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2014年8月18日 (月)

自主防衛を急げ! 単行本– 2011415 日下公人 (著), 伊藤貫 (著)

引用

自主防衛を急げ! 単行本– 2011415 日下公人 (著),    伊藤貫   (著) 内容(「BOOK」データベースより)


今、明かす日米関係の「真実」と新米保守派の「デタラメ」。裏では「ジャップ!」と呼ぶキッシンジャーら知日派米国人。日本のグランド・ストラテジーとは何か。「対米依存」はなぜ間違いか。「自主防衛」はなぜ必要か。このままでは日本は崩れてしまう―白熱大議論。

 

著者につい●日下公人(くさか・きみんど) 評論家。日本財団特別顧問。社会貢献支援財団会長。 三谷産業株式会社監査役。日本ラッド株式会社監査役。 1930年、兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業。 日本長期信用銀行取締役、社団法人ソフト化経済センター理事長を経て、 東京財団会長を務める。 ソフト化・サービス化の時代をいち早く先見し、 日本経済の名ナビゲーターとして活躍。 著者に『日本と世界はこうなる』『デフレ不況の正体』など100冊以上。 ●伊藤貫(いとう・かん) 1953年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業後、 コーネル大学で米国政治史、国際関係論を学ぶ。 その後、ワシントンのコンサルティング会社で、 国際政治・経済のアナリストとして勤務。 『シカゴ・トリビューン』『ロサンゼルス・タイムズ』 『フォーリン・ポリシー』『正論』『Voice』『東洋経済』などに 外交評論と金融政策分析を執筆。 CNN、CBS、NBC、BBCの政治番組に外交、国際関係、金融問題の解説で出演。 ワシントンに25年在住。 著書に『中国の核戦力に日本は屈服する』がある。

単行本(ソフトカバー): 378ページ出版社: フォレスト出版 (2011/4/15)

