2014・10・10.移民政策・有給休暇・国家戦略特区・地方創生の話題について大前研一が解説します。【1】今週の ~大前研一ニュースの視点~
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2014・10・10.移民政策・有給休暇・国家戦略特区・地方創生の話題について大前研一が解説します。【1】今週の ~大前研一ニュースの視点~
移民政策・有給休暇・国家戦略特区・地方創生~本質的問題に向き合う姿勢を考える移民政策:海外人材に日本で能力発揮を有給休暇:企業に有給休暇の義務付け検討国家戦略特区:福岡市、兵庫県養父市の区域計画を認定地方創生:地方活性化へ
1)~大前研一ニュースの視点~
移民政策・有給休暇・国家戦略特区・地方創生~本質的問題に向き合う姿勢を考える
移民政策:海外人材に日本で能力発揮を有給休暇:企業に有給休暇の義務付け検討国家戦略特区:福岡市、兵庫県養父市の区域計画を認定地方創生:地方活性化へ
▼ 移民政策は考えないのは、問題解決を放棄しているだけ
安倍首相は1日、政府が検討している外国人労働者の受け入れ拡大に関し、多様な経験、技術を持った海外の人材に日本で能力を発揮してもらうものだ。安倍政権は、いわゆる移民政策を取ることは考えていない」と述べたとのことですが、全くもって愚かな発言だと私は思います。
このようなことを敢えて発言する必要がありません。
「移民政策を考えていない」ということは、すなわち日本が抱える最大の問題の1つである「若い労働力の不足」問題を考えずに、問題解決を放棄しているというのと同義です。
能力が高い人だけ受け入れたいといいますが、それも特区に限ったことで、全く実情を知らないとしか思えません。通常、移民政策の準備に5年~6年の期間が必要となります。
「普通の移民政策はやりません」ではなく、これから移民政策の準備を開始し、
5年~6年かけて「秩序だった移民受け入れが可能になる」ようにしていくと表明するべきです。
安倍首相は、自らの発言が日本の将来の問題解決を放棄しているのと同じだということにすら、気づいていないのでしょう。
▼ 有給休暇の取得率を上げるには、機械的なルールを定めよ厚生労働省は企業に対して社員の有給休暇の消化を義務付ける検討に入りました。社員の希望をふまえ年に数日分の有休の取得日を企業が指定するとのことです。
主要国の有給休暇取得率を見ると、日本の割合は非常に低くなっています。
ブラジル、フランス、香港は100%で、やや低めでも米国71%、韓国70%となっています。
それに対して、日本はわずか39%です。
日本の場合、有給休暇の取得率の低さを補うように、国民の休日を増やしているということも影響しているのだと思います。有給休暇の取得率を上げるには、いくつかの対応策があります。
・年度を超えた有給休暇の繰越しをなくす、あるいは減らす
・余った有給休暇を企業が買い取る
・取得率が50%だったら、次年度は有給休暇日数を10%減らす
など、考えれば他にも案は出てくるでしょう。また取得率が低い理由をしっかりと調査して、上司からの圧力が問題なら、パワハラの問題として対処することも忘れてはいけません。
ただ、「有給休暇を取得しないなら、来年は2日間減る」となれば、多くの人は上司の言いなりにはならない気もします。いずれにせよ、有給休暇の消化率は100%というのが想定ですから、そうなるように「機械的に」ルールを決めて実行していくことが、この問題を解決する方法だと私は思います。
▼ 規制緩和などは、特区限定ではなく全国で展開すべき
政府は9日、国家戦略特区諮問会議を開き、福岡市と兵庫県養父市の区域計画を初めて認定しました。福岡市はイノベーションの推進・新ビジネス創出、養父市は農地の有効利用というのが主な目的と定められています。
具体的な施策内容を見てみると、正直、こんなものを成長戦略と呼ぶのはお恥ずかしいというレベルです。例えば福岡市では雇用条件の明確化のために「雇用労働相談センター」を設置し起業を支援、あるいはエリアマネジメントに係る道路法の特例でMICEを誘致、イノベーションの推進・新ビジネス創出とあります。
これらが国の成長戦略につながるとは私には全く理解できません。
また改正特区法による規制緩和として、医師でなくても病院のトップになれる、
家事サービスを外国人に開放するなど、「医療・女性の就労促進・起業・教育・労働」の分野においていくつかの項目が挙げられていますが、これらも特区に限らず全国で展開するべきことだと私は思います。
結局、役人が握っている既得権益を離さないという、悪習が残っているのでしょう。先日、石破地方創生相が特区の意義を語ったと知り、その内容に非常に驚きました。
「東京は交通や人材など様々な集積がある。それを生かした事業をしたい。東京が日本全体をけん引しないといけない」と、特に東京の強化を述べたと言います。「東京一極集中是正を目指すために、東京を強化しその活性化がアクセルになる」というのはどうにも理解し難いロジックです。
そもそも、私は石破氏にも何度か説明していますが、地方創生で成功した事例は世界中を見渡してもほとんどありません。
東京も1つの地方として考えて「東京の強化=地方創生になる」というのはあまりにも飛躍したロジックであり、もう少しまともに考え直してもらいたいと思います。
※この記事は10月4日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
若い労働力不足の問題から目を遠ざけている安倍首相。大前はこの事態を、日本の将来の問題解決を放棄していると指摘しました。解決すべき本質的問題と知りながら、なぜ計画的な実行に落とし込むことができないのでしょうか?
問題解決において最も重要なステップが「解決策の実行」です。
しかし多くの場合、阻害要因を排除したり人を巻き込んだりする必要があるため、計画的に進めることが難しいプロセスでもあります。いかに複雑な現実に向き合うことができるか?真の問題解決者にはこのようなスタンスが求められます。
14:38 2014/10/10
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