行使容認の「なしくずし改憲」は、自衛隊を米国軍隊の一連帯に組み込む方策である。

日本は米国の支配下に隷従し、日本の自衛隊は米国の指揮命令系統下に置かれ

る大連隊に変質する。安倍晋三氏の行動は、徹底的な対米隷属なのである。ポツダム宣言第12項に、12.日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹立を求める。この項目並びにすでに記載した条件が達成された場合に占領軍は撤退する。

と明記された。

そして、日本の主権回復を定めた1952年発効のサンフランシスコ講和条約

第6条に、第六条 (a) 連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。

と明記された。「日本の独立」とは、日本から外国軍が撤退することである。ところが、吉田茂が国会の審議、同意も得ぬまま、米国の命令に服従して日米安全保障条約に調印してしまった。1960年には岸信介が米軍駐留を恒常化させる改定安保条約を成立させてしまった。「日本の独立」は実現しないまま、敗戦から69年の歳月を経過したのである。

 

そしていま、安倍晋三氏は、日本を完全なる米国の支配下に置く状況を創作し

ている。日本は完全なる悪魔の手先に変質することになる。問題は日本の主権者の見識と行動である。沖縄では名護市民が基地建設を拒絶するなかで、基地建設を強行する強制執行が開始されている。

日本の主権者に対して、日本政府が米国と結託して銃剣とブルドーザーを突き

付ける事態が発生しかねない。まずは、11月16日の沖縄知事選で、沖縄県民を裏切り、辺野古海岸埋め立て申請を承認した仲井真弘多氏を知事の座から引き下ろさねばならぬ。

沖縄県民は辺野古基地建設を明言する翁長雄志氏を新知事に選出するとともに、翁長氏が基地建設拒絶の公約を絶対に死守することを監視しなければならない。敗戦から69年経過した日本に、重大な危機が生まれているが、日本の主権者が叡智と行動力を結集して、この危機を乗り切らなければならない。

 

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著者:植草一秀(政治経済学者)

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8:47 2014/08/16


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