言語: 日本語発売日: 2011/4/15

目次

第1章    内と外から「日本」を読み解く・・・15頁・

(日本には自主的な核抑止力が必要だ・・・日下・16頁・

日本は「リアリスト・パラダイム」に立脚せよ・・・伊藤・17頁・

日本の学者は「リアリスト」ではない・・・日下・27頁・

日本外交の根幹がグラついている理由・・伊藤・27頁・

あまりにもお人好しな日本の外交・・・日下・31頁・

キャリア官僚は「試験優等生」・・・伊藤・35頁・

日本の外交は「庶民の知恵」に学ぶべし・・・日下・38頁・

渡米して気づいた日本の学者たちのおかしな議論・・伊藤・42頁・

昭和天皇の苦衷を忘れてはならない・・日下・49頁・

ワシントンへ移って大奮発・・・伊藤・50頁・

日本は百年先を行く「超先進国」である・・日下・56頁・

「国家の三本柱」の日本をないがしろにしたツケ・・・伊藤・60頁・

それでもかつては「国家意識」があった・・・日下・73頁・

所得倍増のプランナーは下村治?・・伊藤・80頁・

私が出会った・虚像の人・日下・81頁・

「町人国家論」を撤回した天谷氏を尊敬・・伊藤・84頁・

「ノーブレス・オブリージュ」の秘密・・日下・85頁・

エリートの七・八割が戦死したイギリス・・伊藤・86頁・

「虚像の人」仮面をはぐ・・日下・・87頁・

日本の左翼と親米保守はコラボレーショニスト・・伊藤・・90頁・

最初から無効な憲法を「改正」するのは無理・・伊藤・・100頁・

カモにされる日本・・・日下・・103頁・

第2章    日本はこの国際環境を生き残れるか・・・109頁・

二十一世紀もバランス・オブ・パワーの時代・・・伊藤・・110頁・

アメリカは中世の叡智をご破算にしてしまった・・・日下・122頁・

戦争に「正義」や「道徳」の議論は持ち込まない・・伊藤・・126頁・

ウェストファリア条約の意義・・・日下・・128頁・

アメリカは「文明化された戦争」を破壊した・・伊藤・・129頁・

「功勢終末点」を突破したアメリカ・・・日下・・135頁・

バフェットの予言「やがて米国で動乱が起こる}・・・伊藤・・138頁・

大富豪の慈善事業が「ガス抜き」になるか・・・日下・・148頁・

米国は国防費を削減せざるを得なくなる・・伊藤・・150頁・

「自由と繁栄の弧」のような構想を示せ・・・日下・・・153頁・

アングロ・サクソンといっても英米は同質ではない・・伊藤・・155頁・

かくも異なる英米の「法」・・・日下・・161頁・

クリントンはマフィアの弁護士をぶつけてきた・・・伊藤・・・163頁・

日本のドアは押しても開かない・・・日下・・164頁・

「日米同盟」は真の同盟関係ではない・・・伊藤・・165頁・

中国の驚異的な軍拡が意味するもの・・・日下・・・167頁・

2,020年頃「米中逆転」が起こる・・・伊藤・・169頁・

一日も早く「核」の議論を・・・日下・・177頁・

「覇権」に向かってひた走る中国の脅威・・・伊藤・・・179頁・

中国人の本質は「文」(外見の粉飾)である・・・日下・・・182頁・

中国は「異質な国」である・・・伊藤・・186頁・

中国はいまだに「古代中国」のままだ・・・日下・・・188頁・

北朝鮮は日本直撃ミサイルを三〇〇基所有・・・伊藤・・・189頁・

アメリカの「裏切り」を指弾しない日本政府の愚・・・日下・・・191頁・

MDシステムでは核攻撃を防げない・・・伊藤・・・192頁・

北の核など日本の「死活問題」ではない・・・日下・・193頁・

工作員を送っていれば北方四島」は帰ってきた・・・伊藤・・・196頁・

「ロシア科学アカデミー」顧問になった話・・・日下・・198頁・

二、三〇年したらロシアはまた混乱する・・・伊藤・・・200頁・

孤立しても「核」を選んだインドに学べ・・・日下・・201頁・

このままでは「大国」の座を滑り落ちる・・・伊藤・・204頁・

庶民の暗黙知とは?・・・・日下・・・208頁・

・・脚注・・209・・

第3章    日米関係の「知られざる深層」・・・211頁・

“核の傘”は壮大なフィクションである・・・伊藤・・・212頁・

防衛問題は“戦場の常識”から考えよ・・・日下・・216頁・

米国の対日敵視は「オレンジ計画」が契機ではない・・・伊藤・・218頁・

戦前の米国の空気は「排日」に傾斜していた・・・日下・・221頁・

平成26年8月16日

日本に好意的だったのはフーヴァー大統領・・・伊藤・・223頁・

日本兵の規律正しさが「日英同盟」の原動力だった・・・日下・・225頁・

人種差別主義者F・ルーズベルトの正体・・伊藤・・226頁・

あまりにもお粗末なF・ルーズベルトの歴史観・・日下・・229頁・

「属国日本」という米国の意思は現在も生きている・・伊藤・・234頁・

「日本は再軍備すべきだ!」とニクソンは書いた・・日下・・241頁・

「日本封じ込め」から「日本・仮想敵」へ・・伊藤・・243頁・

アメリカは日本の「潜在能力」を恐れている・・日下・・256頁・

クリントン政権は日本を蚊帳の外に置いた・・伊藤・・261頁・

北朝鮮の恫喝に屈したクリントン政権・・日下・・264頁・

日本を完全に裏切った第二次ブッシュ(息子)政権・・伊藤・・266頁・

聖徳太子の故知に学ぶ時期が来た・・日下・・・273頁・

大きな曲がり角に立つ日米関係・・伊藤・・・277頁・

重篤な「アメリカ・イズ・ザ・グレーテスト病」・・日下・・279頁・

賢人たちが懸念する「米国の対日敗戦」・・伊藤・・・281頁・

アメリカには「三つの米国がある」・・日下・・・282頁・

第4章    われらの「核抑止力」構想・・・289頁・

自主防衛しない国に正統性はない・・・伊藤・・290頁・

「保護なきところに忠誠なし」・・・日下・・・295頁・

日本の核保有を提言するリアリスト学者たち・・伊藤・・300頁・

アメリカ人の罪責感と恐怖心・・・日下・・310頁・

裏で日本を脅すアメリカの「知日派」たち・・・伊藤・・311頁・

米国の利益を代弁する「サロゲート」たち・・・日下・・312頁・

「外交音痴の日本に核を持たせて大丈夫?」の疑問・・伊藤・・314頁・

「核武装へ」一五のステップ・・・日下・・317頁・

機能していないNPTに縛られている日本・・・伊藤・・328頁・

「核武装へ」一五のステップ(続)・・・日下・・330頁・

アメリカの脅しやハッタリに屈服するな・・・伊藤・・337頁・

自立せよ、日本!・・・・日下・・・・339頁・

核は「同盟」を必要としない究極の武器である・・・伊藤・・342頁・

米国は日本の「同盟離脱」を恐れている・・・日下・・345頁・

「同盟国」が「独立国」になるのを嫌う米国・・伊藤・・345頁・

「最強の武力を持って事に当たれ」・・・日下・・347頁・

潜水艦に二百基の巡航ミサイルを搭載・・・伊藤・・348頁・

核武装は経済安保にも直結する・・・日下・・351頁・

巡航核ミサイルで核武装したあとの国家戦略・伊藤・・352頁・

役人にはストーリーを作る能力がない・・日下・・362頁・

政治家と言論人は、中川昭一の覚悟を見倣え・・・伊藤・・363頁・

出よ!気概ある日本人・・・日下・・・365頁・

毛&周も、不退転の勇気を持っていた・・・伊藤・・365頁・

ブラフに屈してはならない・・・日下・・・366頁・

村田元外務次官の「遺言」に学べ・・・伊藤・・367頁・

三百万犠牲者の名を騙った「村山談話」・・・日下・・369頁・

米国依存主義の賞味期限は切れている!・・・伊藤・・370頁・

最後に、これだけは付け加えたい・・・日下・・372頁・

あとがき・・・・伊藤貫・・・375頁・

平成26年8月18日

 

 

具体的な核武装論

戦後の日米関係や親米保守に厳しすぎる指摘(読んでいて心が折れそうになりました)をしながら、日本が独立国としての外交・防衛体制を持つ為に核武装する事を提案しています。他国を核兵器で攻撃する事は出来ませんが、数十発保有するだけで、数万発保有する国と対等に渡り合う事が出来ると言うのです。

非核三原則の廃止・集団的自衛権の行使・NPTの脱退・村山談話の否定等というプロセスを経て、アメリカが恐れる日本核武装の道へと進む事になりますが、やはり米中を同時に敵に回すのは得策ではないらしく、ロシアとの協商関係樹立(あまり信用しない事)やインドとの軍事同盟締結が提案されています。インドは、批判を浴びながら核武装を成し遂げたと高い評価がされています。

5つ星のうち 2.0  疲れた

戦略を論じるのになぜか、地政学的問題は等閑視されている。欧米経済が失速する中なぜか、中国のみ、経済を伸ばしていくという前提も理解しがたい。中国は極度の輸出依存経済だからだ。

大量破壊兵器から精密誘導兵器への軍事トレンドの変化(RMA)も抑えられていないし、今日の戦争の主流となっている低強度紛争(LIC)への対応も定かではない。

要するに、核武装して中国(と米国)に対抗しましょう、というだけなのだろうか?

しかし米国はともかく、中国のような、人権軽視国に対して、相互確証破壊(MAD)は必ずしも有効ではなく、その部分の議論も煮詰められていない。

そもそも、米中を同時に敵にまわしかねない戦略論が、「戦略」の名に価するだろうか?この種のものを為にする議論と言う。

5.0  具体的な核武装論, 2011/4/24

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

戦後の日米関係や親米保守に厳しすぎる指摘(読んでいて心が折れそうになりました)をしながら、日本が独立国としての外交・防衛体制を持つ為に核武装する事を提案しています。他国を核兵器で攻撃する事は出来ませんが、数十発保有するだけで、数万発保有する国と対等に渡り合う事が出来ると言うのです。

非核三原則の廃止・集団的自衛権の行使・NPTの脱退・村山談話の否定等というプロセスを経て、アメリカが恐れる日本核武装の道へと進む事になりますが、やはり米中を同時に敵に回すのは得策ではないらしく、ロシアとの協商関係樹立(あまり信用しない事)やインドとの軍事同盟締結が提案されています。インドは、批判を浴びながら核武装を成し遂げたと高い評価がされています。

憲法については改正の必要はなく、国際法違反だから無効宣言すればよいとしています。憲法の無効宣言こそが第一歩のようです。

5.0  自らが自らを護る意志があるのかを問う, 2011/5/14

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

日下氏の著書はこれまで幾つも読んできた。この本で両氏、特に伊藤氏の話した内容は、日下氏と同じことを異なった視点から説明、納得させるものである。

しかも、在米25年間に自ら動いて手に入れた情報に基づいているので説得力もある。

国というものの存在意義、そしてそれを継続して守り、共有する為に必要な条件のひとつが国防である。その必要性、在り方を考えたとき結果として、それを最も合理的におこなう方法として「核」を持つべきである、という結論に至る。そして、全編を通して、読み手に対して「我々日本国民に、自らを自らが守る覚悟、意志があるのか?」を問うているのではないか。

5.0  我が国は戦後属国体制ではあと10年持たないとわかる本, 2011/5/2

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

久し振りに有意義な対談を読んだ。

これほど明晰に米国の意図と、日本の置かれた現状を分析できている本はありません。伊藤貫先生、本当にすごい国際政治学者です。

自主防衛を核武装を以て実施ししない限り、我が国には未来はない。

コラボーレショニスト: 利敵行為をする人が支配する國、ニッポン。コラボレーショニズムの国家はモラール(士気、気概、競争心)を失う。我が国そのまんまじゃないですか。今のこれらの人びとに我が国を預けることは亡国への道です。

 

バンドワゴン(すがりつく)より、カウンター・バランス(対抗均衡)するそれが世界の常識。当たり前のリアリズム国家として再興することが、我が国にはまったなしに求められている。

以上のことを、歴史の裏話(驚かされることたびたび)とともに、実に明快に伝わってきます。国際政治史とわが国の未来に興味がある人には必読の書としてお勧めしたい。

5.0  親米保守よ。君たちは売国奴と蔑むサヨクと同類になりたいか?, 2012/11/25

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

「アメリカに追従していれば日本は安泰だ」「日本はアメリカが守ってくれるから、自主防衛する必要はない」今の日本人は誰しも、多かれ少なかれこう考える人は少なくないのではないだろうか。「保守」と呼ばれている人の中にも、こう唱える人は少なくない。

しかしそんな日本人を、外国はどう見ているか、ご存知だろうか。インド外務省高官の言葉を引用してみよう。

「我々はアメリカと、軍事同盟関係に入りたくない。アメリカという国は、他の諸国と本当に平等な同盟関係を結ぶことができない国なのだ。アメリカと同盟関係に入った国は皆、独立した外交・軍事政策を運営する能力を奪われている。インドはアメリカとの同盟関係に入ることによって、日本のような惨めな立場に置かれたくないのだ」 (本書206ページ)

この文章を読んで自嘲する人は多かろうが、そこで留まってほしくない。この短い文章には、本書のエッセンスが凝縮されているのだ。「アメリカと同盟関係に入った国は皆、独立した外交・軍事政策を運営する能力を奪われている。」何故なのか? その理由を、本書ではかなりのページを割いて丁寧に解説しているので、ぜひとも本書を手にとって読んでもらいたい。守ってもらおうと思っているアメリカが、本心ではいったい何を考えているのか、知っておくべきとは思いませんか?

そして、そんなアメリカも、あと十年か二十年で衰退していくとしたら?

親米保守の皆さん。あなた方もまた、もしかしたらあなた方が売国奴と非難する「サヨク」と同様、日本を危機に陥れる存在なのかもしれませんよ。本書を読んでもなお、そうではないといいきれますか?

少々分厚い本ではあるが、それを忘れるくらい、あっという間に読んでしまった。日本人の甘っちょろい「幻想」を完膚なきまでに叩き潰し、そして日本人に覚悟をせまる本書。日本人全員が必ず一度は読んでおきたい。特にまだ頭の柔らかい若者にこそ、手にとって貰いたい本である。

5.0  簡潔な説明で、素晴らしい内容だ !!, 2011/6/11

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

一読してみたらわかるが、余分な修飾語やつまらないロジックがなく、実に現実的で素晴らしい内容だ!!。この手の本は概ね綺麗ごとや、著者のつまらない知識の披瀝や、著者の知的レベルを高く見せようとするパフォーマンスが多いが、そのようなところが全くなく、実に地に足のついた堅実かつ現実的な意見だ。誰にでも分かりやすい言葉で、やさしく書かれているので(国際政治を語る時の最小の専門用語は致し方がない)、我が国の行き先を心配する多くの国民、特に大学生を中心とする若者に偏見を持たず是非読んで欲しい。この手の本の中では最近では秀逸のひとつであろう。

 

読者特に若者が持っている情報とあまりに違う内容なので、驚くかもしれない。しかし世界の現実、特に我が国を取り巻く環境は、日本のマスコミが報道しているものとは、全く違っていることだけでもくみ取れたら、最初の一歩としては良いのではないだろうか。

5.0  戦後最高の本, 2011/5/21

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

この本は、戦後66年で最良の本です。大震災後、日本は再出発することになるが、この本その羅針盤になります。日本国、日本国民必読の書です。私は、座右の書とし、反復読んでいきます。

5.0  「天は自ら助くるものを助くる」という原点, 2011/5/19

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

アメリカの一極支配が黄昏を迎え、多極化と中国の台頭が喫緊の問題となっている今、「自ら生き延びるためのグランドデザインを描けない国家と民族」、つまり「日本は、21世紀に消滅する」。1990年代に、李鵬がオーストラリアでふともらした本音は、保守派の失笑とブーイングを買ったが、実際には外交オンチの民主党政権の迷走によってますます現実的なものとなってきた。

この本は、そういった日本の課題を、日下公人、伊藤貫氏が縦横に論じたものである。至る所に「考えるヒント」が満載されており、「中国の核戦力に日本は屈服する」(伊藤貫)同様、知的刺激にあふれた本だ。

評者は、実は、「なぜ、日本人は、劣化したのか」という問題に関心を抱く者である。明治時代のあの気概に満ちた民族は、どこへ行ってしまったのか。基礎教育世界一と言われた日本の教育制度は、実際にはどのような人材(エリート)を育ててきたのか。

日下氏のこれまでの数多い著作の魅力は、「自分の眼で見て、自分の頭でものを考えて、自分の言葉で表現する」ということにつきる。その日下氏は、東大や通産省でともに過ごした秀才たちの特徴を「模範解答の暗記能力」と見ているが、同感である。官僚と政治家、経営者、学者、教育者、大半の勤労者が、決まった枠組みの中で、決まったことをそつなくこなせる人間が優秀であると考えている。

この体制下でも、日下氏のような「自由思考型人間」がその適応能力の高さ故に「そつなく」生き延び、然るべきポストを得ることもある。しかし、多くの場合、伊藤氏のような、知略あふれ、創造性の高い人材をはじき出してしまう。伊藤氏には著作で生きる道があるが、一般的に言えば、個人によっては、もっと地道な政策立案、交渉力、宣伝、実務的な様々な能力の生かし方もあるはずである。正直に問題に直面化していったために上司や社会的有力者の逆鱗に触れて遠ざけられたような人材を、早く中枢にもどしてやらねばならない。実は、国家公務員、県職員の中にこういった人材が結構いる。ということは、ありとあらゆる組織が抱える問題点の一つなのだ。

「はじきだされて、初めて見えるものもある。危機感を持てば、体制の内側にいる人間には絶対に見えないものが見え、様々なアイディアが湧いてくる」。そういう人材は、人が想像する以上にいる。

日本が生き延びるためには、「無責任と不作為」をやめるしかない。そのためには、人材養成の価値観を根本的に考え直さなければならない。さしあたっては、一旦はじき出されてしまった、問題点を客観的に指摘できる「覚者」を、いかに再び体制や組織に取り込んで生かしていけるかという点に日本再生がかかっている。

5.0  憲法改正論から憲法不要論へ, 2011/6/18

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

本書を読むと、日本が自主防衛および核武装をしなければならない理由がよく理解できる。また、核兵器が防衛的な兵器、というより防衛にしか使えない兵器だということもよく理解できる。

 

ただ、私が本書を読んで最も印象に残ったことは、伊藤氏の説く憲法不要論である。

 

日本には長い歴史に培われた、全国民が自然に共有している良識や常識というものがある。憲法とは、国民の価値観がばらばらな国家にとって必要だが、そのような日本にとっては必要ない。

 

現行憲法に限らず、大日本帝国憲法でさえも不要であった。大日本帝国憲法がなければ「統帥権の干犯」問題は起きなかった一方、大日本帝国憲法が日露戦争の勝利につながったわけでもないからである。

 

実際、憲法などというものがなくても日本は2000年も続いてきたのである。いや、聖徳太子の17条の憲法はあったわけだが、国家の骨格を簡潔に述べたあの程度のものなら憲法を作ってもいいかもしれない。

 

政治手法的にも憲法の改正は難しい。例え衆参両院の総議員の三分の二が憲法改正論者になったとしても、その三分の二が納得できる新たな憲法を作るには非常に長い時間が必要だろう。憲法を廃止してしまうほうがずっと簡単である。そして、憲法が無くなったところで、何の混乱も起こらないはずであり、「自衛隊は軍隊ではない」とか「集団的自衛権を有しているが行使できない」といった詭弁を呈する必要もなくなる。私は本書をきっかけとして、憲法改正論者から憲法不要論者になったのである。

5.0  日本が好きな人、みんな読んでください。, 2011/9/16

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

日本人の全てに読んで欲しい本です。

世界中で日本人ほど国の安全について無関心な国民はいない、だからなお日米同盟を更に強化・進展すべきと強く思っていました。民主党が政権を担って以降この日米の関係が怪しくなり、一日も早く自民党が政権復帰を果たすことを、これも強く願っていました。この本は私にとって衝撃でした。著者のお二人、特に伊藤さんはワシントンに25年いて多くの米国政府高官を友人に持ち、多くの政府機密文書を丹念に調べ主要各国、特に米外交についての多くの真実を語っています。

私の思いと考えはすべて間違っていることを確信したのです。日本外交はこうあるべきと考えていた私のスタンスは瓦解しました。

5.0  とても知的な質の高い、良書である。, 2011/5/27

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

これは、とても質の高い名著だ。日下公人・伊藤貫両氏による「自主防衛を急げ!」には、以下四つの特徴がある。

日下・伊藤両氏は保守派であり自主防衛派であるが、いわゆる親米保守派ではない。両氏は本書で、敗戦後の日本の親米保守派の戦略観と独立心の欠如を厳しく批判している。両氏は、日本の著名な親米保守派の言論人――例えば、高坂正堯氏、岡崎久彦氏、森本敏氏等――を、具体的な理由を挙げて明瞭に批判している。日本の論壇で「権威」とされてきた人たちの国際政治に関する思考力の欠如を、ここまで冷徹に批判した本は初めてである。

 

本書は、今後二十年間の東アジア地域における米中のパワー・バランスが「中国優位、米国劣位」に推移していくことを明瞭に解説している。この本のタイトルが『自主防衛を急げ!』となっているのはそのためである。日下・伊藤両氏は、「対米依存の時代は終わった」ことを明確に、論理的に説明している。

 

伊藤貫氏は本書で、核戦略の基礎理論をとても分かり易く解説している。本書は、今まで一度も核戦略理論を勉強したことのない読者にとっても、核戦略の本質が容易に理解できるように工夫されている著作である。

本書を読めば、過去六十五年間の日本の護憲左翼と親米保守派の言論人たちが、いかに皮相な議論をしてきたかが理解できる。本書を若い世代の人たちに薦めたい。本書は非常に真面目な本である。しかし日下・伊藤両氏は、とても分かりやすい話し言葉で、国際政治と戦略論の最重要ポイントを解説している。本書は、保守系の雑誌に数多くみられる「やたらに悲憤慷慨してみせる、情緒的なナショナリズム」とは無縁の著作である。日本の外交論壇にも本書のような知的レベルの高い著作が現れるようになったことは、素晴らしいことである。

詳細)

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

日本という国に自信を失っている方には必読書です。いうべきことを言わない日本人には、うんざりしていましたが、日本の生きる道を精神論ではなく科学的に示してくれた名品だとおもいます。一人でも多くの人に読んでほしいと思います。

5.0  注目を浴び、論争をよんでほしい, 2011/11/20

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

過去500年の世界史、今後の世界の潮流をふまえ、戦後日本国を属国と定義し、これからの日本国の進むべき道を解説している。また、日本の社会科学系知識人のほとんどが、諸外国の知識人と比較し、知的に劣ったコラボーレショニストであると定義されている。

戦争に敗北した国家の運命について、キッシンジャーの解説が、そのまま日本の戦後史に当てはまる事に慄然させられた。近現代史を踏まえた上で、今後の日本の国家戦略を、明確に定義してある本は、そうそう無いと思える。

このまま中国がひたすら膨張をつづけるという、著者の主張やアメリカ衰亡の急激かつ激しさを強調する、著者の主張には、多くの異論が有るのだろうが、それゆえ、本書がより注目を浴び、専門家間で論争をよんでほしいと、国際政治の素人である自分は希望します。

5.0  タイトルのとおり自主防衛を急げ!, 2012/4/1

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

大変おもしろかったのですぐ読み終えました。自主防衛=核武装というのが本著の主旨ですが困難を伴う日本の核武装への具体的な道筋も記されており大変参考になる著書だと感じました。

昨今米国の衰退を見透かすように中露朝に弄ばれる外交諸問題が頻発しており

ますますエスカレートしていくものと思われます。翻って同盟国米国はというとTPPなる現代の不平等条約を押しつけさらに中朝に宥和外交を行なっている始末です。

この著書を読んでいただき良識ある日本人が一人でも増えてくれることを期待して止みません。

5.0  現実を客観的に直視, 2012/3/20

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

久しぶりに国際政治、軍事関係の本を読みました。現実を直視した素晴らしい内容の本です。日本が独立するために我々は立ち上がらなければなりません。もうあまり時間がありません。素晴らしい国史を持った日本人、徳性を兼ね備えた世界に誇れる日本人を取戻しましょう。

5つ星のうち 5.0  我が国も防衛を, 2013/4/13

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

TPPによって骨抜きにされようとしている日本。これを守るには、自己防衛が大切。アメリカは守ってくれません。自国を守らない国民をもつ国家を他国が守ってあげようと思いますか?

 5.0  初レビュー, 2011/9/4

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

amazonで30冊程の本を買ってきましたがレビューを書くのは初めてです。これまでは良書と出会ってもわざわざレビューを書くのが煩わしくて書かなかったんですが本書を読み終えて、レビューを書かずにはいられませんでした。

とにかく目からウロコでした・・・。

自分も親米保守こそ日本の生きる道だと思っていたのでまさか売国左翼と親米保守が国家にとって、色は違えど似たような形のモノだとは気がつきませんでした。

本書は少なくとも、これから政治家や官僚、はたまた経営者等を目指している若い人たちには是非読んでもらいたいです。

5.0  『日本人の誇り』, 2011/5/19

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

本書とともに、藤原正彦氏の『日本人の誇り』(文春新書)を読むことをお勧めします。名著です。共感できる部分も多いと思います。

ぜひご一読を。

5.0  人間は本当に賢く成れるのか・・・, 2011/5/28

ー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

バベルの塔以降(以前からか?)、闘争に次ぐ闘争の歴史を重ねて来て、遠い将来本当に理想的空想の『八紘一宇』は実現するのでしょうか・・・

自然界、動物の世界には生存の為のテリトリーが決まっていて、環境の変化や個体数の変化が無い限りは平和です・・・有れば闘争か絶滅です。

我々人間だけが自然の法則から自由である(頂点に立つ)と言う傲慢は、良く判らないが?西欧思想で?私達日本人にはなじまない考え方の様に思う・・・この国の条件、豊芦原瑞穂の国に感謝です。

長い歴史のうちたった一回の敗戦が、私達を腑抜けにしましたが、価値観の違う世界との闘争に経験が無い幸せな不幸せが、大きな教訓を与えてくれました・・・

私達の子や孫、その次次の世代にも、この国の国土と思想や精神を残してあげたいのですが(又責任とも思えるのですが)・・・

キチンと世界と対峙する教育をしてこなかったツケが、戦後66年を経た今表れているように思えます。

皆仲良く生きるのが理想ですが、私達が望まなくても世界が善意で動いて居ない事は、薄々わかります(事例は幾らでも在ります)。

そんな焦燥感で鬱々と暮らしている気持ちに、この本は一つの方向性と希望の様な解法を与えてくれ、又日本人としての誇りを思い出させてくれました。

 

私達の国の事を確り考える為にもお勧めの本です。

5.0  気持ちは痛いほどわかるのだが、、, 2012/1/22

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

この本ははっきり言って、戦後の平和教育を受けていた日本国民にはきわめて厳しい内容となっています。戦後の日本がどういうものだったか、また、これからの日本はどうするべきかが具体的に書かれています。

そして結論から言うと、自主防衛を急げ!核武装をしろ!なんですが、現実としては、自主防衛も核武装もできないように、首根っこ掴まれてるのが今の日本の現状で、もし、そこで「このままじゃ駄目だ!」なんて奮起して、自主防衛や核武装をしようとしたらどうなるかというのは、このお二方も当然わかっているでしょう。

国際社会からハブられて、対日貿易を止められて、経済制裁を受けて、場合によっては武力制裁まで受けて、それでも歯を食いしばって自主防衛や核武装をする覚悟が今の国家や国民にあるかということです。

この本は、どうにもその部分がすっぽり抜けている印象が否めませんでした。

とはいえ、時代が変わりつつあることも事実ですし、この本を契機にして、国民一人一人が日本の防衛というものを考えても良いかと思います。

5.0  チベット・ウイグルの様に成りたいですか・・・日本人の皆さん, 2011/8/15

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

私はず~と日本人で居たいので核武装賛成です。原潜も早く作りましょう。

自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー)) 全ての人が一読されることをオススメします。私たちに必要なもの、足りないものがわかります。

4.0  日本人は必読書, 2013/6/17

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毎日放送されているニュースに出てこない事柄ですが・・・もっとTV等でPRすべきと思う。

5.0  久しぶりに勉強になる本に巡り会えた, 2012/10/5

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良い本ですね、マスコミ、日教組に洗脳されていた事を、また、気付かされました。日本国民全員が読んでほしい本です。もちろん政治家の人、政治家を希望している人、マスコミ関係者は必ず読んで欲しい、最低限この本の知識くらいは知っておくべきでしょうね。

5.0  自主防衛を急げ!, 2011/10/14

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この本は広く知られているだろうか.当然のことを取り上げているんだが,本書の内容を奇異と捉えるなら現状の異常さに気づかず思考停止状態に陥っているに違いない.およそ日本ほど自国の安全に無責任な国はないのではなかろうかと思えてならない.自国の安全保障を外国に託し,事足れりとひたすら安逸を貪るこの国っていったい何だろうかと改めて思わざるを得ない.この現状のままもし国家の安危にかかわる重大事態が勃発すれば政府及び国民はどんな対応を見せるのか.政府は果たして国民の生命・財産が守れるのだろうか.これに対し国民が不信感をいだいているなら国を守るために立ち上がろうとする国民は皆無であろうと思える.エゴイズムの大波が生ずるに違いない.本書と合わせて故村田良平・元駐米大使の著書『何処へ行くのか,この国は』がお勧めだ.

 5.0  相変わらずの日下節炸裂, 2013/5/30

レビュー対象商品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

 

相変わらずの日下節炸裂。「日下節」が好きな方にはおススメします。

2.0  疲れた, 2011/5/13

品: 自主防衛を急げ! (単行本(ソフトカバー))

戦略を論じるのになぜか、地政学的問題は等閑視されている。欧米経済が失速する中なぜか、中国のみ、経済を伸ばしていくという前提も理解しがたい。中国は極度の輸出依存経済だからだ。

大量破壊兵器から精密誘導兵器への軍事トレンドの変化(RMA)も抑えられていないし、今日の戦争の主流となっている低強度紛争(LIC)への対応も定かではない。

要するに、核武装して中国(と米国)に対抗しましょう、というだけなのだろうか?

しかし米国はともかく、中国のような、人権軽視国に対して、相互確証破壊(MAD)は必ずしも有効ではなく、その部分の議論も煮詰められていない。

そもそも、米中を同時に敵にまわしかねない戦略論が、「戦略」の名に価するだろうか?

この種のものを為にする議論と言う。

自主防衛も核武装も、なんら忌避するものではないが、米国に長く暮らしてすっかり米国嫌いになったこの種の人の、ある種「恨みのこもった議論」には正直、辟易させられる。欧州が米国より「素敵」に見えるのは、まさに、欧州に長く住んだ経験がないからだ、とまず、理解したほうが良いだろう。

4.0  <自主防衛にはホントに核武装しかないの?>, 2011/5/11

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大筋において首肯するものだが、結論には大反対だ。

自主防衛イコール自主核武装の論理が、いかにも稚拙。この手の主張を何度読み返してみても、核武装を正当化せしめる根拠がどうにも薄弱の感をぬぐえない。

曰く、北朝鮮や中国は核によって日本を包囲している。バランス・オブ・パワーの論理に従って核武装することこそ、東アジアの安定化につながるというもの。

それらの主張は核兵器が使えぬ兵器、使わぬ防御兵器であることが大前提で論じられるのだが、人類には既にその使用経験があるという明らかな矛盾点は全く顧みられることがない。核抑止論など、新興宗教のようなもので、何の実績も根拠もない、たかだか60年ばかりの間、まかり通った屁理屈に過ぎぬものではないのか。

確かに、日本が核武装することで、当面、外交上のアドバンテージを得ることはできるかも知れない。だが、核を携えておきながら、にらみ合いだけがいつまでも続くとは限らない。

目的のためには手段を選ばずという精神の退廃の行き着く先にあるのが、核による先制攻撃だからだ。

 

そもそも、バランス・オブ・パワーの論理とは、力を正義に据え置く論理であり、獣の論理に他ならない。また、道徳的な高みを目指すという至高目的に対しても、核武装は矛盾する。なぜなら、それの使用される場面は常に非武装市民の大量虐殺という現実を招来するからだ。もし、どうあっても使用しないことを前提とするなら、はじめから持たなければよいのである。

 

結局、自主核武装論とは、時を俯瞰できぬ大衆的視点の生み出した謬論の一つでしかない。

敗戦認識の払拭と、核の傘からの離脱、反核・反原発によらぬ限り、日本の、否、世界の運命が変わることは、もはやない。

20世紀の世界戦争は核兵器の使用によって終焉を迎えたが、この次の世界戦争が核兵器の使用によって始まるのは、目に見えている。

獣の論理に支配された文明の末路は、太古より定まっているのではないだろうか。

5.0  自主防衛を急げ 書評, 2011/10/21

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日下公人と伊藤貫共著の『自主防衛を急げ』の骨子は次の通り。 

' 自分の国を自分で守るのは当然の義務である。

' その義務を果たさない国にレジティマシーが無い。

' 自主独立の気概を持つべし。

' 独立核を持ったインドに学べ。 インドが核を保有した当時は非難を受けたが核を持ったことによる強みが効いて国際社会から認められた。

' アメリカは頼りにならない。 過去にアメリカの高官は日本の有事に自国の兵士を危険に晒すことはないと再三にわたって明言している。

' 核の傘は当てにならない。 日本が核攻撃を受けたらアメリカが必ず報復するという保障は無いのだから。

' ニュークリア・シェアリングは自主防衛とはならない。 受け渡しの決定権はアメリカ大統領ないしはアメリカ議会にあるのだから。

' 日本を守れるのは結局は日本だけである。 

 

骨子は良い。 私から付け加えるとすれば、自主防衛と核武装はイスラエルに学ぶべき、ということである。 小さな国土と敵に囲まれた厳しい環境で生き残り、立派に経済を発展させきたこの国の姿勢から学ぶことは多いはずである。

 

この本は随所に間違いを含んでいる。 そして深刻な左翼の毒にちりばめられている。 したがって防衛に興味ある人間は上に挙げた項目だけ読んだらそれで十分である。 上の項目を頭において、どうすればよいか自分で考えるべきである。 この本は読むべきではない。 間違いと毒でむしろ悪影響を与える本である。

 

伊藤貫という人物はアメリカ在住が長いようであるが、アメリカを熟知しているとは思えない。 むしろ肝心なことを全く理解していない。 イスラエルをバッシングするが中東のことも全く理解していない。 リベラルの特殊な考えに偏っており保守ではない。 そして氏が取り上げる人物はどれも保守ではないどころかいかがわしい際物である。

 

その代表がミアシャイマーという人物。 こんな変な名前は聞き覚えがないと思って調べてみたら分かったが、「The Israel Lobby and U.S. Foreign Policy 『イスラエルロビーとアメリカの外交政策』」という本の著者である。 この本は反ユダヤ主義に根差した陰謀論である。 ユダヤ人がアメリカ政界を操作し、イスラエルに有利な外交をするよう仕向けている、という根も葉もないガセネタである。 ゴミである。 私は一行も読んでいない。 なぜならばゴミだからである。 反資本主義・反ユダヤ・反イスラエルの極左ノーム・チョムスキーからは高く評価されているそうで何とも不名誉なことである。 

 

氏は殊更にイスラエルを中国、ロシアと並べて覇権主義国家と呼び貶める。 イスラエルの面積はニュージャージー州程度である。 ちっぼけな国土である。 この国がいつ誰に対して覇権を主張したのか。 それどころか、6日戦争以来、国土は縮小する一方である。 現在までにシナイ半島、南レバノン、ガザを手放している。 土地を次々と手放す覇権国家があり得るだろうか、ということである。

 

氏はイスラエルの6日戦争が国際法違反のパレスチナ侵略と呼び、イスラエルの軍事行動をパレスチナ人虐殺と呼んでいる。 市民の犠牲者を最小化せんとするイスラエルと、市民の犠牲者を最大化せんとするパレスチナ・テロ側の戦いをこのように表現する氏の視点の偏りと不道徳さと意地悪さは南京大虐殺をでっち上げたアイリス・チャンといい勝負である。

 

氏はアメリカの戦争は全部悪だとしている。 インディアン制圧、南北戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、これら全部を十把一絡げで愚劣な戦争と評している。 ベトナム戦争はアメリカがベトナム全土を共産化させようとする北ベトナムに対抗する南ベトナムを支援して起きた戦争である。 ニクソン時代に完全に勝利を収めたにも関わらず、次のフォード時代に民主党議会が南ベトナムへの戦力支援継続を拒否したために北ベトナムが勢力を盛り返して泥沼化したのである。 アメリカが敗退したのはリベラル勢力の妨害のせいであって決して「ベトナムに大義があったから」などではない。 サイゴン陥落後多くのベトナム人が共産主義者の暴力の犠牲になり、更にはカンボジアの大虐殺が引き起こされた。 氏がことを忘れたのか分かっていないのか知らないが、いずれにしてもこの不見識は青い左翼青年そものもである。

 

氏はイラク戦争の理由づけとなった証拠を捏造としている。 また戦争そものもを国際法違反であり不必要であるとしている。 このセリフも左翼原産である。 当時は共和党も民主党も一致してイラクのアメリカへの脅威を認識し、国益と安全を守るために議会の承認を得て開戦に踏み切ったのである。 「大量破壊兵器」だけが理由ではなかったのである。 むしろサダム・フセインこそが大量破壊兵器なのだから、何も問題も無いのである。

 

氏はブッシュ大統領を殊更馬鹿にする。 ブッシュよりもクリントンはましだった、オバマもましであると。 「ブッシュがビン・ラディンより怖かった」とまで言う。 氏は9.11で犠牲になったのはアメリカ人だけではないこと、その後イギリスも、スペインも、インドネシアもイスラム・テロの犠牲となったことを知らない。 少なくともアメリカを素早く立ち直らせ、その後今に至るまで同様のテロを防いだブッシュの功績を認める良識はないのか。 9.11は前任のクリントンがテロを野放しにしたために起きたものである。 オバマはブッシュが国民の安全を維持するために行った数々の政策を保護にしている。 それをブッシュよりまし、とはあまりにもふざけていないか。

 

経済のことも語っているが、「デリバティブはニューヨークのユダヤ人が金儲けを企んで作った」などというのは失笑ものである。 この本の目的は日本の防衛ではなくユダヤ人叩きか、と言いたくなる。 Community Reinvestment Actをカーターが成立させ、クリントンが推進し、低所得者への住宅融資を民主党議員が銀行に強制したことから投資家がリスクを分散させるためにデリバティブが生まれたという経緯を知らないのか、ということである。 左翼運動による市場の攪乱が破滅的な結果を生んだという事実を知らないのか、ということである。

 

伊藤氏と共同執筆者の日下氏にアドバイスするとしたら次のとおりである。 アメリカを正しく判断したければ、亜流ではなく、保守本流を見るべきである。 2012年大統領選挙は保守本流の回帰となる。 オバマ政権はもう終わりである。 アメリカ本来の保守であり、合衆国憲法オリジナリストであり、バランスのとれた知性と経験を持つミシェル・バックマン、ハーマン・ケイン、リック・サントラム、彼らのいずれかが次期大統領の本命候補である。 彼らの原点はレーガンが命を吹き込んだ保守運動である。 彼らの思想にこそ着目するべきである。

10:25 2014/08/15

 

 

 

 

脳科学は人格を変えられるか? 単行本 – 2014725 エレーヌ フォックス (著),    Elaine Fox (原著),    森内 薫 (翻訳) 内容紹介

 

チャーチルは「成功とは、失敗を重ねても熱意を失わない能力のことだ」と言ってどんな逆境もはねのけ、偉大な政治家としてその名を留めた。エジソンは電球の試作の失敗が1万個に達したとき、「失敗したのではない。うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」と言って、ついにはフィラメントを発明する。

人生の成否を分けるのは、「前向きであることのできる」性格によるものなのか。だとすると、それは脳のどんな働きによるものなのか。欧州最大の脳科学の研究所を主宰し、その問いを解きあかそうとしているエレーヌ・フォックス博士が、その答えに驚くべき実験と調査の数々から迫る、とびきり面白いポピュラーサイエンス。

例えばこんな調査がある。1930年代に修道院に入った全米各地の修道女180人の日記を検証し、前向きな言葉と後ろ向きな言葉が出てくる頻度を60年にわたって追い、修道女たちの寿命との相関関係をみる。すると結果は、前向きな日記を書いていた修道女が、そうでない修道女に比べて10年以上長生きしていたのだ。

 

そして、フォックス博士自身の研究所は、前向きな感情を起こさせる物質、セロトニンを脳内で生み出す特定の遺伝子を発見、性格は遺伝子によって決まっているのかというところにまでメスをいれる。ところが、研究を進めると、これらの遺伝子は環境によってその働きが変わってくるという驚くべき結果がえられたのだ。科学の推理を楽しみながら、子育てや自分の人生にまで思いをはせることもできる、深い一冊です。

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

 

そのカギは楽観脳と悲観脳にあった!オックスフォード大脳科学研究室が明かす驚異の世界。 単行本: 326ページ出版社: 文藝春秋 (2014/7/25)

言語: 日本語発売日: 2014/7/25

目次

序章 なぜ前向きな性格と後ろ向きな性格があるのだろう

第1章 快楽と不安の二項対立

第2章 修道院の奇妙な実験

第3章 恐怖を感じない女

第4章 遺伝子が性格を決めるのか

第5章 タクシー運転手の海馬は成長する

第6章 抑うつを科学で癒す可能性

 

サニーブレインとレイニーブレイン 世の中には、たとえ同じ事実に接したとしても、それを前向きに受けとめる人もいれば、それを否定的にとらえる人もいる。いわゆる、楽観主義者と悲観主義者である。本書の著者エレーヌ・フォックスによれば、じつは両者のちがいは脳内回路のちがいに起因している。そしてフォックスは、前者の脳内回路を「サニーブレイン(晴天脳)」、後者の回路を「レイニーブレイン(雨天脳)」と呼ぶ。では、ふたつの回路は実際どうちがっているのか? また、それぞれの回路はどのようにして形成されるのか? それらを明らかにすることが、本書の主要テーマである。

5つ星のうち 2.0  バランスが大切  本書の結論はサニーブレインとレイニーブレインのバランスが大切ということです。それには東洋の知恵が役に立つというしめくくりもおおいに賛同できます。最新の脳科学の研究成果の紹介も参考になります。しかし、バランスが大切ならばならば、これほどまでにサニーブレインの肩を持つことはないでしょう。

5つ星のうち 4.0  サニーブレインとレイニーブレイン, 2014/7/30

レビュー対象商品: 脳科学は人格を変えられるか? (単行本)

世の中には、たとえ同じ事実に接したとしても、それを前向きに受けとめる人もいれば、それを否定的にとらえる人もいる。いわゆる、楽観主義者と悲観主義者である。本書の著者エレーヌ・フォックスによれば、じつは両者のちがいは脳内回路のちがいに起因している。そしてフォックスは、前者の脳内回路を「サニーブレイン(晴天脳)」、後者の回路を「レイニーブレイン(雨天脳)」と呼ぶ。では、ふたつの回路は実際どうちがっているのか? また、それぞれの回路はどのようにして形成されるのか? それらを明らかにすることが、本書の主要テーマである。

第3章のレイニーブレインに関する議論をみてみよう。著者曰く、ポイントは扁桃体と大脳皮質の相互関係にある。恐怖や不安を引き起こすうえで重要な役割を担っている扁桃体と、それを抑制する機能ももつ大脳皮質。両者のあいだには無数の経路が存在するが、しかし、扁桃体からくるアラートが必要以上に強くなり、大脳皮質による抑制のはたらきが弱くなると、その脳は過剰な反応を示すことになる。つまり、恐怖や不安の兆候を過剰に感知するようになり、その人はネガティブな思考に陥りがちになるというわけだ。著者のいうレイニーブレインとは、まさにそのような反応を生む脳内回路にほかならない。

しかしそれならば、そうした脳内回路は何によって決定されるのか。遺伝子によるのか、経験によるのか、それとも両者の組み合わせによるのか。また、レイニーブレインからサニーブレインへというように、脳内回路を人為的に変えることは可能なのか。ここらへんの議論については、ぜひ本書自身に当たってほしい。

本書全体をとおして、何かことさら驚くようなことが書かれているわけではない。ただ、語り口は平易であるし、ところどころに興味深いトピックが散りばめられてもいる。それゆえ、科学読み物が好きな人にとっては、本書はいわば無難に楽しめる1冊ではないかと思う。感想はまあ、そんなところだろうか。

 最後に余談をひとつ。巻末の謝辞を読んで知ったのだが、著者のフォックスはケヴィン・ダットンと夫婦のようだ。なるほど、なるほど。

2.0  バランスが大切, 2014/8/13

レビュー対象商品: 脳科学は人格を変えられるか? (単行本)

本書の結論はサニーブレインとレイニーブレインのバランスが大切ということです。それには東洋の知恵が役に立つというしめくくりもおおいに賛同できます。最新の脳科学の研究成果の紹介も参考になります。しかし、バランスが大切ならばならば、これほどまでにサニーブレインの肩を持つことはないでしょう。

修道女の研究が紹介されていますが、記述が間違っています(p.93)。「日記には、彼女らが1930年に修道院に入った当初からの生活が綴られている。」となっていますが、そうではなく、修道女になる動機などを綴った修道院に入る前の自伝(autobiographies)が残っているので、これを研究材料にしています。「60年にわたって追いつづけた。」となっていますが、調査時点から1930年を振り返った研究です。この研究自体に問題はありませんが、筆者のフォックスは論文を読んだのか疑わしくなります。また、この時の自伝にポジティブな記述が多い修道女は長生きをしているのですが、記述が一番少ないグループが一番短命ではありませんでした。若いころにネガティブな出来事があり、それをネガティブ感情で対応したおかげなのかもしれません。大切な人の死に直面した時には、悲しむのが自然なことです。ポジティブ感情が良いからといって、ネガティブ感情をコントロールすることは好ましいとは思えません。

謝辞にポジティブ心理学で有名なセリグマンの名はありませんが、ポジティブな精神を礼賛する系列の本といえましょう。この種の本に共通する特徴は、ポジティブ面ばかりを強調していながら、結論はバランスが大切となっている点です。ならば、ネガティブ面の有用性もしっかり記述し、バランスを整えるべきではないでしょうか。

5.0  最近読んだ100冊の本の中で圧倒的1位だ!, 2014/8/7

レビュー対象商品: 脳科学は人格を変えられるか? (単行本)

この本は抽象的ではない。

この本は啓発本ではない。非常に科学的でありながら、我が身に役に立つ内容だ。

気持ちの持ちようだ、などという気合論ではなくて脳にははたしてどのようなしくみがありどのように人の考えや行動に影響しているのかを非常にわかりやすく説明されている。圧倒的な1位本だ!妻や子供や仲間に読んでもらいたい!強制的にではなく、自然に読んでもらえるはずだ、なぜなら、最初から人間であれば、だれしも興味が湧く内容だからだ。

5.0  バランス, 2014/8/12

レビュー対象商品: 脳科学は人格を変えられるか? (単行本)

 

ポジティブなサニーブレインとネガティブなレイニーブレインの対決ではないことは、この本のどの部分からも伝わってきます。結論として、バランスであり、ポジティブとネガティブの黄金比について語られるのは、終盤のここのところです。立ち直りが早い楽観的な心の持ち主は、つらい出来事を経験しているあいだ、ポジティブな感情もネガティブな感情も他の人より多く経験しているということだ。伴侶に死なれたときいちばん早く立ち直る人は、感情を広い幅で経験する人だった。(pp293-294)

エピジェネティック(遺伝子の塩基配列の変化を伴なわない後天的で可逆的な変化)の仕組みもよくわかりました。遺伝子配列上で発現するはずの特徴であっても、メチル系化学物質によって遺伝子のプロモーターがブロックされるとこの特徴は発現しないこと。このブロックは生きやすいようにも生きにくいようにも作用すること。ブロックするメチル系化学物質は経験によって生成されること...

実際のカウンセリングの場面では、ジェネティックであるとお話しした方が良いことも、エピジェネティックであるとお話しした方が良いこともありますが、これは目の前のクライエントをカウンセラーがどう見立てているか、この苦境を乗り越えるために、「いま」のクライエントにとってなにがたいせつなことかをカウンセラーが見極めているかによりますね。

9:36 2014/08/15

8/18/2014

 


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